校長室より

令和7年度 2学期終業式 校長訓話(12月24日)

令和7年度 2学期終業式 校長訓話(12月24日)

〇あと1週間で令和7年が終わります。皆さんにとってどんな年だったでしょうか。1年生は、御船高校入学、新生活スタートというのが一番大きな出来事だったでしょう。さすがに慣れたでしょう。船高生活はおもしろくなってきましたか。2年生は、船高を盛り上げてやろうと学校行事を頑張った年ではなかったでしょうか。盛り上げてくれて本当にありがとう。3年生は、就職・進学を決めてやろうと特に2学期頑張ったのではないでしょうか。もちろん、その夢の途上の生徒もまだいます。進路実現まで精一杯がんばってほしいと思います。

〇ところで、私は「授業も学校行事もワクワクドキドキする御船高校」作りを先生方と、そして皆さんと取り組んでいますが、そういう場面に出会えましたか。2学期を振り返ってみても、私はたくさんありました。全部は紹介しきれませんが、代表的なのは「龍鳳祭」と先週末の「学びの祭典」です。龍鳳祭はみんな体験したからわかると思いますが、本当に自信もっていいです。熊本市内のどの学校にも引けを取らない、いや熊本市内の高校生にぜひ見せてびっくりさせたいぐらい盛り上がっていると思いました。いくつも学校を回ってきた私が言うので、間違いないです。見に来た方々も御船高校の文化祭は、こんなにすごいの、こんなに人が多く来るの、と言われていました。君たちはそんな文化祭を作り上げているのだと誇っていいです。そして先週土曜日にグランメッセで行われた「学びの祭典」、御船高校が一番目立ったのではないかと思います。我が学校だからこう言うのではない、多くの方々からのお褒めの言葉があったからです。オープニングの書道パフォーマンス、各学科・コースのブース、そして音楽専攻のフィナーレ、終日にわたって御船高校が活躍しました。その会場の反応を見ていて、実感として本校が一番目立っていたと思います。本当に誇らしかったです。ミフネコも同様。いくつも学校マスコットがステージに出てきたけれど、ミフネコが抜きんでてかわいかったです。普段校内で生活している君たちは、自分たちがどれだけすごいことやっているか気づいていない、実は自信もっていいのです。多くの人たちを喜ばせているのです。

〇ところで、もう一つ私たちの御船高校自慢をさせていただきたいです。それは「御船高校は平和を心から願う学校」なんだということです。それも県下で一番というくらいです。その証拠に、校門入って左側に『殉難の碑』があり、学徒勤労動員で亡くなった船高生の慰霊と不戦の誓いを行っています。今年も10月25日の土曜日に行いました。これを60年以上も続けています。他の高校も以前はやっていたけれど、高齢化等で継続されていません。御船高校が継続していることは本当に尊いことです。また今年は人権講話でもアメリカからエイミ・ツジモトさんを招聘して、戦争と人権について語っていただきました。

〇昨日、12月からご勤務頂いている情報の濱崎先生が校長室を訪れて年末のあいさつをされました。とにかく御船高校生が素直でいいと。ここで働けることに感謝すると。濱崎先生は、熊本市内からバスで通勤されていまする。船高で働けることへの感謝からか自然と校門に入ると天神ノ森、殉難の碑に一礼をするようになったと。それを見かけた一人の生徒が、「先生何しているんですか?」と質問してきたと。濱崎先生がそれに応じると、その生徒は「僕もこれから一礼します。」と言ってくれたそうです。私はその話を聞いて、本当にうれしかったです。

〇今年は戦後80年だというのは、前にすでに話しました。私は、夏の生徒会合宿で平和を願う気持ちを持ち続けてほしいと話しました。それというのも、世界を見渡せば、戦争が各所で起こっています。多くの犠牲者を出しても終わりが見えない状況、君たちの未来が危険な方向に向かないことを本気で願っています。不戦の誓いや平和を意識することなど、ほとんどの今の高校生がしないかもしれません。私も高校時代そのようなことを具体的に行った記憶はないです。でも違うことがあります。

〇君たちと40年近く前の私の高校時代では、何が違うと思いますか。それは戦後80年と戦後40年の違いです。つまり、戦後40年くらいなら、戦争を経験した人たちが当時まだたくさんいたということです。実は、私は高校1年の時、1カ月半ほど入院したことがあります。その時の4人部屋の病室のメンバーは、高校生の私と、看護師さんにちょっかいばっかり出す遊び人のおじさん、そして2人のおじいさんでした。遊び人のおじさんの話はここでは置いておいて、2人のおじいさん達は、いずれも戦争経験者でした。一人は、戦争で片腕をなくしておられて、それでもおどけて私を笑わせる明るい人でした。もう一人は、シベリア抑留を経験された方でした。入院中たっぷり戦争の話を聴かされました。だから私もその後の人生で、戦争の話になると、その二人のおじいさんが何度も記憶の中から出てきたものです。戦争の実体験を聴く機会があったかどうかというのが、私たちと君達との違いです。

