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芦高ブログ

鉛筆 「紅甘夏」 はじける果肉 涼を呼ぶ

 今日は湿気も少なく、カラッと過ごしやすい天候に恵まれました。

 絶好の実習日和のなか、食品製造室の扉を開けると、初夏の暑さを吹き飛ばすような、目が覚めるほど爽やかな香りが部屋いっぱいに広がります。

 本日、農業科2年生の「食品製造」の時間は、これからの季節にぴったりな「甘夏ゼリー」の製造実習です。

 

【本校の果樹園が育んだ「紅甘夏」を贅沢に】

 今回使用した原材料は、ただの甘夏ではありません。

 本校の果樹園で、生徒たちが愛情を込めて大切に栽培してきた「紅甘夏(べにあまなつ)」です。

 通常の甘夏よりも果皮の赤みが濃く、みずみずしい甘みと爽やかな酸味が詰まったこの大切な一玉を、自分たちの手で最高のスイーツへと仕上げていきます。

 実習が始まると、教室内は一気に職人の現場へと変わりました。

 まずはゴツゴツとした厚い皮を、生徒たちが一つひとつ丁寧にむいていきます。

 皮がはがれるたびに、部屋中にフレッシュな柑橘の香調が弾け飛びました。

 続いては、果汁を一滴も無駄にしないようギュッと力強く絞り出す作業。

 それと同時に、もう一方では一粒ずつのぷりっとした食感を残すために、薄皮から果肉を美しくむき出していきます。

 手際よく、かつ繊細に施される手仕事によって、黄金色の素材がどんどん集まっていきました。

 集まった果汁を火にかけ、温度を見極めながら慎重に加熱し、ゼリー液を作っていきます。

 そして今回の主役であり、最高のこだわりが「果肉もゴロッと」贅沢にカップへ忍ばせること。

 温かいゼリー液をそっと注ぎ込むと、透明感あふれる、目にも鮮やかで爽やかな色のゼリーが姿を現しました。

 あとは、冷蔵庫でしっかりと冷えれば完成です!

 自分たちが育てた農産物が、技術の手によって美味しい食品へと形を変える。

 そんな「ものづくり」の喜びと達成感を、生徒たちはキラキラとした表情で肌で感じていました。

 

【おまけの1コマ:昨日見上げた空に】

 最後に、ちょっと素敵なエピソードを。

 昨日の夜19時頃、一日の実習や実務を終えて「さあ帰宅しよう」とふと空を見上げると、そこには驚くほど大きくて綺麗な虹が架かっていました。

 夕暮れの空に静かに輝く虹のアーチを見つめていると、一日の疲れもすっと溶けていくようでした。

 このブログを読んでくださっている皆さまにも、なにか良いことが起こりますように。

芦高図書館

 【芦高図書館の何気ない日常の様子や読書活動の記録です。】

 梅雨の合間の晴れた日、図書館での様子。

 もうすぐ定期考査、勉強の息抜きに本を見にきたり友達と談笑する生徒たち。

 放課後はまた試験勉強に集中…!

 図書館の使い方が上手な生徒たちです。

鉛筆 戸惑いが 花と対話し 笑顔咲く

 せっかくの土曜日、心地よい休みの朝。

 そんな日にもかかわらず、農業科の教室には熱心に机に向かう生徒たちの姿がありました。

 

 先日6日(土)に行われたのは、農業科2年生による「フラワーアレンジメント講習会」

 休日であるにもかかわらず、7名もの熱意ある希望者が実習に参加してくれました。

 

【静けさと戸惑いから】

 今回は外部から専門の講師の先生をお招きし、本格的なアレンジメント作成に挑戦しました。

 まずは黒板の前で、先生によるデモンストレーションからスタート。

 普段の授業とはまた一味違うプロの技を前に、生徒たちの視線も自然と引き込まれていきます。

 

 しかし、いざ自分の机に戻り、目の前の真っ新なオアシス(吸水スポンジ)と大きな百合の花を前にすると、教室は一転して静まり返ります。

 「本当にここにハサミを入れていいのかな……」

 「どっちを向かせたら正解なんだろう」

 ハサミを持ったまま「どう動くべきか」と、隣の席の様子をそっと覗き見ながら、最初の一歩を探る生徒たち。

 そんな手探りの静けさから、実習は始まりました。

 

