建設工学科ブログ

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銅山川の調査-1学期間を振り返って-

 この1学期間、銅山川について地図を作成したり水生生物の調査にあたってきました。また、銅山川周辺からとれる石には鉄や銅が含まれることが分かりました。今後、流量が減るのを待って水質の調査を行っていきます。また、2学期以降については、いかにして銅山川に魚を呼び戻すのかについて研究を進めていきたいと思います。
 なお、この1学期間を振り返り、調査に携わってきた生徒諸君の感想を紹介します。

T.I(人吉二中出身)
 銅山川は、私が知っている川とは少し違っていました。私が知っている川には、石をひっくり返すと大きなクロカワ虫やカワゲラが1つの石に2~3匹はいます。また、大きな魚(ハエ、コイなど)もたくさんいます。銅山川では、どこを探してもクロカワ虫やカワゲラは見つからず、石を3~4回ひっくり返しても、見たこともない水生生物が1匹見つかるか見つからないかぐらいでした。今回の研究を通して、同じ川でもこうも違うものかと思いました。二学期は、さらに深く調べ、その原因を探りたいと思います。
銅山川1

T.T(相良中出身)
 一学期の課題研究では、銅山川の地図作成や水生生物の調査を行いました。銅山川の水は透明ですが、水中の石には、緑色をしたカビみたいな苔が張り付いていました。見たことのない苔で、水生生物が全くいませんでした。
 私が知っている川は透明で、石も綺麗でひっくりかえすと水生生物が絶対2~3匹はいます。なぜ、銅山川には水生生物がいない場所があるのか未だにわからないことも多いので、今後さらに調査を進めて解明したいと思います。
銅山川2

T.T(相良中出身)
 私が今学期の研究を通して川について多くのことを学ぶことができました。川というと魚が多くいて、釣りができるというイメージしか持っていませんでした。しかし、銅山川の採掘坑の下流には魚が全くいませんでした。また、川で遊んでいると様々な生物を目にしますが、銅山川では見たことのない生物を発見しました。何がどうなっているのか分からなくなりました。
 夏休みから2学期には、魚がいない川にどのようにすれば魚を呼び戻すことができるのだろうかということをテーマに研究を進めていきたいと思います。
銅山川3

K.F(山江中出身)
 銅山川に最初に訪れたとき、川の中に生物が全くいなかったことに驚きました。私は、どんな汚い川でも生物は住んでいるものと思っていたので、何故いないのかを調べたくなりました。
 近くに住んでいる方に話を伺うと、「上流のほうに銅の採掘場所があり川に毒が流れてしまい、それが原因で生物がいない」とおっしゃっていました。銅の採掘場所を探し、その上流を調査すると、様々な生物を確認することができました。川が寸断されていても、魚や虫たちが生息していたので、少し感動しました。二学期には、こうした魚や生物がどのように移動してきたかをさらに深く調査したいと思います。
銅山川4

R.Y(相良中出身)
 私は、今学期、銅山川について調べました。球磨川など普通の川には上流から下流まで生物がいるのに、銅山川には上流と下流には生物がいますが、中流には水生生物が全くいません。生物がいなかった場所の周辺を調べてみたところ、鉄や銅が石に含まれていることが分かり、このような石を初めて見ました。また、銅の採掘が盛んに行われていた頃の石垣なども残っており、私たちが普段見られない景色も多く驚くことばかりでした。まだ、わからないこともたくさんあるので、二学期の調査で新たな発見をしたいと思います。
銅山川5

第11回高校生ものづくりコンテスト九州大会(大分大会)

第11回高校生ものづくりコンテスト九州大会(大分大会)
建設系測量部門 3位入賞(優良賞)

 平成24年7月15日(土)大分市の鶴崎工業高校において、第11回高校生ものづくりコンテスト九州大会が開催されました。7月12日から続く豪雨(九州北部豪雨)のため、前日の14日に開会式が開催される予定でしたが、会場校にたどり着けない高校が多く、開会式や打ち合わせは中止になりました。本校チームも14日の朝5時半に出発し、10時頃に到着する予定でしたが、すべての交通網が寸断され、大分市内に到着したのが夜の8時となりました。何はともあれ、無事にたどり着けて良かったです。

