4月1日。
新年度の挨拶と、期待と不安が入り混じった先生方のザワザワとした談笑。
熱気を帯びた空気の中で、新しい一年が幕を開けます。
午前中から息つく暇もなく始まる会議の連続。
分掌の実務、学級経営、膨大な年間実習計画……。
共有フォルダに積み上がるデータの山を眺めながら、正直なところ「おっと、これは……」と、頭がパンクしそうになっているのが本音です。
ようやく訪れた昼休み。
喧騒を離れ、呼吸を整えるように農場へと向かいます。
会議室の熱気とは違う、少しヒンヤリとした果樹の出荷調整室。
主役を待つ静かな食品製造実習室に響く自分だけの足音。
そして、温室内で鼻の奥をくすぐるサイネリアの香り。
誰もいない現場を歩きながら、
「正直、会議室にこもるより、ここで生徒たちと一緒に実習している方が、よっぽど性に合っているのになぁ……」
なんて、思わず苦笑いがこぼれます。
土と緑の匂いに触れて、ようやく少しだけ、深い呼吸が戻ってきます。
視界の端では、裏山を鮮やかに染める桜の薄桃色が、春風に優しく揺れています。
農業科の学びは、日々の実習という地道な積み重ねでできています。
新しい年度を迎えても、目の前の管理に一つひとつ丁寧に向き合い、毎日の実習を何よりも大切にすること。
その積み重ねの先に、生徒たちの心が満たされ、充実した顔で農場を歩く姿を目指します。
そうして一歩ずつ育んできた「実り」を、どう次へ繋げていくか。
生徒たちが登校し、農場に弾けるような活気が戻ってくるまで、あと数日。
令和8年度。
やるべきことは、山積みです。
けれど、そのすべてが、最後には生徒たちの笑顔に繋がっている。
そう信じるだけで、指先に少しだけ力が宿ります。
「カンッ」、と少し強く叩くエンターキー。
さぁ、始めますか。
芦北高校農業科 「品種名鑑」 #02
前回、芦北高校の「不知火(しらぬい)」こと「あしポン」をご紹介しましたが、実は本校の果樹園で「あしポン」として皆様にお届けしている主役たちは、ただの「不知火」ではありません。
その舞台裏を支えるのは、「肥(ひ)の豊(ゆたか)」と「不知火M16A」という、選りすぐりの二つの精鋭品種です。
見た目ではプロでも見分けがつかないほどそっくりな双子ですが、実は性格の違うこの二つの品種を、私たちが絶妙なタイミングでバトンタッチさせながらお届けしているのです。
この「リレー」の裏側を知れば、あなたも立派な「あしポン目利き」です。
■ 表には出ない、二つの生い立ち
「肥の豊(ひのゆたか)」
── 熊本生まれの「先行ランナー」
地元・熊本県で「不知火」を親として誕生しました。
名前の由来は「肥後(熊本)を豊かに」。
不知火譲りの濃厚な甘さはそのままに、酸が早く抜けるのが最大の特徴です。
シーズンの幕開けと共に、いち早く最高の味を届けてくれる、スタートダッシュのスペシャリストです。
「M16A(エムじゅうろくエー)」
── 科学の力で磨かれた「実力派アンカー」
国の研究機関で、元の不知火からウイルスを取り除き、より健やかに育つよう改良された系統です。
「M16A」というメカニックな名前は、その開発過程で付けられた管理番号。
驚異的な貯蔵性を誇り、冬を越えて春先まで美味しさをキープする、後半戦を支える頼れる守護神です。
■ 「どちらが届くか」は、プロの判断にお任せ
お客様には、お手元の「あしポン」がどちらの品種かは分かりません。
なぜなら、私たちは「その時、一番美味しい状態のもの」を、栽培方法と組み合わせて厳格に選別し、お届けしているからです。
・露地栽培
── 寒さが来る前に「年内収穫」
お正月の寒波で果実が凍らないよう、外で育つ露地ものは年内に一斉収穫します。
まずは足の速い「先行ランナー(肥の豊)」から順に旬を迎え、貯蔵のきく「アンカー(M16A)」へとバトンを繋いでいきます。
・ハウス栽培
── 樹の上でじっくり「2月収穫」
一方、ハウスものは暖かな屋根の下でさらにじっくり熟成させ、2月に入ってから収穫を迎えます。
露地栽培の在庫が終わる頃に、さらに濃厚な甘みが乗った「真打ち」として登場します。
■ 届いた一果に、物語を添えて
次に「あしポン」を手に取られた際は、ぜひその裏側にある「品種のリレー」を想像してみてください。
「今届いたのは、熊本生まれの先行ランナーかな? それとも後半を支える実力派アンカーかな?」
そんな風に、品種と栽培のドラマを語れるようになれば、あなたも立派な「あしポン目利き」です。
「届くまでのリレー。目には見えないけれど、繋がれたバトンの先には最高の『美味しい』が待っています」
■ 次回予告
次回は、冬の窓辺を彩る鮮やかな色彩。
草花専攻生が丹精込めて育てる「シクラメン」について詳しく紹介します。
お楽しみに!
