カテゴリ:農業科

鉛筆 ハサミ入れ 描く数年 先の花

 坂道を登りながら、生徒たちの足取りにはどこか緊張感が漂います。

 

 「あの補修で止まっているだろうか……」

 「また破られていたらどうしよう……」

 

 ドキドキとした高鳴りを胸に、前回の実習で緊急対策を行った露地「不知火」園地へと向かいました。

 

  前回の記事はこちら・・「鉄パイプ 打ち込み挑む 知恵比べ」

 

 緊張の面持ちで現場に足を踏み入れると――鹿の侵入痕跡はゼロ!

 自分たちの手で施した補修がしっかりと功を奏し、まずは第一関門突破です。

 

【凄まじい生命力と、新たな刺客】

 ムクッ、青々と。

 食害を受けた「不知火」の枝をよく観察すると、わずか2週間前に葉を削ぎ落とされた場所から、力強く新芽が吹き出しているのを確認。

 このまま食べられ続ければ枝ごと枯れてしまうリスクもありましたが、「不知火」が見せた粘り強い生命力に生徒たちも驚きを隠せません。

 しかし、ホッとしたのも束の間。

 自動撮影カメラのデータを解析すると、なんと今度はイノシシの親子らしき姿が……!

 鹿は防げたものの、油断は禁物です。

 次回の実習では、さらに頑丈な獣害ネットの補修や張り替えを計画し、絶対に突破されない対策を検討していきます。

 

【逆転の発想!9月の剪定実験】

 続いて、樹勢回復を目指す「スイートスプリング」の試験区へ。

 現在、対象の樹は主幹や主枝から多くの新梢(新しい枝)が発生しているものの、樹全体に実がなっていないという課題を抱えています。

 そこで果樹班は、「結実がない状態」を逆手に取った実験を試みることに!

 本来なら冬季に行う剪定ですが、あえてこの9月に実施(比較のために剪定しない試験区も用意)。

 特に今後「徒長枝(無駄に伸びる枝)」になりやすい主枝上面の新梢を、今のうちに早めに剪定していきます。

 

【見据えるのは、来年・再来年の姿】

 パチ、パチッ、スーッ。

 茂っていた新梢を切り落とすと、それまで混み合っていた主幹部が見違えるほどスッキリと風通し良くなりました。

 果樹の研究は、今日実習したからといって明日にすぐ結果が出るものではありません。

 この一手が、来年・再来年の開花や着果にどう影響してくるのか。

 目先の変化に一喜一憂せず、未来の収穫を見据えた果樹班の探究と挑戦は、まだまだ続いていきます。

鉛筆 秋風や 挑む背中に 光あれ

 昨日9月23日は、二十四節気の「秋分(しゅうぶん)」でした。

 昼間はまだ夏の残り香を感じる日差しが差すものの、朝晩はすっかり過ごしやすくなり、澄んだ空気が心地よく頬を撫でる季節となりました。

 「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉通り、季節の歩みは着実に進んでいます。

 シルバーウィークが明け、学校は一気に緊張感のある空気へと包まれ始めました。

 

■ 挑む秋。それぞれの場所で戦う生徒たち

 今、3年生はまさに進路活動の真っただ中です。

 就職を希望する生徒たちは、連日のように就職選考(面接や試験)へと挑んでおり、日ごとに誰かが公欠で試験に向かっています。

 空席の残る教室に漂うのは寂しさではなく、「仲間が今、自分の未来のために戦っている」という静かな熱気と互いを思いやる空気です。

 また、10月に入ると進学を希望する生徒たちの試験も本格化します。

 面接や小論文の対策に打ち込む生徒たちの表情には、真剣そのものの熱が宿っています。

 就職、進学、それぞれの道は違えど、互いの努力を認め合いながら進む姿はとても頼もしく感じられます。

 さらに、来週からは全学年で定期考査も控えています。

 放課後の校内では、テストに向けて残って勉強に励む生徒や、農場での実習の成果を振り返る生徒の姿が見られます。

 

■ 夜長の深まりとともに、未来を灯す

 秋分を境に、昼よりも夜の時間が少しずつ長くなっていきます。

 秋の夜長、深く静まる時間の中で重ねる努力は、必ず明日の自分を支える光になります。

 自分の進路と向き合い試験に向かう足取りも、机に向かってペンを走らせる手も、すべては自分の夢や目標を実現するための大切な一歩です。

 季節の変わり目、寒暖差に気をつけながら、この試練の秋を乗り越えていってほしいと願っています。

 それぞれの未来に向かって突き進む芦北高校の生徒たちを、農業科一同、これからも温かく見守り、全力で応援していきます。

 

「秋分」

 夜の長さを増す空のもと、就職や進学、考査という試練に挑み、自らの手で未来を切り拓く生徒たちのひたむきな姿に想いを重ねて。芦北高校より。

鉛筆 結び吊り 黄色く染まる その日まで

 本日の農業科2年生「総合実習」は、ハウス内での「不知火(しらぬい)」の枝吊り実習です

 果実が順調に肥大してくると、その重みで枝がぐんぐんと垂れ下がってきます。

 そのままにしておくと、最悪の場合は枝が折れてしまうことも……。

 そこで、ハウスの上に張り巡らされたワイヤーから麻紐を伸ばし、果実のついた枝を吊り上げて支える技術を学びます。

 

【プロの技「一工夫」を体得する】

 キュッ、シュッ。

 一見、ただ紐を結んでいるだけのように見えますが、実はここに必要なのが農業科ならではの「一工夫」です。

  ・果実の成長に合わせて「高さ調整」が簡単にできること

  ・果実を傷つけず、でもしっかり固定できること

  ・収穫後の「撤去」のときに、サッと簡単に解けること

 2年生たち、この結び方を夏休みの間に実習室内で何度も何度も繰り返し練習してきました。

 指先が覚えるまで叩き込んだあの成果を、現場の実習で発揮する時がまさに今です。

 

