2021年10月の記事一覧
創立記念祭開催 ~ 「For others With others」(みんなのために みんなと共に)
秋晴れの10月28日(木)、熊本市民会館シアーズホーム「夢ホール」で第46回熊本西高校創立記念祭を開催しました。
芸術鑑賞会に続き、午後1時40分に生徒会企画のオープニングアトラクションが始まりました。いきなり「オタ芸」と呼ばれる、アイドルの熱狂的ファンが行うペンライトを使ったパフォーマンスとバンド演奏を男子生徒有志が演じ、会場は笑いと歓声、拍手に包まれました。
プログラム2番は太鼓部演奏。部員は1年生2人(男女)しかいません。外部指導員の瀬戸さんも加わり3人での熱演で、鼓動が客席に響き渡りました。力の限り打ち続けてのクライマックス、打ち止め後の静寂、そして3人で深々と頭を下げた姿勢のまま幕が下りる情景は印象的でした。
プログラム3、4番は、1,2学年の発表。1年生は9組体育コースの林君が「2020東京オリンピックから学んだこと」というテーマで堂々の発表。2年生は、横手学年主任を中心に職員と生徒全員が出演の動画上映。受験に臨む3年生へのエールと、これから西高を背負っていく決意がメッセージに込められた動画で、生徒による撮影、編集の手作り感も伝わってきました。
次のプログラムは演劇部発表。放課後のドタバタ騒ぎで、二子石教諭、田上教諭、打越教諭と3人の2年生担任も出演し、客席から大きな反響でした。また、続く放送部の発表は、職員室のベランダの庇にあるツバメの巣がテーマのドキュメント(記録)動画。今年度のNHK杯高校放送コンテストに出品したものです。さすがは放送部で、ツバメの雛を中心に小さきものの動きを丹念に追い、強風で破損した巣の修復にも関わるドラマとなっていました。
プログラム7番は保健委員会の発表。生徒の生活習慣改善をテーマに、全校生にアンケート調査を行い、その結果を公表。平均して一日のスマホの使用時間が2~3時間以上が7割を超えていることは心配な状況です。一方、睡眠時間6時間未満が6割以上となっており、これらの相関関係が気になります。安定した生活リズムを維持することは西高生の課題であることが浮き彫りとなりました。
そして、プログラムの締めは吹奏楽部の演奏です。3年生が引退したため部員は13人と少人数です。しかし、この日に向けて熱心に練習してきたことは、楽器の音色が音楽室周辺に放課後響き渡っていたことが証です。最後のジャズの名曲「Sing,Sing,Sing」はソロ演奏もあり、圧巻の演奏で、フィナーレをかざってくれたと思います。
「For others With others」(みんなのために みんなと共に)。テーマどおりの創立記念祭となりました。
「校長室からの風」
ルネサンス、バロックの音楽との出会い ~ 西高「芸術鑑賞会」
15世紀から17世紀にかけてのヨーロッパのルネサンス、バロックの音楽が古楽器で奏でられます。強い、大きな響きはありません。自己主張する音はありません。現代の電子音楽に慣れている私たちの耳には、とても控えめな旋律(メロディー)と感じられます。しかし、アコースティック、即ち楽器本来の深い音色に心地よく包まれます。
西高創立記念祭の一環として、10月28日(金)に熊本市民会館シアーズホーム「夢ホール」において、芸術鑑賞会を開催しました。ヨーロッパの古楽器の合奏(アンサンブル)で知られる「グループ葦」の皆さんによる公演です。8人の出演者が、四種のリコーダー(縦笛)、弦楽器のヴィオラ・ダ・ガンバ、トロンボーンの先祖に当たる楽器サックバット、外観はピアノに似た鍵盤楽器のチェンバロなどの古い楽器を奏でられ、これに歌唱が加わります。そして、この日は特別に二人の舞踏家が参加され、ルネサンス、バロック時代のダンスを往時の優雅な衣装を模したコスチュームで踊られました。
