校長式辞

 

熊本県立人吉高等学校全日制平成31年度入学式 校長式辞

 

 満開の桜の花びらがうららかな春の日差しの中で舞い、時折り吹きゆく風の勢いが、春の訪れを感じさせます。また、新元号「令和」の発表とともに、花のたよりもにぎやかな今日の佳き日に、人吉市長 松岡隼人様 球磨地域振興局長 國武愼一郎様 をはじめ、地元教育委員会、関係中学校の先生方、本校歴代校長・副校長先生方、同窓会、秀麗会等の役員の皆様など、多くの御来賓並びに保護者の皆様の御臨席のもと、平成31年度熊本県立人吉高等学校全日制第74回入学式を挙行できますことは、このうえない喜びであり、光栄の至りであります。

 只今入学を許可いたしました212名の新入生の皆さん、本当におめでとうございます。また、これまで皆さんのことを一番気にかけ、すこやかな成長を楽しみにしてこられた保護者の皆様のお喜びも一入と存じます。

 さて本校は、大正13年に誕生した熊本県立人吉中学校に端を発します。その後、大正5年に産声をあげた球磨郡立実科女学校、後の熊本県立人吉高等女学校と、昭和23年の学制改革に伴い統合され、熊本県立人吉高等学校として生まれ変わった、今年度創立96年目を迎える伝統校です。この間、人吉球磨地域の教育及び文化の中心的な役割を担って発展を遂げてきました。学舎を巣立った卒業生は全日制で38000有余名に上り、県内はもとより全国各地、あるいは諸外国で広く活躍されておられます。
 このような発展はその時々の生徒の頑張りと、歴代校長、その時代の教職員の見識と献身的な努力、そして同窓会、秀麗会、地域の皆様の御協力、御支援が実を結んだ結果であります。また、その礎となったのが、昭和39年の創立40周年式典で制定された教育綱領「礼節・勤労・進取」であり、その精神理念を表したスローガンとして平成13年に掲げられた「磨き鍛えん青春の志高く」であります。新入生の皆さんは、本校に誇りを持つと同時に、「創立百周年に向けて新たな伝統を築き上げていくのだ」という気概を持ち、本校の更なる発展に貢献して欲しいと思います。

 また、本校は新たな時代を見据え、大きな学びの改革BYHプロジェクトをはじめます。通常の授業や部活動、学校行事等に加えて、論理コミュニケーションやエンパワーメントプログラム等の導入をとおして、人高生がつけるべき三つの力「知識・技能・体験力」「論理的思考力」「アート力」の養成を目指し、自らを磨き鍛えて、Broaden your Horizons の合い言葉のもと、視野を広げて世界へ羽ばたいく人材づくりに力を注ぐ所存です。
 
 ところで、皆さんはロシアの作曲家ストラヴィンスキーのバレエ音楽「春の祭典」を知っているでしょうか。約百年前、パリのシャンゼリゼ劇場でその初演が行われました。当時としては複雑なリズムと聴いたこともないような不協和音に満ちた音楽で、それを不満に感じた観衆の野次や罵倒、更には客席で激しいもみ合いまで起こり、大きなスキャンダルとなりました。しかし、後にこの「春の祭典」は、その芸術的価値が認められていき、現在では20世紀最高の音楽として演奏され続けられています。ものごとの本質を理解することの難しさを物語る一つの例でしょう。
 
 あらゆる学問やものごとの本質には必ず美しさが存在します。それらは生活を豊かにする力を持っています。ところがそれを実践、表現するどころか、理解すること自体が難解なものも数多く存在します。しかし要、不要に関わらず、その壁に立ち向かうことが豊かな「学び」につながると思います。
 授業時間だけが「学び」の時間というわけではありません。部活動や学校行事等も「学び」の時間です。「文武両道」という言葉がありますが、この言葉は、異なるものを頑張るというよりも、異なる複数のものを自分なりに一つにつなげる力と解釈する方が、これからの人高生にとって「深い学び」への指針となるのでは、と思います。即ち「学び」とは生き方を学ぶことではないかと考えます。それを実現するためには、本校の教育綱領の「進取」という言葉にも謳われている、主体性が今まで以上に必要であり、新入生にも大いに期待するところです。

 新入生の皆さんは、これから始まる人吉高校での生活に大きな期待と不安をそれぞれ抱いているのではないかと思います。皆さんの周りには、学習面・部活動面・人物面で今まで出会ったことのない能力を持った同級生がいます。また先輩たちにも同様な人たちがたくさんいます。お互いに切磋琢磨しながら、自分の将来をしっかりと見つめ、高い志を立て、自分自身を磨き鍛えて、夢に向かって「学び」という活動を行って欲しいと思います。難解なものであろうと、学び続けることで夢に出会い、それに向かって努力をし、輝く人生のきっかけをこの人吉高校で見つけ、実り多き充実した時間を過ごして欲しいと願っています。
 
