カテゴリ:農業科

鉛筆 一人では 見えぬ景色を 班(とも)と見る

 

―― 令和7年度 農業科 課題研究発表会 ――


 総合学習室に流れる、どこか背筋が伸びるような沈黙。

 3年生による「課題研究発表会」

 各班に与えられた10分間は、単なるスライドの説明ではありませんでした。

 

 高濃度酸素水による栽培の可能性を追い求めた班。

 シカ肉の有効利用を信じ、製造室で理想の「味噌」を練り上げた班。

 獣害と衰弱に苦しむスイートスプリングの樹勢を、もう一度取り戻そうと挑んだ班。

 そして、プランターという限られた空間に、切り花栽培の新たな形を模索した班。

 

 どの班の発表からも、4月の始動から今日まで積み重ねてきた時間の重みが伝わってきました。

 10分間話し続けるための自信は、教科書からではなく、自分たちの手と頭を動かし、悩み抜いた経験からしか生まれません。

 各班が言葉の端々にそれを滲ませていました。

 その背中を、1・2年生は静かに見つめていました。

 「いつか自分たちも、あんな風に胸を張れるだろうか」 会場にいた後輩たちの真っ直ぐな視線からは、そんな自問自答と、先輩への敬意が感じられました。

 ステージを下りる各班の背中には、もうすぐそこまで「卒業」が迫っています。

 10分間の発表を終えるたび、3年生としての大きな節目がひとつずつ終わっていきます。

 

 農業科主任として、今日、ステージの下から彼らを見つめながら、その頼もしさに胸が熱くなりました。

 見事な発表でした。

 君たちがこの研究を通して手に入れた「答えのない問いに立ち向かう力」は、これから歩むそれぞれの道で、必ず確かな羅針盤となるはずです。

 

 仲間と答えを追い求めたこの日々を糧に、自信を持って次なるステージへ羽ばたいていくことを、心から期待しています。

 3年生、最高の10分間をありがとう。

鉛筆 たかが2分 されど2分に 熱を帯び

 明日(1月16日)開催される「課題研究発表会」。

 その中で、2年生18名が12月に実施した「現場実習」の報告会が行われます。


 本日は、その発表練習の様子をお届けします。

 今回のルールは、極めてシンプルです。

 提示するスライドは、わずか1枚。

 そして、全員が作成した原稿を手に、約2分間の持ち時間で発表を行います。


 水俣・芦北地区の農家さんや企業に飛び込み、5日間みっちりと汗を流した現場実習。

 そこで学んだのは、教科書には載っていない「農業のリアル」や、経営のプロが持つ「技術と想い」でした。


 「自分の言葉で伝える」というのは、実習とはまた違う難しさがあります。

 ですが、お世話になった受入先の皆様の顔を思い浮かべながら、何度も練習を繰り返しています。


 自ら現場へ赴き、肌で感じてきた5日間を、たった120秒で他人に伝えるのは容易なことではありません。

 人前に立ち、自分の言葉で届けるためには、徹底した準備と「覚悟」が必要です。


 自分の「声」だけで勝負する2分間。 プロの現場で揉まれた18名が、どんな言葉を響かせてくれるのか。

 最後になりますが、実習を受け入れてくださった農家・企業の皆様、改めて貴重な学びの機会をありがとうございました。

 皆様からいただいた熱意を胸に、生徒たちは精一杯の発表に臨みます。

 


 いよいよ本番。3年生の背中を追う18名の『2分間』に、どうぞご期待ください。

 

鉛筆 「不知火」を ふるさとの顔に 磨き上げ

 本日の農業科の実習は、いつもとは少し違う、華やかな熱を帯びた時間となりました。

 本校の果樹部門で大切に育ててきた「不知火(しらぬい)」の、宣伝用写真の撮影です。


 実はこの「不知火」、芦北町の「ふるさと納税」の返礼品として出品される計画が進んでいます。

 (時期はまだ未定ですが、今から楽しみです!)