このようなヨーロッパのルネサンス、バロックの音楽及び舞踏には私も初めて触れました。知っている曲は、バッハ(ドイツ、1685~1750)の「メヌエット」だけでした。「初めて聴く音楽なのに、なぜか聴いたことがあるような記憶がありませんか?」と演奏者の方がステージから問いかけられました。それは恐らく現代音楽の起源だからかと思いました。また、ルネサンス、大航海時代のヨーロッパからカトリックの宣教師が戦国時代の日本にも渡来し、この九州、熊本でもキリシタンが増え、コレジオ、セミナリオといったキリスト教の学校、宣教師の養成所が設けられました。そこでは、当時のヨーロッパの音楽が演奏されていたことがわかっています。ひょっとして、私たちの先祖が、ルネサンス音楽を聴いたことがあるのかもしれません。そのようなことを想像すると、遠い記憶がよみがえってくるとも言えるでしょう。
喧噪の音に包まれているような現代の私たちが、シンプルでおだやかだった頃のヨーロッパのルネサンス、バロックの音楽にさかのぼる時間の旅を経験したような公演でした。創立記念祭「芸術鑑賞会」にふさわしい公演でした。音響、照明とも整った本格的なホールで、ゆったりと音楽の世界に浸ることができました。生徒の皆さんにとっても、音楽の深淵を覗いた、特別な時間となったことでしょう。まさに、創立記念祭のテーマ「気韻生動」の音楽でした。
「校長室からの風」
創立記念祭を迎えて ~ オンライン開会式の挨拶
熊本西高校は昭和49年10月に創立されました。最初は職員4人だけで生徒はいません。「清 明 和」の校訓をはじめ校旗、校章などを定め、募集定員は普通科4学級で発足することが決まり、翌年の昭和50年4月に第一期生の入学を迎えました。創立以来、今年で47年となります。他校では文化祭と言われることが多い秋の文化的行事を、本校ではあえて創立記念祭と呼ぶのはなぜでしょうか? 毎年、創立の原点に戻った気持ちで、新たに西高の元気を発信しようという思いが込められているのです。
残念ながら2年前までのように学校全体を会場にし、地域に開放しての賑やかなお祭り的行事はできません。しかし、熊本市民会館シアーズホームという立派なホールを舞台に、芸術鑑賞、そして文化部をはじめ生徒のみなさんのステージ発表が開催されます。本格的なホールは体育館と異なり、音響、照明ともに優れていて、音楽や演劇など舞台芸術には最高の環境が整っています。ホールでの鑑賞マナーも身に付きます。
今年の芸術鑑賞は、ヨーロッパの古い楽器、古楽器の演奏や歌のアンサンブル(合奏)を鑑賞します。私たちが日頃触れることがないクラシック(古典)で深い音色が楽しみです。また、皆さんのクラスメイトが、同級生が、ステージ上で演奏、発表をします。きっと普段の姿とは違い、「あいつ、すごいな」、「彼女、すてきだなあ」という新たな一面を再発見する機会となるでしょう。観客の皆さんが真剣に鑑賞することが、出演者の力を引き出すことになると思います。
皆さん、創立記念祭は明日の市民会館だけではありません。学校の生徒ホールで20日からアート作品や研究発表の展示が行われています。小さなギャラリーですが、文化の香り漂う空間となっています。会期は明日までです。まだ観覧していない人は今日の放課後、足を運んでください。
この創立記念祭は生徒会執行部はじめ実に多くの皆さんの熱意と努力によって実現しました。関係者すべての皆さんに感謝します。メインテーマは気韻生動。難しい言葉ですが、気品があっていきいきと動き出すようだという意味で、書道や日本画、能楽などわが国の伝統文化を称える時によく使われる言葉です。また、サブテーマの「For others With others」、みんなのために、みんなと共に、という言葉は、新生徒会がスタートする時、私から贈ったもので、それをモットーに生徒会が活動してくれていることを頼もしく思います。
コロナパンデミックの中でも、西高は途切れることなく創立記念祭を実施できます。このことを皆さんと共に喜び、明日を迎えましょう。
「校長室からの風」
生徒ホールの作品展示 ~ 創立記念祭
10月20日(水)から、生徒ホールにおいて創立記念祭の一環として、文化部の作品展示が始まりました。生徒ホールは西高自慢の生徒達の憩いの場です。売店に隣接する空間は2階まで吹き抜けで、大きな窓を通して中庭のテラスにつながり開放感があふれています。本校の創立記念祭は文化祭とも言えるもので、例年なら学校全体が舞台となり、ステージ及び展示の発表、バザー等と西高の活気と創造性を発信する行事ですが、今年はコロナ禍の中、芸術鑑賞とステージ発表を10月28日(木)に熊本市民会館で開催することにしました。そのため、展示部門は生徒ホールでの発表となりました。
