Global Series Vol. 5:Ashikita Craftsmanship
[JP]
芦北高校農業科の活動を世界へ届けるシリーズ。
私たちが大切にしている活動の記録を厳選し、月に一度、英語版としてお届けします。
第5回は、5月20日の「2年生・食品製造実習(シュー・ア・ラ・クレーム)」の記録です。
[Global Series Vol. 4:Weeds, Buds, and a Farmer’s Dilemma はこちら]
[EN]
Sharing the passion of Ashikita Agricultural High School with the world. Once a month, we present an English edition of our specially selected stories. Vol. 5: Sophomore Food Processing Practice — Choux à la Crème (May 20th).
[Click here for Global Series Vol. 4:Weeds, Buds, and a Farmer’s Dilemma]
— Sophomore Food Processing Practice: Science and Senses in Pastry Making —
Today, the food processing lab for our second-year Agricultural Department students was filled with a sharper sense of tension than usual, alongside a sweet, aromatic fragrance. The challenge was making "Choux à la Crème" (cream puffs)—a classic pastry that requires advanced technique and intense concentration.
■ Observation with the Five Senses, Not Just Mixing
Whether making the custard cream filling or the choux pastry base, the most crucial point in both processes is that it is "not just mechanical mixing."
To prevent scorching and lumps while achieving a smooth texture, the students constantly focused on the feel at the bottom of their pots and bowls, carefully observing whether the overall color change was uniform.
Their eyes, as they lifted wooden spatulas to check the consistency, were those of true professional artisans.
■ The Challenge of Gelatinization
The Golden Rule for Rising. Furthermore, choux pastry comes with a strict, minimum requirement: the dough must rise beautifully and significantly. By bringing butter to a complete boil in a pot, adding flour all at once, and mixing rapidly, the heat triggers the starch molecules to bind—a process known as "gelatinization" (koka).
This is where the lab earned its name, "Food Processing." From the precise measurement of ingredients to the exact second the pot is removed from the heat, the optimal ratio for adding eggs while judging the dough's temperature, and the tactile sensation of thickness felt through the spatula to their fingertips—everything relies on logical conditions. If even one measurement or sensation is off, the pastry will never rise in the oven. Food processing is a highly delicate world of "chemistry" controlled by the five senses and scientific knowledge.
■ Beautiful Results and the Physics of Baking
For most groups, the pastry puffed up into a beautiful golden brown through the oven glass, resulting in wonderful choux shells.
Amid cheers of success, they piped in plenty of smooth custard, completing beautiful "Choux à la Crème" one after another.
However, out of the ten groups in the practical lesson, there was one group whose pastry just wouldn't rise properly.
The cause traced back to a slight variance in heat control during the dough-making process. While those around them succeeded, they fell short of the ideal shape, leaving a lingering sense of frustration. Yet, when it came time to taste—"It actually tastes delicious!"—smiles broke out at the quality of the flavor.
Following the lesson, students shared that their perspective on the cream puffs they casually see in convenience stores and supermarkets had completely changed. They felt firsthand the incredible craftsmanship and corporate effort behind products that always rise beautifully and uniformly.
The students did not just gain confidence from success; they analyzed the causes of failure, turning an everyday sight into a learning experience. It was a lesson that made us look forward to the further growth of these second-year students, who use their own hands and five senses to "create" new value and insights.
先週5月28日(木)、3年農業科の「食品製造」で製パン実習が行われた様子をお届けします。
「今日も実習棟からいい匂いがするぞ!またいつもの製パン実習かな?」
いえいえ、本日の3年農業科「食品製造」の主役は、前回のパン実習とはちょっと違います。
そう、今日のポイントはこの子たち。ツヤツヤの「あんこ」です!
先日の丸めるだけの「まるパン」実習とは違い、今回はワンランク上の成形技術に挑みます。和菓子のあんこを生地で「包む」という実習です。
・前回の「製パン実習」ブログはこちら:【慣れた手に 想いをのせて 笑顔売る】
【これぞ手仕事!「包む」成形への挑戦】
まずは、発酵した生地を麺棒を使って「こぶし大」の綺麗な円形にのばしていきます。
厚みが均一になるように広げたら、いよいよここからが本番。
生地のど真ん中に、丸いあんこをぽんと乗せます。
ただ包むだけに見えて、実はこれがとっても難しい!
あんこがはみ出さないように、生地の厚みが偏らないように包むには、絶妙な指先のコントロールが必要です。
「あれ?うまく閉じられないぞ……」というときは、たまには指導者の先生にマンツーマンでコツを教わりながら、全集中。
先生の鮮やかな手つきを真似しながら、みんな少しずつコツを掴み、最後はきれいにあんこを包み込むことができました。
【焼き上がり!そして「15個!?」】
2度目の発酵を終えたら、仕上げに表面に卵黄をていねいにぬっていきます。
オーブンに入れてじっくり焼き上げると……実習室に広がったのは、なんとも香ばしい甘い香り!