 新入生の保護者の皆様におかれましては、改めてお子様の御入学、誠におめでとうございます。本校職員も在校生も新入生の入学を心待ちにしておりました。高校生の成長には家庭と学校の連携はなくてはならないものであります。本校職員もお子様の教育に心血を注ぎ、指導、支援をして参ることをお誓い申し上げます。これからの高校生活において、本校の教育方針や指導に御理解いただきますとともに、お子様があらゆる教育活動へ積極的に取組めるように御支援、御協力の程お願い申し上げます。

 最後になりましたが、御来賓の皆様には御多用な中に御臨席賜り誠にありがとうございました。本校の使命の一つは人吉・球磨地域の進学拠点校として、グローバル+ローカル、即ちグローカルで多様な視点をもった人材の育成であります。これまでも地域の皆様方からの御支援、御協力をいただいておりますことに大変感謝しております。これからも人吉・球磨地域の拠点校として、更に連携を強め、地域教育の発展に力を注ぐ所存でございますので、どうか本校の更なる充実と振興のため、一層の御厚情を賜りますようお願い申し上げ、式辞といたします。

   平成31年4月8日
        熊本県立人吉高等学校長    光 永 幸 生


1学期始業式校長式辞(平成31年4月8日)

 

    新元号「令和」の周辺 ~人高の新たな時代を感じて~  光 永 幸 生

 1学期始業式にあたり、私から話をさせていただきます。いよいよ新年度が始まりました。まずは大きな事故等もなく、皆さんがここに集まっていることを心から嬉しく思います。

 さて、皆さんも知っているとおり、新しい元号である「令和」が発表されました。これまでの247の元号のうち、確認できる範囲で、初めて国書、すなわち日本で書かれた古典から引用されたものだそうです。引用元の「万葉集」には「初春の令月にして 気淑く風和らぎ 梅は鏡前の粉を披き 蘭は珮後の香を薫らす」とあり、「人々が美しく心を寄せ合う中で文化が生まれ育つ」という意味が込められているとの説明がありました。

 海外では、この「令和」について、「令」の字は「order(秩序)」や「command(命令)」、「和」の字は「peace(平和)」や「harmony(調和)」を意味すると伝えたり、イギリスBBCは、この「令和」を「order and harmony」と訳しています。

 日本政府は「令和」の意味について、海外向けに「beautiful harmony(美しい調和)」を意味している、との説明を始めています。「令」の字が「命令」を意味すると複数の海外メディアが報道したことに、「命令を意図していない」と否定しています。

 これは、改めて漢字の面白み、深みを私自身感じた報道でした。確かに「令」は「order(秩序)」という意味合いもありますが、「令月」が「春の始まり、新しいことの始まり」を意味する暖かな息吹を感じさせる言葉でもありますし、「令」自体にも「澄んでいて美し状態」という意味があります。
 例えば、王へんに令と書く「玲」は、へんにある「王」がもともと「玉=宝石」の意味をもつことから、「玉や金属がふれ合って鳴る美しい音」を表します。
 りっしんべんに令と書く「怜」は、へんの「心(りっしんべん)」が心や気持ちの意味で、「心が澄んでいる」様子になりました。また、その様子を言い換えると、モヤモヤがなく、すっきりとした状態なので、「悩みがない」→「頭がクリアな状態」→「賢い」という意味にもなります。更には「怜」には「レン」の響きもあり、同じ響きをもつ「憐」の「あわれむ、いつくしむ」に意味もあわせもつようになり、「気にかける、大切に思う」というニュアンスもあるようです。

 平成の時代の記憶が、大災害や大事件、そして世界各地での紛争や戦争についてのものが多かっただけに、新しい時代は、人々が美しく心を寄せ、協力し合う「和」の心を再確認し、その中で、美しい文化も生まれ育つ、平和で、幸せに暮らせる時代になって欲しいと願います。そして、気高き、理想とする世の中を作り上げていかなくてはならないと思います。

 さて、今年度から人高を大きく変わります。これまでもお知らせしてきましたが、日課時間や土曜日授業の回数、総合的な学習の時間やグローバル的な学習活動、Classiの導入などがあります。また、今回の変化に伴い、先生方の組織も改編し、新しい教育システムの企画等を行う、BYH教育推進部という部署を創設することになりました。皆さんにもいろいろな形で、このBYH教育推進部から情報を発信していくことになると思います。

