機械科とは
携帯電話から電気自動車まで、産業界のめざましい生産技術の進展により、私たちの生活はより豊かになっています。常に産業界の基盤となる「機械工学」は、あらゆる場面で欠かせません。例えば、携帯電話が高性能になるにつれて、電気をたくさん消費し熱くなってきますね。それを解消するために小型化や放熱するなどの対策は、実は機械科で学ぶ「機械設計」や「機械工作」といった内容なのです。
現在産業界では、コンピュータ制御による生産が中心となっていますが、その元となる技術は、熟練による経験と技術が必要不可欠であり、見直されています。
機械科では、「ものづくり」のために必要な基礎から応用まで、加工を実際に体験しながら、身の回りの製品や機械装置の設計・製作・運転・整備に従事する、すぐれた「スペシャリスト」を育てます。
3年間で「ものづくり」の基礎・基本を学びます。授業を受けているうちに、物を作るということはどういうことか、皆さんも自分の回りにある品物を手にとって考えるようになります。「どうやってこんな形に作ったか」が頭に浮かぶようになります。次に、この品物の材料は何だ?これはどのくらい使えるんだ?自分が座っても大丈夫かな?などなどいろいろなことが頭に浮かんでくるようになります。機械科では、頭に浮かんだことを実際に製作したり体験しながら学ぶ学科だと考えてください。
3年生の1年間で学ぶ「課題研究」は自ら課題を設定してグループで課題に取り組み、課題製作や発表をしてもらいます。その過程で仲間と協力する力や、自分の意見を発表したり、議論する力、製作に必要な技術も習得します。今年度は、水俣の鳥獣被害対策の箱罠システムの開発、アイデアロボット製作、真空成型装置の開発、レーザー加工機の製作、水俣湾探索のための水中ロボット開発など、オリジナリティに富んだものづくりに取り組みます。
水俣だからできるものづくりを行うことで、いろいろな力が身につきます。その力を生かして企業への就職をするもよし、工業高校推薦枠を利用して国公立大学に進学するもよし、起業するもよし、専門職公務員(機械分野は狙い目)を目指すもよし、まさに可能性は「無限大」なのです。
企業からの求人は、日本中の大企業からいただいています。特にトヨタ自動車にあるトヨタ工業学園は、1年間給料をいただきながら、卒業後は工場内の設備保全や開発業務に携わる道も拓けています。この学園卒業生の中には、副社長までのぼりつめたという話は、私たち工業を志す我々にとっては誇らしく思います。水俣高校機械科は、将来の日本を支えていく人を育てていきます。
機械科進路状況
就 職
JNC㈱水俣製造所、JNC開発㈱、新興製機㈱、YKKAP㈱九州製造所、本田技研熊本製作所
㈱テラプローブ九州事業所、肥薩おれんじ鉄道㈱、河村電器産業㈱、摂津工業㈱、㈱永井製作所
ヤマハ熊本プロダクツ㈱、熊本トヨタL&F㈱、九州産交整備㈱、一般社団法人 虹、熊本トヨタ自動車㈱
コカ・コーラボトラーズジャパン㈱、トヨタ自動車㈱学園生、デンソー㈱学園生、日産自動車㈱
ダイハツ工業㈱、トヨタ車体㈱、日野自動車㈱、㈱豊田自動織機、㈱アドヴイックス、大豊工業㈱
京セラ㈱ 鹿児島川内工場、マツダ㈱、トヨタ自動車九州㈱
住友ゴム工業㈱宮崎工場、日本製鉄㈱九州製鉄所、日産車体九州㈱、ASブレーキシステムズ
アイシン・エイ・ダブリュ㈱、JNC石油化学㈱市原製造所、JNCファイバー㈱
ダイキョーニシカワ㈱、日本製鉄㈱ 名古屋製鉄所、JFEスチール㈱東日本製鉄所
JFEスチール㈱西日本製鉄所、JFEスチール㈱知多製鉄所、大同特殊鋼㈱学園生、㈱正栄電設工業
公 務 員
水俣芦北広域行政事務組合消防本部、国家一般(九州技術職)、航空自衛隊、陸上自衛隊
進学
佐賀大学、山口東京理科大学、宇都宮大学、崇城大学、千葉工業大学、大阪産業大学
熊本総合医療リハビリテーション学院、九州工科自動車専門学校、久留米自動車工科大学校
機械科で学ぶ授業
機械の技術者と成るために、次のような科目を学習します。
実習と設計製図を核として 、実践教育を重視し、各教科と結合した学習を展開します。
①工業技術基礎(1年次 3単位)
工業の本質を体験的に学び理解する科目であり、各種材料の加工、計測、コンピュータなどについて実験実習を行い、それを通して学習します。
②実 習(2,3年次 各3単位)
工業に関する技術を実際の作業を通して学習します。
③製 図 (1,2,3年次 各2単位)
機械の図面はJISというルールに従って書かれた略図です。この図からものづくりをします。初歩的な知識を学び機械の図面が読めるようになり、書けるようになります。
④情報技術基礎(1年次 2単位)
情報の基礎知識から、コンピュータを使用し、プログラミングについて学習します。
⑤機械工作(2年次 2単位、3年次 2単位)
身近な製品がどのような材料で出来ているのか?なぜその材料が使われているのかが理解できるようになります。創造的、合理的に設計する能力を高めます。
⑥機械設計(1年次2単位、2年次2単位,3年次2単位)
力の種類や働き方、ねじや歯車などの機械要素(部品)の種類と性質。ものづくりに必要な知識や計算方法について学習します。物理・数学がなぜ必要かが理解でき、機械の構造に興味が持てるようになります。
⑦原動機(3年次 2単位)
ポンプや水車など流体機械やエンジンなど内燃機関などエネルギーを利用した機械について学習します。
⑧自動車工学(3年次2単位:選択)
自動車の基礎知識について学びます。自動車の3原則である「走り・曲がり・止まる」が理解できるようになります。
⑨生産システム技術(2年次 2単位:選択)
工場を動かす直流回路、交流回路、電気計測、生産技術などについての基礎的な知識を学習し、それを実際に活用します。
⑩課題研究(3年次 3単位)
週3時間を一年間かけ、いくつかのテーマに沿った研究を行います。いろんな知識・アイディアを用いた、ものづくりを行い、発表会でその成果を評価し合います。課題研究ではこれまでに様々な研究を行い、製品を製作しました。
(これまでの研究や製品製作)
鳥獣被害対策用の箱罠とセンサ、水中ロボット、レーザー加工機、ロボットコンテスト用マシン、真空砲
バーベキューコンロ、エコ電カー、電動スクーター、アルコールスタンド、アルミニウムギター、鉄道模型