Global Series Vol. 6:Ashikita Senses
[JP]
芦北高校農業科の活動を世界へ届けるシリーズ。
私たちが大切にしている活動の記録を厳選し、月に一度、英語版としてお届けします。
第6回は、6月4日の「2年生・果樹総合実習(不知火のブラインド・テイスティング)」の記録です。
[Global Series Vol. 5:The Chemistry of Baking and Respect for Professionals はこちら]
[EN]
Sharing the passion of Ashikita Agricultural High School with the world. Once a month, we present an English edition of our specially selected stories. Vol. 6: Sophomore Fruit Tree Practice — Shiranui Blind Tasting (Jun 4th).
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— Sophomore Fruit Tree Practice: Unlocking the Secrets of Shiranui Through a Blind Tasting —
"It’s totally different! This one is so sour!"
"Don't you think this one has a richer flavor?"
"I think I prefer Option A!"
Today, the classroom for our second-year Agricultural Department students was buzzing. Arranged on the desks were two types of "Shiranui" citrus that looked absolutely identical. However, the moment the students tasted them, their expressions changed completely. The room filled with the raw, sensory exclamations of mixed confusion and excitement.
This lesson featured a "blind tasting" designed to help students understand the unique characteristics of different citrus varieties and strains. As students of Ashikita Agricultural High School, we want them to do more than just eat and say "delicious"—we want them to become experts who can discern the most subtle differences. This marked the beginning of a slightly challenging yet highly exciting practical lesson born from that very wish.
■ The Four-Stage Judgment: No Easy Way Out
The "Variety Tasting Worksheet" provided two clues: "Hinoyutaka," born in Kumamoto, known for its quick reduction in acidity and a mellow flavor; and "M16A," a classic strain that develops a deep richness and a punchy acidity through careful storage.
The worksheet listed specific evaluation items, such as the color of the pulp, the thinness of the inner skin, and the mildness of the acidity. Crucially, there was no option for "average" or "neutral." The teacher's voice echoed through the room: "Try to make your evaluations definitive. There is no single right answer, so trust your own senses."
Munch, munch... Gulp.
The students focused all their energy on their taste buds. If this were just an ordinary snack time, it would have ended with simple smiles. However, the profiles of these students—showing the burgeoning pride of future growers—were intensely serious.
■ Lost in a Maze of Senses "They Look the Same, But Taste Completely Different!"
After the initial tasting, a quiet passion enveloped the classroom. The students grew quiet, staring intently at their worksheets, sinking into deep reflection as they translated their sensations into words and numbers.
Carefully recalling the flavors lingering in their mouths, they pieced the clues together one by one. "Was that aftertaste the mellowness of Hinoyutaka, or the richness of M16A?" Comparing their memories with the hints before them, they trusted their intuition to guide them to their own answers. This is precisely what makes working with living agricultural products so fascinating and profound. Seeing the students hesitate, the teacher offered some guidance:
"The correct answer doesn't matter. It’s not about guessing right. What matters is knowing that a clear 'difference' exists in things that look identical, and discovering which one you prefer. Catching that feeling is the real goal."
The feedback from the students proved that they had turned a real page of agricultural science through their own physical experiences:
"They were different, but both were so delicious that I want to eat a lot more next time."
"The flavors were completely different, but I could barely see any difference in the color or the appearance of the pulp."
"The difference was clear and easy to understand. I want to utilize this knowledge when selling them."
■ A Single Bite Nurtures the "Eyes of a Professional" for Tomorrow
Cheers of excitement and groans of frustration erupted the moment the correct answers were revealed, followed by the teacher's commentary. As time passes on the tree or in the storage facility, the acidity of the Shiranui citrus decreases, causing its flavor to evolve period by period. Because the speed of this change and the sharpness of the flavor vary by strain, citrus cultivation is incredibly deep and interesting. The students listened quietly, discovering how much intricate natural drama is packed into every single Shiranui fruit they normally handle without a second thought in the orchard.
This opportunity to learn the differences between strains through physical experience is a precious moment limited only to this fruiting season. A single tasting session will not instantly turn them into all-knowing professionals. However, the seed of inquiry planted in their hearts today—"Why do they taste so different?"—will undoubtedly transform the way they look at things during future harvest and storage management practices.