 改めて皆さんには、予習を前提とした授業、それを補完する課外授業、計画的な部活動、発想豊かな学校行事等を実行するため、全てにおいて「主体的」に取り組んで欲しいと思います。そして授業のみならず、「思考をする」時間を多くもち、自分自身を冷静に見つめ、分析し、自分に必要な学習や活動は他にないか、他に触れておくべきものは何なのか、自分の興味関心を高めるにはどんな生活をするべきか、等をしっかりと考え、「真の学び」を目指して欲しいと思います。そして、人高生に身につけて欲しい3つの力「知識・技能・体験力」「論理的思考力」「アート力」の養成に努めて欲しいと思います。

 学問の本質、あるいはスポーツ、芸術の王道に出会うと皆さんは「美しさ」を感じることでしょう。この美しさに感動を覚え、学びの楽しさを感じながら、一生学ぼうという姿勢を身につけ、人高での学校生活を謳歌していって欲しいと思います。


     

             3学期全日制終業式校長式辞(平成31年3月22日)


       「歴史の変わり目」      光 永 幸 生

 3学期終業式にあたり、私から話をさせていただきます。

 さて、今年度の仕上げの3学期ではありましたが、短く、慌ただしい3学期でもありました。皆さんはいかがだったでしょうか。私なりに振り返ってみたいと思います。

 まずは修学旅行です。今年から3泊4日になり、スキーが1日のみとなりましたが、福島での震災学習、東京での班別行動等、思い出に残る研修になったと思います。また、時間をきちんと守った団体行動は素晴らしいものがありました。
その後、すぐに行われた大学入試センター試験は、受験した生徒諸君のみならず3年1組を中心に高速道路にエールを送る伝統の横断幕掲げた人高ならではの“みんなで頑張る”という一大行事だったと思います。進路結果については後ほど述べます。
2月に入り、校内長距離走大会が行われました。当日は絶好のマラソン日和で、丁度よい気候であったと記憶しています。ものすごい韋駄天もいましたが、例え遅くても自分の持てる力を最大限に発揮している姿がとても頼もしく思えました。
 学年末考査後に行われた「第1回BYHプログラム発表会」は、2年生の皆さんの学びに対する態度に感動さえおぼえました。このような学習が主体的なものであり、教科で身につけた力を横断して組み合わせる、まさにこれから求められている学習活動です。ポスターセッション、全体への発表はとて素晴らしいものがあり、もちろん県下でもトップクラスの研究成果を出したものもあったわけすが、全生徒の取り組みを公開できたことに意義があったとも思っています。また、裏方で進行のお手伝いをしたりした皆さんの動きにも感銘を受けました。講評で椎葉先生が言われていましたが、新しい人高の伝統として今後も続けていきたいと思います。特に1年生の皆さんはこれからの1年間頑張ってください。
 そして人吉高校として最も大事な行事である卒業証書授与式では、自然と肩を組んで高らかに校歌を歌った卒業生の皆さんの姿がとても印象に残りました。対面式でもお話ししましたが、人高の校歌は人高に在籍している皆さんしか歌えません。またこの校歌は素晴らしい校歌です。これからもいろいろな場面で歌うことがあると思いますが、歌詞もメロディーもこの曲の良さを噛み締めて歌い続けて欲しいと思います。

 さて、今年の進路結果です。
 まずは大学入試ですが、今年も東京大学の合格者が出ました。人高で2年連続は初めてです。本校のみならず、同窓会や地域の皆様方も喜ばれている所です。また熊本大学と鹿児島大学の医学部医学科の他、九州大学、北海道大学、筑波大学、千葉大学、横浜国立大学等の難関大学、熊本大学も11人合格しています。現在71名の皆さんが国公立大学に合格しました。私立大学は本当に難しくなってきており、数年前の感覚ではいけない状況になっていますが、今年は早稲田大学、青山学院大学、同志社大学、立命館大学等の難関大学にも合格者が出ました。現在私立大学は139名の合格です。公務員についても東京都庁や人吉市役所等、合計17名の合格者を出すことができました。大変良く頑張ったと思います。
 ところで、これは年度当初に保護者の皆様にはお話をしていますが、今年度からこのような進路実績は、大学も公務員も、現役の生徒だけでなく、卒業生の皆さんの実績も加えることにしました。残念ながら現役のときに進路目標を達成できなかった人でも、1年間ないし数年間かけて目標の大学等に合格することができれば、それはすばらしいことだと思っています。その努力はたたえるべきであると思っています。そういう意味から、本年度、私は予備校に通っている卒業生を応援をしに回ってきました。来年度もそういう皆さんの応援には時間をつくって激励しにいきたいと思っています。

さて、4月になると、新元号の発表もあります。皆さんは丁度歴史の変わり目にいて、その時代を、この人吉高校で過ごしていることになります。人吉高校にとっても100年近い歴史の転換点に位置すると思います。来年度は、以前にもお話ししたとおり、主体的に学ぶ姿勢の推進から、土曜日授業を4回に削減し、予習を前提とした授業や計画的な部活動、学校行事等をとおして、人高生につけて欲しい3つの力、「知識・技能・体験力」「論理的思考力」「アート力」の定着に努めて欲しいと思います。先生方にも授業、課外の内容、部活動での練習方法等を大いに研究していただき、これら3つの力の養成をお願いしているところです。