 当日は、昨日までの豪雨は何だったのかと思えるほどの快晴で、若干の日程変更はあったものの、ほぼ予定通りにコンテストが開催されました。熊本県代表の建設工学科2年の橋口君(人吉二中出身、測量担当)、建設工学科3年の上原君(人吉二中出身、記録・計算担当)、白石君(人吉二中出身、計算担当)の3名は、適度な緊張感を保ちつつ、順調に測量作業と計算書作成を終えることができました。

 九州各県を勝ち上がった代表校同士の戦いとあって、レベルの高さを痛感しました。また、県大会同様に誤差がゼロであれば優勝できるだろうと思っていました。審査の結果、本校の誤差は1mm。惜しくも最優秀賞は逃しましたが、堂々の3位入賞を果たしました。 本当によく頑張ったと思います。来年こそ、県大会、九州大会を勝ち進み、全国大会優勝を目指したいと思います。

 審査結果
  最優秀賞 大分県立佐伯鶴岡高等学校 誤差0mm
  優秀賞  長崎県立大村工業高等学校 誤差1mm
  優良賞  熊本県立球磨工業高等学校 誤差1mm

九州大会1

九州大会2

九州大会3

九州大会4

銅山川の調査6 H24.7.10(火),12(木)

 以前、報告したように銅山川には砂防ダムを境として水生生物や魚がいない。そこで10日は、どのあたりまで水生生物がいないのかを確かめるために川を下った。
 まずは、近年整備された「あさぎり山荘」周辺。このあたりの石は、鉄分を含む赤い石が散乱している。石をはぐと、ごくまれに1mm程度の見たこともない水生生物を発見したが数は少ない。また、川底の石はヌルヌルとしていて、とても滑りやすい。なお、「あさぎり山荘」の横から銅山川に流れ込む小川があり、そこには沢ガニやアブラメの姿を確認することができた。また、川底の石はヌルヌルしていなかった。

銅山川1

銅山川2

銅山川3 銅山川4

 「あさぎり山荘」から約200m下流に堰を発見し調査を行った。堰には、魚道もなく、魚は遡上できないと思われた。水生生物はヒルとカエルでここも数が少ない。川はきれいだった。さらに川を下り、八幡宮横の銅山川を調査。その途中で一本の支流と合流している。川底の石はヌルヌルとはしていないが、水生生物はヒルぐらいで、相変わらず数は少なかった。フルーティーロードを横切り、500mほど下ったところを調査したところでやっと魚の姿を確認することができた。その途中にはもう一本支流と合流しているようだ。川に降りることはできなかったため水生生物の確認はできなかったが、2本の支流との合流により、水質が変化したのではないかと考えられる。

銅山川5

銅山川6

銅山川7

銅山川8

銅山川9

 12日には、これまでの調査結果を地図上に記録したり、文献を整理するなどして成果をまとめた。この夏休みを利用して、水質の調査を行っていきたいと思う。

銅山川の調査5 H24.6.14(木),20(水)

 建設工学科では、2年生で土粒子の密度試験を実施している。密度試験には、ピクノメーター、シャーレ、蒸留水、温度計、直視天秤、ガスコンロ、鍋といった機械器具を使用する。銅山川周辺で採取してきた岩石を細かく砕き、土粒子の密度を測定する要領で粒子の密度試験を行った。密度測定の結果は次のようになった。

銅山川1
ρ=3.510g/cm3(画像左)、ρ=2.823g/cm3(画像中)、ρ=4.195g/cm3(画像右)


 一般的な土に含まれる土粒子の密度はρs=2.65~2.70g/cm3であり、人吉球磨地域に多く見られるシラスでもρs=2.38g/cm3である。これらと比較しても銅山川周辺で採取してきた岩石を構成する粒子の密度は明らかに大きいことが分かる。

