〜 地域の現状を知り、志に触れる。就農教育講演会を開催 〜
2月17日(火)、農業科2年生18名を対象に「就農教育講演会」を開催しました。
地域の農業の未来を担う生徒たちにとって、現場の最前線で活躍する方々の知恵と情熱に触れる、極めて濃密な時間となりました。
■ 芦北農業の「いま」と、支える仕組みを知る
講演会の冒頭では、県芦北農業普及振興課の皆様より、芦北町における農業や担い手の現状について詳しく説明をいただきました。
特に、JAあしきたが取り組んでいる「リリーフ園」(農作業の負担を軽減し、持続可能な農業を支える仕組み)の紹介では、地域が一丸となって農業を守ろうとする体制について学び、自分たちが学ぶ農業が地域にいかに根差しているかを再認識しました。
■ なぜ、私は農業を選んだのか――若手農家の「志」
続いて、地元の若手農業経営者グループ「芦北4Hクラブ」より、林田様、田中様、菊池様の3名が登壇。
お一人ずつ、「農業を志した理由や背景」について講話をいただきました。
一度は別の道に進みながらも家業を継ぐ決意をしたエピソードや、自然と共に生きる道を選んだ背景など、それぞれの物語には「苦労」を上回る「農業への誇り」が溢れていました。
生徒たちは、自分たちの少し先を歩む先輩方の言葉に、真剣な眼差しで聞き入っていました。
■ 現場のプロと語り合う、農業のイメージと可能性
後半のグループワークでは、生徒たちの率直な「農業へのイメージ」をテーマに語り合いました。
といった問いに対し、講師の皆様はご自身の経験を交えながら、一つひとつ丁寧に応えてくださいました。
対話を通じて、生徒たちの中にある「大変そう」という漠然としたイメージが、「工夫次第でいくらでも面白くなる仕事」というポジティブなものへと変化していく様子が印象的でした。
■ 「学び」を「職業」として捉える一歩に
今回の講演会は、日頃の実習や座学での学びを、将来の具体的な「職業」として捉えるための非常に良い機会となりました。
地域の専門家や現役農家の皆様から贈られた「現場の熱」を肌で感じたことで、生徒たちは、自分たちが磨いている技術が地域の未来を支える仕事へと直結していることを、改めて実感したはずです。
普及振興課ならびに芦北4Hクラブの皆様、誠にありがとうございました!
〜 学科の垣根を越え、学校の総力を結集して交流会へ 〜
来週2月24日(火)、農業科2年草花専攻の生徒たちは、地域との大切な交流行事「フラワーアレンジメント交流会(五松園デイサービス)」に臨みます。
この本番を前に、本日6時間目、生徒たちはいつもの実習棟を離れ、福祉科の教室を訪ねました。
目的は、福祉の専門家から「高齢者の方々に寄り添う技術と心」を直接学ぶこと。
芦北高校の専門性を結集し、学校全体の力を最大化して地域に届けるための特別な挑戦です。
■ 「さすが福祉科!」温かな空気から始まった学び
授業は班ごとの学習形式で行われました。
まず驚いたのは、自己紹介の場面です。
一人が話し終えるたびに、福祉科の教室には自然と温かな拍手が沸き起こります。
「相手を認め、受け入れる」という姿勢が、福祉科では当たり前の文化として根付いています。
その空気感に触れただけで、農業科の生徒たちにとっては、他学科の専門性を肌で知る貴重な学びとなりました。
■ 実践的なロールプレイで学ぶ「寄り添う技術」
授業では、福祉科の先生と生徒によるロールプレイが披露されました。
具体的な場面を想定した指導を目の当たりにし、生徒たちはメモを取りながら、交流会当日の自分の動きをイメージしていました。
■ 技術の先にある、最も大切な「尊重の念」
麻痺への配慮や目線の合わせ方など、教わった技術はどれも即戦力になるものばかりです。
しかし、その授業を見守る中で強く感じたのは、「技術以上に大切なのは、コミュニケーションを図ろうとする気持ちや、相手を尊重する心である」ということです。
農業科の生徒にとっても、福祉科が普段どれほど深く「人」と向き合っているかを知る良い機会となり、同時に、自分たちが育てた花を届けるための「真のホスピタリティ」を学ぶ、極めて実践的な時間となりました。
■ チーム「芦北高校」で、いざ本番へ!
農業科の「花」と、福祉科の「心」。
学科の枠を越えて互いに高め合える環境こそ、本校の誇りです。
本日授かった「専門家からのバトン」を胸に、来週の本番では五松園の皆様に最高の笑顔と彩りをお届けしてきます!
