校長室より
令和8年度入学式校長式辞
式 辞
やわらかな陽光が天神の森に降り注ぎ、樹齢四百年を超える大楠が春風に吹かれて皆さんの入学を他の樹木とともに歓迎するようにそよいでいます。希望に満ちた春です。本日、ここに、御船町長 藤木 正幸 様、同窓会長 徳永 明彦 様 をはじめ、多くの御来賓の皆様の御臨席と保護者の皆様の御参列を賜り、令和八年度第八十回熊本県立御船高等学校入学式が盛大かつ厳粛に挙行できますことに、深く感謝申し上げます。
ただ今、入学を許可しました普通科一四二名、電子機械科八十名、総計二二二名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。そして、今日の佳き日を心待ちにしてこられた保護者の皆様に心からお祝いを申し上げます。本校教職員一同、新入生の皆さんを心から歓迎いたします。
本校は、大正一〇年(一九二一年)に旧制御船中学校として創立され、建学の精神である「誠実以て人に接す」「自ら進んで学を修む」「自律以て己を処す」の三綱領を教育理念として掲げて歩んできた、今年で創立百五年目を迎える歴史ある伝統校です。卒業生は二万五千人を超え、県内はもとより、全国各地、海外においても優れた才能を発揮し、多方面にわたって活躍しています。
また、普通科、普通科芸術コース、そして電子機械科という全国でも大変珍しい学科構成を有しており、新時代を担う人材を養成するのに相応しい多彩な学びを展開している学校です。
新入生の皆さんは、数ある高校から、この歴史と伝統ある御船高校を選んでくれました。校長として大変うれしく思います。本校に入学してくれて本当にありがとう。船高生としての第一歩を歩み始めるわけですが、一日も早く本校に慣れ、船高生としての自覚と誇りを持って、これからの高校三年間、自分の可能性を精一杯拡げて、充実した学校生活を送ってください。
本校に築かれた伝統と校風は、皆さんの先輩方がそうであったように、精一杯勉学に励んだり、様々な経験を重ねたりすれば、皆さんを人間的に大きく成長させてくれることでしょう。
そこで本日の入学式に当たり、新入生の皆さんに、三つのことをお願いします。
一つ目は「人への思いやりと感謝の心を持つこと」です。皆さんはもともとこういう心を持っている人たちだと思っています。でも、高校生になって今まで以上に独り立ちした生活をしていくと、自分は一人で生きていると勘違いしてしまうかもしれません。保護者の方々をはじめ、多くの人たちに支えられ、応援されて生きているのです。また周囲には見えない支援者もいます。御船町の方々や同窓会の方々です。感謝の気持ちを忘れず、また今度は誰かを応援したり、支えたりする思いやりを持ち続けてください。一言でいうと「誠実」です。誠実な気持ちがあれば、深刻な社会問題であるいじめ等は決して起きないはずです。三綱領の一つ「誠実以て人に接す」、これを心に刻み、ここにいる皆さんが、生涯の仲間となることを心から期待します。
二つ目は「挑戦する心とどんな時も前を向く力」を持つことです。皆さんに問います。高校生になって新しい何かに挑戦したいと思ってここに来ましたか。使える英語を本気で学んで異文化体験をしようとか、中学までと違う部活動に挑戦してみようとか、思い切って生徒会に入って学校行事を盛り上げてみようとか、また探究活動で地元の活性化を町役場に提案してみようとか、はたまた他県の人が喜ぶふるさと納税返礼品を開発してみようとか、何か今までにない発想で新しいことをやってみてください。でも挑戦すれば、困難にぶつかったり、失敗したりします。失敗は挑戦にはつきものです。でもそこからまた先に進むのです。「どんな時も前を向く力」を高校時代に養ってください。挑戦して失敗して、また挑戦して失敗の繰り返しでたくさん学びを得るのです。学びは挑戦しなければ得られません。三綱領の一つ「自ら進んで学を修む」を実践し、強い人間になってくれることを期待します。