【先生の声掛けが導く、花との対話と広がる笑顔】

 そんな戸惑いの空気を変えたのは、講師の先生が一人ひとりの席を丁寧に回りながら掛けてくださる、温かく具体的なアドバイスでした。

 先生は生徒たちの手元にそっと寄り添いながら、大切なポイントを語りかけます。

 「花の顔が見えるように挿してごらん」

 「ここのスペースを埋めるようにしてみようか」

 「全体の線を意識しよう」

 それぞれの進み具合に合わせた的確な指導に背中を押され、生徒たちの表情がふっと和らぎます。

 ヒマワリの鮮やかな黄色、ユリの高貴な白、そしてバラの可憐なピンク――。

 ただ「飾られた植物」だった花々が、自分の手で向きを変え、ハサミを入れるたびに、まるで意思を持ったように生き生きと輝き始めます。

 「あ、この向きにすると、すごく綺麗に目が合う!」

 一本一本の「花の顔」と向き合い、対話を重ねるうちに、先ほどまでの緊張はどこかへ消え去り、教室には自然と柔らかな笑顔と充実した会話が広がり始めました。

 

【咲き誇る、7人7色の個性】

 最初は一本の茎を切るのにも緊張していた生徒たちでしたが、終盤には教室のあちこちから、達成感に満ち溢れたとびきりの笑顔がこぼれるようになりました。

 「最初はどうすればいいかわからなかったけど、完成したものは想像以上に上出来!」

 「難しく考えすぎないほうが良いかも知れない。」

 「でも、やっぱり表現するって難しい。」

 生徒たちの口から漏れた感想は、楽しさのなかにも、ものづくりの奥深さと真剣に向き合ったからこそ湧き出る、確かな手応えそのものでした。

 用意された花材はみんな全く同じものです。

 しかし、完成した作品はどれ一つとして同じものはありません。

 ダイナミックに線を強調したもの、花々をぎゅっと凝縮させて華やかさを演出したもの。

 まったく同じ花を使っても、生ける人の捉え方ひとつでこれほど表情が変わる――それこそがアレンジメントの面白さであり、先生のアドバイスを吸収しながら、それぞれの感性を爆発させた「7人7色」の見事な芸術が出揃いました。

 休日を返上して自らの技術と感性を磨き上げた2年生の挑戦者たち。

 最初は戸惑いながらも、今日、花と向き合って掴んだ「空間を見極める目」「美しさを構成する力」は、これからの農業の学び、精度高まる未来の様々な場面で、きっと大いに活きるはずです。

鉛筆 梅雨曇り リベンジ誓う 苗の伸び

 暦の上では明日、二十四節気の「芒種(ぼうしゅ)」を迎えます。

 昨日4日には九州北部地方の梅雨入りが発表され、本日の芦北は体にまとわりつくような、ずっしりとした湿気に包まれています。

 この重たい曇り空の下、農場では今月1日に1年生が「稲の播種(はしゅ)」を終えたばかりの苗が、梅雨の潤いを歓迎するようにしっとりと、瑞々しい青葉をのぞかせています。

 この小さな緑の命が目指すのは、来る6月25日の「田植え」です。

 実は昨年、現在の2年生たちが臨むはずだった田植えは、あいにくの天候不良により断念せざるを得ませんでした。

 先輩たちが味わった自然の厳しさと悔しさを胸に、今年かける農業科の想いはひとしおです。

 雨空を見上げながら、リベンジの田んぼへ向けて、今、着々と準備が進められています。

 

■ 挑む心、次なる学びの舞台へ

 農場が静かに湿気を吸い込む一方で、校内は今、いつもとは違う緊張感と静かな熱気に包まれています。

 来週6月11日からは、いよいよ第1回考査が始まります。

 これまでは農場での実習をはじめ、身体を動かす新しい学びに汗を流してきた生徒たちですが、ここからは「机の上」というもうひとつの大切な試練へと挑むことになります。

 独特の蒸し暑さのなか、放課後の教室や図書室では、互いに教え合いながら熱心にノートを広げる姿が見られるようになりました。

 実習で培われたあのタフさと集中力を、今度はペンと教科書に注ぎ込み、一歩も引くことなく自分自身の学びに実直に向き合っています。

 

■ 実りへの確かな一歩

 芒種の時期にまかれ、梅雨の濃い空気のなかで育つ種は、やがて大きな黄金色の穂へと育ちます。

 今、試験勉強という目の前の課題に向かって、じっと机に向かい努力を重ねている生徒たちの姿もまた、全く同じです。

 明日の芒種を前に、梅雨の湿気が万物を育むこの良き日に。

 自分の限界に挑戦し、確かな実りを結ぼうとしている芦北高校の生徒たちを、農業科一同、心からのエールとともに応援しています。

 

「芒種

 託した種と、ひたむきな学びが、梅雨の季節を経て大きな実りとなることを願って。芦北高校より。

鉛筆 食べて知り 違いを明日の 販売へ

 「全然違う! こっちめっちゃ酸っぱい!」

 「こっちは味が濃く感じない?」

 「私はAの方が好きかも」

 