自らの業務を片付け、食品製造実習室へと急ぎました。
今日の当番実習は、農業科2年生のシフォンケーキ製造。
……しかし、私が到着したときには、すでに製造の山場は越えていました。
オーブンから出てくる焼き上がりの瞬間にはなんとか立ち会えたものの、材料の計量や生地を混ぜ合わせる、あの繊細な実習プロセスを見届けることができず。
正直に言えば、実習を見逃した「残念さ」が残る到着でした。
けれど、ガランとし始めた調理場で、それ以上の驚きに出会うことになります。
担当職員が指示を出すよりも早く、誰からともなく、すいすいと片付けが始まっていました。
実習台を黙々と磨き上げる者、使用した器具を迷いなく洗浄する者、そして一列になって床を掃き清める者。
「次はどこをすべきか」「誰が足りていないか」を各自が周囲を見渡し、判断して動いています。
そこには、指示を待つ生徒の姿はありませんでした。
これは3年生としての「自覚」なのか、それとも担当者が積み重ねてきた「仕掛け」の成果なのか。
いずれにせよ、その淀みのない動きに、思わず感心していました。
私を含め2名の果樹担当者でも、ちょうど「新3年生は、自分で考えて動くようになったね」と話していたところでした。
食品担当者ともその話題になると、「本当に、成長が見られますよね」と、生徒たちの変化に深く頷き合いました。
もちろん、まだまだ改善の余地はあるかもしれません。
けれど、自分の役割を自ら見つけ、現場を動かしていくその逞しさ。
製造の核となる部分は見られず残念でしたが、もし間に合っていたら、私はこの「自ら考え、動く生徒たち」の静かな凄みに気づけなかったかもしれません。
工程が終わっていたからこそ出会えた、新3年生たちの頼もしい光景。
これからの農業科を背負って立つ彼らの飛躍に、確かな期待を寄せています。
明日、3月20日は二十四節気の「春分(しゅんぶん)」を迎えます。
太陽が真東から昇り、真西へと沈む日。
昼と夜の長さがちょうど半分ずつになり、明日を境に、私たちが見る世界は少しずつ「光の季節」へと傾いていきます。
私たち農業科の生徒が、栽培を学ぶ上で必ず出会う不思議な法則があります。
それは、植物たちが時計もカレンダーも持たずに、どうやって「今が咲く時だ」と知るのか、という謎。
その鍵を握るのが『光周性(こうしゅうせい)』です。
■ 植物たちの「こだわり」と、闇の魔法
植物には、それぞれ「このくらいの光の長さになったら花を咲かそう」という自分なりのルールがあります。
• 長日(ちょうじつ)植物
春から夏にかけて、日が長くなると「待ってました!」と花を咲かせるタイプ(ホウレンソウやレタスなど)。
• 短日(たんじつ)植物
逆に、日が短くなってくるのを感じて秋に準備を始めるタイプ(イチゴやキュウリなど)。
実は植物たちが測っているのは、光そのものではなく、光が途絶えた「連続した闇の長さ」です。
植物たちは、葉にあるセンサーで、一日のうちの「夜の時間」をじっと測っています。
春分という節目を過ぎ、闇が少しずつ短くなっていく……。
その微かな変化を感じ取り、「春が来た、今こそ芽吹く時だ」と、命のスイッチを入れるのです。
■ 幾万の夜を越え、新しい出逢いへ
果樹園の先にある「峰崎さくらの森」の大寒桜も、まさにこの闇の魔法を敏感に感じ取り、今、見事な淡紅色の花を広げています。
24年前、大松先生たちが植えられたあの苗木たち。
それから今日まで、巡り来る四季を二十四回。
三六五日の朝と夜を、幾千、幾万と積み重ねて、彼らはこの場所で静かに呼吸を続けてきました。
一晩たりとも休むことなく、凍えるような冬の闇さえもじっと数え上げ、光の訪れを信じて待つ。
その誠実な営みの果てに、今のこの美しい景観があります。
そして今、この桜たちは、もうすぐこの学び舎の門をくぐる新入生たちを迎えようと、その枝を精一杯に広げています。
■ 力を蓄え、躍動の春へ
明日の春分、農場は束の間の休息に入ります。