また、来年度は、「Classi」というシステムを導入します。これは皆さんの日々の学習活動やその記録を残したり、いろいろなお知らせやアンケート調査等を皆さんのスマートフォンに配信したりするものです。学習コンテンツの配信もあり、自分で好きなところを学習することもできます。
 またこれは保護者の方にもご参加いただき、PTA育友会に関する連絡や奨学金の案内などを、保護者の方のスマートフォンから見ることができますので、有効に活用していただきたいと思います。
 いろいろな機能がある「Classi」ですが、場合によっては授業やHRでスマフォ等を扱う場面も出てくると思います。念のため確認ですが、学校で好き勝手にスマフォを扱うことができるわけではありません。先生方が許可したり、先生方の指示を受けて、使用していくわけです。必ず先生方からの指示や説明を聞いて、きちんとした操作を行い、学習活動、部活動や行事を含めた学校生活が充実したものになるよう期待したいと思います。所持していない人にはその都度別の指示がありますので、そこは安心してください。併せてスマートフォンやSNSの使い方、マナーも学習して欲しいと思いますし、このシステムを通じて、いじめのない、周りを配慮する優しさをもった人間になって欲しいと思っています。

 それでは来る平成31年度が皆さんにとって実り多い1年となり、100周年へ向けてのカウントダウンがはじまる、皆さんの母校「人高」が更に発展することを祈念して私の話を終わります。

 


  

     全日制第71回卒業証書授与式 校長式辞(平成31年3月1日)

式  辞

 厳しい冬の寒さも過ぎ、ここ人吉盆地にも、柔らかな日差しとともに、春の訪れを感じる季節となりました。この佳き日に、熊本県議会議員 溝口幸治様、人吉市副市長 松田知良様 をはじめ、本校歴代の校長先生方、地元関係中学校の先生方、更には同窓会、秀麗会、育英奨学会の役員の皆様など、多くの御来賓並びに保護者の皆様の御臨席のもと、第71回熊本県立人吉高等学校卒業証書授与式を挙行できますことは、このうえない喜びであり、光栄の至りであります。

 ただ今、卒業証書を授与した233名の皆さん、卒業おめでとうございます。保護者の皆様におかれましては、これまで励ましながら支えてこられ、本日の凛々しい我が子を前にして、お喜びも、一入かと存じます。
私たち教職員も、この三年間、卒業生の皆さんと共に多くの時間を過ごしてきました。授業や課外授業、部活動、修学旅行、体育大会、文化祭、鍛錬遠足「澪行」等、生き生きとした姿が、笑顔が、そして涙が、走馬燈のように思い出され、感慨深いものがあります。

 皆さんは、これまで「礼節・勤労・進取」の三綱領、「磨き鍛えん青春の志高く」の教育スローガンのもと、あらゆる教育活動をとおして、「文武両道」の実現、「リーダーシップ」「主体的な学び」の姿勢を身につけるべく邁進してきました。

 また、私は、皆さんに、常に思考をする機会を求め、学び続けることを求めてきました。これからの進路先では、社会に貢献するために、新たに学び、それらを継続し、追求していくことが今まで以上に要求されます。その学びには楽しさを感じると同時に、他者と共感し合う優しさと、貫き通す強さを備えるべきであろうと考えます。また、学べば、学ぶほど、次に目指す内容は高度で難解なものとなっていくことでしょう。
 
 そのような皆さんに、餞の言葉として、宗教哲学者、民芸研究科の柳(やなぎ) 宗悦の詩、「雪 イトド深シ 花 イヨヨ近シ」を贈ります。私は大学4年の卒業を間近に控えた時にこの詩に出会い、温かい感じのするこのリズムに魅了されました。
 柳宗悦は1889年(明治22年)に東京で生まれました。NHKの大河ドラマ「いだてん」に登場する嘉納治五郎は叔父にあたります。志賀直哉や武者小路実篤らとともに「白樺派」に参加しました。東アジア地域の陶芸品や工芸品に魅了され、民衆の暮らしの中から生まれた美の世界を紹介するため、「民芸運動」を起こし、文化功労者にも選ばれました。
 この詩「雪 イトド深シ 花 イヨヨ近シ」は、民芸に初めて近代的な光を与えた宗悦が、昭和34年に短い言葉と、世界的な版画家の棟方志功の作品とでつくった詩画集「心偈(こころうた)」にあるものです。
宗悦はこの詩に次のような注釈を与えています。「雪が烈しく寒さが厳しい時こそは、花の季節が愈々近付いたと思え。この世のことは、ただ暗さのみではあるまい。丁度蔭が濃ければ濃いほど、反面に光も強いことを証拠立てているようなものである。暗は明に裏付けられる。雪の頃ともなれば、花は既に吾々を待っているのである。そのしんしんと降り積もる雪の中から、花の季節は刻々と近づいてくるのである。苦難の大は、希望の大を約束する。」
皆さんが、学べば学ぶほど、目的達成の前に立ちはだかる壁はどんどん高くなっていくことでしょう。それを乗り越えるには、得た知識を駆使し、如何にそれらを活用するかを考え、どんな複雑なことでも諦めずに解明し、追求し続ける努力が必要です。「雪イトド深シ 花イヨヨ近シ」「Broaden Your Horizons」皆さんがこれから視野をさらに広げ、世界に羽ばたくことを祈っています。
 