中から出てきたのは、表面がツヤツヤ、ピカピカに輝く、お店顔負けの完璧なあんパンたちです!
この最高の焼き上がりを待つ間、担当職員から生徒たちへ「自分で買いたい生徒は、名前と個数を言ってね〜」と声がかかりました。
すると、生徒たちが自ら大きな声を発して、次々と個数をコールし始めます。
「〇〇、3個!」
「△△、5個!」
教室が賑わうなかに、まさかの声が響き渡りました。
「★★、15個!!」
「15個!?」と思わず職員もびっくりして聞き返すと、聞けばご家族に食べてもらいたくて購入するとのこと。
自分たちが実習で製造したものが、大切な家族に「美味しいから食べて!」と持って帰りたくなる製品になっていること。
生徒自らが食べたくなる製品をつくれているという事実に、農業科職員として本当に嬉しさを感じた瞬間でした。
【いってらっしゃい校内販売へ】
焼き上がった最高のあんパンたちを素早く袋詰めして、「さあ、行ってらっしゃい!校内販売へ!」と、3年生の心のこもったあんパンたちが学校中へ旅立っていきました。
この日の学級日誌を覗くと、日直の生徒の欄に嬉しい言葉が残されていました。
「校内販売で先生方がとっても嬉しそうに買って下さったのが、とても嬉しかった」
自分たちの手で作り上げたものを、目の前の人が笑顔で受け取ってくれる。
その喜びは、生徒たちにとって何にも代えがたい自信になったようです。
……ちなみに。
中のあんこが偏っていないか、空洞ができていないか、しっかり「技術の確認(断面チェック)」をするために、半分に切ったあんパンを少しだけ味見させていただきました。
形が少しだけ基準に届かなかった、あくまで“売り物にならないやつ”ですからね!(笑)
普通の生活のなかで、「あんこがアツアツのあんパン」を食べられる機会なんて、そうそうありませんよね。
実習ならではの、できたてアツアツのあんパンは……もう、めっちゃ美味しかったです!!
ふっくら生地と温かい餡のバランスが最高でした。
前回学んだ製造の基礎から一歩進み、今回は「包む」という新しい成形技術に挑戦した3年生。
甘いあんこと一緒に、大切な家族や買ってくれる先生方への温かい気持ちまで、一粒一粒ていねいに包み込んだからこそ、あんなにピカピカで誰もが食べたくなる最高のあんパンになったのだと思います。
芦北高校農業科では、こうして日々の実習の中で、昨日より少し高い技術へと自ら「挑戦」し、新しい美味しさとたくさんの笑顔を「創造」しています。
次はどんな技術が登場するのか、これからの食品製造実習もどうぞお楽しみに!
高校総体は、いよいよ最終日・大会4日目を迎えました。
4日間にわたって部員たちの歓喜と悔し涙、そして容赦ない酷暑を受け止めてきたスタジアムも、どこか祭りの終わりを前にしたような、独特の熱気と静けさに包まれています。
芦北高校の今大会、最後の戦いの舞台は男子三段跳び。
そこに立ったのは、これが「初挑戦」となる2年生の男子生徒。
【未知なるピットへ、未来を占う『三歩』の挑戦】
彼が今回、未経験の三段跳びに出場することになったきっかけは、指導者である先生の鋭い眼差しでした。
「彼のストライド(歩幅)なら、三段跳び特有のリズムに綺麗に合うのではないか」
先生のその一言に背中を押され、新しい可能性を信じて未知のピットに立つことを決意しました。
競技開始前、彼は「緊張もあるけれど、それ以上に楽しみです!」と、ハツラツとした笑顔を見せてくれました。
ピットのスタートラインに立ち、深く息を吐き出す。
静まり返る直線の助走路をじっと見据えた次の瞬間、力強く地を蹴り出しました。
一歩、また一歩とスピードに乗るたび、その大きなストライドがスタジアムの風を切り裂いていきます。
最高速に達したその時、踏み切り板を力強く捉えました。