私たち教師は、平和を希求する精神を持った生徒を増やさなければならないと思います。そういう生徒たちが、世界の戦争を終わらせ、平和を維持させます。先の世代は戦争の悲惨さを経験し、命を懸けてこの国の平和を築いてくださいました。私たち世代はしっかりそれを守り、次の世代に平和を希求する精神を繋げなければならないと思います。

生徒会合宿で、文化祭のテーマに「平和」というワードを差し込んでほしいと頼んだところ、見事に『Peace & Piece』としてくれました。当意即妙で賢いなと感心しました。不戦の誓いや平和を願う心を君たちが持ち続けてくれると、船高の先輩方は本当に喜んでくださるはずです。そして船高生が率先して『平和を希求する』行動を世に広めていけば、戦争はなくなります。よろしくお願いします。

今日の話をまとめると、①「授業も学校行事もワクワクドキドキする御船高校」をみんなと一緒に作っている。②龍鳳祭、学びの祭典で証明できたように船高生はすごいのだ。③県下で一番平和を希求する学校なのだ。です。

〇最後に、一つだけ苦言を言わせてもらいます。とにかく交通に関する生徒指導事案が今年多かったです。そういう時は、先生たちは嫌な意味でドキドキしてしまいます。大事故でなければいいがとか、命は大丈夫だろうかとか何回も心配しました。この中で校長室で私から指導を受けたという人も多くいるでしょう。そういう人たちは、率先して交通マナー、ルールを守るように周囲に言いなさい。ルール違反、マナー違反で交通事故に遭ってとんでもないことになることを想像してみなさい。私たち先生は、これだけ交通関係の生徒指導事案が起きてしまうと、いつか大事故が起きないかと本当に心配になります。決して人ごとにするな、自分事として捉えなさい。約束してほしいです。特に年末年始、ルール、マナーを守って交通事故に遭わないということを。

〇では、みな健康で充実した冬休みを送ってほしいです。進路実現に向けて頑張っている3年生は、元旦も歩みを止めず受験勉強に励んでほしいです。頑張った分は必ず返ってきます。自分の力を信じてがんばれ。

御船高校は令和8年も突き進んでいくぞ!3学期始業式で、必ず元気な姿を見せてほしい。

イオンモール熊本クレアとの協定締結式でのあいさつ(12月5日 金)

イオンモール熊本クレアとの協定締結式でのあいさつ

本日、イオンモール熊本様と上益城の3校校が「学校の魅力発信」に関する諸活動について相互協力の協定を結ぶこととなり、大変うれしく、また心強く感じております。

この秋から、御船高校はこちらのサイネージを活用し、学校の紹介動画を放映していただいたり、イベントスペースにてブラスバンド部の演奏を披露させていただいたり等、生徒たちの活躍を広く発信する機会をいただきました。演奏を聴いてくださった地域の方々からは「若い力に元気をもらった」「高校生の活動を身近に感じられてうれしい」といった温かいお言葉をいただきました。こうした反響は、生徒たちにとって大きな励みとなり、自らの活動に誇りと自信を持つきっかけとなりました。ある生徒は「自分たちの演奏が地域の方々に届いたことが本当にうれしい」と話しており、学校の中や、コンクール出場だけでは得られない達成感を味わうことができました。

そして今の生徒たちは、やがて地域の担い手、街づくりの担い手となっていきます。今回の協定を通じて、イオンモール熊本様と手を携えながら、地域の皆さまとともに明るい街づくりに貢献していけることを心から願っております。学校と地域、そして企業が一体となり、未来を担う若者を育てていく新しい形を築いてまいりたいと考えております。

最後になりますが、今回の協定締結にご尽力いただいた関係者の皆さまに心より感謝申し上げます。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

「動員学徒殉難の碑」慰霊祭における校長式辞

「動員学徒殉難の碑」慰霊祭における校長式辞

令和7年10月25日(土) 熊本県立御船高等学校長

 

 本日、御船高校同窓会(天神会)副会長・御船町町議会議長の森田 優二 様、天神会名誉顧問の川野 光恵 様、御船町町長 藤木 正幸 様、そして「天神きずなの会」の皆様をはじめ関係各位のご出席のもと、令和7年度「動員学徒殉難の碑」慰霊祭を開催できますことは、本校にとって大変意義深いものであります。