 本校は、今年4月より創立96年目に入ります。脈々と続く本校の歴史に、皆さんは個性ある一ページを鮮やかに書き残しました。後輩の1、2年生は、卒業する皆さんの気持ちを引き継ぎ、間もなく訪れる創立100周年の節目に向け、本校のあるべき姿、理想の教育活動を実現するべく、その目標に向かって日々精進し、成し遂げてくれるものと信じます。そして人吉高校に100年を経た後も進化をし続ける礎を築いてくれることを切に願っています。

 さて、本日御出席の御来賓並びに保護者の皆様方には、御多用の中に、未来ある卒業生に心温まる祝福と激励を頂き、誠にありがとうございます。皆様方からの大きなご支援のもと、彼等はそれらを励みに学習に、部活動に、学校行事にと、精一杯の努力をして参りました。そして本日、この日を迎えることができました。彼等と共に心から厚く御礼申し上げます。

 なごりは尽きませんが、卒業生の皆さんの前途に幸多からんことを祈念して、式辞といたします。

 平成31年3月1日
        熊本県立人吉高等学校長   光 永 幸 生


     3学期全日制始業式校長式辞(平成31年1月8日)
      「運命とは?」
                                                          光 永 幸 生
 皆さん、新年おめでとうございます。3学期の始業式にあたり、私から話をさせていただきます。

 さて、皆さんはどのように年末年始を過ごしたでしょうか。

 昨年末に、エンパワーメント・プログラムを実施しました。本校のグローバル教育活動の第一歩になったかと考えています。3日間という短いプログラムでしたが、参加した皆さんはそれぞれに成果と課題を刻み込んだのではないかと思います。
 私なりにこのプログラムの成果として3点挙げたいと思います。1点目は、参加した皆さんが、自信をつけ、自己肯定感を以前より強くしたと感じました。2点目は、スタッフの留学生の皆さんがそれぞれの経歴や夢を語る時間があり、それを聞いた皆さんが、将来について視野を広げることができたのではないか。3点目は、参加するために予習が必要だったわけですが、その重要性を認識できたのではないか、と感じました。
 
 参加した皆さんには、英語の活動だけでなく、他の教科の勉強や、部活動、学校行事においても、このプログラムをとおして得られた精神を生かしてもらいたいと思います。またの他の皆さんにも、今後こういうチャンスがあれば、積極的に参加を検討して欲しいと思います。

 ところで、私は、お正月に必ずやることがいくつかあるのですが、そのうちの一つに、1月2日、3日に行われる箱根駅伝のテレビ観戦があります。毎年繰り広げられる競技に感動しながら、どんなドラマが繰り広げられるか本当に楽しみにしています。今年は青山学院大学の5連覇を阻んだ東海大学の初優勝で幕が下りましたが、学生の皆さんが一生懸命に走る姿はとても美しいと思っています。

それと併せて近年楽しみなことに、スポンサーであるビール会社のCMがあります。これは「大人エレベーター」というタイトルで、俳優の妻夫木聡さんがゲストにインタビューをするシリーズになっているものです。

今年のゲストはメジャーリーガーで活躍している田中将大選手でした。楽しそうに話す田中選手の姿は、改めて野球への熱い思いを感じさせるものでした。「ノーヒットノーランによる1勝と単なる2勝とではどちらをとりますか?」という質問に迷わず「2勝です。だってノーヒットノーランは1勝でしかない」という意味のきっぱりとした答えかたは30歳という若さで自分のしっかりとした野球観を持っているのだなと、と感心しました。

私が今まで一番印象に残っているのは2年前の所ジョージさんです。テレビ画面に登場した所ジョージさんの、還暦を超えているのに妙に愛らしい笑顔はとても印象的でした。また、何を語るのか、とても期待をさせるものでした。