美術部は、油絵の大作や素描(デッサン)の小品など9作品。書道部は半切(はんせつ)の5作品。絵画、書の描(書)き手がどんな生徒なのか、想像するのも楽しいのですが、作品を前にして思うことは、創作者を離れ、作品そのものが雄弁に語るような気がします。これが創造の力なのでしょう。
理科の各部も研究活動を広用紙にまとめて展示してあります。生物部の「農業用水路に生きるシジミの1年間の調査」は、学校周辺の用水路で生徒達が活動している様子を見たことがあり、親近感があります。化学部の「廃チョークを利用した銅廃液処理に関する研究」は、使い古したチョークという身近な素材に着目した研究です。地学部の「離岸流の研究」も、海(有明海)に近い西高ならではの研究テーマと言えるでしょう。
また、英語部は西高が位置する熊本市西区について「West District」として地図を作成し、主な公共施設等が英語表記で示されています(もちろん西高も)。図書委員会は生徒(図書委員)オススメの本をキャッチコピーで紹介しています。
そして、育西会(保護者会)からはこれまでの育西会会報(新聞)のバックナンバーがファイルにまとめられ展示されていました。現存する第55号(平成8年12月刊)から最新号の156号(令和3年8月刊)までの25年の変遷が凝縮しています。個人的にお世話になった先輩教師の皆さんの名前や写真を拝見し、懐かしくファイルをめくりました。
小さなギャラリーです。けれども、何かそこだけ上質な落ち着いた雰囲気が感じられます。作品展示は28日(木)までです。まだ訪ねていない生徒の皆さん、昼休みか放課後に足を運んでみてください。西高の学校文化の奥深さ、豊かさに触れられると思います。
「校長室からの風」
初めて選挙に臨む皆さんへ ~ 18歳選挙権
10月14日(木)、衆議院が解散されました。衆議院議員総選挙が19日公示、31日投票の日程で行われることが決まりました。衆議院議員の任期4年がほぼ満了しての、約4年ぶりの総選挙となります。
選挙は高校にとっては他人事ではありません。高校生の一部は選挙権を有しています。選挙権年齢が「満18歳以上」に引き下げられたのは平成28年でした。選挙期日の翌日(今回で云うなら11月1日)に満18歳の誕生日を迎える人までが選挙権を有することになります。恐らく高校3年生のおよそ6割は有権者として今回の総選挙に臨むことになるでしょう。
少子高齢化が進むわが国において、若い世代にこそ政治に関心をもってもらう必要があるという目的で導入された18歳選挙権でした。高校でも、公民科の授業やホームルーム活動、生徒会活動などをとおして実践を重ねてきました。導入された当時、私が勤務していた高校の所在地の町長選挙がありました。有権者の生徒達の関心を高めるため、候補者2人にお願いし、放課後、正門前まで来て頂き、町政のビジョンを語ってもらいました。結果、高校生の投票率は75%を超えました。しかしながら、各種データを見ると、若い世代の投票率は期待されたほどは伸びていません。残念です。
「自分一人が投票しても社会は変わらない」と云う高校生がいます。しかし、選挙の一人一票の原則はとても大切なことです。総理大臣も、県知事も、そして校長の私も一票です。18歳のあなたと同じ一票なのです。一票の重みを感じてください。そして、身分や納税額、性別などの様々な制限なく、一定の年齢を満たせばだれもが選挙権を有する普通選挙制は今では当たり前のことですが、その実現への歩みはまさにわが国の近代化と軌を一にするものでした。世界ではいまだ普通選挙が実施できない国もあります。
生涯で最初の選挙を迎える生徒の皆さん、あなた達はこの国の主権者です。権利は責任を伴います。選挙権という貴重な権利を活かしてください。私たちの西高では国政選挙に先駆けて生徒会長選挙を電子投票で行いました。しかし、まだ国政選挙は電子化されていません。自ら投票所に足を運び、一票を投ずることになります。ただそれだけのことですが、その時、あなたは主権者としての役割を立派に果たしたことになるのです。
なお、投票所では投票用紙が2枚渡されます。小選挙区は候補者名を、比例代表区は政党名を記します。戸惑わないように。
「校長室からの風」