スクリーンに映し出される、街を覆い尽くす波。
防護服に身を包み、見えない恐怖の中で懸命に作業を続ける人々。
かつての穏やかな日常が、一瞬にして音を立てて崩れ去る記録の数々——。
午後の研修は、まず「東日本大震災・原子力災害伝承館」を訪れるところから始まりました。
そこにあったのは、地震、津波、そして原子力災害。
それらが複雑に絡み合い、人々の暮らしや産業、そして地域の大切な「つながり」までもが断ち切られてしまった福島の姿でした。
15年前、まだ幼かった生徒たちの記憶にはないはずの光景が、静かな、しかし確かな重みを持って迫ります。
伝承館で事実を胸に刻んだ後、案内役の「おおがい」さんがバスに同乗し、現場を歩くフィールドワークへ。
車窓を流れる双葉町の景色に、車内は再び静まり返りました。
「避難は3日くらいだと思っていた。それが9年間の避難生活になった」 とおおがいさんが語る、当事者だからこその重みのある言葉。
まだ学校さえ再開していない風景。
剥き出しの壁に絡まり、建物を飲み込もうとする蔦。
そして、あの日から15年間、ずっと干されたままの洗濯物……。
伝承館で学んだ「複雑な震災の姿」が、今も解けない魔法のようにこの場所に留まっている現実を、生徒たちは肌で感じていました。
バスが浪江町の震災遺構「請戸小学校」に到着したその時、空からは静かに雪が降り始めました。
剥き出しの天井、津波に削られた壁、歪んだまま止まった時計。
冷たい雪は、かつて子供たちの声が響いていた教室にも静かに降り注ぎます。
教室の黒板には、訪れた人々やかつての在校生たちが刻んだメッセージが残されていました。
再会を願う言葉、震災を忘れないという決意、未来への祈り。
雪の白さが、黒板に刻まれた人々の想いをより鮮明に浮かび上がらせます。
しかし、校舎の向こう側に目を向ければ、ダンプカーが走り、新しい施設が建設されている光景もあります。
あの日から止まったままの「モノクロの過去」があるからこそ、今、目の前で懸命に色を取り戻そうとしている「カラーの今」の尊さが、生徒たちの瞳に焼き付きます。
あの日、必死に高台へと駆け抜けた児童たちの鼓動。
今も遠く離れた地で避難生活を続ける人の郷愁。
故郷へ戻るべきか悩み、葛藤し続ける人々の揺れる心。
そして、あの日から帰らぬ大切な人を、今も静かに想い続ける方々の祈り。
目の前の遺構を見るだけでなく、今ここにいない「誰か」の想いに静かに想像力を羽ばたかせ、その痛みや祈りに触れようとすること。
それ自体が、彼らにとって何物にも代えがたい「学び」になったのではないでしょうか。
15年という、彼らのこれまでの人生とほぼ同じ時間をかけて、一歩ずつ歩んできた福島の息吹。
幼かったあの日から、自分の足で未来を選べる年齢になった今、彼らはこの「繋がれたバトン」をどう受け取ったのでしょうか。
バスは今、次なる目的地、光り輝く都心へ向けて走り出しました。
「雪よ舞え 黒板の夢 包むよう」
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