Being moved by the complexity of nature beyond just "tasty," and by the incredible human skill required to master it—this is how Ashikita Agricultural High School "creates" dependable wisdom for the future of agriculture through real learning that engages all five senses. As the lesson concluded and the room was cleared, a faint, sweet-and-sour aroma of Shiranui lingered in the air. Having taken their first step toward becoming "growers who know the difference," we are already looking forward to the next harvest these sophomores will raise.
「わあ!」
「冷たーーい!」
本日5、6限目、1年生の「農業と環境」の授業で、待ちに待った田植え実習を行いました。
裸足になって、おそるおそる水田へと足を踏み入れる生徒たち。
一歩進むたびに、足の指の間をニュルッと抜けていく泥のなんとも言えない不思議な感触に、あちこちから大きな歓声(と悲鳴!?)が湧き上がりました。
最初は恐る恐るだった手つきも、次第に泥の感触を楽しみながら、一株一株、丁寧に苗を植え付けていきました。
【梅雨の合間の青空と、きらめく汗】
ここ数日は雨の日が続いていましたが、今日は見事な「梅雨の合間の青空」が広がりました。
じりじりと照りつける太陽のもと、額の汗を何度も拭いながら、一列に並んで泥にまみれる生徒たち。
泥だらけになった手足は、一生懸命に命と向き合った証です。
爽やかな風が吹き抜けるなか、みんなで声を掛け合いながら流した汗はどこか清々しく、クラスの絆もぐっと深まったように感じます。
【目指すは11月!全校生徒で食べる特製カレー】
今回植えたお米の品種は、ふっくらとした食感と甘みが特徴の「ヒノヒカリ」です。
陽の光を浴びて黄金色に輝く美味しいお米に育ってほしいのには、実は大きな理由があります。
なんと、秋の11月に開催される「収穫感謝祭」では、この自分たちが育てた新米を使い、全校生徒で一からカレーを調理して、みんなで美味しく食べる予定なのです!
「自分たちが植えた苗が、秋には全校のみんなを笑顔にするカレーになる」 そう考えると、これからの毎日の管理や、夏の暑い日の水やりにも自然と力が入ります。
お米作りの大変さと、それ以上の喜びを肌で感じる、農業科としての最高のスタートラインに立った1年生。
みんなの想いを乗せて、「ヒノヒカリ」よ、大きく元気に育て!
福祉科2年生による、福祉の視点から「みんなが暮らしやすい芦北町」を目指して、自分たちにできることを考え、実践する福祉探究学習がスタートしました。
第1回目は、芦北町役場 や 芦北町社会福祉協議会 の皆様にお越しいただき、芦北町の現状や地域で行われている取り組みについて学び、グループ協議を行いました。
協議では、子育てに関する課題や、障がいのある方の暮らし、地域での支え合い、防災のまちづくりなど、多様なテーマについて考えを深めることができました。
これから生徒たちは地域に出向き、さまざまな方々との出会いや対話を通して、課題を自分事として捉えながら学びを深めていきます。地域とのつながりの中で、一人ひとりがさらに大きく成長していきます!
数日前、暦の上では二十四節気の「夏至(げし)」を迎えました。
文字通り、いよいよ本格的な「夏に至る」季節の到来です。
農業にとっては、最も長い日長がこれから少しずつ短くなっていく重要な折り返し地点(節目)でもあります。
光の長さはピークを過ぎ、気温はこれから上がっていきますが、本格的な夏の暑さを迎える前に、九州地方の梅雨は一気に牙を剥きました。
本日26日は昨日からの大雨の影響を受け、本校は臨時休校の措置をとる事態となりました。
生徒たちの姿がない校舎は静まり返り、窓の外で激しく鳴り響く雨音だけが響いています。
今日は気温が下がり、幾分か過ごしやすさを感じる涼しさですが、雨は今も断続的に降り続いており、油断できない状況が続いています。
今はただ、生徒や保護者の皆様、そして地域の皆様のところに大きな被害が出ないことを、農業科一同、心から祈るばかりです。
■ 荒ぶる空と、リベンジの田んぼ
この激しい空模様を前に、農場では昨日25日、もうひとつの大きな挑戦である「田植え」の予定日を迎えていました。
実は昨年、現在の2年生たちが臨むはずだった田植えは、あいにくの天候不良により断念せざるを得ませんでした。