Hop, Step, Jump――。
初めて挑む三段跳びの複雑なリズム、そして大舞台のプレッシャーのなかで、身体全体を使って必死に前方へとステップを刻みます。
結果は、三段跳びの壁の厚さを知り、思うような跳躍には届かなかったかもしれません。
しかし、ピットから戻ってきた彼の表情は、驚くほど晴れやかで、次なる野心に満ちあふれていました。
「実際に跳んでみて、コツさえ掴めれば、もっともっと跳べそうな気がします!」
現状に臆することなく、早くも次の成長のイメージを描いている頼もしい姿。
先生が見抜いたその大きなストライドは、来年のチームを引っ張っていくための、未来への偉大な「最初の一歩(三歩)」となりました。
【焦がれる舞台、 そしてスタジアムの影のラストミーティング】
自分たちの出場競技がすべて終了した最終日の午後、部員たちはスタンドに身を寄せ合い、トラックで行われているマイルリレーの決勝を見つめていました。
決勝のトラックを凄まじいスピードで駆け抜けていくのは、他校の代表選手たち。
そして、スタンドでメガホンを強く握りしめ、割れんばかりの声を枯らしてスタジアムを揺らしているのもまた、他校の応援団の生徒たちでした。
会場全体が一つになって最高潮の盛り上がりを見せるなか、その熱狂の輪に、自分たちは入ることができていないという、突きつけられた現実。
押し寄せる静かな寂しさと、言いようのない悔しさが、スタンドの部員たちの間にじわりと広がっていきました。
しかし、その悔しさをじっと堪えながらトラックを食い入るように見つめる下級生たちの目には、新たな闘志が灯っていました。
「いつかは自分たちが、あの熱狂の中心に立ちたい」
この場所で味わったすべての感情を忘れないと誓うような、そんな心震える観戦となりました。
その後、スタジアムの外でのラストミーティング。
4日間の激闘、そしてこれまでの厳しい練習を闘い抜いた部員たちへ、先生から心からの慰労と、ひたむきな頑張りに対する感謝の言葉が贈られました。
同時に、大舞台を経験して一回り大きくなった下級生たちへの熱い鼓舞と、これで一つの区切りを迎える3年生のこれからの人生に向けた、最高の応援エール。
先生の言葉をじっと聞き入る部員たちの表情には、悔しさを越えた先にある、やりきった充実感が満ちていました。
【4日間の感謝を込めて。芦北高校陸上競技部、完結】
泣いても笑っても、これで私たちの高校総体はすべて終了しました。
振り返れば、この4日間は「終わりと始まり」が目まぐるしく交錯する時間でした。
3年生が笑顔と涙で結実させた集大成のバトンは、現状に満足せず牙を研ぐ2年生へ、数々の驚きを吸収して芽吹こうとする1年生へと、今、確かに引き継がれました。
明日からは、新チームとしての新しい日常が始まります。先輩たちが命を吹き込んでくれたこのバトンを大切に握りしめ、私たちはまた、それぞれの自己ベストに向かって泥臭く走っていきます。
最後になりますが、この4日間、倒れそうなほどの猛暑のなかで大会を運営してくださった役員の皆様、審判員の皆様、本当にありがとうございました。
何より、連日朝早くからお弁当を準備し、一番近くから熱いエールを送り続けてくださった保護者の皆様。
皆様の支えがあったからこそ、最後まで誰一人諦めずに戦い抜くことができました。
心より、深く感謝申し上げます。
ミーティングを終え、いよいよスタジアムを後にする生徒たちの後ろ姿。
そのバックパックには、この過酷な夏を共に乗り越えた証である、お揃いのマスコットチャームが優しく揺れていました。
これからも芦北高校陸上競技部は、全員で前を向き、一歩ずつ進んでまいります。
4日間の温かいご声援、本当にありがとうございました!
