水高diary

【建築科】建築大工技能検定への挑戦

 水俣高校建築科では、1年生からプロの領域に足を踏み入れる本格的な実習を展開しています。現在、生徒たちが挑んでいるのは、国家資格「建築大工技能検定3級」の取得に向けた実技対策です。単なる「ものづくり」の枠を超えた、建築科ならではの高度でクリエイティブな学びの最前線をご紹介します。

 実習室では、1年生たちが張り詰めた空気の中、真剣な面持ちで木材と対峙しています。現在取り組んでいるのは、木材加工の最重要工程「墨付け(すみつけ)」です。特に難所となるのが、屋根の傾斜を支える「垂木(たるき)」への墨付け。そこには「勾配(角度)」という複雑な計算が関わります。生徒たちはこれまでの製図や実習で培った知識を総動員し、数学的な理論を具現化するように木材へと線を刻んでいきます。

 その手には、墨つぼや墨さしといった伝統的な道具に加え、角度を精密に導き出す「さしがね」や「自由がね」が握られています。先生の解説やプリントを深く読み込み、頭の中で三次元の立体を構築しながら道具を操る姿は、まさに「知性と技術の融合」そのものです。

 この検定の課題は、制限時間内に「柱・梁(はり)・桁(けた)・垂木」を組み上げ、屋根の構造体である「小屋組みモデル」を完成させることです。建築科は、単に建物の知識を蓄えるだけの場所ではありません。自分が引いた一本の線が形を成し、やがて誰かの暮らしを支える強固な構造体へと変わっていく。その確かな手応えを、1年次から肌で感じることができる場所です。「一生モノの技術を手にしたい」「自分の手で未来を形にしたい」という志を持つ皆さん。私たちと一緒に、次世代の建築を切り拓いてみませんか。

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