校長室よりブログ
新たな一年のスタート 未来を懼れず挑戦!! (令和3年1学期全日制始業式で)
イソヒヨドリの澄んだ声が青空に響き渡っています。メーテルリンクの「幸せの青い鳥」のモデルとなったとも言われる鳥です。天草高校の明るい未来を象徴しているようです。
さて,昨年は,新型コロナウイルス感染防止のために多くの学校行事が中止となりました。今年もまだその影響は残るでしょう。「先が見通せない」ということが,今後,あらゆる場面にファクターとして関わってくるような気がします。
「先が見通せない」のはとても辛いことです。私も10年以上前になりますが,右脇のリンパに腫瘍ができ,癌なのかそうでないのか,日赤病院や熊大病院や久留米大病院を次々と2ヶ月以上廻され,「癌なら癌で良いけん 早く結論を出して!」と叫びたいような心境になったことがあります。
どっちつかずで,もやもやの宙ぶらりん。結論が出ないから,自分の立ち向かうべき相手が見定められなくて,自分の覚悟を定められない。 ずぶずぶの沼の中で、必死にジャンプしようともがいているような感覚です。
しかし,後で考えると,覚悟を決められなかったというのは,実は私自身の「弱さ」でした。自分で自分の将来に結論を出すことが怖くて,病院の先生に丸投げしていただけだったのです。癌であろうがなかろうが,私はこう生きると決めて貫きとおしていたら,たとえ,運悪く癌で命を落とすことになったとしても,有意義で濃密な時間を過ごすことができていたはずです。なかなか結論が下せない先の見通せない状況は,これから先の人生で,どこにでも,何度でも出てくる。だったら自ら心鍛え,律していくしかない,すなわち「自律」というのが私がその時得た答えでした。
天草高校は今年、大きな改革に取り組みます。一人ひとりの「自ら学び志を成す」求學志成の取組をとことん応援するため朝自習を廃止し,進路目標や研究目標にあわせ自由に活動できる時間を確保します。一方で,先生方には授業の50分間を濃密な学びの場にしていくよう取り組んでもらいます。今年度から生徒全員に(3年生には秋以降になると思いますが)タブレットが導入され,ICTを活用した探究型の授業,考える授業の深化にも取り組みます。一人ひとりの学習状況に応じて「スタディサプリ」等のアプリを使った個別学習も推進します。また,基礎学力充実のために,特別講座も開設していく予定です。
これだけたくさんのメニューを用意しますが,皆さんの力を伸ばすためには,実は大切なピースが2つ欠けています。―それは何か。
皆さんの「自ら学ぼう」とする心,そして,楽な方に流れようとするのを自ら自制する力,すなわち「自律」です。
どんなに環境を整えても,あなたたちが自ら動こうとしなければ,道は拓きません。世界も変わりません。ここ天草高校は,生徒も先生方も,たくさんの才能を持った人たちが集まる素晴らしい学校です。あなた方にはこれから先,世界に打って出て,誰もまだ見たことのない世界を切り拓いてほしいと思っています。夢物語ではありません。あなたたちの先輩で何人も、例えば電波時計を世界で最初に開発し世界の時間をフォーマットした人,東ティモールの和平に命がけで取り組んだ人,東北大学でICT教育の最先端を発信し続けている人たちが居ます。あなたもまたそれに連なる一人になれるはずです。
本校の三綱領は唱います。「正大」何が正しいことか深く見る智慧を身に付け,「剛健」どのような困難にも負けない強い心と体を持ち,「寛厚」周りの人を広い心で受け入れる優しさを持ちなさい。この三つの精神を体現することで,心の弱さを自ら克服し,大きな人間に至ることができます,と。
私は天草高校が大好きです。しかし,明日の天草を,そしてこれからの世界をつくっていくのはあなたたちです。先の見えない未来を懼(おそ)れず,前を向いて挑戦し続けてください。天草高校は全力であなた方を応援します。
以上で,令和3年度始まりにあたっての 校長あいさつといたします。
SSH 4年目を終えて
