2024年3月の記事一覧

令和5年度 熊本西高等学校 修了式「 講話 」

 皆さん、おはようございます。
 本日は3学期の終業の日であるとともに、令和5年度の1年間の締めくくりとなる修了の日でもあります。

 まず、高校1年生として、2年生として、自分自身の知識・技能、思考力・判断力・表現力等を、少しでも伸ばして、次の学年に進級できるように努力してきましたか。
 この1年間で、何ができるようになったか。何が、まだできていないのか。漫然と振り返るのではなく、具体的に振り返って、自分がどれだけ成長できたかを十分把握した上で、今後、次に自分がやるべきことを少しでも明確にして、進級への準備を整えてください。

 さて、今年も3月1日に卒業式を開催しました。皆さんの先輩達(218)名が、この学び舎、熊本西高校を巣立っていきました。
 今年の卒業生は、高校3年間のうち約2年間は、コロナ禍の影響を受け、それ以前には当たり前にできた教育活動が縮減されるなど変更を余儀なくされました。
 そのような状況においても、卒業した先輩たちは自分の目標を見失わず、いろいろなことを我慢しながら、目の前のやるべきことに一生懸命に取り組んだことと思います。
 その結果、進路実績についても、多くの卒業生が希望する大学等へ合格し、進路を実現しています。
 この先輩達の努力と結果が、皆さんにいくつかのことを示唆したことと思います。その一つとして、高い目標でも計画を立て、時間をかけて準備すれば達成することにつながっていくという「希望・勇気・意欲」などを与えてくれたことがあると思います。
 是非、先輩の姿から学ぶべきを学び、習うべきを習って、自分自身の今後に活かしてください。

 あと2週間ほどで、新入生が入学してきます。皆さんは、後輩たちに、高校生として「どんな道筋」を示してやることができますか。そして、西高の先輩として「どんな伝統のバトン」を渡してやることができるでしょうか。このようなことも考えながら春休みを過ごしてください。
 新年度・新学期から新2年生として、新3年生として、自分自身の今後のあり方・過ごし方を見据え、自覚と責任を持って西高生活をスタートできるようにしておいてください。

 さて、部活動については、先程紹介がありましたが、今月「全国高校選抜大会」が開催されます。各都道府県の代表校が、日本一を決める大会です。
 本校からは、「ウエイトリフティング部」、「なぎなた部」、「柔道部」が、熊本県の代表として出場しています。身近な西高生が全国の舞台で活躍していることを自分自身の諸活動において、よき励みとしてください。選手の健闘を、皆さんと共に祈りたいと思います。

 最後に、昨年の12月に、外部の方から連絡がありました内容を紹介します。
「私は、(熊本市)島崎に住んでいる療養中の者ですが、先週の木曜日の早朝、新幹線高架下の市営駐輪場に自転車を止めようとしておりましたが、バランスを崩し、自転車もろとも転んでしまいました。」
「自転車から転んで立ち上がれなくなっていたところ、自転車で登校中の西高の男子生徒さんが、すぐに気づき駆け寄って起こして助けてくださいました。」
「嫌がる素振りもなく、しっかりと助けてくださいました。寒くて薄暗い早朝、本当に有難いことでした。」
「お礼のしようもないのですが、貴校(西高)と生徒さん方への感謝の気持ちをお伝えしたく、お便りさせていた
だきました。」
 以上、いただいた内容の抜粋です。
本校の生徒が、困っている人に手助けをしたことを、とても感心するとともに、喜びと、そして、誇りを感じてやみません。
 このように、困っている人や周囲の人に寄り添い、手助けをすること、(手を差し伸べること、)また、他者を思いやる心を持つこと、さらに行動に移すことなど、大人の一歩手前にある高校生として、行動選択をできるようにしていきましょう。

 それでは、くれぐれも、心と体の健康と交通事故など事故防止に十分に留意しながら、春休みを過ごしてください。
 令和6年度の新学期4月8日に、高校3年生として、高校2年生として、志高くして「よしやるぞ」という気概を備えた皆さんと再開できることを期待して、終了式の「講話」といたします。

令和5年度 熊本西高等学校 卒業式「 校長式辞 」

 金峰山の峰々に春の息吹をほのかに感じる今日の佳き日に、御来賓として、熊本県議会議員「髙島和男(かずお)」様をはじめ、多くの皆様の御臨席を賜り、令和5年度熊本県立熊本西高等学校「卒業証書授与式」を挙行できますことは、卒業生はもとより、在校生・教職員一同にとりましても大きな喜びであり、深く御礼申し上げます。

