芦高ブログ

鉛筆 一針が 託すバトンに 走る夏

 昨日5月29日(金)、高校総体(熊本県高等学校陸上競技対校選手権大会)が開催されました。

 スタジアムを照らす太陽よりも熱い熱気に包まれた競技場。

 3年生の部員たちにとって、今回の大会はこれまでの汗と涙、長かった練習の日々、そして仲間と過ごした時間すべてをぶつける「集大成」の舞台です。

 

 ピストルの音が響く直前、スタートラインに立つ選手たちの横顔には、これまでにない引き締まった緊張感が漂っています。

 

【「悔いはない」 走り抜いたその表情に】

 いざレースが始まると、一歩一歩に3年間の想いを込めるように、選手たちはトラックを駆け抜けます。

 スタンドからの声援、これまでの苦しかった練習、怪我に悩まされた日々……。

 様々な想いが交錯する中、全員が限界を超えてゴールを駆け抜けました。

 走り終えた直後、息を切らしながらも、ある選手がポツリ。

 

「悔いのないように、全力で走りました」

 

 その言葉と共にこぼれた表情は、結果の成否を超えて、すべてを出し切った者だけが持つ、どこか晴れやかで充実感に満ちた最高の笑顔でした。

 スタジアムの真ん中で輝いたその一瞬のきらめきは、見守る私たちの胸を熱くさせるのに十分なものでした。

 

【2週間前から紡がれた、もう一つの「絆」】

 実は、今回の大会に挑む選手たちのバックパックには、心強いお守りが揺れています。

 それがこの、とても可愛い手作りのマスコットです。

 大会の2週間前、マネージャーたちが「選手たちに少しでもパワーを届けたい」と、一針一針、心を込めてコツコツと作り上げてくれたものです。

 そして、選手たちを支えていたのはマネージャーだけではありません。

 毎日朝早くからお弁当を準備し、汗に濡れた練習着を洗濯し、時には優しく、時には厳しく背中を押し続けてくださった保護者の皆様の存在があります。

 

「これまで頑張ってきたんだから、とにかく楽しんでおいで」

 

 そんな温かい家庭での送り出しがあったからこそ、選手たちはプレッシャーを跳ね除け、前だけを向いてスタートラインに立つことができます。

 スタジアムで闘うのは選手一人ひとりですが、心は決して一人ではありません。

 マネージャーの真心、数々の言葉で支えてくれた仲間、そして保護者の皆様のこれまでの大きな愛情という「目に見えないバトン」をその背中にしっかりと背負い、チームはまさに「一丸」となってこの大舞台に挑んでいます。

 

【戦いはまだ続く!次なる挑戦へ】

 高校総体はまだ始まったばかり。

 陸上競技部の熱い夏は、ここからさらに加速していきます。

 初日でひと区切りを迎え、次なる目標へ向かうメンバーの想いも一緒に受け継ぎ、チームの絆はさらに強くなっています。

 スタジアムで得た確かな手応えと悔しさを胸に、残る期間も私たちはそれぞれの種目で自らの限界に「挑戦」し続けます。

 ……さて、明日以降もまだまだ劇的なドラマや、選手たちの躍動の瞬間が続きます!

 大会2日目以降の模様もお届けする予定です。

 陸上競技部が次にどんな快走を見せてくれるのか、これからの投稿もどうぞお楽しみに!

 本日大会運営に関わってくださった皆様、そして日頃から一番近くで支え、応援してくださる保護者の皆様、本当にありがとうございました。

 本日も引き続き、熱い応援をよろしくお願いいたします!

鉛筆 一握り みみず太郎に 夢をのせ

 今年3月、本校と日本製紙株式会社がガッチリ手を組んだ「産学連携協定」。

 今回は、その日本製紙グループの株式会社豊徳様が、本校の果樹実習のためにと特別に送付してくださった高品質な特殊肥料「みみず太郎100」を使い、農業科2年生が土作りに挑戦した様子をお届けします!