この夏を共に駆けた、かけがえのない絆を胸に。
私たちは今、それぞれの新しい明日へと歩き出します。
さあ、部員全員、それぞれのスタートラインへ。
次のステージへ 「On your marks!」
高校総体は大会3日目を迎えました。
会場のスタジアムは見上げるほどの雲一つない快晴。
時折吹き抜ける風が心地よく頬を伝いますが、一歩日向に出ればじっとりと汗ばみ、強い日差しが露出した肌を容赦なく焼きつけます。
陽を浴び続けたスタンドの座席は熱々に熱せられ、そのままでは座れないほど。
そんな文字通りの「酷暑」のなか、スタジアムは連日以上の熱気に包まれています。
この過酷な舞台の上で、同じ芦北高校のユニフォームをまといながらも、それぞれの学年が全く異なる「想い」の現在地を走っていました。
歴史を紡いできた先輩から、未来を繋ぐ後輩へ。
この場所で、確かな「終わり」と「始まり」、そして「次への決意」が、みずみずしく交錯していました。
【3つの学年、それぞれの現在地】
数えきれないほどの厳しい練習を乗り越え、競技人生の集大成としてこの総体に挑んだ3年生。
女子800メートルに出場した3年生の女子生徒は、レース後に晴れやかな充実感を滲ませて語ってくれました。
「練習では200メートルのインターバルを何度も繰り返してきました。そのおかげで、本番ではしっかりとスピードを出すことができました。最後に、心から楽しく走れました!」
苦しかった日々の記憶が、裏切らない強さとなって自分の身体に宿っている。
その確信があったからこそ、すべてを出し切った彼女の快走は、これまでに培った努力のすべてを結晶化させたかのように、眩しく、そして華やかでした。
そんな先輩の背中を追いかけ、最も貪欲に自らの課題と向き合っているのが2年生です。
女子200メートルに出場した2年生の女子生徒。
レースを終えた彼女の言葉には、現状に甘んじることのない強い意志が込められていました。
「昨日よりは良かったです。でも、まだまだ満足する内容ではありません」
昨日の自分より確実に前へ進んだ手応えを感じつつも、見つめているのはもっと高いステージ。
「これで終わりではない、もっと強くなれるはずだ」という滲み出るような悔しさは、来年のチームを引っ張っていく頼もしい強さとなって、その眼差しに宿っています。
その一方で、まぶしいほどに瑞々しい光を放っているのが、今回が初めての総体となる1年生たちです。
男子走り幅跳びに出場した1年生の男子生徒は、先輩たちの驚異的な跳躍を目の当たりにし、新鮮な驚きを言葉にしてくれました。
「周りの選手たちが、めっちゃ跳ぶな……!と思いました。先輩たちとの間には、経験に本当に大きな差があるんだなと身に染みて感じました」
「実力の差」「経験の差」を肌で知ることは、時にちょっぴり悔しく、圧倒される経験かもしれません。
しかし、それは裏を返せば、これから彼が手にする伸びしろそのものです。
驚きをエネルギーに変えて突き進む姿は、まるで今まさに花開こうとする「芽吹きのつぼみ」のように、圧倒的な生命力に満ちて輝いていました。
【背中を押す、フィールドの上の「もう一つの眼差し」】
そんな1年生が挑んだ走り幅跳びのピットには、もう一つの温かいドラマがありました。
本校の指導者の一人は、走り幅跳びの専門家です。
この日は大会の競技運営役員として、遮るもののない炎天下のなか、真剣な表情で記録の計測にあたっていました。
じっと座っているだけでも汗が噴き出すような過酷な環境下で、大会の厳正な運営に全力を注ぎながらも、先生の目は、大舞台に緊張しながら挑む教え子の姿を決して見逃しません。
助走から踏み切り、 そして砂場へ――。
1年生の選手が全力を尽くした跳躍を終え、砂場から起き上がってふとピットを振り返った、まさにその瞬間でした。
運営のポジションから遠く離れた場所で、先生が温かい笑顔でたたえてくれていたのです。
「今の跳躍、思い切りよくて良かったぞ!次もいける!」
言葉は交わせなくても、跳び終えた直後の張り詰めた心のなかに、先生の表情と手振りに込められた想いがダイレクトに届きました。
専門家としての確かな信頼と、教え子を一番近くで見守り、次へと導く温かい眼差し。
このタイミングだからこそ、孤独に戦う選手にとって、どれほど心強い支えになったことでしょう。
【下級生の目に焼き付いた、偉大な3年生の背中】
夕暮れが近づくスタジアムで、この日、さらに誰もが胸を熱くする光景がありました。
400メートル×4リレーでは、3年生から1年生へ、一本のバトンが直接手から手へと手渡されました。
