美術科アーカイブ

美術科ブログ(~平成30年度)

県議会棟と教育庁への作品展示

 9月20日県議会議長応接室にて、議会棟に展示する絵画を作成した生徒への感謝状贈呈式がありました。昨年度高校美術展に出展された作品の中から選ばれた絵画、写真、書道が展示されています。

 当日は県外議員方々や、教育長、文化課の方々が出席され、第二高校から参加した三人も緊張の面持ちでしたが、生徒代表挨拶も堂々と行うことが出来しました。



 これらの作品を制作中の昨年4月に熊本地震が起きました。作品や石膏像がなぎ倒され、足の踏み場もない彩画室の作品を職員で一つずつ無事を確かめながら元の位置に戻し、そしてまた一緒に制作できる日が来ることを心待ちにしたのを思い出しました。

文化祭ステージ装飾ができるまで・・・

 9月30日熊本県立劇場のステージを飾った装飾画は1年生美術科がクラス企画として全員で取り組んだ作品です。
 夏休み前のLHRでテーマを決定し、役割分担をしました。
 夏休み7月下旬の前期課外中にリーダーが原画を作成し、8月上旬後期課外中に布を縫い、高さ4m、幅7mの大きさに縫い合わせます。この大きさは運動会の団席画の布の部分と同じ大きさです。(つまり、来年度の団席画の練習も兼ねています。)
 布に下書きをします。
 10人ずつ、4班に分かれ、着色します。また、この時期は「描く力展」や授業課題の「読書感想画」とも重なり、時間のやりくりが大変でした。
 このころ、2年生はそっと一年の教室をのぞいては「このペースで大丈夫かな?」と心配してくれたり、アドバイスしてくれたり、様々な場面で助けてくれました。3年生は1年生や2年生を指導しつつ、その初々しさに美術科制作展の準備や受験勉強の疲れを癒していました。みんな、優しく、頼りになる先輩たちです。
◆教室の半分が文化祭

◆半分が50号作品の制作

◆デザイン室では読書感想画
◆文化委員やリーダーがシフトを決め、効率的に制作できるよう頑張っていました。行き詰ったときは、話し合いをして共通理解を図るなど、自分たちでよく考えて動いていました。

◆時々体育館の2階テラスから吊って、全体の確認をしました。

◆完成!

 テーマは「火の国くまもと、水の国くまもと」、火と水、二つの相反するエネルギーが熊本の復興を後押しすることを願って制作しました。
 一人一人が自分自身を見つめる機会となり、クラスも集団として大きく成長することが出来ました。大変だったと思いますが、よく頑張りましたね。

美術科制作展開催中!

2017年10月4日
 10月3日(火)~10月9日(月)まで県立美術館分館4階で開催中です。3年間の集大成です。是非、ご覧になって下さい!

美術科SSH特別講義「描画材料と科学」

 9月9日は1年生の進路ガイダンス講座がありました。午前中は美術科卒業生の漫画家ゴトウマサフミさんの講話をはじめ、同窓会の皆様の御支援でさまざまな職業に関する貴重なお話を聞くことが出来ました。
 美術科は午後から、ホルベイン画材株式会社から講師をお招きしてアクリル絵の具のメディウムと油彩画に使うオイルを中心に、絵の具について科学的に考える特別講義を行いました。
 
 画像にもありますが、絵の具は「色の粉」と「のり」でできています。その「のり」の部分が何かで、油絵の具、水彩絵の具、アクリル絵の具と区別されます。

 ずらり並んでいるのはアクリル絵の具に混ぜて使うメディウムです。絵の具に混ぜることで、艶やかなレイヤーをつくったり、砂ような質感をつくることが出来ます。素人は何が何やらの種類の多さですが、その一つ一つを分析できるシートにナイフで塗っていきます。

 まるでクリームのような質感のものもあります。店頭や個人ではなかなかできないことですね。

 ジグザクの線は下地材でどう色が変化してみえるかがわかります。一番下は絵の具にどんなメディウムを混ぜるとどう違って見えるかがわかります。このシートはずっと大切に持っていてほしいです。
 
 最後に希望者対象に油彩画の揮発油と乾性油の違いを試します。揮発油と乾性油を調合したペインティングオイルも様々な種類がありますね。生徒たちは匂いの違いをあれこれ例えていました。また、さらっとしていたり、とろっとしていたり質感の違いも観察できました。
 
 これも乾燥すると違いがクリアになります。

 近代になってチューブ絵の具ができるまで、画家は絵の具の調合が出来なければ絵が描けませんでした。画家は科学者・技術者でなければならなかったのです。現代の私たちは何の苦労もなく絵が描ける時代ですか、それでも今回の特別授業で大きな学びがありました。
 苦労して描いた作品がひび割れたり、剥落するのには科学的裏付けがあります。この講演を聞いた生徒たちはそのことをよく理解したのではないでしょうか。また、この実践は10月の美術科1年生九州国立博物館バックヤードツアーにつながります。描画材料に対する正しい科学的知識を持つ人材が多く育てば、熊本地震後、修復を待つ多くの文化財を守る糧になるのではないかと思います。
 美術と科学は同じ根っこにあるのだとSSH事業の教育実践を行うたびに気づかされます。

外部講師講演会

 夏休み後半、美術科では毎年講師をお呼びして講演会を行います。今年度は8月24日女子美術大学から能見英子先生「CMプランナーの現場について」、宝塚大学から井上幸喜先生「ゲームクリエーターの仕事とゲームデザインの仕組みを用いた問題解決」についてお話していただきました。
 能見先生からは実際にTVで放映されたCMの制作にまつわるお話をしていただきました。クリエーターを目指す生徒たちにとって実際にその道の方のお話を聞く機会は本当に貴重なものです。

 井上先生は本校美術科卒業であり、本校SSH(スーパーサイエンスハイスクール)運営指導委員もお引き受けいただきました。科学系人材の養成を目指すSSH事業ですが、第4期は、「美術を科学的視点から探究する」ことも研究対象となっています。特に「情報と芸術の融合」、熊本地震以後急務となっている文化財保護に必要な「科学的探究能力の育成」に力を入れています。
 井上先生の講義では「素敵な誘導」という言葉で、ゲームやデザインを制作するプロセスにある「予測すること(テーマ研究でいう「仮説設定能力」)」の重要性と言語や非言語のコミュニケーションを活用し「人の行動を誘導する」方法についてレクチャーされました。美術科の生徒たちが日々励むデッサンも外国語の習得に匹敵する「コミュニケーション能力」の一つです。


 お二人の先生のお話を聞いて、将来のイメージがクリアになったという声をたくさん聞きました。先生方、貴重なお話ありがとうございます。