 卒業生、218名の皆さん、卒業おめでとうございます。また、保護者の皆様、お子様の高等学校卒業、誠におめでとうございます。教職員一同、心からお祝い申し上げます。

 卒業生の皆さんは、校訓「清・明・和」のもと、日々の授業、西高の特色を生かした学校行事、部活動等に真摯に取り組み、自らを鍛え、仲間との絆を深め、この学び舎で3年間の精進を重ねて、晴れやかな卒業の日を迎えました。このことは皆さんの努力の賜物でありますが、昼夜を問わず温かく支えてくださった保護者の方々の深い愛情と御支援、さらに、これまで皆さんの成長に関わられた多くの方々のお陰であります。どうか、感謝の気持ちを忘れることなく、こらからの営みに励んでください。

 皆さんが、本校に入学して3年間、予測困難なことに直面しました。新型コロナウィルス感染症の感染拡大による教育活動の変化は、日常の学習活動に様々なことで大きな影響を及ぼしました。コロナ禍をはじめ、厳しい学習環境の中でも、皆さんは西高生として直向きに頑張り続けました。

 さて、皆さんがこれから進んでいく社会は、これまで人類が経験したことのないスピード感で変化しています。AIやビッグデータなどを活用した最新の情報通信技術(ICT)がさらに発展し、日常生活に深くかかわってくると予想されます。

 また、能登半島地震等の自然災害、ウクライナやガザ地区における戦争など、安心・安全な生活を損壊させる事態も生じています。

 そのような時代を切り拓いていく皆さんに、3つのことをお伝えします。

 第一が、「独立の気概を持て」ということです。人は自ら独立しようという気概を持つことが大切であると言われます。独立の気概がない者は、人に依存しがちになり、自分の足で一歩踏み出すことを躊躇することにもつながります。

 グローバル化とダイバーシティが進む社会において、課題を解決し、地域に貢献できる人材として、一人前の社会人となっていくには、まず、自分の力で独立していこうという気概を持つことが肝要です。

 第二が、「夢こそ力なり」ということです。夢は人の生業の原動力です。皆さんは、この三年間本校で夢を育み、夢に向かって励んできました。目標とする大学に合格することや、運動部、文化部で活躍すること、また、生徒会活動に力を注ぐことなど。

 これからさらに、新たな夢に向かって進んでいく皆さんに伝えたいことは、「あきらめない限り、夢は決して逃げていかない」ということです。夢を持ち続ける限り、チャンスは到来します。あきらめないで夢に向かい進み続けてください。

 第三が、「偉大なる平凡」ということです。ここぞという勝負の時に必要なのは、何か特別な取組みであったり、うまくお膳立てされたシステムであったりするのではなく、当たり前のことを当たり前に積み重ね実行することから身に付いた柔軟で強靭な底力です。

 「周りに責任転嫁したり、言い訳ばかりを探したりしていないか」と常に自分自身に問いかけながら、厳しい現実に直面しようとも前向きの姿勢を失わず、「偉大なる平凡」によって培われる底力で、前途を切り拓き、物事を成就させてください。

 皆さんが卒業後、それぞれの新天地において、自己実現を図る上で、以上三点を、いささかの参考にしていただきたいと思います。

 ここで、保護者の皆様に一言お祝いとお礼を申し上げます。本日はお子様が、めでたく卒業されましたことを心からお祝い申し上げます。この三年間、いろいろと御心労も多かったことと拝察いたします。それだけに今日という日を迎えられた皆様方のお喜びもひとしおであろうと存じます。

 お子様をお預かりして以来、私ども最善の努力をして教育実践に携わって参りましたが、まだまだ力が及ばない所もございました。これからはお子様自らが、それぞれの進路に応じ、前途を切り拓いてくれるものと信じております。

三年間、物心両面にわたり、多大な御高配を賜りましたことに対し、厚くお礼申し上げます。

 それでは、卒業生諸君、いよいよさらばです。青春の時を過ごした、母校となる熊本西高校での日々を、時折思い出しては懐かしんでください。

 皆さんの、これからの活躍を大いに期待するとともに、その前途に幸多かれと心から願い、式辞といたします。

 

 令和6年3月1日

      熊本県立熊本西高等学校 校長 平 江 公 一