日誌

校長室からの便り

今、熊聾では・・・(その73)

 終業式に想う《其の二》

 儀式的行事の時は、情報保障の準備のために予め原稿を担当の先生に渡しておき、当日の私は手話付きの音声で話を進めていきます。しかし、実はこれはとてもやりづらい面があります。まず、その1つ…情報保障用のモニターに映し出される原稿と私の手元原稿は当然同じものです。原稿通りに読めば済む話ですが、子供たちを見ながら話を進めていくと、どうしても原稿にとらわれずに脱線したくなるのが常です。パソコン操作をしていただく先生方の手を煩わせはしないかと気にかかりますし、できるだけ原稿通りに読まねばと思う自分との葛藤も少しあります。そして2つめ…手話付きスピーチですので、手話表現と日本語の文章を同時に表現しづらい場面が多々あります。(異なる言語ですので当たり前のことです。)そんな時は、日本語文から一旦離れ、手話での解説を加えるなど試みています。
 以上がこれまで行ってきている従来のスタイルですが、今後は進化したICT技術を取り入れながら、堪能な先生のお知恵もお借りしながら新しいやり方を考えていきたいと思っています。
 
 さて、幼児児童生徒は夏休みに入ったこともあり、夏季休業期間中の校長室からの便りはしばらく不定期的に発行していきます。
皆様、一緒にリフレッシュいたしましょう!

令和2年8月3日       
熊本聾学校 校長 五瀬 浩 

今、熊聾では・・・(その72)

 終業式に想う《其の一》

昨日、1学期の終業式を無事終えました。
 新型コロナウイルス感染症拡大の状況に鑑み、幼稚部、小学部、中高等部に分かれ、時間帯をずらして実施しました。
 どの学部でも、誰一人下を向くことなく、前に立っている私をしっかり見てくれました。いい意味で視線が突き刺さるような感覚を覚え、私の体に心地よい緊張感が走りました。聴覚に障がいのある子供たちですので、話者を見ないことには始まらないのは当たり前なのですが、幼稚部時代からの積み重ねや普段の授業等を通して、そのような態度が身についてきている様子を発達年齢毎に見ることができ、とても嬉しく思いました。
 皆が元気に2学期の始業式に会えることを祈りながら、子供たちとしばしのお別れをしました。

令和2年8月1日       
熊本聾学校 校長 五瀬 浩 

今、熊聾では・・・(その71)

 昨日、信友社様から高等部1年生に電子辞書を贈呈していただきました。
 信友社(公益財団法人)の方からは、本校高等部入学生に対して過去40年ほど前から毎年御支援をいただいているところです。
 毎年、電子辞書をお送りいただいているのは、普段の学習で有効活用できるものであること、卒業後も長く使えるというのがその理由です。
 本校幼児児童生徒は信友社様に限らず、多くの方々から御支援をいただいています。贈呈式の中で、「御支援に対して感謝の気持ちを忘れずに大切に使い、しっかり勉学に励んでほしい」と生徒たちに伝えました。

令和2年7月31日      
熊本聾学校 校長 五瀬 浩 

今、熊聾では・・・(その70)

 これまでの雨続きの日々が嘘のように晴れ渡った空が眺められるようになり、梅雨明け宣言間近を感じます。
 例年であれば、晴れ晴れした気分になるところかもしれませんが、豪雨被災地の状況や新型コロナウイルスの影響が県内にも波及してきている現状を考えると、心底喜べる状況ではありません。
 また、学校では8月に予定していた職員研修を延期したり、職員全体で楽しもうとしていた企画が無くなったりと、本当に残念でなりません。
 そんな中でも、私たち教師に元気を与えてくれるのは子供たちです。写真は昨日一番の癒しになった幼稚部の子供たちの様子です。
 今後も子供たちの教育活動に支障がないよう、熊聾教職員全員が力を合わせて参ります。保護者の皆様におかれましても、新型コロナウイルス感染拡大防止のために、今一度基本的な予防策(手洗い、消毒、マスク着用等)の徹底をどうぞよろしくお願いいたします。

令和2年7月30日      
熊本聾学校 校長 五瀬 浩 

今、熊聾では・・・(その69)

 お隣の盲学校に行く機会がありました。本校と同様、昭和44年に時を同じくして建てられた校舎ですので、昭和の雰囲気と味わいが残っている学校です。視覚障がいのある幼児児童生徒を対象としている特別支援学校ですので、ハード面でも聾学校とは異なる配慮がされています。正門を入り玄関に着くまで点字ブロックが敷設してあるのは外から見てもすぐに分かることですが、玄関を入り、廊下を見渡した瞬間、本校とは全く違った風景が目に飛び込んできます。それは無駄のないとてもすっきりとした廊下の掲示物です。本校では、見て分かる環境を整えることを意図して視覚的支援(掲示)を行いますので、その違いは一目瞭然です。
 掲示物についてあらためて考えると、子供たちに知らせたい伝えたい思いであれもこれもと掲示してしまったり、長いこと掲示物が変わらなかったりすると教育効果が薄れるだけでなく、かえって逆効果となり、子供たちが見ないことに慣れてしまう恐れもあります。
 今回の盲学校見学を通して、子供たちが興味をもって見てくれるための掲示の工夫を先生達と一緒に考えてみたいと思った次第です。
 

令和2年7月29日      
熊本聾学校 校長 五瀬 浩