「夢は持っていた方がいいですか?」「反省しますか?」等の妻夫木さんの質問に、所さんらしい世界が、しかもテンポよく展開され、私としては期待通りのものでした。

そのなかで「運命とは?」という質問がありました。

国語辞典で「運命」を調べると、「人間の意志を越えて、人間に幸福や不幸を与える力のこと。あるいは、そうした力によってやってくる幸福や不幸、その巡り合わせのこと」とか「人生は天の命によって定められているとする思想に基づいて考えられている、人の意思を越えて、その上に起きる禍福」とあります。これは「運命とは?」という質問に対して、知っておくべき知識ですが、これを答えとして求めているわけではありません。それを踏まえて、更に自分の今まで生きてきた人生に照らし合わせて、自分にとっての「運命」とは何かを語るのです。

さて、そのときに、所ジョージさんは何と答えたでしょうか。

それは「答えが見当たらなかったときに使う言葉だね。本当は一生懸命考えれば答えってわかるのに、一生懸命考えるのをやめたときに、「運命」って言っちゃうね。」でした。

これを聞いたとき、今まで自分が諦めてしまったことや、投げ出したことを思い出して、逆に考えさせられました。所ジョージさんにとって「運命」という言葉は「逃げの言葉」ということになるのではないでしょうか。

皆さんは今年も、それ以降も越えなければならない、いろいろなハードルや壁を目の前にすることがあるでしょう。その際に「運命」という言葉で物事を済ませず、最後の最後まで粘って、目標を達成して欲しいと思っています。そして自由な発想で物事を解決できる人間として成長して欲しいと思っています。

さて、平成最後の年がはじまりました。5月からは新しい年号になります。今年度もこれからの3学期を残すのみとなりました。3年生にとって残り少ない高校生活を、次の進路へのステップとして、2年生、1年生はそれぞれ3年生、2年生への準備期間であるゼロ学期として、将来、軽々しく「運命」という言葉を使わないでいいように頑張っていきましょう。

これで、私の話を終わります。


  2学期全日制終業式校長式辞(平成30年12月21日)

  「新たな時代へ」

                                                 光 永 幸 生

皆さんおはようございます。2学期終業式ということで、私から話をさせていただきます。 

2学期は文化祭、澪行をはじめいろいろな行事があり、忙しいながらも充実した日々を送ることができたのではないかと思います。3年生は就職、進学のための試験やその対策に、全力を尽くしたことでしょう。これから受験をする人もたくさんいます。最後まで諦めずに頑張って欲しいと思います。 

さて、先日、HRでは「人高ニュース臨時第2号」の掲示がありましたが、その内容を中心に来年度の本校のことをお話しします。 

 現在、人吉高校では、新学習指導要領や新しい大学入試制度、社会の大きな変化に対応する学びのシステムに対応するための改革を進めています。ここで大事なことは、以前からお話ししているように、皆さんが「主体的」に何事にも積極的に取り組む姿勢を身につけ、その上で、2学期の始業式でお話しした「論理的思考力」「知識・技能・体験」「アート力」を身につけることです。

既にはじめたものでは、①「論理コミュニケーション」の導入、②「エンパワーメントプログラム」の実施、また、決定しているものとして③来夏の「オーストラリア研修」を既にお話ししました。特にエンパワーメントプログラムでは59名の皆さんが参加します。予習もあり、大変ですが、積極的に参加して、新しい自分探しをしてほしいと思います。 

そして、新たに日課時間や土曜日授業について大きな変更をしますので改めてお話しします。 

 一つ目は土曜日授業の削減」です。年間18回を5回程度に減らします。これは皆さんが主体的に学習をする時間の確保が目的で、部活動、ボランティア活動、各種大会・コンテストへも積極的に参加して欲しいと考えてのことです。これにより、平日の7限授業が週3日になりますが、総授業時間数は増加します。しかし、このままでは平日の部活動の時間は減ってしまうことになります。 

 そこで二つ目です。「朝課外の短縮」で時間を30分にし、日課時間を繰り上げ、放課の時間を早めます。それにより、平日の部活動の時間は今までと同じ時間数が確保できます。部活動以外にも学習活動、生徒会活動、委員会活動等にも有効に利用して欲しいと思います。 

 更に三つ目ですが、1,2年生の朝課外では「習熟度別クラス編成の導入」により、単に時間が短いのではなく、授業を補う学習活動としての位置づけを明確にし、新たな取り組みとして再出発します。先生方にも授業の改革を中心に、皆さんに真の意味での力をつける学習システムの研究をお願いしています。皆さんも、授業がもっと生きた時間にするために、予習を前提として家庭での学習や、時間の使い方をそれぞれで工夫して、一つ一つの活動が充実したものになって欲しいと思います。 