 本日、2年農業科の総合実習の教室。

 机の上に並べられたのは、文字通り「見た目はそっくり」な2種類の「不知火(シラヌイ)」でした。

 しかし、それを口に含んだ瞬間、生徒たちの表情は一変します。

 飛び交うのは、戸惑いと興奮が入り混じった、リアルな五感の叫びでした。

 この日行われたのは、カンキツ類の品種・系統特性を理解するための「ブラインド・テイスティング(試食調査)」

 芦北高校農業科に入学したからには、ただ「美味しい」と食べるだけでなく、その繊細な違いまで完璧に見極められる人になってほしい。

 そんな願いが込められた、ちょっと意地悪で、最高にエキサイティングな実習の幕開けです。

 

「普通」という逃げ道のない、4段階の審判】

 用意された資料『品種食べ比べワークシート』に書かれたヒントは2つ。

 熊本生まれで酸抜けが早く、まろやかな味わいの「肥の豊」

 そして、じっくり貯蔵することで濃厚なコクとパンチのある酸味を引き出す王道系統「M16A」

 ・品種の違いブログはこちら:【 M16 知ればあなたも 目利きなり】

 

 手渡されたワークシートに並ぶのは、果肉の着色、内皮の薄さ、酸味のマイルドさといった評価項目。

 しかし、そこには「普通(どちらとも言えない)」という逃げ道は一切ありません。

 「なるべく極端に評価したほうがいいぞ。正解はないから、自分の感覚を信じろ」という先生の声が教室に響きます。

 

 ーーモグモグ……。

 ーーごくり。

 生徒たちは全神経を舌に集中させていきます。

 ただの「おやつとしての試食」なら笑顔で終わるはずの時間。

 しかし、栽培技術者としてのプライドが滲む生徒たちの横顔は、真剣そのものでした。

 

「同じに見えて、ぜんぜん違う!」感覚の迷路】

 一通り口に含んだあと、教室は静かな熱気に包まれました。

 生徒たちは言葉を止め、それぞれのワークシートをじっと見つめながら、自分の感覚を言葉と数値に置き換える「深い熟慮」の時間へと沈み込んでいきます。

 先ほどまでの口の中の様子をじっくりと思い出し、与えられた手がかりを一つずつ手繰り寄せる生徒たち。

 「さっきの余韻は、肥の豊のまろやかさなのか、それともM16Aのコクなのか」

 目の前のヒントと自分の記憶を何度も重ね合わせながら、自らの感覚を信じて、自分なりの答えをシートへと導き出していきます。

 これこそが、生きた農産物を相手にする面白さであり、奥深さです。

 迷う生徒たちに、先生が言葉を掛けます。

 

 「正解はどっちでも良いんだよ。

 当てること自体が大事なんじゃない。

 同じに見えるものに確かな『違い』があることを知って、自分がどっちを好むかを見極めること。

 その感覚を掴むことこそが大切なんだ」

 

 生徒たちの口から漏れた感想は、まさに自分自身の身体を通して、農業科学のリアルな1ページをめくった証拠でした。

 

 ・「どちらも違うけど同じくらいおいしくて、また今度たくさん食べたいと思った。」

 ・「味は全然違ったが、見た目の色や果肉の様子などの違いはほとんどわからなかった。」

 ・「違いがはっきりしていてわかりやすかった。販売のときに活かしたい。」


 

【その一口の記憶が、未来の「プロの目」を育てる】

 ドキドキの正解発表の瞬間にあがった歓声と悔しがるの声。

 その後の先生の講評。

 「不知火」は、樹の上や貯蔵庫の中で、時間が経ち「酸が抜ける」ごとに、その時期その時期によって味わいが変化していきます。

 その変化のスピードや味の引き締まり方が系統によって異なるからこそ、カンキツ栽培は奥が深く、面白いのです。

 自分たちが普段、実習園地で何気なく触れている「不知火」の一玉一玉に、どれほど緻密な生き物のドラマが詰まっているのかを、生徒たちは静かに聞き入っていました。

 この「系統の違い」を身体で覚えるチャンスも、果実が実るこの季節だけの、限られた貴重な瞬間です。

 一度の試食で、すべてを見通せるプロになれるわけではありません。

 しかし、今日生徒たちの心に植え付けられた「なぜこんなに味が違うのだろう?」という探究の種は、これからの収穫や貯蔵管理の実習で、必ず「見る目」を変える力になります。

 「美味しい」の先にある、自然の複雑さと、それをコントロールする人間の技術の凄みに感動すること。

 芦北高校農業科では、こうした五感をフルに使うリアルな学びを通して、未来の農業を支える確かな知恵を「創造」しています。

 実習が終わり、片付けられた教室には、かすかに甘酸っぱい「不知火」の残香が漂っていました。

 「違いのわかる技術者」への第一歩を踏み出した2年生。

 彼らが育てる次の実りが、今から楽しみです。

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