 

・学校ブログはこちら:[日本製紙との産学協定について]

 

【問いから始まった驚きの授業】

 授業の冒頭、まずは生徒たちに謎のサラサラした粉末を配布。

 「これ、何だと思う?」と問いかけてみました。

 実際に触ってみた生徒たちからは、次々とリアルな声が飛び交います。

 

 「めっちゃサラサラ!」

 「なんも臭わんよ?」

 「土……? でも、火山灰じゃね!?」

 「なんかコーヒー粕っぽくない?」

 

 みんなであれこれ予想を膨らませたところで、「実はこれ、ミミズのフンなんだよ」と答えを明かすと、教室からはまさかの真実に「ええーっ!?」と大歓声が!

 女子生徒からは「触っちゃったぁ〜!」と、ちょっとした悲鳴もあがっていました(笑)。

 

【すごいぞ!「みみず太郎100」の秘密】

 ひとしきり盛り上がったあとは、授業担当からこの肥料のすごさについて詳しい説明がありました。

 この「みみず太郎100」は、シイタケを育て終わったあとの廃菌床に牛糞や米糠を混ぜて発酵させ、それをミミズに食べてもらい、その糞土を集めて作られた究極のリサイクル肥料なのです。

 この肥料のおかげで、

 ・土がふっかふかの「団粒構造」になる

 ・有機物たっぷりで、土のなかの微生物のエサが豊富になる

 という素晴らしい効果があることを学び、生徒たちも「触っちゃった」驚きから、一気に「これ、めちゃくちゃ凄い肥料なんだ!」とリスペクトの目に変わっていました。

 

【いざ果樹園地へ!紅甘夏と柚子に想いを込めて】

 仕組みを理解したら、さっそく果樹園地に移動して実習スタートです。

 今回は園地にある5本の紅甘夏(ベニアマナツ)と、10本の柚子(ユズ)の樹をターゲットに施用を行いました。

 プロの担当者の方から「紅甘夏1本につき6〜5kgがベスト」とアドバイスをいただき、今回の5月下旬(1回目)と、次回11月(2回目)の計2回に分けてじっくり施肥していく計画です。

 2年生は、先ほど五感で確かめた肥料を、樹のまわりへ丁寧に一握りずつ撒いていきました。

 生徒たちからは、

 ・「サラサラで全然堆肥っぽくなくて、めっちゃまきやすい!」

 ・「触り心地が良いけど、手にたくさんついて爪の中まで入っちゃいました(笑)」と、実際に泥臭く実習に励んだからこそのリアルな感想が。

「この肥料をたくさん吸って、甘夏たちに元気に育ってほしいな」と願いを込めながら、無事に1回目の施用を終えました。

 今後は、この「みみず太郎100」を施用した紅甘夏と、そうではない通常の樹との間で、葉の繁り方や実の付き方、そして糖度などにどんな変化や違いが現れるのかを、しっかりと継続して観察・比較していく予定です。

 

【オフショット:実習の合間のスマイル】

 実習の合間のひとコマにも、2年生らしい明るい笑顔があふれていました。

 なんと、わずかな休み時間を使って、みんなで四葉のクローバー探しがスタート。

 

 「そんな短時間で見つかるわけが……」と思いきや、

 「あった!見つかった!」とまさかの大発見(笑)。

 

 見つけるんかいっ!と突っ込みたくなるような強運を発揮していました。

 ふかふかの土作りは、さっそく幸せを運んできてくれたようです。

 

 

 また、施用実習を終えた男子生徒たちが仲良く一列に並んで休憩している様子も。

 ひたむきな実習と、こうした爽やかな笑顔のオン・オフの切り替えが、農業科2年生の素敵なところです。

 最先端の企業の技術と地域からの温かい応援を、教室でのワクワクする学びへと繋げ、それを「美味しい農産物」という形で地域へお返しする。

 芦北高校農業科では、こんな地域とのリアルな結びつきを大切にしながら、これからの食と環境を支える知恵を「創造」しています。

 特別にいただいた肥料の力を借りて、これから果樹たちがどんな変化を見せてくれるのか、今から観察の時間が待ちきれません。

 株式会社豊徳様、日本製紙株式会社の皆様、素敵な贈り物を本当にありがとうございました。

 生徒たちの夢と驚き、そして探究心をのせてスタートした新しい土作り、これからの果樹たちの成長をどうぞお楽しみに!