 昭和16年(1941年)に勃発した戦争の期間、学校も戦時体制に巻き込まれ、学徒勤労動員として昭和19年(1944年)10月20日、旧制御船中学校から約五百名の学徒が学校を離れ、長崎県大村市にある海軍の工場へ赴きました。そして125日、アメリカ軍爆撃機B29の大編隊による空襲を受け、10名の学徒がお亡くなりになりました。さらに翌年2月には、福岡の飛行機製作工場での過酷な労働の中、1名の学徒が病気でお亡くなりになりました。

 戦後20年がたった昭和40年(1965年)10月25日に、かつての同級生の方々の発意で御船高校に「動員学徒殉難の碑」が建立されました。以来、毎年10月25日には、碑前において式典を執り行っています。

 時代は変わろうとも、忘れてはならない歴史を後世に伝えるとともに、平和を希求する精神を育てるために、この「動員学徒殉難の碑」があります。本日の式典には、全校生徒を代表し生徒会と芸術コース音楽専攻の生徒達が出席しております。また一部部活動の生徒たちも練習を中断して参加してくれました。後輩である生徒の皆さん、志半ばで斃(たお)れた諸先輩方の魂に、皆さんはしっかり守られていることを心にとめておいてください。

 本校は大正10年(1921年)に創立され今年で104年目となります。大正、昭和、平成、そして令和にわたって優れた先生方の御薫陶を受け、多くの人材が育ち、世に巣立っていきました。時代は変わっても、「天神の森の学び舎」は、可能性豊かな若者と情熱に溢れた教師との出会いの場であり続けます。平和を希求する精神が育まれてきた場所です。

 さて今年は、終戦80年の年です。悲しいことに世界を見渡せば、戦争が各処で起こっております。多くの犠牲者を出しても終わりが見えない状況です。でも私たちは、決してあきらめてはいけません。平和を希求する精神を持った人が益々増えれば、必ずや戦争は終わり、平和を維持できます。先の世代は戦争の悲惨さを経験し、命を懸けてこの国の平和を築いてくださいました。私たち世代はしっかりそれを守り、次の世代に平和を希求する精神を繋げなければなりません。

 今年の終戦記念日の前日に亡くなった、最後の特攻隊員、千(せん)玄室(げんしつ)さんは、「after you(お先にどうぞ)」の譲り合い、相手への思いやりの気持ちが世界平和には大事だとずっと訴えてこられました。私は、平和を希求する心というのは、互いを理解し、違いを認め、譲り合い、共に未来を築こうとする姿勢だと考えます。そのことを生徒たちに語り続けていこうと思います。

 結びに、御船高校は「誠実以て人に接す」「自ら進んで学を修む」「自律持って己を処す」の三綱領の精神もと、さらなる飛躍を目指し、たゆまぬ努力を続けるとともに、世界の平和と社会に貢献する心の育成に取り組むことをこの御船高校、殉難の碑の前にてお誓い申し上げ、式辞といたします。

 

令和7年10月25日

熊本県立御船高等学校 第三十代校長 橋本 岳範

 

第31回全国書道高等学校協議会熊本大会会場校校長挨拶

第31回全国書道高等学校協議会熊本大会会場校校長挨拶

(令和7年10月23日)

 皆様、ようこそ、御船高校へ。私は、御船高校校長の橋本岳範です。今年四月に着任いたしました。本日は遠路はるばる、第31回全国書道高等学校協議会熊本大会にご参加いただき、誠にありがとうございます。全国各地から書道教育にご尽力されている先生方を、ここ熊本県御船町の御船高校にお迎えできることを、校長として大変光栄に存じます。

 御船高校は、大正10年(1921年)に創立され、地域に根ざした教育を大切にしながら、今日まで歩んで参りました。今年で104年目を迎える伝統校です。普通科、電子機械科、そして音楽、美術、書道の3つの専攻を持つ芸術コースが設置してある、非常に特色のある学校です。所謂「STEAM教育」を進めているところです。私が本校の自慢をすれば長くなりますので、これ以上の学校紹介はやめておきます。お渡ししてあるパンフレットを後ほどご覧ください。とにかく今回の大会をお迎えするにあたり、教職員一同、心を込めて準備を進めてまいりました。御船高校なりのおもてなしを精一杯考えてまいりました。御船高校参加記念品も電子機械科、書道専攻で真心こめて作りました。お気に召して頂けたら幸いです。