しかし、土の下でも、枝の先でも、植物たちの内なる時計は休むことなく時を刻み続けています。
私たちも、新しい仲間を迎える準備を整えながら、次なる農繁期への力を蓄えたいと思います。
皆さまもぜひ、足元に咲く小さな花が「どのくらいの闇を越えて、咲くスイッチを入れたのかな?」と思いを馳せてみてください。
「春分(しゅんぶん)」
闇の深さを数え、明日を待つ芦北高校より。
「自分の感覚だけで、5グラムを切り出せるか?」
甘い香りが立ち込めた食品製造の実習室。
今日の実習はクッキー製造です。
生地の計量から成型、焼き上げ、パッケージ詰めまで。
一連の工程の中でも、今日生徒たちが最も熱くなったのは、わずか「5グラム」という極小の世界との戦いでした。
実習中、私から生徒たちへ一つの挑戦を投げかけました。
「秤(はかり)を見ずに、目視だけで5グラムを測れるか?」
職人さながらの技術が問われるこの抜き打ちの挑戦に、私は二人の生徒に声をかけました。
一人目の生徒。
慎重に生地をちぎり、手のひらで転がします。
「これだ!」と自信を持って秤に載せた1回目は「7グラム」。
惜しい。
しかし、そこからの修正能力が光りました。
指先の感覚を研ぎ澄ませて挑んだ2回目。
表示された数値は、なんとピタリ「5グラム」!
実習室に小さな歓声が上がりました。
続いて二人目に声をかけます。
1回目、2回目と、結果は連続して7グラム。
「あと少しなのに!」という悔しさが表情に滲みます。
集中力を極限まで高めて迎えた3回目。
祈るように秤に置いた結果は……「6グラム」。
わずか1グラムの壁。
けれど、その「1グラム」の差にこだわり、一喜一憂する姿こそ、ものづくりに向き合う誠実さそのものでした。
たかが5グラム、されど5グラム。
普段は何気なく食べているクッキーも、こうして自分の手で均一に作り上げる難しさを知ることで、その一袋の重みが変わります。
成長のスピードや進み方は、一人ひとり異なります。
けれど、一歩ずつ技術を磨き、高い精度を追求しようとするその眼差しは、皆同じ「高み」を目指しています。
目指すは、機械よりも正確な「職人の目」と「魔法の手」。
ですが、何よりその指先に必要なのは、食べる人を想い、一グラムの差にこだわる「心」です。
焼き上がったクッキーの香ばしい匂いとともに、生徒たちの技術への探究心も、また一歩、美味しく焼き上がったようです。
「この葉の症状は、なんだと思う?」
温室に響く、東京農業大学・高畑健教授の鋭くも温かい問いかけ。
その瞬間、生徒たちの視線は、これまで見慣れていた「一葉」の奥にある「理由」へと引き込まれました。
本校が取り組む「ペピーノ」栽培。
その現場に立った教授の指導は、まさに発見の連続でした。
「この花は、蕾のときに振り落としてほしい」
なぜ、せっかく咲こうとする命を落とすのか。
その一言から、植物の生理、栄養の集中、そして「最高のひと果」を作るための勇気ある戦略が語られます。
生徒たちが日々土にまみれて感じていた「小さな気づき」が、学問という確かな裏付けによって、深い「知識」へとアップデートされていきました。
続く講義では、大学での学びやその先の広大な可能性についてお話しいただきました。
机に広げた大学のパンフレットを食い入るように見つめる生徒たち。
「今、目の前にある一株が、世界の農業課題に繋がっている」
そんなスケールの大きな視座が、生徒たちの進路への意識を静かに、けれど熱く塗り替えていきました。
講義が終わったあと、一人の生徒がポツリと、けれど晴れやかな顔で呟きました。
「マジで農大行こうかな」
その一言こそ、今日という日が彼らにとってどれほど刺激的だったかを物語っています。
栽培の「正解」を教わるだけでなく、情熱を持って研究するプロの姿に触れ、自分の未来を重ね合わせた瞬間。
芦北の温室は、間違いなく世界と、そして未来のキャンパスへと繋がっていました。
高畑教授、遠方よりお越しいただき、熱意あふれるご指導をありがとうございました。
