せっかくの土曜日、心地よい休みの朝。
そんな日にもかかわらず、農業科の教室には熱心に机に向かう生徒たちの姿がありました。
先日6日(土)に行われたのは、農業科2年生による「フラワーアレンジメント講習会」。
休日であるにもかかわらず、7名もの熱意ある希望者が実習に参加してくれました。
【静けさと戸惑いから】
今回は外部から専門の講師の先生をお招きし、本格的なアレンジメント作成に挑戦しました。
まずは黒板の前で、先生によるデモンストレーションからスタート。
普段の授業とはまた一味違うプロの技を前に、生徒たちの視線も自然と引き込まれていきます。
しかし、いざ自分の机に戻り、目の前の真っ新なオアシス(吸水スポンジ)と大きな百合の花を前にすると、教室は一転して静まり返ります。
「本当にここにハサミを入れていいのかな……」
「どっちを向かせたら正解なんだろう」
ハサミを持ったまま「どう動くべきか」と、隣の席の様子をそっと覗き見ながら、最初の一歩を探る生徒たち。
そんな手探りの静けさから、実習は始まりました。
【先生の声掛けが導く、花との対話と広がる笑顔】
そんな戸惑いの空気を変えたのは、講師の先生が一人ひとりの席を丁寧に回りながら掛けてくださる、温かく具体的なアドバイスでした。
先生は生徒たちの手元にそっと寄り添いながら、大切なポイントを語りかけます。
「花の顔が見えるように挿してごらん」
「ここのスペースを埋めるようにしてみようか」
「全体の線を意識しよう」
それぞれの進み具合に合わせた的確な指導に背中を押され、生徒たちの表情がふっと和らぎます。
ヒマワリの鮮やかな黄色、ユリの高貴な白、そしてバラの可憐なピンク――。
ただ「飾られた植物」だった花々が、自分の手で向きを変え、ハサミを入れるたびに、まるで意思を持ったように生き生きと輝き始めます。
「あ、この向きにすると、すごく綺麗に目が合う!」
一本一本の「花の顔」と向き合い、対話を重ねるうちに、先ほどまでの緊張はどこかへ消え去り、教室には自然と柔らかな笑顔と充実した会話が広がり始めました。
【咲き誇る、7人7色の個性】
最初は一本の茎を切るのにも緊張していた生徒たちでしたが、終盤には教室のあちこちから、達成感に満ち溢れたとびきりの笑顔がこぼれるようになりました。
「最初はどうすればいいかわからなかったけど、完成したものは想像以上に上出来!」
「難しく考えすぎないほうが良いかも知れない。」
「でも、やっぱり表現するって難しい。」
生徒たちの口から漏れた感想は、楽しさのなかにも、ものづくりの奥深さと真剣に向き合ったからこそ湧き出る、確かな手応えそのものでした。
用意された花材はみんな全く同じものです。
しかし、完成した作品はどれ一つとして同じものはありません。
ダイナミックに線を強調したもの、花々をぎゅっと凝縮させて華やかさを演出したもの。
まったく同じ花を使っても、生ける人の捉え方ひとつでこれほど表情が変わる――それこそがアレンジメントの面白さであり、先生のアドバイスを吸収しながら、それぞれの感性を爆発させた「7人7色」の見事な芸術が出揃いました。
休日を返上して自らの技術と感性を磨き上げた2年生の挑戦者たち。
最初は戸惑いながらも、今日、花と向き合って掴んだ「空間を見極める目」や「美しさを構成する力」は、これからの農業の学び、精度高まる未来の様々な場面で、きっと大いに活きるはずです。
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