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2022年8月の記事一覧

【SSH】水俣フィールドワーク②

8月2日(金)「SS国語探究Ⅰ」の授業の一環として、1年2組25名が水俣にフィールドワークに行きました。その報告の後半です。

【班別フィールドワーク】13:30~14:30 

午後は3つの班に分かれ、研修を行いました。

①「水俣病事件の科学的及び社会科学的検証」

講師:熊本県環境センター館長 篠原亮太さま

水俣病がチッソ工場の排水で汚染された魚介類を食べることで起きた、食物連鎖による重金属中毒であることはよく知られています。

篠原さんの講話では、メチル水銀生成反応やなぜ、人の身体に取り込まれたのかを、化学式等を用いて分かりやすく説明されました。

また、問題が拡大した背景に潜む、経済問題、貧困問題、都市と地方の格差問題、法の問題等、水俣病を考える上でのさまざまな視座を教えていただきました。

班別研修1

②「患者さんの暮らしと今も続く水俣病裁判」

講師:谷 由布さま 特別ゲスト:坂本しのぶさま

ヘルパーとして長年、患者さんたちの暮らしを支える谷さんと、胎児性水俣病患者である坂本さんのお話を伺いました。

生徒の感想より

「患者さんの何気ない生活が一瞬にして全く異なるものとなってしまったこと、症状や暮らしは患者さんによって違うこと、また、それぞれの方々の心情を知ることができて本当に良かったです」

「小・中学校の学習と比べて、水俣病の裏側まで学べました。今の水俣にもまだ課題は山積していて、水銀のことや裁判のことなど、大変だと思います。水俣に対する差別や、水俣病に対する差別也偏見をなくすためにも、まずはしっかり学んで、水俣・そして日本がより安心して暮らせるようにすべきだと思います。坂本しのぶさんが言われた“色々なことに対して自分も関係あると思って考える”ことをしていこうと思います」

 

 

③「水俣のお茶農家として」

講師:桜野園 松本 和也様

松本さんは水俣市で和紅茶を生産されています。ここで育てられているお茶は和紅茶の他、緑茶、ほうじ茶など現在6種類。1990年よりすベてのお茶を無農薬・無化学肥料で栽培しており、2005年からは肥料・農薬を一切使わない自然栽培にも取り組まれています。

 

【水俣病関連地フィールドワーク】14:30~15:30

最後に、吉永さんの案内の元、水俣病関連地を訪問しました。

①茂道

②坪谷(つぼたに・つぼだん)

1956年5月1日、一番最初の水俣病患者がこの小さな美しい岬から出ました。田中実子さんもその一人です。

現在、実子さんは24時間の介護を受けながら生活しています。

魚が豊富だった水俣の海も、現在は最盛期の10分の1くらいだそうです。原因の1つは護岸工事。自然に人が手を加えることで住めなくなった生物たちがいます。

生徒の感想より

「写真では白黒の風景しか見れないので、リアルの、色のついた鮮やかな実物とはとても同じ世界とは思えませんでした。それと同時に、白黒の写真の中で起こっていたことは、この現実の世界で起こっていたことだったんだと、当たり前のことを自覚させられました」

坪谷

 

③百間(ひゃっけん)排水口

水俣病の”爆心地”とも言われる場所です。流された水銀量は最大450トン程度といわれています。

このフィールドワークは9月はじめに報告会を行う予定です。

9月16日には水銀フリー講座、

また9月30日からは熊本学園大学水俣学研究センターの先生方をお招きして5回の連続講座を実施します。

一つの問題を1年間かけて深く掘り下げることで、問題の多面性に気づくとともに、課題を粘り強く考える力を身につけていきます。

令和4年度スーパーサイエンスハイスクール生徒研究発表会

今回、みらい創造科グローバル探究コース2年の3名が「バイオプラスチックの合成」というタイトルで全国のスーパーサイエンスハイスクール生徒研究発表会に参加してきました。

同じ高校生や大学の先生方にポスターセッションでしっかりと自分達の研究を発表することができていました。

また、様々な研究を見聞きすることで多くの刺激とやる気を得ることができたようです。

〔生徒感想〕

このような大きな場で、ポスターを作り、研究を発表することは初めてでしたが、人前で話すことや、質疑応答などでの対応力が身についたと思います。

発表では

「なぜ固くなるのか」「水質によって分解速度が変わるのか」「カゼインが多ければ多いほどいいのか」「柿渋溶液に含まれる柿渋の濃度は?」「カゼインプラスチックの分子構造は?」「プラスチックを薄くしても強度は変わらないのか?」

など科学的な質問を沢山受けました。

今後はそこをもっときちんと理解をするとともに、グラフなどでわかりやすく伝える方法や、実験などを行って証明できるようになりたいです。

 

 

【SSH】水俣フィールドワーク報告①

8月2日(火)1年2組25名「SS国語探究」の授業の一環として、水俣フィールドワークを行いました。

【エコパーク水俣・親水護岸】10:00

案内人:吉永利夫様のお話。背景にあるのは美しい海と恋路島。この海にはかつて仕切り網が設けられていました。総額485億をかけて作られたこの埋め立て地の下には水銀に汚染されたヘドロと共に、ドラム缶3000個分の魚たちが眠っています。

親水護岸・恋路島

【水俣病慰霊の碑】

沖縄の碑と違い、この碑にはなくなった方々の名前が記されていません。

また人だけでなく、魚や猫たちも亡くなっています。失われた数多くの命に黙祷を捧げました。

【語り部講話:川本愛一郎さま】10:30-11:30

川本さんのお父様、川本輝夫さんは、映画「MINAMATA」でチッソとの交渉や裁判で活躍するヤマザキのモデルとなった人です。輝夫さんは当時、沈黙を強いられていた滞在患者の家を訪ねて声を拾い上げ、水俣病患者救済の運動の先頭に立ってきました。

〔生徒の感想より〕

「川本さんのお父さんがチッソ工場に座り込んでまで話を聞いてもらおうとしたのに、話を聞くどころか、川本さんのお父さんを殴って蹴って、たくさんの怪我を負わせました。チッソや国や県は(水銀流出を)放置していたとばかり思っていたけど、まさか暴行まで加えているとは思わなくて、本当に驚いたし、聞いてて胸が痛かったです。資料館で埋め立て地の話や今も水俣病で苦しんでいる人たちがいる話を聞いて、水俣病の問題はまだ続いているんだなと痛感しました」

語り部講話

 

【水俣病資料館見学】11:30ー12:20

資料館は入り口から順に、水俣の歴史を追うことができるように展示がされています。

水俣病裁判の複雑な問題、埋め立て地の下に眠る水銀を今後どのように処置していくべきか、

改めて考えさせられました。

〔生徒の感想より〕

「これからもまだまだ課題があること、政治の対応が(東京と地方で)目に見えて違うことにびっくりした。たくさんの人、時間、お金が費やされて今の水俣があると感じた。”ここで終わり”ではなく、これから自分ができることを考えて行動しようと思った」

水俣病資料館1

水俣病資料館2

 

午後は3つの班に分かれてのフィールドワークを行いました。 こちらの模様はまた後日UPします。