先輩たちが味わった自然の厳しさと悔しさを知るからこそ、今年かける農業科の想いはひとしおですが、自然相手の農業は人間の思い通りにはいきません。
昨日、そして本日と荒ぶる空を前に、田植えは一時見合わせとなっています。
しかし、1年生が大切にまいた種から育った苗は、この激しい雨をじっと耐え忍びながら、泥に深く根を張るリベンジの瞬間を今か今かと待っています。
今回の雨が落ち着き、安全が十分に確保され次第、改めて生徒たちと泥にまみれ、確かな一歩を踏み出す準備を進めてまいります。
■ 試練を超えて、確かな実りへ
夏至の時期にまかれ、梅雨の激しい雨のなかでじっと耐える苗は、これからの厳しい暑さや試練を超えて、やがて大きな黄金色の穂へと育ちます。
自然の猛威を目の当たりにしながらも、じっと前を向く生徒たちの学びの姿もまた、全く同じです。
まずは何よりも皆様の安全第一です。
この雨が上がり、再び農場や校舎に生徒たちの元気な声が戻ってくるのを待ちながら、私たちはこれからも、それぞれの場所で前を向く芦北高校の生徒たちを心からのエールとともに応援しています。
「夏至」
荒ぶる雨のなか、地域全体の安全と、前を向いて歩き出す生徒たちの未来を祈って。芦北高校より。
窓の外で、静かに、しかし容赦なく降り続く雨の音。
会場の入口にぽつんと置かれた、ハレの式典という見せ場をなくした立て看板。
本日、本校が事務局を担い開催された「令和8年度 第77回 熊本県学校農業クラブ連盟 年次大会」。
無事にプログラムを終えた今、私たちの心の中には、大きな安堵感と、それと同じくらい、天候のせいとはいえどうしても拭いきれない、悔しく切ない気持ちが入り混じっています。
【2時間遅れの決断。繋いだ発表のバトン】
大会2日目は大雨の影響を受け、当初の予定よりも「2時間遅らせて」受付とプロジェクト発表を実施するという異例の対応となりました。
そんな緊迫した状況の中でも、大会のメインである「意見発表」と「プロジェクト発表」が最後まで滞りなくやり遂げられたことは、本当に良かったと思っています。
これまで放課後の農業実習室で、テストの疲れも見せず、何度も何度も声を枯らして練習を重ねてきた農業科の生徒たち。
本番の壇上で、堂々と自らの学びを伝える姿は立派そのものでした。
また、急な時間変更にも動じず、Ⅰ類の運営を担当し、緊張感の中で進行を力強く支えきってくれた運営担当の生徒たちには、感謝の言葉しかありません。
スケジュールが乱れる過酷な環境ではありましたが、このステージに立ったすべての発表者にとって、これまでの努力が報われる「充実した年次大会」になっていたら、事務局校としてこれほど嬉しいことはありません。
【発揮されなかった、机の上の努力の跡】
しかし、だからこそ――安全を最優先し、最後の「大会式典」が大雨の影響により中止せざるを得なくなったことが、残念で、悔しくてなりません。
式典運営のために、司会進行の生徒が用意していた原稿。
そこには、何度も読み返したことが一目でわかるカラフルなマーカーの線と、余白に書き込まれたメモやフリガナが残されていました。
発表補助者として、ステージへの登場のタイミングや賞状を渡すタイミング、並ぶ順番など、一歩一歩の動きを身体で覚えた生徒たちの動き。
来賓や表彰者の方々をスムーズに、精度高く、それ以上に気持ちよく誘導するために練習を重ねた、あのハキハキとした声掛けや美しい所作。
県連旗を先導とともに先頭を切って入場するはずだった、県連会長の凛とした晴れ姿も、披露する場面を失ってしまいました。
いつもお世話になっている花の先生が、この日のために心を込めて用意してくださっていた見事なアレンジメントが、誰もいない式典会場で静かに佇んでいるのを見たとき、生徒たちが最高の準備を発揮する場面を逸してしまった喪失感に、胸が締め付けられました。
天候という理由だからこそ、ぶつけようのない悔しさが募ります。
しかし、あのマーカーだらけの原稿も、身体に染み込ませた精緻な所作も、生徒たちが「誰かのために」最高の準備を尽くしたという紛れもない事実であり、彼らの確かな成長の証です。
【心からの感謝を込めて】
最後になりますが、事務局校として至らない点もあったかと思いますが、この悪天候の中でも、前を向いて最高の発表をしてくれた他校の農業クラブ員の皆さま。
急な時間変更にも柔軟にご対応いただき、生徒たちの頑張りを温かく見守り、運営を支えてくださった審査員の皆さまや、ご来賓の方々。
そして何より、この大雨のなか、大会のために素晴らしい会場を快く提供し、多大なるご協力をいただきました芦北町の皆さまに、チーム芦北一同、心より深く御礼申し上げます。
地域の温かい後ろ盾があったからこそ、私たちはこの困難な状況でも、発表の場を最後まで守り抜くことができました。
この複雑な心境をバネに、私たちはまた次のステージへと歩みを進めます。
ここで蓄えたエネルギーを、次の挑戦へと必ず繋げていきましょう。
本当に、お疲れ様でした!
