令和5年度 熊本西高等学校 卒業式「 校長式辞 」

 金峰山の峰々に春の息吹をほのかに感じる今日の佳き日に、御来賓として、熊本県議会議員「髙島和男(かずお)」様をはじめ、多くの皆様の御臨席を賜り、令和5年度熊本県立熊本西高等学校「卒業証書授与式」を挙行できますことは、卒業生はもとより、在校生・教職員一同にとりましても大きな喜びであり、深く御礼申し上げます。

 卒業生、218名の皆さん、卒業おめでとうございます。また、保護者の皆様、お子様の高等学校卒業、誠におめでとうございます。教職員一同、心からお祝い申し上げます。

 卒業生の皆さんは、校訓「清・明・和」のもと、日々の授業、西高の特色を生かした学校行事、部活動等に真摯に取り組み、自らを鍛え、仲間との絆を深め、この学び舎で3年間の精進を重ねて、晴れやかな卒業の日を迎えました。このことは皆さんの努力の賜物でありますが、昼夜を問わず温かく支えてくださった保護者の方々の深い愛情と御支援、さらに、これまで皆さんの成長に関わられた多くの方々のお陰であります。どうか、感謝の気持ちを忘れることなく、こらからの営みに励んでください。

 皆さんが、本校に入学して3年間、予測困難なことに直面しました。新型コロナウィルス感染症の感染拡大による教育活動の変化は、日常の学習活動に様々なことで大きな影響を及ぼしました。コロナ禍をはじめ、厳しい学習環境の中でも、皆さんは西高生として直向きに頑張り続けました。

 さて、皆さんがこれから進んでいく社会は、これまで人類が経験したことのないスピード感で変化しています。AIやビッグデータなどを活用した最新の情報通信技術(ICT)がさらに発展し、日常生活に深くかかわってくると予想されます。

 また、能登半島地震等の自然災害、ウクライナやガザ地区における戦争など、安心・安全な生活を損壊させる事態も生じています。

 そのような時代を切り拓いていく皆さんに、3つのことをお伝えします。

 第一が、「独立の気概を持て」ということです。人は自ら独立しようという気概を持つことが大切であると言われます。独立の気概がない者は、人に依存しがちになり、自分の足で一歩踏み出すことを躊躇することにもつながります。

 グローバル化とダイバーシティが進む社会において、課題を解決し、地域に貢献できる人材として、一人前の社会人となっていくには、まず、自分の力で独立していこうという気概を持つことが肝要です。

 第二が、「夢こそ力なり」ということです。夢は人の生業の原動力です。皆さんは、この三年間本校で夢を育み、夢に向かって励んできました。目標とする大学に合格することや、運動部、文化部で活躍すること、また、生徒会活動に力を注ぐことなど。

 これからさらに、新たな夢に向かって進んでいく皆さんに伝えたいことは、「あきらめない限り、夢は決して逃げていかない」ということです。夢を持ち続ける限り、チャンスは到来します。あきらめないで夢に向かい進み続けてください。

 第三が、「偉大なる平凡」ということです。ここぞという勝負の時に必要なのは、何か特別な取組みであったり、うまくお膳立てされたシステムであったりするのではなく、当たり前のことを当たり前に積み重ね実行することから身に付いた柔軟で強靭な底力です。

 「周りに責任転嫁したり、言い訳ばかりを探したりしていないか」と常に自分自身に問いかけながら、厳しい現実に直面しようとも前向きの姿勢を失わず、「偉大なる平凡」によって培われる底力で、前途を切り拓き、物事を成就させてください。

 皆さんが卒業後、それぞれの新天地において、自己実現を図る上で、以上三点を、いささかの参考にしていただきたいと思います。

 ここで、保護者の皆様に一言お祝いとお礼を申し上げます。本日はお子様が、めでたく卒業されましたことを心からお祝い申し上げます。この三年間、いろいろと御心労も多かったことと拝察いたします。それだけに今日という日を迎えられた皆様方のお喜びもひとしおであろうと存じます。

 お子様をお預かりして以来、私ども最善の努力をして教育実践に携わって参りましたが、まだまだ力が及ばない所もございました。これからはお子様自らが、それぞれの進路に応じ、前途を切り拓いてくれるものと信じております。

三年間、物心両面にわたり、多大な御高配を賜りましたことに対し、厚くお礼申し上げます。

 それでは、卒業生諸君、いよいよさらばです。青春の時を過ごした、母校となる熊本西高校での日々を、時折思い出しては懐かしんでください。

 皆さんの、これからの活躍を大いに期待するとともに、その前途に幸多かれと心から願い、式辞といたします。

 

 令和6年3月1日

      熊本県立熊本西高等学校 校長 平 江 公 一