 そこで、岩石に含まれる成分を色などから鉄や銅であると推定し、化学の先生の協力を得て岩石に含まれる成分を調べた。その結果、すべての岩石に鉄が含まれていることが判明した。さらに、せん断破壊する岩石は石灰岩であることもわかった(塩酸につけると二酸化炭素を発生)。なお、今回密度試験を行わなかったが、緑青ではないかと推定していた岩石について調べてみたところ、鉄と銅の両方が含まれていることも分かった。このことからも、銅の採掘、精錬の過程で大量に発生したカス(鉄を含む)が銅山川の採掘坑周辺(溶鉱炉があった周辺)に多く取り残され堆積しているということがわかった。

 密度測定の様子
銅山川2

銅山川3

銅山川4

銅山川5

 化学分析の結果
銅山川6
 一番上の写真にある3つの石すべてを塩酸で処理し、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウムを加えたところ、青色に変化したので鉄(III)イオンが確認された。密度2.823g/cm3の白っぽい石に含まれる鉄は微量であり、塩酸処理の際、二酸化炭素が発生したことから石灰岩(密度2.5~2.7g/cm3)と考えられる。
 黄銅鉱(CuFeS2)を、コークス、石灰石、ケイ砂と共に溶鉱炉に入れて強熱すると次の反応が起こる。
  4CuFeS2 + 9O2 → 2Cu2S + 2Fe2O3 + 6SO2
  2Fe2O3 + C + 4SiO2 → 4FeSiO3 + CO2
  SiO2 + CaCO3 → CaSiO3 + CO2
 さらに、転炉内で次の反応が起こり、不純物を1%ほど含む粗銅ができる。
  2Cu2S + 3O2 → 2Cu2O + 2SO2
  2Cu2O → 4Cu + O2
 今回分析した密度の大きい石2種類は、鉄を多く含んでいることなどから、銅の製錬の際に生成する銅スラグ(密度3.6g/cm3以上)と考えられる。

第9回熊本県高校生ものづくりコンテスト

第9回熊本県高校生ものづくりコンテスト
建設系測量部門 金賞受賞(九州大会出場へ)

 平成24年6月17日(日)熊本県立玉名工業高等学校を会場に、第9回熊本県高校生ものづくりコンテストが開催されました。
 今年も環境調査サークルのメンバー5人で準備を進めてきました。選手は建設工学科3年生の白石佑樹君(人吉二中出身、計算担当)、同じく上原瞭君(人吉二中出身、計算・記録担当)、建設工学科2年生の橋口竜也君(人吉二中出身、測量担当)です。今年はとことん「精度を追求」し勝利することを目標としてきました。

 大会前日の午後には打ち合わせ会がありましたが、豪雨のために鉄道をはじめ高速道路や国道が通行止めとなり、本校チームが玉名に到着したのが午後6時となってしまい、打ち合わせに参加できなかったのはもちろん会場の下見すらできませんでした。疲れもピークに達し、チームは厳しい状況でした。
 大会は、外業(測量競技)と内業(計算書作成)のふたつの競技が行われ、各項目ごとに得点を重ね100点満点で勝敗を決定します。昨日の疲れが残ったままの3人でしたが、練習通りに競技に臨むことができました。そしていよいよ審査結果の発表です。年々、競技レベルが上がっているため、出場チームの差はほとんどなく、本年度の大会では98点の学校が3校ありました。同点の場合には、精度によって審査が行われます。我がチームの誤差は、なんとゼロ。残りの2校は1mmだったため、球磨工業高校建設工学科チームが金賞受賞となりました。

 7月15日(日)には、大分県の鶴崎工業高校で九州大会が開催されるため、熊本県の代表として出場してきます。もちろん九州大会でも「精度を追求」して勝利したいと考えています。応援よろしくお願いします。

ものづくりコンテスト1

ものづくりコンテスト2

ものづくりコンテスト3

ものづくりコンテスト4