事前学習は、明後日18日(水)も続きます。
「チーム芦高」の総力戦、どうぞご期待ください!
2月16日に熊本大学教育学部の田口様と崇城大学総合教育センターの西本様による木育講座が行われました
なぜ「木を使う」ことがカーボンニュートラルにつながるの?
「木を伐ったらマイナスじゃないの?」と思うかもしれません。でも、ここがポイントです!
成長期が一番吸う: 若い木は、成長するためにぐんぐんCO2を吸い込みます。
成長期が終わった木は休憩: 成長が止まった老齢樹は、吸収量も落ち着いてしまいます。
バトンタッチ: 古い木を伐って「街の第2の森林(家具など)」として使い、その跡地に新しい苗木を植える。
この一連の流れがとても大切なんです
田口先生が教材として持ってこられた品々のなかには生徒たちの興味をそそるものがたくさんあり、説明を受けると生徒たちから驚きの声が上がっていました
話だけでなくいろいろな道具を使って実際に体験してみることで新たな発見や気づきがありました
日本人の多くが感じている木に対するプラスのイメージをより多くの人たちに伝えられるような活動をしていくのも私たちの役割だと思います
木材の魅力に改めて気づくことのできた楽しい2時間でした
田口先生、西本先生本当にありがとうございました。
── 相棒図鑑 其の二 「鋏(はさみ)一族」 ──
シリーズ第二回は、私たちの指先の延長ともいえる、最も鋭利な相棒たちをご紹介します。
農場の冬は、剪定(せんてい)、収穫の季節。
静まり返った果樹園にはカチリ、カチリと、彼らが冷たい空気を切り裂く音が響き渡ります。
一口に「ハサミ」と言っても、その役割は驚くほど細分化されています。
しかし、彼らに共通しているのは「鋭利な刃を持つ一族」であるということ。
ひとたび扱いを誤れば、容赦なく牙を剥き、使い手にケガを負わせます。
「一族を怒らせてはいけない」——。
生徒たちが最初に教わるのは、道具への敬意と、正しい距離感。
すなわち、一族の「掟(おきて)」です。
その鋭さを常に維持し、正しく使いこなすことこそが、農場を預かる私たちの誇りでもあります。
■ 剪定鋏(せんていばさみ) 「一太刀に、翌年の実りを託す『剛の者』」
太い枝も一刀両断にする、一族の力持ち。
このハサミがどこを断つかで、来年の実りが決まります。
握った時のずっしりとした重みは、命の選別を託された責任の重さです。
■ 採果鋏・採収鋏(さいかばさみ・さいしゅうばさみ) 「果実を慈しみ、軸のみを射抜く『指先の魔術師』」
刃先が細く、反り上がった独特の形。
果実を傷つけず、軸だけを確実に捉えるための知恵です。
収穫の喜びを一番近くで支える、最も繊細な仕事人です。
■ 高枝鋏(たかえだばさみ) 「青空へ手を伸ばし、光の旋律を整える『天空の指揮者』」
人の手が届かない高い場所。
青空を背景にスッと伸びて、光の道を整えます。
地上から操る生徒との、呼吸の合った連携が必要です。
■ 充電式剪定鋏 「静寂の中に、一瞬の閃光を秘めた『新鋭の刺客』」
指先のわずかな動きで、硬い枝を吸い込まれるように切り落とす新世代。
その利便性の裏側には、これまでのハサミ以上に「掟」を守る緊張感が漂っています。
■ 事務のハサミ 「教室と農場を繋ぎ、現場の日常を支える『万能の影武者』」
肥料袋の開封から、「不知火」の重い果実を支える「玉吊り紐」のカットまで。
教室と農場の境界を越えてマルチに活躍する、身近な協力者です。
冬の寒さでかじかむ指先も、彼らを握り、カチリと音が響けば、不思議と心が引き締まります。
鉄の冷たさ、バネの跳ね返り、枝を断つ瞬間の衝撃。
生徒たちはハサミを通じて、樹と対話し、自分自身の集中力を研ぎ澄ませていきます。
次の春、美しい花が咲き誇るその日まで、一族と共に挑む真剣勝負は続きます。
「その一太刀(ひとたち)が、未来の果実を形作る。ハサミを磨くことは、磨く人の心も磨きます。」
2月7日(土)、熊本市花畑広場。
吹き抜ける寒風を熱気で塗り替えた、最高の一戦が幕を閉じました。
『第5回 くまもとジビエ甲子園』
芦北高校ナインは持てる力をすべて出し切り、見事「3位入賞」を果たしました!
■ 木村知事のサプライズ激励!