その他、来年度の変更点として、「総合的な学習の時間」が「総合的な探究の時間」に変更されるのに伴い、3年間を通したプログラムを検討しています。既に導入されている「論コミ」と2年生が取り組んでいる「探究活動」を中心にする予定です。また、このプログラムを「BYHプログラム」名付けたいと思います。このネーミングは、ラーリー先生と藤田先生につくっていただき、「人高から世界をめざして」という気持ちが込められたキャッチフレーズBroaden Your Horizonsからとりました。2月23日の土曜日には第1回のBYH発表会を開催します。2年生の皆さんの素晴らしい研究発表を期待しています。 

 また、学校行事として、文化祭を2日開催にします。今年の文化祭も非常に充実した内容でした。

沢山のステージ発表があり、どれも見応え、聞き応え満載でした。しかしスケジュール的にもかなり窮屈であると同時に、教室での展示関係についても、部活動や委員会活動を中心に、非常にいいものが揃っていたのですが、参加団体が少なく、少々寂しいものがありました。他の進学校では2日間開催が多く、人高でも十分文化の薫り高く、アカデミックで、しかもユーモラスなものを沢山出品できると思います。この文化祭でもいろいろな学びを経験し、更にグレードアップした、人高生らしい行事に発展させ、地域に発信して欲しいと思っています。 

 年が明けると、3年生はいよいよセンター試験です。やるだけのことはやった、という気持ちになれるよう、残りの日々を冷静に自己分析しながらメニューを組み、強い意志を持って勉強してください。迷いが一番いけません。1年生は修学旅行が待っています。その1週間後に進研模試です。1,2年生ともに忙しい日々が続きますが、切り替えをしっかりやって、部活動や行事ではいい成果を、学習活動においては最高の数字を狙って欲しいと思います。 

また、来年は平成最後の年になり、5月からは新しい年号になります。丁度時代の変わり目に生きていることを実感しながら、いろいろなことにチャレンジする充実した1年にしてほしいと思います。 

それでは、健康に留意し、実りある、アクティブな冬休みであることを願い、私の話を終わります。どうぞ良い年を迎えてください。

 


  2学期全日制始業式式辞(平成30年9月3日)
                   光 永 幸 生

 

皆さんおはようございます。2学期始業式ということで、私から話をさせていただきます。

 この夏休み、課外授業の他、部活動の全国大会等、結構忙しい日々が続いたのではないでしょうか。また、大学のオープンキャンパスへの参加やインターンシップ、ボランティア活動など、この時期にしかできない内容で、中身の濃い経験をした人も多かったのではないでしょうか。

 これから始まる2学期は、文化祭や澪行など、人高にとっても大きな行事を控えています。3年生にとっても公務員試験、大学のAO、推薦入試等、いよいよ本番です。1、2、3年生全ての皆さんが、それぞれの目標に向かって成果を上げる2学期になって欲しいと思います。

 さてこの夏は、猛暑と台風について、毎日のように報道されました。本校も7月30日に予定していたオープンスクールが台風のために延期になりました。オープンスクールについては9月22日(土)に行う予定です。部活動紹介や、出身中学校ごとの交流会など、皆さんからも人高の魅力を十分に発信してください。

 さて2学期の最初にあたり、皆さんにも、人高はどんな高校か、母校となる人高でどのような力を着ける必要があるか、どんなことを目標に学習していくべきかを、それぞれで問いかけてみてもらいたいと思います。そこで皆さんにつけて欲しい力について、私が考えていることをお話しします。

 本校のあらゆる教育活動は、三綱領「礼節」「勤労」「進取」が土台であることは誰もが認めることでしょう。しかしこれまでも、その時代、時代に応じて、社会の変化に伴い、人高で行われる教育活動の中身も変化してきました。そしてこれからの数年間は、高校で学習する内容も大きく変化していきます。大学入試制度等も変わります。それはこれからの社会が大きく変化することが予想され、しかも複雑で不安定なものとなっていくと思われているからです。皆さんにはそのような社会においても通用する人物であって欲しいと思い、そこで人高生につけて欲しい力を、次のような3点にまとめてみました。

 一つ目は「思考力・論理力」です。やはり、深く考えるという行為、思考をめぐらすこと、そしてそれを論理立てて他者に伝えることは、今までも、そしてこれからも大事な力であると思い、これを最初に挙げました。

 二つ目は「知識・技能・体験」です。知識は豊富な方がいいですね。技能がなければ限られた時間で、しかも要領よく力を発揮することはできません。また皆さんはこの夏も多くのボランティア活動や部活動での大会等に参加しました。このような体験をとおして得られた個人の変化、成長は将来大きな力となることでしょう。

 三つ目は「アート力」です。美的感覚と言ってもいいでしょう。「美しい」もの、「美しい」ことに感動する心、これを養ってほしいと思います。なぜなら、前に述べた2点だけでは通用しないことがこれからの社会には多く存在するからです。特に意思決定の場面で、直感を信じなければならないことも多く出てくるでしょう。その際に、この力をどれだけ発揮することができるかが大きな課題となるはずです。

