日誌

鉛筆 「あしポン」は 僕らが育てた 春の福

 冬の柔らかな光が差し込むハウス内に、パッと輝くような黄金色の実りが並びました。

 本日は、今年度初となるハウス内「不知火(しらぬい)」の収穫。

 これまで静かに、しかし力強く糖度を蓄えてきた果実たちが、いよいよ収穫の時を迎えました。

 昨年末、寒風吹く中で2年生が露地での収穫を終え、繋いできた収穫のバトン。

 その最終走者としてハサミを握るのは、卒業を目前に控えた3年生です。

 

 「見て!デコが立派すぎてハサミ入れるの緊張するわ(笑)」

 「こっちのもずっしり重いよ、美味しそう!」

 ハウス内には、そんな明るい笑い声と、パチンパチンというリズムの良いハサミの音が響いています。

 一果一果、感触を確かめるように丁寧にハサミを入れる手つきには、三年間の積み重ねによる自信が溢れていました。

 ふと気づくのは、ハウスを満たす「いつもと同じ」土と葉の匂い。

 柑橘の香りは、まだどこにもしません。

 自分の爪やハサミでわずかでも果皮を傷つければ、その瞬間に芳醇な香りが溢れ出してしまいます。

  「香りがしない」こと。

 それは、一果一果を傷つけることなく、三年間で磨き上げた精密な技術で収穫できているという、何よりの上達の証です。

 コンテナが黄金色に染まっていくたびに、実習地には大きな達成感が広がります。

 このメンバーで実習着に身を包み、共に土に触れる日々も、もう指を数えるほど。

 だからこそ、一秒一秒を惜しむように、そしてこの一瞬を楽しみ尽くそうとする彼らの表情は、黄金色の実に負けないほど眩しいものでした。

 樹になっている状態では、まだ一農産物としての「不知火」。

 それが、無傷で収穫する確かな技術と、その後の厳しい糖酸検定という関門をクリアすることで、ようやく本校の誇りである「あしポン」としての命が吹き込まれます。

 この名前は、彼らが三年間かけて磨き上げた技術と、注いできた愛情が認められた「合格証」そのものなのです。

 

 奇しくも今日は「節分」

 季節を分けるこの日に、高校生活最後の冬を締めくくるような収穫を最高の仲間と行えたことは、彼らにとって何よりの「福」となったはずです。

 選別や一玉ずつの拭き上げを経て、皆さまのもとへ届くまでにはもう少しお時間をいただきますが、3年生が真心を込めて仕上げる「あしポン」の登場を、どうぞ楽しみにお待ちください。

 後輩が露地で拓き、先輩がハウスで結実させた、農業科の誇り。

 3年生の手から生まれた「あしポン」の確かな重みは、彼らが芦北高校で共に歩んできた「確かな証」として、卒業後の新しい季節を照らす光となることでしょう。

 

 立春を前に始まった、黄金色の実りとの対話。

 「あしポン」の収穫は、これからも、もう少し、続きそうです。