お知らせ

阿蘇-4 阿蘇火砕流堆積物
場所: 天草下島 五和町御領

 ここでは佐伊津層の白色シルト層にのる阿蘇火砕流堆積物がみられます。
 この火砕流の特徴は2mm以下の軽石を含み、淡黄色の火山灰質で岩石片は見られません。


(問い)
 阿蘇の火砕流堆積物は天草までどうやってきたの?

(答え)
 阿蘇の火砕流は有明海などの海を隔てたところにも分布しています。火砕流が噴出した時期にはもうすでに海にあったわけですから、火砕流が海の上を渡っていった可能性が十分にあります。このことについて、次のように説明がされています。

 阿蘇-4火砕流中の軽石の平均的な見かけの比重はおよそ0.5であり、ガラス火山灰の基質と軽石とからなる非溶結堆積物の見かけの比重は1より小さい場合が多い。このような火砕流の流動層の見かけの比重は1よりも小さく、流動層が海に達するとその構成物が底面から海水に捕らえられて、軽石は海面を覆い尽くすと考えられる。流動層の規模が十分に大きければ、流動層はその上面をさらに流走する。したがって、大規模な火砕流が平坦な海面を流走することは、複雑な地形の地表面を流走するよりも容易である。
(小野・渡辺 1984より)

上の地点より離れた場所の崖では、穿孔貝によってあけられた穴の跡が多数見られます。穿孔貝は一般に海水面近くで生活をしており、この穴の跡から、かつての海岸線を推定することができます。
阿蘇火砕流堆積物が穿孔貝によってあけられた穴の跡