 「美的感覚」といっても、単に絵画や音楽、書の話だけではありません。皆さんの周りには美しいものが多数存在します。美しい文章や文学作品、美しい数式や数学の解法、美しい科学理論、スポーツの分野でも美しいフォームから生まれる素晴らしい走り、技、バッティング、スマッシュ、シュートなどなど。そのようなものをとおして感性を磨いていくことが、その人の精神を豊かにしていくことでしょう。またそれが、これからの社会を生き抜くための大きな力になると言われています。事実、グローバル企業の多くは、幹部やリーダーにそのような力を備えさせ成功を収めています。

 もちろん美的感覚、直感力が優れていても、非論理的な人は通用しません。この3点「思考力・論理力」「知識・技能・体験」「アート力」全てが大事なのです。このような力を授業や部活動、学校行事、ボランティア活動等をとおして身に着けてほしいと思います。

 その際に忘れてはならないのが、主体性です。目的意識もなく、受け身で授業や学校行事に参加しても意味がありません。私はこの「主体性」が皆さんに今一番欠けていることではないかと思っています。これは今の人高の大きな問題です。三綱領には「進取」という言葉が踊っていることを、人高の精神となる土台の一つに謳われていることを、もう一度心に刻んでもらいたいのです。

 さて、このような力をつけるためにも、学校としていろいろなプログラムを準備していきます。その1つ目が、夏休み前に紹介した「論理コミュニケーション」の授業です。そして2つ目に、グローバル的な体験活動の一環として、来年の夏、皆さんから希望者を募ってオーストラリアへ語学研修に行ってもらうことを計画しています。また、エンパワーメントプログラムというあらゆる諸問題を英語で語り合う研修の導入も検討しています。詳細が決まってから発表しますが、是非多くの皆さんが進取の精神で積極的にチャレンジして欲しいと思っています。

 また、3年生には改めて、先ほどの3点を念頭に、受験に対して、主体的に、真摯に取り組んで栄冠を勝ち取って欲しいと思います。

 それでは、この2学期の、皆さんの主体的な学びの姿を期待して、私の話を終わります。

 


  1学期全日制終業式校長式辞(平成30年7月20日)

Trial andError」の精神で

                                                 光 永 幸 生

皆さんおはようございます。1学期終業式ということで、私から話をさせていただきます。

    昨日はクラスマッチお疲れ様でした。また、準備で大変だった係役員の皆さんに改めて感謝します。また、本日はいろいろな企画が予定されていましたが、暑さ対策、健康対策で敢えてカットしています。関係の生徒の皆さんには申し訳ありませんでしたが、是非理解をお願いします。

ところで、先程、表彰式を行いましたが、この1学期、いろいろな活躍がありました。とても喜ばしいことです。また、これから大会を控えている人たちも体調や精神的な面も整えて、本番の大会で、今までの練習成果が十分に発揮できることを願っています。
 先日、横浜の聖光学院の生徒の皆さんが来校し、本校生徒諸君と交流を深めることができました。また、グループに分かれて、人吉を活性化するプロジェクトの研究発表会も行われました。とてもおもしろい提案もあり、人吉市長をはじめ、いろいろな方々からお褒めの言葉を頂くと同時に、有意義な時間を過ごすことができました。またこの交流はぜひ続けていきたいと考えています。

その中で、とても印象に残った言葉がありました。この一井正典「青雲の志」事業に参加した皆さんが一様に言っていたもので「try and error」という言葉です。意味は、挑戦して、失敗してもあきらめずに繰り返す、ということで、「試行錯誤」ということにもなるのかな、と思います。いろいろ調べてみると「try and error」は和製英語で、本当は「trial and error」だそうです。アメリカに行ってみて、あるいはこのような交流をやってみて、はじめて実は大変であること、失敗がつきものであるということを実感したことが、成功体験以上に多かったのではないかと思います。

また、一歩踏み出さないと、「失敗」という、次の成功へ、そして発展へと導かれる体験には出会うことはないわけです。私は一番楽で無難なのは、何もしない、あるいはやっても工夫がないことであると思います。その分、発展することは決してありません。それはむしろ後退であると考えます。
 始業式に2,3年生には話をしましたが、これからの学習活動には「主体性」が重要視されてきます。この夏休み、皆さんそれぞれがこの1学期を振り返り、課外授業やオープンスクール、インターンシップの参加、部活動等を通して、「主体的な学び」に挑戦してみてください。きっと今後のいいステップとなることでしょう。そのためには、今まで通りに勉強や部活動、生活を送っていくのではなく、自分の目標と、現状とのギャップを考えて、新たな方法や、新たなことへの挑戦を試み、少々失敗しても、成功への第一歩と考えて、「
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