校長室からの風

週末は自宅で本を読もう!

   今日は金曜日、週末を迎えます。例年であれば、陽春の季節で、生徒の皆さんは部活動に汗を流したり、友達と出かけたりと行動的になるところですが、今年は違います。「不要不急の外出を控える」ことが社会的に求められています。新型コロナウイルス感染症が、燎原の火の如く広がり、わが国は緊急事態に陥っています。本校は4月8日から学校再開となりましたが、この週末までは部活動を自粛し、生徒たちにも外出を控えるよう呼びかけました。

 今、「Stay  at  Home!」(自宅で過ごそう)が世界中の共通語です。久しぶりに登校した2、3年生から話を聞くと、長期間を自宅中心で過ごし、「退屈です」、「オンラインゲームも飽きました」等の声が返ってきました。そのような生徒の皆さんに対し、読書を強く勧めます。

 「船高生の皆さん、週末は自宅で本を読もう!」。

 古(いにしえ)より、人々は紙の本に親しんできました。この伝統の力は強く、新しいメディア(媒体、手段)が次々に生まれてきても、人々に支持されてきた不易の営みなのです。テレビやネット動画の世界に比べ、本は文字中心の地味な世界に映りますが、より主体的な想像力が喚起されることになり、デジタル世代の皆さんにとって、紙の本の世界はかえって新鮮だと思います。オンラインゲームやネットの動画よりシンプルではありますが、読書する人だけがたどり着ける世界があるように私は思います。

 公立の図書館は閉鎖されていますが、御船高校の図書室は開館しています。本校の図書司書の先生に言わせれば、「最初はライトノベル(軽めの娯楽小説)から入ってOKです」とのことでした。本校の図書室は管理棟3階にあり、ちょっと不便な場所ですが、窓外の見晴らしは良く、静かです。生徒の皆さんが気軽に利用できる雰囲気です。昨年度、生徒の皆さんへの貸出数が微増し、私は喜んでいます。新型コロナウイルス感染拡大の渦中の今こそ、多くの生徒の皆さんにもっと読書の楽しさを体験してほしいと望みます。

 先日、図書室で様々な本を拾い読みしていた時、次の言葉に出会いました。

 「読書の習慣を身に付けるということは、人生のほとんどすべての苦しみから逃れる避難所を自分のためにつくるということだ。」(W・サマセット・モーム)

 自宅にいても、読書は、あなたをいろいろなところへ連れて行ってくれるでしょう。戸外は感染症のリスクがあります。自宅で読書することはまさに心の良薬になると思います。