三つ目は「自分の行動に責任を持ち、自分自身を律する」ということです。自分の言動については、そのことが及ぼす影響について想像力を働かせて、善悪の判断をしてください。これから高校生となる皆さんには、自分の言葉や行動に責任を持つことが求められます。感情に任せて、過ちを犯せる年齢ではありません。それが許される年齢ではありません。大人になる第一歩として、自分自身を律することが求められます。三綱領の一つ「自律以て己を処す」を常に意識して、ルールを守り、規範意識を持つとともに、責任感を持って行動できる自律した人間になってくれることを期待します。
本校は、昨年度から生徒、職員と一緒に「授業も学校行事もワクワクドキドキする御船高校」作りに励んでいます。令和8年度からは、皆さんを加えて「もっともっとワクワクドキドキする御船高校」にしていきたいです。希望を抱いて入学された皆さん、どうかたくさんのかけがえのない体験、出会いを本校で実現させてください。私は、皆さんと御船高校を盛り上げていくことを想像すると、本当にワクワクドキドキしてきます。大いに期待しています。
保護者の皆様、これから学校とご家庭としっかり連携し、信頼関係の元で、お子様の教育に当たりたいと考えております。新入生の皆さんの夢実現に向けて御船高校教職員一同、全力で教育活動に取り組んで参ります。
保護者の皆様におかれましては、本校教育に対する御理解と御協力をどうかお願い申し上げます。
結びに、本日入学された皆さんが、自分の可能性を拡げ、様々な挑戦を通して大きく成長していくことを祈念し、式辞とします。
令和八年四月八日
熊本県立御船高等学校
校長 橋本 岳範
令和8年度1学期始業式校長式辞(4月8日)
令和8年度1学期始業式校長式辞(4月8日)
皆さんおはようございます。
いよいよ新たな年度、令和8年度が始まりました。1学期の始業式は、最も重要、今日考えたことは1年間心に刻んでおいてください。3年生は進路実現の年。先生方の指導・助言を信じて、自分の可能性も信じて、必ず進路希望を実現させてください。2年生は学校の中堅学年。222人の新入生を導きながら、勉強はもちろん、学校行事、部活動に精一杯励んでください。また地域と連携した活動など新しいことにも挑戦してください。
ところで3年生の皆さん、去年の1学期始業式の私の話覚えていますか。2年生は、知らないはずです。1年前は、アントニオ猪木の「元気があれば何でもできる」を紹介して、私がプロレスファンだったと述べました。そして「元気があれば大体のことはできる」との50年以上生きてきた私の実感を話し、「どんな時も前を向く力」を持てと言いました。とにかく元気でいこうと。それと、時代のキーワードである「予測困難」とか「不確実性」という言葉を出して、逆に目標はあっても先が見えないからこそ人は努力し、考え、前に進むことができるのだと話しました。覚えていましたか?
ここで、私が船高生を誇りに思うこと2つ紹介します。
1つ目。また1年前のことを思い出してください。令和7年4月1日、御船高校が県下で目立った出来事は何だったでしょうか。そうです。県下初のアイスの自販機設置です。皆さんに話したと思いますが、その反響が大きくて、私が以前勤めた熊本西高、そして熊本高校から「ぜひうちもしたい、どうしたらいいのか。」と問い合わせがありました。「あれは生徒会の発案で、様々な課題を先生方と乗り越えて実現させたものだ。」と説明したことでした。熊高の生徒会や保護者からも問い合わせがあり、その年の生徒会立会演説会では、数名の立候補者が、公約に掲げたそうです。で、1年後の令和8年4月1日、つまり1週間前、熊高からやっとアイス販売が実現しましたと連絡がありました。熊高生が船高生に倣って、公約実現させたのです。熊高生が喜んでいる姿が想像できます。
2つめ。昨年の高校生県議会で、本校生徒会が地域に小中学生の放課後の居場所がないので、そういうのを作りたい、そこに高校生がボランティアで参加して英語を教えたり、自らも学んだりできるような場を作りたいと提案しました。県の教育長も県議会議長もうちの生徒たちの提案を激賞し、2月の県議会で事業化、予算化されました。船高生が県議会を動かしたのです。このようなことは、滅多にないことです。
