熊本県高等学校教育研究会地学部会
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松合の高潮被害
場所 : 不知火町松合
平成11年9月24日の台風18号の天草通過によって進路の東側に当たる不知火海は高潮にみまわれ,中でも不知火町松合地区では犠牲者11名を出す大災害となりました。高潮被害は,台風の接近のための気圧の低下による海水の吸い上げ効果,風が湾奥に吹くための吹き寄せ効果,さらにはそれらの現象が満潮と重なったために発生するといわれています。この 18 号台風の高潮でも基本的には前述のような要素が大きな原因とは考えられますが,細かく見ると,いくつかの特異的な要素も関係している ようです。当時の朝日新聞の記事をみると,「当日の予想満潮時刻は午前7時56分だったが,高潮のピークが不知火海沿岸に迫ったのは午前5時半すぎ。
台風は満潮の2,3時間前に通り過ぎるから大丈夫と思っていた。満潮の2時間も前に高潮が来るなんて・・・」「災害後現地を調査した専門家らによると,高潮は国道は越えなかったが国道の橋の下を抜けて船だまりに押し寄せた。高潮は船だまり堤防より1.3mも高かった。流れの速さは時速10kmで大人でも流される。」というような内容が載っています。日頃からの防災体制づくり(危機管理)や総合的な高潮対策の必要性など大きな教訓を残しました。現在では港出口に樋門がつくられ、船だまり堤防の嵩上げが行われました。
天の平運動広場からみた松合地区
船だまりからあふれた海水が,旧道より海側の低地に流れ込みました