福祉科「動き出しは本人から」~プロと学ぶやさしい介護~

福祉科3年生の生徒たちは、6月から1ヶ月間、

地域の福祉・介護施設にて、介護実習を行います。

現場での実践力を高めるために、福祉・介護のプロの方々に学校に来ていただき

生活支援技術の授業を行いました。

北海道から、株式会社Start movementの大堀具視様、

そして、熊本県介護福祉士会(水俣芦北津奈木ブロック)の皆様

医療福祉考動塾PLUSONE様と、多くのプロの方々に見守られて授業を行いました。

利用者の方にとって、本当にやさしい介護…

それは、「利用者本人が動き出す」そのタイミングをしっかり待って、感じて

動きを支える技術です。

 

 

介護現場に勤務する2名の卒業生も、

自分の技術をさらに高めるために、授業に一緒に参加しました。

プロの方々に、現場で必要とされ、すぐに実践できる技術を習い

またひとつ、力をつけた3年生です。

鉛筆 朝のペン 放課後の声 夏を呼ぶ

 来月6月23日(火)・24日(水)の2日間にわたり開催される「令和8年度 第77回熊本県学校農業クラブ連盟年次大会」。

 今年度は私たち芦北高校が「担当校(開催校)」を務めるため、校内では着々と準備が進められています。

 本日は、この記念すべき地元開催の舞台に向けて地道な努力を重ねる、農業科3年の「2人のトップランナー」をご紹介します。

 

【朝:県連会長としての決意と、野菜での全国リベンジ】

 大会の公式ポスターを掲げるのは、熊本県学校農業クラブ連盟の「県連会長」を務める高野くんです。

 「県連会長として発表者の皆さんが発表しやすい環境を作れるように、芦北高校農業クラブ員一同頑張ります」と、頼もしい決意を語ってくれました。

 

 そんな彼は一人の競技者として、7月28日の「農業鑑定競技会(分野:野菜)」での全国出場を目指しています。

 昨年あと一歩で全国を逃した悔しさをバネに、現在は朝早くから自主登校して自習に励む日々。

 隣の席で「農業技術検定」の勉強に集中するクラスメートと互いに刺激し合いながら、「昨年の反省を活かして、今年は全国目指します」と、静かな教室でひたむきにペンを走らせています。

 

【放課後:未来へのビジョンを言葉に宿す学校代表】

 一方、日の傾きかけた放課後の教室でストップウォッチを握り締め、練習に励んでいるのが「意見発表会」で学校代表を勝ち取った内田くんです。

 日頃の学びから導き出した「スマート農業を導入した稲作・畜産の複合経営」という熱いビジョンを、7分間の限られた時間で伝えるため、一言一言の表現力を研ぎ澄ましています。

 体育大会では農業科の団長を務め、空手道部では未経験から全国の舞台に立った内田くん。

 持ち前の不屈の精神を原稿に込め、本番のステージを見据えて熱い声を響かせています。

 

 

 朝の光のなか、クラスメートと机を並べて知識を蓄える高野くん。

 放課後の教室で、自らの言葉と未来に向き合う内田くん。

 

 努力する時間や目指す舞台は違えども、同じ志を持った3年生の2人が、これからの日本の食と農を「創造」する担い手として、今、最高の輝きを放とうとしています。

 大会まであと1ヶ月。

 朝夕の努力を背に突き進む2人への温かい応援を、よろしくお願いいたします。

鉛筆 図と違う 生きた樹が書く 問題集

 「先生、これ本当に切って良いんですか?」

 「ホントにこれ……? もったいなくない?」

 「なんでこれ切るん?」

 本日5月26日(火)、3年農業科の「果樹」の実習園地。

 5月の爽やかな青空とは裏腹に、飛び交っていたのは生徒たちの戸惑いと驚きが入り混じったリアルな声でした。

 