激闘の最中、マウンド(テント)には嬉しい訪問者が。
なんと熊本県の木村知事が激励に訪れてくださいました!
知事からの温かい言葉を受け、生徒たちの表情もパッと明るく。
芦北のジビエが持つ魅力を、直接力強くお伝えすることができた、誇らしい瞬間でした。
■ 硬い舗装の上に刻んだ、熱い足跡
結果は堂々の3位!
……ですが、やはりそこは勝負の舞台に一年間の情熱を注いできた芦高メンバー。
もしここが本物の甲子園球場なら、きっと涙とともに「会場の土」を瓶に詰めていたことでしょう。
あいにく足元は硬い舗装。
土こそ持ち帰れませんでしたが、この場所で全力投球した時間と、少しの悔しさは、彼らにとって何よりの宝物になりました。
この想いは、きっと後輩たちが来年、さらに磨き上げた一杯とともに受け継いでくれるはずです。
■ 3年生が繋いだ「一年間の研究」の集大成
今回、何より胸を熱くさせたのは、卒業を目前に控えた3年生たちの姿です。
本来なら家庭学習期間。
しかし、彼らはバット(調理器具)を置きませんでした。
この日のために積み重ねてきた「一年間の研究の取り組み」。
試行錯誤を繰り返したレシピはもちろん、「自分たちの想いを一目で伝えたい」と生徒自身が作成した、魂のこもったポップもその研究の成果の一つです。
その探究の成果を形にするため、自主的に動く彼らの背中は、まさにチームを牽引する頼もしい先輩そのものでした。
■ 食品製造担当として感じた、純粋な「志」
「一人でも多くの人に、ジビエの魅力を知ってほしい」
忙しい調理の手を休めることなく、一人ひとりのお客様へ真っ直ぐに向き合う生徒たち。
食品製造を担当するものとして、彼らの技術の向上はもちろんですが、何よりこの「純粋な思い」が見れたことが、言葉にできないほど嬉しかったです。
彼らはこの舞台で、「食の尊さ」と「届ける喜び」を、笑顔のフルスイングで証明してくれました。
■ 終わりに
3年生はこの後、それぞれの「次のマウンド」へと進みます。
このジビエ甲子園で流した汗と、人工芝の前で誓った悔しさ、そして一年間向き合ってきた研究への誇りがあれば、これからの長い道のりもきっと自分らしく歩んでいける。
私たちはそう確信しています。
ゲームセット! 芦北高校、堂々の3位!
最高の応援を、本当にありがとうございました!!
農業科の記事に続き林業科の記事になります
明日のジビエ甲子園に向けて仕込みを3年生で行いました
今年も鹿肉コロッケを販売します
生徒が愛情込めて作ったコロッケぜひご賞味ください
〜 芦高ジビエナイン、運命のプレイボール 〜
ついに明日2月7日(土)、決戦のサイレンが鳴り響きます!
本校の精鋭たちが乗り込むのは、熊本市花畑広場。
『くまもとジビエ甲子園』の開幕です!
本校は今回で「5年連続、5回目の出場」。
これまでに「2度の優勝実績」を誇る、まさにジビエ界の常連校にして強豪校です(笑)。
今年も、芦高旋風を巻き起こす準備は整いました。
■ チームを勝利へ導く最強の武器「鹿肉汁なし担々麺」
今大会、私たちが自信を持って送り出すのは、妥協なき試作から生まれたこの一杯です。
主役の鹿肉は、噛むほどに野性味あふれる濃い旨味が溢れ出し、それでいて驚くほど柔らかい最高の食感に仕上げました。
ベースとなるのは、じっくり炊き出した濃厚な鶏ガラスープ。
そこに香味野菜のパンチと、芳醇なゴマの香りが重なり、深いコクを生み出します。
仕上げに散らしたナッツのカリッとした食感がアクセントとなり、一口食べれば最後、箸が止まらない「魔惑の一杯」です。
……ああ、この芳醇な香りと痺れるような旨味を、今はまだ画面越しにしか伝えられないのが本当に悔しい!
皆さんの目の前で、この出来立ての湯気を今すぐお届けしたいくらいです。
■ プロからの「愛のある千本ノック」の日々
ここまでの道のりは、決して平坦ではありませんでした。
試作の段階では、プロのシェフから「もっと高みを目指せるはずだ」という、厳しくも愛のある一言をいただく場面もありました。
まさに、愛情たっぷりの「千本ノック」。
その言葉を胸に、ミリ単位で調味料を調整し、試作に明け暮れた生徒たちの目つきは、今や甲子園の土を踏む直前の「球児」そのものです。
先日はRKKラジオという「大舞台」でマイクを握り、全県へ向けて熱い想いを届けてきました!