ただの道具ではない、3年間の汗と想い、芦高の伝統そのものが、確かに次の世代へと託された瞬間でした。
さらに、過酷を極める5000メートルでは、3年生の先輩が自らの限界のその先を削り出すようにしてトラックを走り抜き、ゴールラインへ倒れ込むようにフィニッシュしていきました。
前を走る先輩の、大きく、そして必死に もがく背中。
すべてを出し切って崩れ落ちる誇り高き姿。
その圧倒的な背中は、見つめる下級生たちの目に、一体どんな風に映っていたのでしょうか。
「いつか、自分もあの背中のようになりたい」
言葉にせずとも、彼らがスタジアムに残した魂の走りは、後輩たちの心に強烈な憧れと決意を植え付けていました。
【いよいよ明日が最終日!最後まで応援お願いします】
すべてを出し切り、「やりきった、楽しかった」と笑う3年生の誇り高き「終わり」。
手応えと悔しさを胸に、「もっと上へ」と牙を研ぐ2年生の「決意」。
世界の広さを知り、「もっと強くなりたい」と未来を見据える1年生の瑞々しい「始まり」。
そして、それをフィールドの真ん中から温かく見守り、支え続ける指導者の情熱。
陸上競技部という一つの大きなつながりの中で、たくさんの感情が美しく交わった3日目が幕を閉じます。
泣いても笑っても、大会は明日がいよいよ「最終日」です。
これまで紡いできたチームの想い、支えてくださった方々の応援、そのすべてをバトンに込めて、最後の1秒、最後の1歩まで、私たちはスタジアムを全力で駆け抜けます。
皆様、どうか陸上競技部の最後の挑戦に、熱いエールをよろしくお願いいたします。
高校総体、大会2日目。
スタジアムは初日以上の熱気に包まれています。
陸上競技場のスタートラインに横一列に並び、引き締まった空気のなか、静かに白線に手をつく。
ふと見上げると、真っすぐに伸びるレーンの向こう、ゴールは100メートル先。
その時、生徒たちの心の中には、一体どんな景色が見えているのでしょうか。
【張り詰めた静寂と、約10秒間のドラマ】
「いつも通り、いつも通り……」と、これまでの苦しい練習を信じて自分に言い聞かせているのか。
あるいは、「私はできる!」と、心の中で強くおまじないのように唱えているのか。
まわりの歓声が消え去ったかのような静寂のなか、緊張を胸にゴールを見据えるその眼差しは鋭く、そして同時に、大舞台特有のほんの少しの「不安」を映し出しているようでもありました。
しかし、その不安さえも力に変えるように、ピストルの音と共に力強く大地を蹴り出します。
100メートル、時間にすれば、わずか約10秒。
スタート前の息が詰まるような静寂、走っているときの風を切り裂くような疾走感、そしてゴール後に押し寄せる圧倒的な達成感や悔しさ。
その一瞬一瞬に、生徒たちはこれまでにない濃密な感覚を体中ではっきりと受け止めていました。
【スタンドに見つけた、この上ないエネルギー】
そんな極限のプレッシャーのなかでも、ふとした瞬間に張り詰めた糸が優しくほどける瞬間があります。
レース直前、緊張のあまり、そっと胸に手を当てて深呼吸をする生徒。
その視線が観客席へと向いた次の瞬間、スタンドの中に大好きなお母さんの姿を見つけました。
さっきまでの鋭く不安げな表情から一転、パッと咲いたようなあどけない笑顔がこぼれます。
「大丈夫、見てるよ」
言葉は届かなくても、ただそこにいてくれるだけで、張り詰めていた心がすっと軽くなる。
生徒にとって、これ以上ない最高のお守りであり、最高の応援がそこにはありました。
【何よりの回復、愛情たっぷりのお弁当】
全ての力を出し切り、ゴールを駆け抜けたあとの楽しみは、やっぱりこれです。
ご家族が作ってくれたお弁当のフタ、そこには「おつかれ」の文字が優しく添えられていました。
走りきった身体と、戦い抜いた心に、これ以上のサプリメントはありません。
一口食べるごとに、じんわりと元気が満ちていく。
何よりの回復薬となったお弁当を胸に、生徒たちは再び明日へのエネルギーを蓄えていました。
【すべてが、私を創る糧になる】
スタート前の極限の緊張、走っているときの躍動、ゴール後に込み上げるすべての感情。
日常では決して味わえないこの強烈な体験と、そこで感じた特別な感覚の一つひとつが、高校総体という大きな舞台だからこそ得られる宝物です。
ここで自分自身と向き合い、壁を乗り越えようとした経験は、これからの彼らの大きな「成長」へと間違いなくつながっていくはずです。
明日もスタジアムでの挑戦は続きます。
一瞬の景色にすべての想いを懸けて駆ける陸上競技部へ、明日も温かい声援をよろしくお願いいたします!