 さて、地元「御船町」は、熊本県のほぼ中央に位置し、自然と歴史が調和した静かな町です。特筆すべきは、国内で初めて肉食恐竜の化石が発見された地であることから、「恐竜の町」として知られております。町内には「御船町恐竜博物館」があり、古代の地層とともに、太古の息吹を感じることができます。昨日、館長にも挨拶に行き、本大会参加者の訪問を大歓迎する旨、伝えられました。

 実は、私が本校に着任して本大会が本校開催と知り、限られた時間ですが皆様には御船町をできるだけ堪能していただきたいと考え、地元でおもてなしすることを決めました。御船町町長や同窓会長にその旨伝えると、大変喜んでくださいました。お二方とも皆様への大歓迎の意をおっしゃいました。熊本市内の良さもありますが、御船町も素晴らしいところがたくさんあります。

 御船町は、清流・緑・山々に囲まれた環境にあり、書に向き合う心を静かに整えるには、まさに理想的な土地だと思います。書道とは、筆を通して自己と向き合い、精神を鍛える営みでもあります。そうした意味でも、この御船の地で先生方が交流を深め、教育の在り方を語り合うことは、非常に意義深いことと感じております。

 結びになりますが、本大会が、全国の書道教育のさらなる発展に繋がる実り多き機会となりますよう、心より願っております。どうぞ、御船町の自然と文化にも触れていただきながら、充実した時間をお過ごしください。本日、明日とどうかよろしくお願いします。

令和7年度就職激励会校長激励の言葉(9月5日)

令和7年度就職激励会校長激励の言葉(9月5日)

いよいよ、皆さんが社会へと踏み出す第一歩となる就職試験の日が近づいてきました。今ここに63人います。この日を迎えるまでに、皆さんは多くの準備を重ね、悩み、考え、そして挑戦してきたことと思います。

今年も、本校の生徒たちは本当に多様な分野の企業に応募しています。中には、自分の所属する学科やコースとは一見関係がないように見える職種を選んだ人もいるでしょう。でも、私は断言します。皆さんが御船高校で学んできた専門的な知識や技術、そして日々の授業や活動を通して培った力は、必ずどこかで生きてきます。

普通科で身につけた幅広い教養や論理的思考力は、どんな職場でも必要とされる土台です。電子機械科で学んだ技術やものづくりの姿勢は、製造業だけでなく、ITやサービス業でも応用できます。そして芸術コースで磨いた感性や表現力は、創造性が求められる現代社会において、他にはない強みとなります。部活動、生徒会、ものづくり、そして音楽、美術、書道——それぞれの分野で培った集中力、継続力、そして自分を表現する力は、必ず皆さんの人生を支えてくれるでしょう。

「学んだことが直接役に立つかどうか」ではなく、「学んだことをどう活かすか」が、これからの皆さんの力になります。

 ところで、皆さん就職試験15分前の待ち時間だということを想像してください。同じような高校生がかしこまって自分の順番を待っています。どうですか、緊張していますか。面接でうまく質問の意味が取れないのではないか、頭が真っ白になったりしないか、話すときに声が上ずったりしないか、等々考えると緊張がピークに達するときがあります。緊張を少しでもほぐすコツを教えましょう。簡単なことです。待ち時間に、その場で10回ジャンプしてください。口も少しだけ開けたままでジャンプ10回。これ本当に、ジャンプすることで全身の筋肉がほぐれるのです。顔の筋肉も程よく弛緩します。ということは、口元もほぐれてこわばった表情ではなく、柔らかい表情になります。言葉も出るようになります。これは、東京の有名な舞台俳優から直接教わった方法です。何千人も前にして、覚えてきたセリフを演技とともに披露する舞台俳優は、それはそれは極度の緊張の中でステージに出てきます。そこで使う方法だそうです。私も試してみました。こう見えても、私も面接試験等を受けてきました。実際ジャンプすると、緊張がほぐれました。皆さんもぜひ試してみてください。周囲からは、あいつジャンプし始めたぞと思われるかもしれませんが、全然気にしない。恥ずかしくもなんともない。むしろ、就職試験でジャンプする船高生として評判になってきてほしいくらいです。とにかく口を開けて10回ジャンプ。周囲から笑われて来い。そのくらいの気持ちで、合格を勝ち取ってきてください。

どうか、試験の場では、これまでの努力と成長を胸に、堂々と自分自身を表現してください。私たち船高教職員一同、皆さんの挑戦を心から応援しています。頑張れ、船高生!

令和7年9月5日 熊本県立御船高等学校 校長