「ペピーノ」が繋いでくれたこの特別な縁を糧に、生徒たちの夢もまた、鮮やかに色づき始めています。
農場に響き渡るエンジンの重低音と、鼻をくすぐる燃料の匂い。
目の前で巨大なトラクタが動き出すたび、生徒たちからは驚きと感心の声が上がります。
今日、2年農業科の生徒たちが向き合ったのは、泥にまみれ、汗を流して働くための力強い相棒——農業機械です。
JAあしきた様、株式会社やまびこ様、そして株式会社クボタ様をお招きし、農業機械講習会が開かれました。
農業高校生といえども、巨大な機械と向き合うのは勇気がいるものです。
しかし、ただ恐れるのではなく、正しく知り、正しい扱いを学ぶこと。
それが、自分と仲間の命を守る唯一の道です。
「農業機械は、安全が一番。一歩間違えれば命に関わる事故も起きる。
自分を守ること、そして周りを守ることが何より大切です」
JAあしきたの大園さんによる、現場の厳しさが滲む言葉から実習は始まりました。
続いて、株式会社やまびこの徳永さんより刈払機の正しい取り扱いについて。
そして、株式会社クボタの植田さんからはトラクタの取り扱いについてご指導いただきました。
特に大型のトラクタは、一瞬の油断が取り返しのつかない事故に直結します。
植田さんは、横転から身を守るための安全フレーム、体を固定するシートベルト、そしてヘルメット。
それら一つひとつの装備を正しく「扱う」ことが、なぜ命を繋ぐことになるのかを丁寧に説かれました。
ステップに足をかけ、高い運転席に座るその重みを、生徒たちは改めてその胸に刻んでいました。
講義が終わると、いよいよ実習へ。
刈払機では、作業前の点検項目や始動前のチェックポイント、安全な足の運び方を徹底して学びました。
トラクタの講習では、一人ずつ実際に運転席へ。
エンジンを始動させ、慎重にレバーを操作して前進・後退を繰り返します。
初めてトラクタを動かす生徒もおり、その視線の高さと、指先一つで巨体が動くパワーに、再び驚きの声が上がっていました。
「クラッチ」「PTO軸」「プライミングポンプ」「ストレーナー」
生徒たちにとってはまだ馴染みのない言葉ばかりかもしれません。
けれど、今はそれで大丈夫。
機械に対する「少しの恐れ」と、向き合うための「正しい知識」。
それさえあれば、自分を、そして仲間を守れます。
機械を正しく扱うことは、決して操作を覚えることだけではありません。
機械が発する小さな音や震えに意識を向け、レバーを握り、安全を確かめ、正しく動かす。
その一つひとつの所作に、相手(機械)と自分を思いやる心が宿ります。
「大切に扱えば、機械は必ず応えてくれる」
プロの言葉は、技術を超えて、プロとしての「敬愛」の教えのようにも響きます。
機械の取り扱いを学ぶことは、自分と仲間の命を預かる想像力を育むこと。
相棒の「声」を聴き、その力を正しく引き出す。
その実直な向き合い方の積み重ねが、安全を守り、確かな収穫へと繋がっていくのです。
勇気をもってトラクタに足をかけ、視点を高めることで学んだ、正しい取り扱いの極意。
この芦北の実習室で交わされたプロとの対話は、技術者として、そして一人の農業人として、大切な向き合い方を整える時間となりました。
最後になりましたが、熱心にご指導いただいた講師の皆様、そしてこのような貴重な学びの機会を支えてくださる芦北町総合支援事業に、心より感謝申し上げます。
「相棒の声に耳を傾けることもまた、農業なのだ」ということを学んだ一日でした。
今日は2年農業科によるミックスジャムの製造実習。
来週に開催される「デコポン祭」への出品に向けた、大切な準備です。
地域のみなさまと共に祭りを盛り上げたい、そんな思いで実習に励みます。
まずは全体説明を聞き、役割分担、器具の洗浄と手際よく実習を進める生徒たち。
工程の一つにクエン酸を加える実習があります。
担当職員から「色が変わるので注目」とのひとことが。
クエン酸を入れると、確かに鮮やかな色の変化が起こりました。
写真で見比べてみて、色の変化はわかりますか?