【指先に込める、未来の収穫への想い】

 「よし、この高さでバッチリ!」

 手元に集中しながら、一本一本の枝と丁寧に向き合う生徒たち。

 夏休みに実習室でトレーニングを重ねていた姿から一転、実際のハウス内で迷いなくサクサクと結び目を作っていく姿には、頼もしい成長が感じられます。

 

【見事な黄色に染まるその日まで】

 枝を吊り上げてもらい、どこか誇らしげに青空に向かって持ち上がった「不知火」の果実たち。

 しかし、本格的な収穫はまだまだ先です。

 これから秋を越し、緑色の果実が鮮やかな黄色へと色づき、甘みが乗った見事な果実に育つまで。

 生徒たちの手による細やかな管理実習は、これからも続いていきます。

 自分たちの手でしっかり支えた「不知火」

 最高の収穫期を迎えるのが今から楽しみです。

鉛筆 一瓶に 詰める成長 一歩ずつ

 本日の農業科2年生の「食品製造」は、実習室で「イチゴとブルーベリーのミックスジャム」製造に挑戦です!

 実習に入る前の全体説明では、先日教室の座学で学んだ「ゲル化の三要素(糖度・酸度・ペクチン)」について、振り返りました。

 めざす目標糖度は60度。

 理論で学んだ知識が、いよいよ目の前の実習とつながっていきます。

 

【一滴一滴に込める緊張感】

 全体説明を終えたら、充填作業へ。

 熱々のジャムを扱うのは、2年生にとって今回が初めての実習です。

 微調整の基準は「ビンの首まで確実に入っているか」。

 少なすぎても多すぎてもいけないため、目の前の瓶をじっと見つめながら「あと数ミリ……!」と慎重にスプーンを動かします。

 熱い瓶をこぼさないよう丁寧に拭き上げる手元には、心地よい緊張感が漂います。

 

【密閉直前!最後の最後まで手抜きなし】

 いよいよ最終段階、キャップを締める「密閉」の工程へ。

 ここでしっかりチェックすると、中にはほんの少しだけ量が足りず、急遽ジャムを注ぎ足して微調整する瓶もいくつかありました。

 「もうちょっと足そう!」

 「よし、これで首までピッタリ!」

 最高のジャムを届けるため、最後の1瓶まで妥協せず、声を掛け合いながら丁寧に仕上げていきます。

 

【未来の名人に育つ日まで】

 そんな2年生の奮闘を見守りながら、ふと頭をよぎったのは、以前投稿した先輩たち(現3年生)の手際の良さでした。

 

 過去のブログはこちら→「共に行く 地域と歩む この一歩」

 

 無駄のない動きでテキパキと実習を進める先輩たちも、最初から完璧だったわけではありません。

 今日の2年生のように、座学の知識を現場で試し、量の加減に悩み、注ぎ足しながら一歩ずつプロの技術を身につけてきたのです。

 教室で学んだ知識が、今日の手探りの実習を通して一つひとつ自分の技術へと昇華していきます。

 先輩たちの背中を追いかけながら、ここからどんどんレベルアップしていこう、2年生!

鉛筆 鉄パイプ 打ち込み挑む 知恵比べ

 昨日の1限目、農業科3年生の「課題研究(果樹班)」での出来事です。

 

 「獣害から果樹園を守る」をテーマに掲げる彼らが、日課である果樹園の見回りのため坂道を登っていたときのこと。

 

 「あれ……? ネット倒れてない?」

 「あっ……!」

 目の前に広がっていたのは、見事に倒された露地不知火園のネットでした。

 

【現場に残されたくっきりと重い痕跡】

 ゾクッ……。

 一歩園地に足を踏み入れると、異変はすぐに分かりました。

 足元には無数の鹿のフン。

 さらに不知火の木を観察すると、鹿の口が届く高さの葉が見事に削ぎ落とされ、綺麗な「ディアライン(鹿の採食線)」が出来上がっていたのです。

 

「これがあいつらのやり方かぁ〜〜!」

 

 被害の大きさに驚きつつも、即座に対応策会議をスタート。

 まずは設置していた自動撮影カメラの位置を変更して犯人を特定することにし、本格的な復旧作業は翌日の課題研究で行うことに決定しました。

 

【深夜1:38、カメラが捉えた犯人!】

 カシャリ。

 翌朝、回収した自動撮影カメラのデータをチェックすると……そこには深夜1:38、暗闇の中で堂々とたたずむ「鹿」の姿がくっきりと写っていました。

 

 犯人確定です!

 

 「絶対にこれ以上侵入させない!」

 生徒たちのエンジンが一気に回ります。

 

【即行動!廃材を活かした補修作業】

 ビィーン、ガツン!

 早速、廃材の鉄パイプをカットし、倒れたネットを補修しながら頑丈な支柱を追加していきます。

 支柱作成や杭打ちも、これまでの実習で鍛えたチームワークで手際よく進め、ひとまず鹿が入らないよう防御陣形を完成させました。

【戦いは、ここからが本番!】

 物理的な防御は一旦完了しましたが、これで終わりではありません。

 今後は「音」や「匂い」など、どうやって鹿を遠ざけるか(忌避対策)の実証実験に入っていきます。

 相手は山の野生動物。

 一筋縄ではいきませんが、自分たちの「不知火」を守るため、そして課題研究を成功させるため!

 果樹班と鹿との知恵比べ、まだまだ熱い戦いは続きそうです!