昨日5月29日(金)、高校総体(熊本県高等学校陸上競技対校選手権大会)が開催されました。
スタジアムを照らす太陽よりも熱い熱気に包まれた競技場。
3年生の部員たちにとって、今回の大会はこれまでの汗と涙、長かった練習の日々、そして仲間と過ごした時間すべてをぶつける「集大成」の舞台です。
ピストルの音が響く直前、スタートラインに立つ選手たちの横顔には、これまでにない引き締まった緊張感が漂っています。
【「悔いはない」 走り抜いたその表情に】
いざレースが始まると、一歩一歩に3年間の想いを込めるように、選手たちはトラックを駆け抜けます。
スタンドからの声援、これまでの苦しかった練習、怪我に悩まされた日々……。
様々な想いが交錯する中、全員が限界を超えてゴールを駆け抜けました。
走り終えた直後、息を切らしながらも、ある選手がポツリ。
「悔いのないように、全力で走りました」
その言葉と共にこぼれた表情は、結果の成否を超えて、すべてを出し切った者だけが持つ、どこか晴れやかで充実感に満ちた最高の笑顔でした。
スタジアムの真ん中で輝いたその一瞬のきらめきは、見守る私たちの胸を熱くさせるのに十分なものでした。
【2週間前から紡がれた、もう一つの「絆」】
実は、今回の大会に挑む選手たちのバックパックには、心強いお守りが揺れています。
それがこの、とても可愛い手作りのマスコットです。
大会の2週間前、マネージャーたちが「選手たちに少しでもパワーを届けたい」と、一針一針、心を込めてコツコツと作り上げてくれたものです。
そして、選手たちを支えていたのはマネージャーだけではありません。
毎日朝早くからお弁当を準備し、汗に濡れた練習着を洗濯し、時には優しく、時には厳しく背中を押し続けてくださった保護者の皆様の存在があります。
「これまで頑張ってきたんだから、とにかく楽しんでおいで」
そんな温かい家庭での送り出しがあったからこそ、選手たちはプレッシャーを跳ね除け、前だけを向いてスタートラインに立つことができます。
スタジアムで闘うのは選手一人ひとりですが、心は決して一人ではありません。
マネージャーの真心、数々の言葉で支えてくれた仲間、そして保護者の皆様のこれまでの大きな愛情という「目に見えないバトン」をその背中にしっかりと背負い、チームはまさに「一丸」となってこの大舞台に挑んでいます。
【戦いはまだ続く!次なる挑戦へ】
高校総体はまだ始まったばかり。
陸上競技部の熱い夏は、ここからさらに加速していきます。
初日でひと区切りを迎え、次なる目標へ向かうメンバーの想いも一緒に受け継ぎ、チームの絆はさらに強くなっています。
スタジアムで得た確かな手応えと悔しさを胸に、残る期間も私たちはそれぞれの種目で自らの限界に「挑戦」し続けます。
……さて、明日以降もまだまだ劇的なドラマや、選手たちの躍動の瞬間が続きます!
大会2日目以降の模様もお届けする予定です。
陸上競技部が次にどんな快走を見せてくれるのか、これからの投稿もどうぞお楽しみに!
本日大会運営に関わってくださった皆様、そして日頃から一番近くで支え、応援してくださる保護者の皆様、本当にありがとうございました。
本日も引き続き、熱い応援をよろしくお願いいたします!
今年3月、本校と日本製紙株式会社がガッチリ手を組んだ「産学連携協定」。
今回は、その日本製紙グループの株式会社豊徳様が、本校の果樹実習のためにと特別に送付してくださった高品質な特殊肥料「みみず太郎100」を使い、農業科2年生が土作りに挑戦した様子をお届けします!
・学校ブログはこちら:[日本製紙との産学協定について]
【問いから始まった驚きの授業】
授業の冒頭、まずは生徒たちに謎のサラサラした粉末を配布。
「これ、何だと思う?」と問いかけてみました。
実際に触ってみた生徒たちからは、次々とリアルな声が飛び交います。
「めっちゃサラサラ!」
「なんも臭わんよ?」
「土……? でも、火山灰じゃね!?」
「なんかコーヒー粕っぽくない?」
みんなであれこれ予想を膨らませたところで、「実はこれ、ミミズのフンなんだよ」と答えを明かすと、教室からはまさかの真実に「ええーっ!?」と大歓声が!