気合はすでに「バックスクリーン越えの場外ホームラン」です。
■ エース農業科、林業科との共演!
明日は、本校の「エース」である農業科のメンバーに加え、林業科という「鉄壁の守備陣」も共に戦列に加わります。
科の垣根を越え、芦北の豊かな山々が育んだ命の恵みを、最高の形でお届けする。
一生懸命に汗を流し、泥臭く高みを目指す芦高生の全力プレーを、ぜひその目で確かめてください!
【試合(イベント)詳細】
プレイボール:2月7日(土) 10:30~16:00
球場(場所):花畑広場(熊本市中央区)
内容:高校生によるオリジナルジビエ料理の全力販売
詳しくはこちら(ジビエ博内に詳細があります)
公式情報:くまもとジビエ料理フェア2026及び関連イベント
⚠️重要なお知らせ
芦北高校の参加は【2月7日(土)のみ】です!
数量限定の販売となります。 売り切れ必至ですので、ぜひお早めのご来場をお願いします!
皆さんの「美味しい!」という声援が、生徒たちにとって最高の励みになります。
明日はぜひ、花畑広場へ。
画面越しではない「本物の感動」を、ぜひその舌で体感してください!
芦北高校農業科 「品種名鑑」 #01
新企画をスタートします。
私たちが日々実習で向き合っている、個性豊かな農作物たちを紹介する「品種名鑑」です。
果樹・野菜・草花……本校が誇る命のカタログを綴っていきます。
記念すべき第一号は、やはりこの品種。
「不知火(しらぬい)」です。
※本日使用の写真は1月14日のブログで紹介したプロのカメラマンの方々に撮影していただいたものを使用しています。
■地元の海の名を冠して
実はこの名前、熊本県の宇土半島(宇城市不知火町)で最初に栽培が広まったことに由来しています。
校門を出ればすぐそこに広がる、穏やかな不知火海(八代海)。
その潮風とともに育つこの果実に、地元の海の名前が冠されたことを、私たちは誇らしく感じています。
■「デコポン」と「あしポン」
皆さんがよく耳にする「デコポン」という名前。
実は「デコポン」とは品種の名前ではなく、この「不知火」という品種が一定の糖度と酸度の基準をクリアし、指定のルート(JA)を通じて流通する際にのみ使用できる「商標名(ブランド名)」です。
ですので、私たちがハウスで育てている「樹」や「葉」、そして実っている「果実」のことは、正しくは「デコポン」ではなく、「不知火」と呼びます。
本校の生産品はJAを通じて出荷するものではないため、たとえ基準をクリアしていても「デコポン」という名前で呼ぶことはありません。
その代わりに、私たちは親しみを込めて、芦北高校の「不知火」を「あしポン」と呼んでいます。
■名前よりも、中身。
ブランド名としての「デコポン」は名乗れずとも、中身へのこだわりは負けていません。
教科書にある「清見」と「中野ポンカン」の交配種という知識以上に、実際に触れて感じる「不知火」の力強さや、ハウス栽培ならではの管理の難しさを、私たちは日々学んでいます。
現在、果樹専攻生たちは、一つひとつ丁寧にこの「不知火」と向き合っています。
ブランドという名前の枠を超えて、この果実の本質を学ぶ。
それもまた、農業高校ならではの「品種名鑑」の醍醐味です。
品種名鑑、これから少しずつ更新していきます。
「名前以上に大切なのは、その中身。あしポンの甘みの奥には、生徒たちの誠実な努力が詰まっています」
■次回予告
次回は、この「不知火」の系統である「肥(ひ)の豊(ゆたか)」、そしてメカニックな名前を持つ「M16A」について詳しく紹介します。
お楽しみに!