これが船高生なのです。皆さんは恐るべきパワー、影響力を持っているのです。本校では、一見困難な生徒のアイデアを先生たちも尊重し、様々な課題があっても、生徒自身がその解決策を一生懸命研究するなら、先生たちも一生懸命手伝うというスタンスです。そういう学校、ワクワクドキドキしますよね。
私は、皆さんにワクワクドキドキする体験を船高でたくさん積んでほしいと思っています。実体験に勝るものはないのです。勉強、部活動、学校行事、ボランティア、探究学習、はたまた失敗、しくじり、高校時代の精一杯の体験から、「生きる力」を身につけてください。みなさんと一緒に「もっともっとワクワクドキドキする御船高校」を作っていきましょう。
以上、令和8年度最初の校長式辞とします。
令和7年度修了式 校長訓話
令和7年度修了式 校長訓話(R8.3.24)
皆さん、一年間の学びを締めくくるこの修了式を迎えました。まずは、令和7年度、皆さんが今日まで頑張ってきたことに対して心からお疲れ様と言いたいです。今年度は、御船高校にとって大きな飛躍の年でした。皆さんの勉学、部活動、学校行事、そして地域との関わりの一つひとつが積み重なり、その成果は、先の入試の志願者数大幅増加という形で表れました。新入生がこれほど多く入学するのは、十年ぶりのことです。222人ですよ。皆さんの日々の姿が、地域の方々や中学生、保護者の皆さんにしっかりと伝わった証です。たくさん入ってくる後輩たちを、先輩としてかわいがって、本校の三綱領に則った船高生となるようしっかり導いてくださいね。
今日は、2つのことについて話します。
1つ目は、「城山の松」の復活と立ち入り禁止解除
本校の校歌にも歌われる「城山の松」が、地域の方々の尽力により見事に復活しました。当の昔に無くなっていた城山の松ですが、1月31日に植樹され、地域にとっても本校にとっても大きな喜びです。当日の植樹式では、音楽専攻の生徒たちが寒風の中、校歌を歌って地域の方々とその復活を祝いました。
しかし、皆さんも知っているように、城山は長らく本校生立ち入り禁止となっていました。その理由は、過去に本校生が城山で不適切な行動をとり、しかもその場所が御船小学校の目前であったため、地域の信頼を大きく損ねてしまったからです。高校生が小学校の目の前で悪さをしている、その事実は、学校として本当に恥ずかしく、深く反省すべき出来事でした。だからこそ、私たちは長い間、城山への立ち入りを禁じ、信頼回復に努めてきました。城山の松復活を機に、城山への立ち入りを許可することにします。ただし、これは「自由にしてよい」という意味ではありません。過去の出来事を忘れず、二度と同じことを繰り返さないという強い自覚が必要です。城山は御船の象徴であり、地域の宝です。そこに立つ皆さんの姿が、地域の人々にどう映るかを常に考えてください。新学期始まったら、ぜひ、クラスで遠足と思って一度「城山の松」を確認しに行ってください。そして城山からの眺めと桜の美しさも見て、令和8年度に向ける思いを新たにしてください。
2つ目は、「物にも魂が宿る」
日本人は、日々の生活で使う道具にも魂が宿ると考え、物を大切にいたわる文化を持っています。付喪神(つくもがみ)という妖怪がいるのを知っていますか。長い年月を経て使った道具や物などに宿る精霊のことです。ここである雑誌のコラム記事(日本講演新聞中部支局長 山本孝弘 氏 記事 R7.1.13)を紹介します。
栃木県のある会社では、その会社で長年頑張ってくれた特殊車両や社用車を廃車にするときに「廃車式」を執り行っているそうです。感謝を込めて車をよく洗い、ワックスをかけ、みんなで見送るそうです。「廃車にする車にそんなことをする意味はない」と思われる方もいるかもしれませんが、針供養の文化が残る日本には、役目を終えたものを大切に見送るこの精神に共感する人も多いのではないでしょうか。そして、その会社に思わぬ変化が起きました。社員一人一人が車両を丁寧に扱うようになり、事故が激減。保険料が大幅に下がり、廃車式を行う前に比べて、経費が約200万円も削減できたそうです。物に宿る魂が穏やかな気持ちになり、それが人にも伝染してよい循環が生まれたのかもしれません。