女子生徒からは「触っちゃったぁ〜!」と、ちょっとした悲鳴もあがっていました(笑)。
【すごいぞ!「みみず太郎100」の秘密】
ひとしきり盛り上がったあとは、授業担当からこの肥料のすごさについて詳しい説明がありました。
この「みみず太郎100」は、シイタケを育て終わったあとの廃菌床に牛糞や米糠を混ぜて発酵させ、それをミミズに食べてもらい、その糞土を集めて作られた究極のリサイクル肥料なのです。
この肥料のおかげで、
・土がふっかふかの「団粒構造」になる
・有機物たっぷりで、土のなかの微生物のエサが豊富になる
という素晴らしい効果があることを学び、生徒たちも「触っちゃった」驚きから、一気に「これ、めちゃくちゃ凄い肥料なんだ!」とリスペクトの目に変わっていました。
【いざ果樹園地へ!紅甘夏と柚子に想いを込めて】
仕組みを理解したら、さっそく果樹園地に移動して実習スタートです。
今回は園地にある5本の紅甘夏(ベニアマナツ)と、10本の柚子(ユズ)の樹をターゲットに施用を行いました。
プロの担当者の方から「紅甘夏1本につき6〜5kgがベスト」とアドバイスをいただき、今回の5月下旬(1回目)と、次回11月(2回目)の計2回に分けてじっくり施肥していく計画です。
2年生は、先ほど五感で確かめた肥料を、樹のまわりへ丁寧に一握りずつ撒いていきました。
生徒たちからは、
・「サラサラで全然堆肥っぽくなくて、めっちゃまきやすい!」
・「触り心地が良いけど、手にたくさんついて爪の中まで入っちゃいました(笑)」と、実際に泥臭く実習に励んだからこそのリアルな感想が。
「この肥料をたくさん吸って、甘夏たちに元気に育ってほしいな」と願いを込めながら、無事に1回目の施用を終えました。
今後は、この「みみず太郎100」を施用した紅甘夏と、そうではない通常の樹との間で、葉の繁り方や実の付き方、そして糖度などにどんな変化や違いが現れるのかを、しっかりと継続して観察・比較していく予定です。
【オフショット:実習の合間のスマイル】
実習の合間のひとコマにも、2年生らしい明るい笑顔があふれていました。
なんと、わずかな休み時間を使って、みんなで四葉のクローバー探しがスタート。
「そんな短時間で見つかるわけが……」と思いきや、
「あった!見つかった!」とまさかの大発見(笑)。
見つけるんかいっ!と突っ込みたくなるような強運を発揮していました。
ふかふかの土作りは、さっそく幸せを運んできてくれたようです。
また、施用実習を終えた男子生徒たちが仲良く一列に並んで休憩している様子も。
ひたむきな実習と、こうした爽やかな笑顔のオン・オフの切り替えが、農業科2年生の素敵なところです。
最先端の企業の技術と地域からの温かい応援を、教室でのワクワクする学びへと繋げ、それを「美味しい農産物」という形で地域へお返しする。
芦北高校農業科では、こんな地域とのリアルな結びつきを大切にしながら、これからの食と環境を支える知恵を「創造」しています。
特別にいただいた肥料の力を借りて、これから果樹たちがどんな変化を見せてくれるのか、今から観察の時間が待ちきれません。
株式会社豊徳様、日本製紙株式会社の皆様、素敵な贈り物を本当にありがとうございました。
生徒たちの夢と驚き、そして探究心をのせてスタートした新しい土作り、これからの果樹たちの成長をどうぞお楽しみに!
福祉科3年生の生徒たちは、6月から1ヶ月間、
地域の福祉・介護施設にて、介護実習を行います。
現場での実践力を高めるために、福祉・介護のプロの方々に学校に来ていただき
生活支援技術の授業を行いました。
北海道から、株式会社Start movementの大堀具視様、
そして、熊本県介護福祉士会(水俣芦北津奈木ブロック)の皆様
医療福祉考動塾PLUSONE様と、多くのプロの方々に見守られて授業を行いました。
利用者の方にとって、本当にやさしい介護…
それは、「利用者本人が動き出す」そのタイミングをしっかり待って、感じて
動きを支える技術です。
介護現場に勤務する2名の卒業生も、
自分の技術をさらに高めるために、授業に一緒に参加しました。
プロの方々に、現場で必要とされ、すぐに実践できる技術を習い
またひとつ、力をつけた3年生です。
来月6月23日(火)・24日(水)の2日間にわたり開催される「令和8年度 第77回熊本県学校農業クラブ連盟年次大会」。
今年度は私たち芦北高校が「担当校(開催校)」を務めるため、校内では着々と準備が進められています。
本日は、この記念すべき地元開催の舞台に向けて地道な努力を重ねる、農業科3年の「2人のトップランナー」をご紹介します。
【朝:県連会長としての決意と、野菜での全国リベンジ】
大会の公式ポスターを掲げるのは、熊本県学校農業クラブ連盟の「県連会長」を務める高野くんです。
「県連会長として発表者の皆さんが発表しやすい環境を作れるように、芦北高校農業クラブ員一同頑張ります」と、頼もしい決意を語ってくれました。
そんな彼は一人の競技者として、7月28日の「農業鑑定競技会(分野:野菜)」での全国出場を目指しています。