食品製造の実習には「化学の知識」が必要なのだと、改めて痛感する瞬間です。
その後は手分けをして瓶詰め実習へ。
瓶に詰め、内容量を微調整し、密閉。
担当者の厳しいチェックを経て完成です。
あとは後日、ラベルを貼ればいよいよ製品となります。
ですが、あまりの熱気と集中力のせいでしょうか。
ふと手元を見ると、瓶の口からジャムがあふれてしまう場面も。
ふり返れば、隣の生徒の帽子には、点々とジャムがはねた跡が残っていました。
そんなアクシデントも、一生懸命に実習に励んだ証です。
地域の方々に喜んでいただけるよう、生徒たちが知識と技術を詰め込んだこのミックスジャムは、来週の「デコポン祭」で販売します!
生徒たちの努力の結晶を、ぜひ会場で手に取ってみてください。
地域のみなさまとお会いできるのを、楽しみにしています!
ブログでの紹介がすっかり遅くなってしまいましたが、今、芦北高校では「町」と「企業」、そして「学校」ががっちり手を組んだ、大きなプロジェクトが進んでいます。
令和6年5月、芦北町、芦北高校、そして株式会社共立ソリューションズの3者は、「地域活性化に関する包括連携協定」を締結しました。
芦北の農業のミライを創るため、大きな一歩を踏み出したのです。
「不知火」プロジェクトの目標
この協定の大きな柱の一つが、芦北の名産「不知火」の研究です。
これまでの伝統的な育て方に加え、最新のテクノロジーを導入することで、
• 「高品質な不知火を、よりスマートに、より安定して育てること」
• 「気候変動や人手不足に負けない、持続可能な農業モデルをつくること」
これらを目標に掲げ、芦北高校がその「最先端の研究基地」となります。
その挑戦を現場でリードしてくれるのが、地域活性化企業人の石井裕美(いしい ひろみ)さん。
そして本日、ついに「不知火」の苗木の植え付け実習当日を迎えました。
今回の研究の舞台は、数年前の豪雨で被害を受け、ずっと使えなくなっていたビニールハウス。
多くの方々の協力を得て、最新の設備がそろった「驚きの研究室」へと生まれ変わりました。
実習が始まると、ハウス内は一気に活気に包まれました。
まずは、石井さんから、このハウスに備わった最新設備についての紹介がありました。
生徒たちは、これまでのハウスとは違う、自動で環境を整える「スマート農業」の仕組みに興味津々の様子です。
続いて、果樹担当から、「不知火」の苗木の扱い方や植え付けの正しい手順について説明がありました。
いよいよ植え付けのスタートです!
今回の実習では、生徒と芦北町の職員さんがペアを組み、一本ずつ丁寧に苗木を土へ据えていきました。
土に触れ、対話をしながら「ミライの研究」の土台を築いていく実習に、生徒たちの目もキラキラと輝いていました。
さらに、本日は教頭先生も実習に参加し、生徒たちと一緒に汗を流しました。
町、企業、学校。
みんなで力を合わせて、芦北のミライをつくる挑戦がいよいよ本格的にスタートです!
これから、芦北にはどんなミライが待っているのか、本当に楽しみです!
果樹園の空気も少しずつ和らいできましたが、実習棟の中は「まだまだこれから」という活気に溢れています。
視線を上げれば、積み重なったコンテナの中には、出番を待つ黄金色の「不知火」たちが、今か今かと山のように控えています。
一つひとつ丁寧に、リズミカルにポリ袋へ包んでいく生徒たちの手。
指先に全神経を集中させるこの実習の時間は、余計な力が抜けるからでしょうか。
不思議と、教室にいる時よりも心の距離が近くなります。
「先生、この間、妹の卒業式に行ってきたんですよ」
「中学校の校歌の歌詞、今でも覚えてる?」
「いやぁ、インフルの時の喉の痛み、まじできつかったっす……」
そんな日常の報告や、他愛もない思い出話。
さらには、進路の真剣な相談から「将来は韓国に住んでみたいんです!」という、海を越えた大きな夢まで。
実習の手を休めることなく、けれど表情は教室で見せるそれよりもずっと柔らかい。
一つの果実を慈しむように扱うその手つきは、自分たちの未来も同じように、大切に紡いでいこうとする意志の表れのようにも見えます。
実習は、単に技術を学ぶ場ではありません。
「不知火」を介して、生徒たちの内面にある豊かな彩りに触れる。
黄金色の果実に囲まれながら、彼らの夢も少しずつ、形を成していく。
普段、教室では見せることのない表情や、なかなか話せないことまで感じることができる。
そんな「対話の時間」こそが、私たち指導者にとっても、代えがたい実習の魅力です。
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