また、別のある会社の社員がガソリンスタンドで給油をしたところ、そこで働いていたアルバイトの高校生が、「御社では高卒の採用はしていませんか。」と尋ねてきたそうです。社員がそれを社長に報告すると、後日別の社員からも同じ報告がありました。気になった社長は、「今度その高校生にどうしてうちの会社に興味を持ったのか聞いてほしい」と頼みました。質問した社員に、高校生はこう答えたそうです。「どの社員の社用車も道具箱がいつも整頓されている。こんな先輩たちのいる会社で頑張りたい。」と。心動かされた社長は急遽高卒の求人手続きを行い、彼を面接。家計のためにアルバイトをする親思いの姿を知ることもでき、即座に採用を内定したそうです。
物を大切にする心が経営をよくし、また良い縁を運んでくる。この2つの話はとても大切なことを教えてくれた気がします(ここまでがコラム記事です。)
ついでにもう一つ。日本ハムファイターズの監督は知っているでしょう。新庄 剛監督。有名な話だから知っているかもしれませんが、新庄監督はプロ入り後、初任給で7500円のグラブを購入し、それを現役引退まで17年間使い続けました。高給取りのプロ野球選手がですよ。破れても買い替えず、修理しながら使い続けたのは、父親からの教えが理由です。植木職人だった父親からは、よく「商売道具を大切にしろ」と教えられたそうです。その教えを胸に、道具を粗末に扱うことを嫌ったといいます。
君たちも普段から同様のことをやっているでしょう。電子機械科の実習棟に行けば、代々何十年と使いこなされた道具類が整理整頓されています。私は今年度赴任して初めて実習棟に入ったとき感心したことです。芸術コースの楽器や絵画道具、書道道具もそうでしょう。それぞれの部活動の部室も同じだと思います。私も自分の子どもたちには、使い古したり小さくなったりしたシューズ等をゴミ箱に捨てる時には、必ず袋に入れて「ありがとうございました」と言わせていました。私自身もずっとそうしています。
さあ、年度末に皆さんは、新年度の準備をするために令和7年度の教科書やノート、プリント類を整理したり、処分したりするでしょう。他にも自分の衣類や道具の類も片づけるかもしれません。その時に、どういう行動しますか。付喪神、「物に宿る魂」を思い出してみてください。「物に宿る魂」に感謝の気持ちを忘れなければ、物の魂と皆さんの魂が共鳴し合い、幸運のスパイラルが展開すると思います。
では、4月8日の始業式に元気な顔でみんなと再会できることを楽しみにしています。
令和7年度第78回卒業証書授与式 校長式辞
令和7年度第78回卒業証書授与式 校長式辞
冬の厳しい寒さも和らぎ、春の訪れを待つ天神の森の木々の芽がようやく膨らみ始めた今日の佳き日、熊本県議会議員 住永 栄一郎 様、御船町 町長 藤木 正幸 様 をはじめ、多くの御来賓並びに保護者の皆様の御臨席のもと、熊本県立御船高等学校令和七年度、第七十八回卒業証書授与式をこのように厳粛な中にも盛大に挙行できますことは、この上ない喜びであり、心より感謝申し上げます。
また、皆様には平素から本校教育に対しまして、御理解と御協力・御支援をいただいておりますことに、厚く御礼申し上げます。
本日晴れて、卒業証書を手にしました普通科104名、電子機械科54名、総計158名の卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。皆さんの卒業で、本校の総卒業生数が2万5千名の大台を超えました。本校の教育課程を修了して手にした卒業証書は、これまで積み重ねてきた皆さん自身の努力の賜物ですが、御家族や親族、友人、先生方、地域の方々など、本当にたくさんの方々からの愛情と支援によって実を結んだ証書でもあります。そのことを深く心に刻み、本校からの旅立ちに際し、お世話になった方々には、将来に向けた力強く確かな志とともに、感謝の気持ちを伝えてもらいたいと思います。