昨年あと一歩で全国を逃した悔しさをバネに、現在は朝早くから自主登校して自習に励む日々。
隣の席で「農業技術検定」の勉強に集中するクラスメートと互いに刺激し合いながら、「昨年の反省を活かして、今年は全国目指します」と、静かな教室でひたむきにペンを走らせています。
【放課後:未来へのビジョンを言葉に宿す学校代表】
一方、日の傾きかけた放課後の教室でストップウォッチを握り締め、練習に励んでいるのが「意見発表会」で学校代表を勝ち取った内田くんです。
日頃の学びから導き出した「スマート農業を導入した稲作・畜産の複合経営」という熱いビジョンを、7分間の限られた時間で伝えるため、一言一言の表現力を研ぎ澄ましています。
体育大会では農業科の団長を務め、空手道部では未経験から全国の舞台に立った内田くん。
持ち前の不屈の精神を原稿に込め、本番のステージを見据えて熱い声を響かせています。
朝の光のなか、クラスメートと机を並べて知識を蓄える高野くん。
放課後の教室で、自らの言葉と未来に向き合う内田くん。
努力する時間や目指す舞台は違えども、同じ志を持った3年生の2人が、これからの日本の食と農を「創造」する担い手として、今、最高の輝きを放とうとしています。
大会まであと1ヶ月。
朝夕の努力を背に突き進む2人への温かい応援を、よろしくお願いいたします。
「先生、これ本当に切って良いんですか?」
「ホントにこれ……? もったいなくない?」
「なんでこれ切るん?」
本日5月26日(火)、3年農業科の「果樹」の実習園地。
5月の爽やかな青空とは裏腹に、飛び交っていたのは生徒たちの戸惑いと驚きが入り混じったリアルな声でした。
この日行われたのは、露地「不知火(シラヌイ)」の剪定実習。
例年に比べると少し時期が遅れての実施となりましたが、最高学年となった生徒たちは、真剣な表情でノコギリを握り締め、樹木へと向かい合いました。
【チョークの印を追いかける、ノコギリの音】
果樹栽培において、実の付き方や樹の寿命そのものを左右する最も重要な実習、それが「剪定(不要な枝を切り落とす実習)」です。
今回の実習では、指導する実習教師がチョークを使い、切るべき太い枝に一本ずつ「印」を付けていきました。
生徒たちの役割は、その印をめがけてノコギリを入れ、枝を落とすこと。
ーーギコギコ、ギコギコ。
ーーバサッ!
切り方そのものは非常にシンプルで、迷う余地はありません。
しかし、先生が迷いなく付けるチョークの印を見るたびに、生徒たちのノコギリを持つ手はどこか不思議そうで、実習は慎重に進んでいきます。
「切る場所」を自分たちで選んでいるわけではないからこそ、一本切り落とすたびに「なぜここを落としたのだろう?」と、その断面を真剣に見つめる生徒たちの目が印象的でした。
【「さっきの樹とぜんぜん違う!」答え合わせは数年後】
一本の樹の剪定を終え、隣の樹へと向かった生徒。
しかし、次の樹の前に立った瞬間、ある重大な事実に気がつきます。
目の前の枝ぶりをまじまじと見つめながら、ポツリ。
「さっきの樹とぜんぜん違うじゃん!」
これこそが、生きた自然を相手にする農業の難しく、見事な奥深さ。
教科書のページを開けば、理想的な樹形が綺麗な図やイラストで描かれています。
しかし、実際の園地にある「不知火」の樹は、一本として同じ形のものはありません。
成長の歴史、日当たり、風の抜け方――目の前の樹々はまさに、教科書の図とは全く違う「生きた樹が書いた難解な問題集」そのものです。
しかもこの問題集、普通の勉強とは違って、すぐに答え合わせをすることができません。
今日落とした枝の判断が正しかったのか、本当の「答え」が出るのは、次の季節、あるいは数年後の実りの姿となって現れます。
そんな簡単にはいかない時間軸のなかで「切る場所を選ぶ」というのは、先生が何年もかけて泥臭く培ってきた、文字通り職人技の領域なのです。
【限られたチャンスだからこそ、泥臭く「解き続ける」】
この「剪定」の機会は、一年にたったの一回。
高校生活の3年間をすべて合わせても、多くて3回しか訪れない、極めて貴重な瞬間です。
当然、たった1回や2回、この実習をなぞっただけで、数年後に答えが出る難問を完璧に解き明かせるような世界ではありません。
「一度でわかることではない」からこそ、生徒たちの頭の中に撒かれた「なぜ?」という探究の種が宝物になります。
この限られたチャンスのなかで何度も樹に向き合い、泥臭くノコギリを動かし続けること。
その一瞬一瞬の継続だけが、教科書を超えた本物の技術を育ててくれます。
「なぜだろう?」と立ち止まり、生きた自然の複雑さと、時間とともに導き出される答えの重みに感動すること。
芦北高校農業科では、こうした教科書には載っていないリアルな「問題集」に真っ向から挑むことで、生徒一人ひとりが未来を生きる知恵を「創造」しています。
実習が終わる頃、生徒たちが落とした枝の隙間から、心地よい初夏の光が差し込んでいました。
数年後の最高の答え合わせを目指して、3年生の挑戦はこれからも続いていきます。
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