2月1日より3年生が家庭学習日に入りました。
彼らが毎日汗を流していた実習地や教室には、少し寂しい静けさが漂っています。
そんな中、本日暦は二十四節気の始まりである「立春」を迎えました。
ふと足元に目を向ければ、凍てついていた土の表情が心なしか緩み、ハウスの傍らには寒さに耐えながら出番を待つ小さな蕾が、わずかに膨らみ始めています。
厳しい冬の奥底で、生命が春に向けて一歩を踏み出す、そんな微かな胎動が聞こえる季節です。
■ 「立春」という暦の豆知識
二十四節気において、立春は一年のスタート地点です。
かつて旧暦では、立春を一年の始まりとし、立春の前日である「節分」は大晦日のような位置づけでした。
そのため、立春は「立春正月(りっしゅんしょうがつ)」とも呼ばれ、新しい一年の無病息災を願う特別な日とされてきました。
農業の世界でも、立春はカレンダーの「元日」のような役割を果たします。
例えば、種まきの目安となる「八十八夜」や、台風を警戒する厄日として知られる「二百十日(にひゃくとおか)」などは、すべてこの立春を起点として数えられます。
まさに、実りの秋に向けたすべてのスケジュールの「起点」となる日なのです。
■ 「白」に込める清めの習わし
そんな立春には「白いものを食べると縁起が良い」という習わしがあるのをご存知でしょうか。
中でも有名なのが「立春大吉豆腐」です。
豆腐の「白」は邪気を払い身を清める色とされ、さらに原料の大豆には「魔(ま)を滅(め)する=魔滅(まめ)」という、災いを払う意味も込められています。
立春に豆腐を食べることで、これまでの穢れを払い、清らかな心身で新しい一年のスタートを切るという意味が込められています。
3年生の皆さんは今、学び舎を離れ、それぞれの家庭で社会へ出るための準備を進めています。
この家庭学習日の期間が、白い豆腐のように、皆さんにとって「心を整え、まっさらな自分を作る」大切な時間となるよう願っています。
■ 私たちも新たな気持ちで
私たち1・2年生と教職員もまた、その教えにあやかり、清らかな気持ちで今年の農作業を本格始動させます。
3年生がこれまで大切に守ってきたこの土を、今年も真摯に耕していきたいと思います。
さて、立春に豆腐を食べると、健康にも恵まれ、一年の幸福を呼び込むのだとか。
「福を呼び込む」という言葉に弱い私……。
今夜の献立を考えながら、今日は仕事の帰りにスーパーで少し良い豆腐を買って帰ろうかな、なんて画策しています。
「立春大吉」
皆さんのもとにも、穏やかな春の光が届きますように。
冬の柔らかな光が差し込むハウス内に、パッと輝くような黄金色の実りが並びました。
本日は、今年度初となるハウス内「不知火(しらぬい)」の収穫。
これまで静かに、しかし力強く糖度を蓄えてきた果実たちが、いよいよ収穫の時を迎えました。
昨年末、寒風吹く中で2年生が露地での収穫を終え、繋いできた収穫のバトン。
その最終走者としてハサミを握るのは、卒業を目前に控えた3年生です。
「見て!デコが立派すぎてハサミ入れるの緊張するわ(笑)」
「こっちのもずっしり重いよ、美味しそう!」
ハウス内には、そんな明るい笑い声と、パチンパチンというリズムの良いハサミの音が響いています。
一果一果、感触を確かめるように丁寧にハサミを入れる手つきには、三年間の積み重ねによる自信が溢れていました。
ふと気づくのは、ハウスを満たす「いつもと同じ」土と葉の匂い。
柑橘の香りは、まだどこにもしません。
自分の爪やハサミでわずかでも果皮を傷つければ、その瞬間に芳醇な香りが溢れ出してしまいます。
「香りがしない」こと。
それは、一果一果を傷つけることなく、三年間で磨き上げた精密な技術で収穫できているという、何よりの上達の証です。
コンテナが黄金色に染まっていくたびに、実習地には大きな達成感が広がります。
このメンバーで実習着に身を包み、共に土に触れる日々も、もう指を数えるほど。
だからこそ、一秒一秒を惜しむように、そしてこの一瞬を楽しみ尽くそうとする彼らの表情は、黄金色の実に負けないほど眩しいものでした。
樹になっている状態では、まだ一農産物としての「不知火」。
それが、無傷で収穫する確かな技術と、その後の厳しい糖酸検定という関門をクリアすることで、ようやく本校の誇りである「あしポン」としての命が吹き込まれます。
この名前は、彼らが三年間かけて磨き上げた技術と、注いできた愛情が認められた「合格証」そのものなのです。
奇しくも今日は「節分」。
季節を分けるこの日に、高校生活最後の冬を締めくくるような収穫を最高の仲間と行えたことは、彼らにとって何よりの「福」となったはずです。
選別や一玉ずつの拭き上げを経て、皆さまのもとへ届くまでにはもう少しお時間をいただきますが、3年生が真心を込めて仕上げる「あしポン」の登場を、どうぞ楽しみにお待ちください。
後輩が露地で拓き、先輩がハウスで結実させた、農業科の誇り。
3年生の手から生まれた「あしポン」の確かな重みは、彼らが芦北高校で共に歩んできた「確かな証」として、卒業後の新しい季節を照らす光となることでしょう。
立春を前に始まった、黄金色の実りとの対話。
「あしポン」の収穫は、これからも、もう少し、続きそうです。
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