 この日行われたのは、露地「不知火(シラヌイ)」の剪定実習。

 例年に比べると少し時期が遅れての実施となりましたが、最高学年となった生徒たちは、真剣な表情でノコギリを握り締め、樹木へと向かい合いました。

 

【チョークの印を追いかける、ノコギリの音】

 果樹栽培において、実の付き方や樹の寿命そのものを左右する最も重要な実習、それが「剪定(不要な枝を切り落とす実習)」です。

 今回の実習では、指導する実習教師がチョークを使い、切るべき太い枝に一本ずつ「印」を付けていきました。

 生徒たちの役割は、その印をめがけてノコギリを入れ、枝を落とすこと。

 ーーギコギコ、ギコギコ。

 ーーバサッ!

 

 切り方そのものは非常にシンプルで、迷う余地はありません。

 しかし、先生が迷いなく付けるチョークの印を見るたびに、生徒たちのノコギリを持つ手はどこか不思議そうで、実習は慎重に進んでいきます。

 「切る場所」を自分たちで選んでいるわけではないからこそ、一本切り落とすたびに「なぜここを落としたのだろう?」と、その断面を真剣に見つめる生徒たちの目が印象的でした。

 

【「さっきの樹とぜんぜん違う!」答え合わせは数年後】

 一本の樹の剪定を終え、隣の樹へと向かった生徒。

 しかし、次の樹の前に立った瞬間、ある重大な事実に気がつきます。

 目の前の枝ぶりをまじまじと見つめながら、ポツリ。

 

 「さっきの樹とぜんぜん違うじゃん!」

 

 これこそが、生きた自然を相手にする農業の難しく、見事な奥深さ。

 教科書のページを開けば、理想的な樹形が綺麗な図やイラストで描かれています。

 しかし、実際の園地にある「不知火」の樹は、一本として同じ形のものはありません。

 成長の歴史、日当たり、風の抜け方――目の前の樹々はまさに、教科書の図とは全く違う「生きた樹が書いた難解な問題集」そのものです。

 しかもこの問題集、普通の勉強とは違って、すぐに答え合わせをすることができません。

 今日落とした枝の判断が正しかったのか、本当の「答え」が出るのは、次の季節、あるいは数年後の実りの姿となって現れます。

 そんな簡単にはいかない時間軸のなかで「切る場所を選ぶ」というのは、先生が何年もかけて泥臭く培ってきた、文字通り職人技の領域なのです。

 

【限られたチャンスだからこそ、泥臭く「解き続ける」】

 この「剪定」の機会は、一年にたったの一回。

 高校生活の3年間をすべて合わせても、多くて3回しか訪れない、極めて貴重な瞬間です。

 当然、たった1回や2回、この実習をなぞっただけで、数年後に答えが出る難問を完璧に解き明かせるような世界ではありません。

 「一度でわかることではない」からこそ、生徒たちの頭の中に撒かれた「なぜ?」という探究の種が宝物になります。

 この限られたチャンスのなかで何度も樹に向き合い、泥臭くノコギリを動かし続けること。

 その一瞬一瞬の継続だけが、教科書を超えた本物の技術を育ててくれます。

 

 

 「なぜだろう?」と立ち止まり、生きた自然の複雑さと、時間とともに導き出される答えの重みに感動すること。

 芦北高校農業科では、こうした教科書には載っていないリアルな「問題集」に真っ向から挑むことで、生徒一人ひとりが未来を生きる知恵を「創造」しています。

 

 実習が終わる頃、生徒たちが落とした枝の隙間から、心地よい初夏の光が差し込んでいました。

 数年後の最高の答え合わせを目指して、3年生の挑戦はこれからも続いていきます。