シャカ、シャカ、シャカ……。
静かな実習室に響くのは、ワイヤーが擦れる音と、細かく鋏(はさみ)を動かす金属音。
農業科3年生が今、全神経を指先に集中させて取り組んでいるのは、衣服の胸元を飾る小さな花束「ブートニア」の制作です。
これは、国家資格である「フラワー装飾技能検定」の実技試験に含まれる重要な課題の一つ。
今回はクラス全員の講義の一環として、この高度な技術の習得にみんなで挑戦しています。
生徒たちの机の上には、鮮やかな紫色のデンファレや、青々とした美しいグリーンの植物など、たくさんの材料が並びます。
【プロから学ぶ、ミリ単位の熱血指導】
この日は特別な実習。
日頃の授業に加え、外部から専門の講師の先生にお越しいただき、実技の直接指導をしていただきました。
完成したブートニアはとても華やかで優美ですが、その美しさを支える裏側には、地道で非常に細かい職人技が隠されています。
まずは、植物の茎の代わりに細い金属のワイヤーを通していく作業。
絶妙な力加減で花を傷つけないよう固定し、その上からフローラルテープを隙間なく、均一に巻きつけていきます。
指先に残るテープのわずかな粘着感を感じながら、長さを測り、細かく鋏を動かしていく緻密な集中力が求められます。
「ここ、もう少し綺麗に巻けるかな?」
講師の先生のお手本の手元をじっと見つめ、プロの洗練された技術を少しでも自分のものにしようと、生徒たちは熱心に耳を傾けていました。
第一線で活躍される先生からのリアルなアドバイスは、生徒たちにとって何よりの刺激です。
裏側を覗いてみると、細いワイヤーが美しく張り巡らされ、鮮やかな緑色のテープできっちりと巻き上げられているのが分かります。
この見えない部分の丁寧さこそが、表にある主役の花々を一番美しい角度でキープする「魔法」なのです。
【それぞれの目標へ向けて、技術を研ぎ澄ます】
全員が検定を受験するわけではありませんが、こうしてプロの技に直接触れ、本物の技術を学ぶ時間は全員にとって貴重な経験です。
講師の先生の丁寧なご指導のおかげで、最初は一本のワイヤーに苦戦していた生徒たちも、手つきがどんどん滑らかに、そして素早くなってきました。
ただ花を組み合わせるだけでなく、植物それぞれの個性を活かしながら、規格通りの美しい形へ。
検定合格を目指してさらに腕を磨く生徒も、この講義を通じて花を扱う楽しさや奥深さを知った生徒も、それぞれが自分の感性を大きく成長させた一日となりました。
お忙しい中お越しいただいた講師の先生、本当にありがとうございました!
「先生、お久しぶりです!」
本日、農場にとても嬉しい来客がありました。
本校農業科の卒業生で、現在は「東海大学農学部農学科」の「3年生」として、大学での学習や研究に励んでいる「宮内愛理」さんです。
高校を卒業し、さらに専門的な学びの道へ進んだ彼女。
今回はただ遊びに来たわけではなく、大学での大切な「研究素材」を集めるために母校の門を叩いてくれました。
【スマホの画面に映る、専門的な研究の目】
現在、大学で「植物病理学研究室」に所属しているという宮内さん。
本校の野菜、草花、果樹の圃場(ほじょう)をまわり、「病徴(病気の症状)」が出ている植物体をサンプリングしにやってきたのです。
「持って帰って病徴から判断するとともに、病原を特定するんです」と熱心に語る彼女。
見せてもらったスマートフォンの画面には、顕微鏡で捉えた「ブロッコリーのスス病」の病原がくっきりと映し出されていました。
かつてこの農場で基礎を学んだ生徒が、今ではこうして専門の目を持ち、持ち帰る柑橘類の葉を手に笑顔を見せる姿は本当に頼もしい限りです。
その生き生きとした活躍ぶりに、立ち会った職員も胸が熱くなります。
【現役生と一緒に。先輩が気軽に溶け込める農場環境】
こうして無事に研究素材を集め終えた宮内さんですが、実は彼女の妹さんが現在、本校農業科の1年生に在籍しています。
終礼までの待ち時間を活かして、6限目に実施されていた2年生のフラワーアレンジメント実習にも急きょ飛び入り参加してくれました。
現役の高校生たちと同じ机に並び、ひまわりやカーネーションを器用に生けていく宮内さん。
卒業して数年が経っても、こうして後輩たちの輪の中に自然と溶け込み、一緒に実習を楽しめるのは、本校の農場ならではの自由で温かい雰囲気があるからこそです。
【卒業生の皆さまへ、農場からのお願い】
卒業しても、何かあったときにこうして気軽に足を運んでもらえる場所であり続けられることは、学校にとってこの上ない財産です。
宮内さん、大学での研究、大変だけど頑張ってください!