思い返すと、皆さんは新型コロナウイルスのために、小学校を混乱の中卒業して、中学校は様々な教育活動が制限された中で過ごし、そして御船高校入学後、暫く経ってコロナ明けを迎えました。コロナ禍でそれまで閉じた中学時代から、一気に多くの中学校から集まった高校に入学し、当初は友達作り、人間関係構築に思い悩んだ人も多かったかもしれません。しかし、授業や部活動はもとより様々な学校行事に取り組む中で、船高生同士かけがえのない絆を育んできたことと思います。新潟上越でのスキー修学旅行、各学科コースに応じたプログラム、そして、体育祭、龍鳳祭など、船高生が一丸となって盛り上げる学校行事の思い出は生涯の宝となったことでしょう。それらを経験するたびに、皆さんは一つ一つ成長してきたのです。
今年度は、御船高校への注目度がさらに上がった年でした。新聞、テレビにもよく取り上げられました。皆さんの努力がいろいろなところで認められているのです。体験入学参加者数も昨年度から倍増、県知事からも地方の高校のトップランナーになってきているとの評価をいただきました。その成果の影には、最上級生として苦労したことも多かったと思います。同級生、後輩たちを応援したり、支えたりして、船高の可能性を引き出してくれました。私が特に印象深かったのは、今年度の体育祭です。皆さんが学校を盛り上げたい一心で企画に取り組んでいたことです。そして最後は、肩を組んで皆で校歌をうたい、涙を流していた姿です。今時このような高校生はそうはいません。感動しました。皆さんに感謝しますし、誇らしく思います。卒業後もこの経験を次の舞台でも生かしてください。
さて、皆さんがこれから進む社会は、国内外でさまざまな課題が複雑に絡み合う、まさに「混迷の時代」です。国際情勢は刻々と変化し、国内でも政治・経済・環境など、多くの問題が山積しています。 こうした時代に生きる皆さんに、私は二つ、強く願うことがあります。
一つ目は、毎朝、新聞を読むことです。ネットニュースは便利です。しかし、効率よく情報をつまみ食いするだけでは、社会の本質は見えてきません。 新聞には、取材に時間をかけ、事実を丁寧に確認し、背景や文脈まで含めて伝えようとする姿勢があります。今の社会では、「タイパ」や「苦労キャンセル」という言葉が流行し、手間を省き、すぐに答えを得ようとする風潮が広がっています。生成AIの進化もあり、情報は一瞬で手に入るようになりました。しかし、楽をして得た情報は、深い思考に繋がりません。時間をかけて読み、考え、疑問を持ち、自分なりの答えを探す。その積み重ねが、皆さんの判断力を磨き、新しい価値観で社会を変えていく力になります。
ドイツの物理学者アインシュタインは、速さよりも深い思考を重視し、「私は特別に賢いわけではない。ただ、問題と長く付き合うだけだ」と語っています。速さや効率ばかりが求められる時代だからこそ、皆さんには、時間をかけて考える力を大切にしてほしいのです。どうか、急がず、焦らず、しっかりと自分の頭で考える人であってください。 そして、社会の一員として、自分の未来と世界の未来を結びつけながら歩んで行ってください。
二つ目は、政治に関心を持ち、世界を自分事にしてください。 先月選挙がありましたが、選挙の時だけ思い出すものではありません。日々の暮らしの中で、社会の動きを自分事として捉え、国内だけでなく世界にも目を向ける姿勢を持ってください。そして、自分は社会に何ができるのか、どう貢献できるのかを、自分自身で考え続け行動を起こしてほしい。 その問いを持ち続ける人こそが、社会をより良くする力を持つ人です。
アメリカ合衆国第35代大統領、ジョン・F・ケネディは就任演説でこう述べました。
「Ask not what your country can do for you, ask what you can do for your country.