本校では、SSHの取組の一環として、生徒が自らテーマを設定し、探究活動に取り組んでいます。そのテーマ一覧を見ると、「消波ブロックと波の干渉」、「ヒオウギガイの可能性」、「天草のための潮流発電」、「天草のアオサを使った石けん」、「ばんかんで天草救ったろ」など、天草をフィールドとしたテーマが並んでいます。
学校設定科目の開発などカリキュラムを編成し、地域に根差し、地域を愛する心を養いたいと考えている本校にとって、地域貢献をテーマとして探究する生徒の存在は頼もしいところです。
また、実社会を意識し、テーマの選定、仮説の設定、研究方法の立案と実行、データ分析、考察、発表などといった一連の探究活動は生徒の資質能力の育成にも効果が大きいと考えています。答えのない問題に対して、よりよいものを導き出そうとする探究活動は、これから加速度的に変化し、複雑で予測困難な社会をよりよく生き抜く力の育成につながると考えます。まさに生きて働く力の育成です。普通科高校におけるキャリア教育であると考えます。
来年度は、SSH指定5年間の最終年度となります。生徒の更なる資質能力の向上につながる総まとめの年度としたいと考えています。
高校生作文コンクール学校賞受賞
今般、日本大学主催の高校生作文コンクールにおいて学校賞を受賞しました。学校賞は全国で3校でした。同コンクールは、未来を担う高校生が自分の将来における生き方や進路を模索し、自発的なキャリア形成を願って企画されたものです。
今回のテーマは『ぼくたち私たちが考える「今」を生き抜く力』でした。
本校では、「求学志成」(求めて学べば志は成る)をスローガンに、変化が激しく予測困難なこれからの社会を、たくましく生き抜く力の育成に努めていますが、これが認められたようでうれしく思います。指導いただいた先生方にも感謝します。
先日の卒業式での卒業生答辞にこんな言葉がありました。『NO AMATAKA NO LIFE 天高なくして今の私たちはない』『天高で培った力は永久保存版』。
今後も、よりよい自分の未来を切り拓き、社会の担い手となる人材の育成に取り組んでいきたいと思います。
持続可能な社会の創り手をめざして
カーボンニュートラル実現を目指す動きは、日本をはじめとして国際的に広まっています。本校では、これまで環境問題をテーマに研究に取り組み、輝かしい成果を上げてきました。本年も「肥後の水とみどりの愛護賞」や「くまもとCO2ゼロびっくりアイデアコンテスト」最優秀賞、「学生国際会議(ICAST2020)」ベストプレゼンテーション賞、「未来のマークをつくろうコンテスト(サイエンスアゴラ2020)」優秀賞など、多くの賞をいただきました。SSHの活動を通して、海に囲まれ自然豊かな天草を研究テーマとすることで、持続可能な社会の創り手となる資質能力の育成を図ることができたと考えております。今後も、研究内容の情報発信に努め、環境に対する意識を高めていきたいと考えています。ご指導いただいた皆様に感謝申し上げます。
【校長ブログ】伝統つないだマラソン大会代替大会
昨日2年生、本日1年生とマラソン大会代替大会長距離走記録会を開催しました。本校にとってマラソン大会は、88回を数える歴史ある大会で、男子33K、女子20Kは県内有数の長い距離を誇る大会です。毎年、多くの地域の方々に応援いただきますし、卒業生にとっては思い出深い、同窓会では必ず話題に上る大会です。私も走り終わって自信を得ましたし、休憩所でのお菓子や果物が楽しみで、良い思い出になっています。
そんなマラソン大会を生徒たちにも味わわせたいところでしたが、今年はコロナ禍の中、残念ながら本渡運動公園陸上競技場に会場を移し、代替大会として長距離走記録会を実施しました。感染防止対策を取るとともに、5グループに分け少人数で競技を行いました。代替大会で、距離を含め方法は変わりましたが、ひたむきに走る姿、躍動感、応援する姿、これまでのマラソン大会と変わらぬ姿がそこにありました。代替大会であっても、自分と向き合い、励ましあいながら走る姿に胸が熱くなりました。また、3年生の多くの生徒が自分のこともあっただろうに協力してくれたことに感動しました。天高生は、コロナ禍にあっても剛健に、そしてしなやかに、これからも走り続けてほしいと思います。来年は、マラソン大会ができることを祈っています。