 本日はそのための素材撮影として、町の職員の方やプロのカメラマンの方々が来校されました。

 




 本格的な機材を抱えた大人たちに囲まれての撮影。

 「不知火」が一番美しく見えるよう、角度を変えたり、ときには「しんどい姿勢」をキープしたりと生徒たちは大奮闘です。

 

 

「写真は撮るより、撮られる方が難しいですねぇ……」


 そんな声が漏れるほど、慣れないモデル役に緊張した様子でしたが、それもまたプロの仕事の奥深さを肌で感じる貴重な経験となりました。

 現場は終始、「不知火」のオレンジ色のような明るい笑い声に包まれていました。


 撮影も無事に終わり、ハウスを出て一息ついた終盤のこと。

 私がカメラを向けると、緊張から解放されたのか「そんなポーズの指示あったっけ??」と思わず笑ってしまうような、サービス精神旺盛な姿を見せてくれました。

 


 撮影のために一部ハサミを入れましたが、本格的な収穫はもう少し先。

 芦北の太陽をたっぷり浴びた本校の「不知火」が、最高の状態で皆様へ届く日が今から待ち遠しいです。


 ご協力いただいた皆様、本日はありがとうございました。

鉛筆 鹿のフン 個体を語る 女子高生

 先日、果樹園の見回りをしていた時のことです。

 地面に落ちていた鹿のフンを見つけ、1人の女の子がぽつりと呟きました。

 

​ 「粒が小さいから……これ、子鹿ですかね」

 

​ その言葉に、私は思わず「おっ」と驚きました。

 ただのフンとして見過ごすのではなく、そこにある命の姿を自然に推測している。

 

 彼女は、先日の「緊急防衛会議」の当事者である果樹専攻生であり、課題研究でも獣害対策に取り組んでいる1人です。

 この場所で山や木々と向き合い続けてきた彼女の中に、農業科ならではの「鋭い感覚」が備わっていることに改めて気づかされました。

​ 私はこう声を掛けました。

 

 「鹿のフンを見て、個体の大きさを予想できる女子高生は、日本に何人いるかなぁ」

 

​ 彼女は「やめてくださいよぉ」と少し照れた様子でしたが、そのさりげないやり取りの中に、学びの深さが凝縮されているようでした。

​ 1月16日には課題研究発表会が行われます。

 卒業を前に、しなやかな感性を身につけた生徒の姿を見ることができた、冬の午後のひとときでした。

鉛筆 三太郎 越えて羽ばたく 明日の空

 

​■ 歌声の余韻の中で

 三学期の授業や実習が本格的に始まりました。

 ふとした瞬間に、先日の始業式で歌った校歌の一節が胸に蘇ります。

​ 「三岳(さんがく)の険を仰ぎては 心を磨き身を修む」

​ 以前、校長先生からこの「三岳」の由来について伺う機会がありました。

 それは、かつて芦北の地に入るために越えなければならなかった三つの険しい峠――「赤松太郎」「佐敷太郎」「津奈木太郎」を指しているのだそうです。

​ 本校の同窓会が「三太郎会」と呼ばれているのも、この歴史に由来しています。

■ 峠を越えて、身を修める

 農業科の学びもまた、自然という「険しき峠」に向き合う毎日の連続です。

 思うようにいかない気象条件や、冬の寒風。しかし、生徒たちはその困難を避けるのではなく、自らを律し、技術と心を磨くための糧としてきました。

 ​特に、卒業を間近に控えた3年生。

 ひたむきに土と向き合ってきたこの3年間の歩みは、まさに校歌が謳う「心を磨き身を修む」そのものでした。

 

​■ 「希望は高く燃ゆるなり」

 3年生にとって、一番の結びにある「希望」はもはや抽象的な言葉ではありません。三太郎の険しき峠を一歩ずつ越えるようにして積み上げてきた、確かな自信そのものです。

​ まもなく、彼らはそれぞれの道へと羽ばたき、伝統ある「三太郎会」の一員となります。

 たとえ行く手に新たな「険しさ」が待ち受けていても、芦北の空の下で培った強さがあれば、その希望はどこまでも高く燃え続けるはずです。

​ 旅立ちの日まであとわずか。

 卒業していく先輩たちの背中を追いながら、私たちもまた、芦北の嶺に見守られ、誠実な歩みを進めていきたいと思います。

 

​追伸

 さて、素晴らしい未来を語った後で恐縮ですが、3年生の皆さんには今月末、卒業前の「最終関門」となる学年末考査が待ち受けていますにっこり

 これこそが、高校生活で越えるべき最後の「三太郎の峠」かもしれません。

 「身を修む」の仕上げとして、有終の美を飾れるよう、全力でこの坂道を登りきってください。応援しています!

※校歌の全文や「不知火の海」が歌われる二番以降の歌詞については、ぜひ本校ホームページ内の「校歌紹介」のページを探してみてください。