国があなたのために何をしてくれるかではなく、あなたが国のために何ができるかを問うてほしい」と。政治への関心を「自分ごと」として捉えてほしい。もちろん、国内だけでなく世界の政治についても同様です。そうすれば、自ずと「平和」を希求する気持ちに行きつくでしょう。
「毎朝、新聞を読んで社会や世界で何が起こっているのか知り、自分はそこで何ができるか考え行動する。」これを皆さんが卒業した御船高校校長、橋本からの最後のメッセージと心にとめておいてほしいです。きっと「混迷の時代」に船高卒業生が、希望の光となって様々な社会の課題解決に取り組む人材になるでしょうし、平和な世界を作る一員となってくれることでしょう。
輝かしい門出にあたり、本校職員一同、それぞれが皆さんの前途洋々たる未来に、あらためて、深く思いを致すところです。龍鳳となり力強く雄飛せんことを心より期待します。
結びに、卒業生の皆さんが本校の三綱領 「誠実以て人に接す」「自ら進んで学を修む」「自律以て己を処す」を深く胸に刻み、激動の時代をしなやかに、心豊かに、それぞれの道で活躍し、幸多き人生であることを祈念して、式辞とします。
令和八年三月一日
熊本県立御船高等学校 校長 橋本 岳範
御船高校魅力化コンソーシアム設立準備会(R8.2.20)校長あいさつ
皆さま、本日は大変お忙しい中、「御船高校魅力化コンソーシアム設立準備会」にお集まりいただき、心より感謝申し上げます。 御船町藤木町長様をはじめ、行政、企業、大学、地域団体など、まさに産官学金の代表の皆さまにお越しいただいたことは、御船高校にとって大きな励みであり、未来への確かな希望です。
まず御船町の皆様に改めて深く御礼申し上げます。日頃から温かいご支援、学校への力強い後押しが、今の御船高校を支えています。地域連携、生徒の活動支援等、その一つ一つが学校の活性化に繋がり、確かな成果として表れています。
また、イオン熊本様には、生徒の学びの成果を発表する場として店舗スペースを提供して頂きました。生徒達にとって一般のお客さんに自分達の練習の賜物を披露することは、“本物の達成感”に繋がる機会となりました。自分達の取組を地域の方々に直接伝え、反応をいただくことで、彼らの表情は誇らしさと自信に満ち溢れていました。デジタルサイネージにおいても学校紹介をして頂いております。
さて、今、教育を取り巻く環境は大きく変化しています。 高校無償化の影響により、全国的に私学人気が高まり、県立高校はこれまで以上に“選ばれる学校”であることが求められています。 今日の朝日新聞朝刊にも特集されていました。さらに熊本県では「県立高校の在り方検討会」が進み、地域の高校の存在意義そのものが問われる時代に入りました。少子化が加速している中、学校の魅力を創造し、それをどう発信していくか、について私もこれまで研究を重ねてまいりました。「生徒募集」は本校にとっては一丁目一番地として取り組んできたことです。そのような中で、ここにおられる方々皆さまからのご支援を得てきたことが、一つ成果として現れました。
それは、令和8年度入試の出願者数の大幅な増加です。 過去に例を見ないほどの伸びを示しました。新聞報道等でご覧になった方もいらっしゃるでしょうが、少子化、私学人気等、逆境の最中で、県下で伸び率ナンバーワンの県立高校となりました。これは、地域の皆さまの支え、そして生徒・教職員の努力が結実した結果であり、この場を借りて心から感謝申し上げます。
ただ今回の志願者増を一過性のものに終わらせないために、今日立ち上げる「魅力化コンソーシアム」が必要です。単なる組織づくりではありません。 これは、10年後、20年後の御船高校を、地域とともに創り上げるための最初の一歩です。
学校だけではできないことが、地域と繋がることで可能になります。企業の皆さまの専門性、行政の皆さまの視点、地域の皆さまの知恵と経験。それらが結集することで、生徒たちの学びは確実に変わります。そしてその変化は、御船町をはじめとした上益城の未来を変える力になります。
どうか船高生を育てることは、地域人材、または日本社会を支える人材作りだと思って、本コンソーシアムで様々なアイデアを出して頂きたいと思います。ひいては、全国で同じ課題を持つ高校、地域に、「御船モデル」として提案できることを目指したいです。
どうか本日の協議を通して、御船高校の可能性をさらに広げ、地域社会の未来を切り拓く力強い一歩となりますことを心より願っております。
結びに、これまでのご支援に深く感謝申し上げるとともに、今後とも御船高校への変わらぬご協力をお願い申し上げ、私のあいさつといたします。
本日はどうかよろしくお願いします。