最後になりますが、本ブログをご覧の卒業生の皆さま。
「研究の素材を探したい」
「恩師に近況を報告したい」
「久しぶりに農場の空気を吸いたい」など、理由はなんでも大歓迎です。
ぜひ、いつでもお気軽に農場へ足を運んでください。
後輩たちと職員一同、皆さんの元気な姿に会えるのを楽しみに待っています。
「――それでは、発表を始めてください」
マイクを通じて部屋に響く、少し緊張を帯びた、けれどもしっかりとした声。
カーテンを閉め切った総合学習室の暗がりに、ぽっと浮かび上がるプロジェクターの白い光。
そして、手元の資料をめくるカサリという微かな紙の音。
昨日の考査最終日、テストが終わったばかりの放課後のことです。
総合学習室には、息をつく間もなく集まった生徒たちの静かな熱気が満ちていました。
来週の23日(火)と24日(水)の2日間、本校を事務局(会場)として「令和8年度 熊本県学校農業クラブ連盟 年次大会」が開催されます。
【支える手、挑む声。それぞれの真剣練習】
この大会は、県内の農業高校から集まったクラブ員たちが、日頃のプロジェクト研究や自らの意見をステージで発表し合う、年に一度の大きな舞台。
本校は今年、その運営を担う事務局校を務めます。
昨日集まったのは、大会の成否を握る司会進行や計時などの「運営」を担う生徒たち、そして芦北高校の代表として壇上に立つ「意見発表」「プロジェクト発表」の生徒たちです。
発表チームは、スクリーンのタイミングを合わせながら、自分の言葉に熱を込めて語りかけます
一方の運営チームは、手元に置かれたマイクを前に、シナリオを何度も読み込みながら進行の流れを細かくチェックしていきます。
そこにあるのは、「自分たちの発表を成功させたい」という想いだけではありません。
「他校から参加する発表者の仲間たちが、少しでも気持ちよく壇上に立ち、日頃の成果を100%出し切ってほしい」
そんな、事務局校としての温かい「おもてなしの心」が、生徒たちの真剣な眼差し、そして何度も繰り返される練習の姿からひしひしと伝わってきました。
【最高の舞台を、私たちの手で】
テスト勉強の疲れも見せず、遅くまでリハーサルに邁進した生徒たち。
誰かの輝くステージは、こうして見えないところで汗を流し、準備を重ねる人の手によって創られていくのだと、改めて教えられる時間でした。
大会本番まで、あとわずか。
熊本県の農業を担う仲間たちを最高の舞台で迎えるために。
そして、自分たちの学びを堂々と伝えるために。
チーム芦北、一丸となって最後まで心を込めて舞台を整えていきます!
ピッ、ピッ。
静まり返った農場実習棟2階。
室内に響くのは、一定の間隔で鋭く鳴り響くタイマーのブザー音だけです。
その音が鳴るたびに、立ったまま問題と対峙していた生徒たちは一斉に動き出し、次の問題へと移動していく――。
4日間にわたる期末考査も、本日がいよいよ最終日。
農業科の締めくくりは、この試験時間内をフルに使って全学年が入れ替わりで挑む、「農業鑑定競技会」です。
【一瞬の迷いも許されない、専門知識の総力戦】
目の前に並んだ実物や写真を見て、その名称や特徴をわずか「20秒」で判別し、立ったまま解答用紙に滑り込ませるノンストップの知力戦。
日頃の授業や実習で培った「五感」のすべてが試される時間です。
例えば、草花分野の問題。
目の前に並ぶA、B、Cの苗をじっと見つめ、わずか20秒で特徴を見抜かなければなりません。
正解は「C」。
光沢のある葉と中央の白い葉脈が日々草の証です。
また、果樹分野から。
正解は「Bの採収ハサミ」。
果実を傷つけないよう刃先がわずかに曲がっています。
実習で使い慣れているはずの道具だからこそ、その細かな違いを見極める確かな「目」が試されます。
基本は20秒のハイテンポですが、うち2問だけ、タイマーが「40秒」へと切り替わる強敵が潜んでいます。
それが「計算問題」です。
総重量(2,800g)から個数(35個)を割り出し、「売り上げ(7,000円)」を導き出す。
20秒の波に乗っていた脳を瞬時にフル回転させ、立ち止まったまま、焦る気持ちを抑えて正確な数字を叩き出す40秒間。
次々と襲いかかってくる難問に、生徒たちは知識の引き出しをフルスピードで開け閉めしながら、限られた時間の中で解答用紙を埋めていきました。
【テスト終了の解放感、そして次へのステップへ】
最後のブザーが鳴り響き、これですべての考査が終了。
実習棟には、極限の緊張から解き放たれた生徒たちの、ホッとした笑顔と大きな歓声が広がりました。
しかし、農業科の夏はここからが本番です。
この鑑定競技は定期考査であると同時に、7月28日に開催される「熊本県大会」の予選。
さらに今日からは、来週に控える年次大会や部活動など、生徒それぞれが「次のステージ」へと一斉に走り出します。
ガチガチに縛られていたテストの時間が終わり、ようやく自分のために使える自由な時間が戻ってきた君たちに、この言葉を贈ります。
「時間は有限、その使い方は無限」
限られた時間の中で、どれだけ自分を磨き、輝かせることができるかは、これからの過ごし方次第。
ふと見上げると、朝からどんよりと曇っていた空には、いつの間にか目が覚めるような鮮やかな青空が広がっていました。まるで、張り詰めた緊張から解き放たれた生徒たちの心を映し出しているかのようです。
さあ、これから僕たちの「熱く」、そして「暑い」夏が始まります。
ここから選び抜かれる鑑定競技の代表メンバーも、それぞれの活動に全力で打ち込む仲間たちも、この青空のように真っ直ぐ、次の目標に向かって全力で駆け抜けていきましょう!
本日は定期考査の2日目。
静まり返った3年農業科の教室。
そこには朝から一点を見つめ、机にかじりつくようにして猛勉強に励む生徒たちの姿がありました。
一問一答に魂を込め、資料をめくる手にも熱が入ります。
すべては自分自身の理想の進路実現のため。
ここが踏ん張りどころです。
頑張れ、農業科三年!
【生徒が真っ直ぐ育つための環境づくり】
生徒たちが教室で未来を切り拓くためのテストに挑んでいる間、授業や実習がないこの時間を活かして、ある「奮闘」を続けていました。
それは、広大な実習園地の環境整備(草刈り)です。
今回は、長年タフに外を支えてくれている相棒の背負い式刈払機に加え、果樹の木々の間をスイスイと進む最新鋭のラジコン草刈機をフル稼働!
プロポを巧みに操りながら、傾斜にも力強くかじりつくようにして、生い茂る夏の草をスッキリときれいに刈り整えていきます。
ブーンと響くエンジン音のなか、ふと頭をよぎったのは、すでに退職されたかつての校長先生が遺してくださった、ある大切な言葉でした。
「環境は人を育む」
美しく整えられた園地、清潔な学び舎。
そうした清々しい環境があってこそ、生徒たちの心が真っ直ぐに育ち、豊かな感性や技術が磨かれていく――そう固く信じ、この手で環境を整え続けます。
【見えないエールを、刈り跡に込めて】
流す汗の先には、テストを終えて再びこの果樹園に戻ってくる生徒たちの笑顔があります。
教室で必死にペンを動かす君たちの熱気に負けないよう、私も外でプロポを握りしめ、全力で汗を流しています。
場所は違っても、目指すところは同じ。
私も頑張るから、君たちも最後まで諦めずに踏ん張ろう!
考査はまだまだ続きますが、一歩ずつ、共に乗り越えていきましょう!
〒869‐5431
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芦北町乙千屋20-2
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