令和7年度御船高校生徒会夏合宿校長講話(8月18日月曜@かじか)
お盆休み明けだが、みんな元気そうな顔で安心した。このような生徒会合宿は、なかなか他校にはなく、本当に素晴らしい企画だと思う。今年で3年目だが、提案者は事務長先生である。御船高校が母校で、本人も在学中、生徒会長だったそうだ。その熱い思いがこの合宿を実現させている。私も今日ここに来るのが楽しみだった。しかしながら業務が入ってしまい、この時間に合わせて来て、この講話終了後すぐに学校に戻らなければならない。残念。みんなは顧問の先生方と令和7年の夏の思い出をしっかり作ってほしい。
さて私からの講話に入る前にアイスブレイクをしたい。ここにいるのは、みな勝手知ったる仲かもしれないが、学年も違うしもっと深く分かり合えるためにアイスブレイクから入る。また御船高校生徒会執行部メンバーなので、卒業後に進学先、就職先でリーダー的役割を果たすことがあるだろう。こういう研修会やワークショップでは講師役や進行役をする場面が来るかもしれない。したがって、アイスブレイクの手法を学ぶと思ってほしい。アイスブレイクの手法は幾つもあるけれども、今日は2つ教える。
1つ目は、ネガティブ自己紹介(①6人グループを作る。⇒②一人ずつ、自分の名前をその由来(親からの名づけ理由、わからなければ自分なりの考え)を含めて紹介する。⇒③何か自分の人生での失敗談を紹介する。その意図は、自分の長所を話すのも自己肯定感を高めるのにいいかもしれないけれども、周囲に親近感を持ってもらえるのは、失敗や挫折をさらすことが効果的。親近感を持ってもらうと、みんなと話しやすくなる。例:橋本の挫折について【省略】)。~活動~。
とにかく先ずは相手の顔と名前を覚えること、フルネームで覚えるのが大事。次に会った時でも、その名前で呼んであげる。覚えられていたらどういう気持ちがする?いい気分になるだろう。それが仲良くなる最初である。フランスの皇帝ナポレオンは、人の名前を覚えるのが得意で、周囲からの評判を得ていった。もともとフランスとイタリアの間にあるコルシカ島という田舎出身のさえない男だった。成績もそんなに良くなかったらしい。それが、一度会った人の名前は、スペルまで記憶して、次に会ったときはその名前で呼ぶ。相手は本当に気分良くなる。どんどんフランス社交界で人気が出てきた。そうやって最後は、皇帝にまで上り詰めた。君たちも、相手の名前は、姓名、漢字でどう書くのかまで聞いて覚えよう。次に会ったときも当然のように名前を呼んであげてみて。
2つ目のアイスブレイクは21ゲーム(①2人組になる。⇒二人で順番に数字を1から言って、最後に21と言った人が負け。最低1つの数字、最大で3つの数字を言わなければならない。例えば、A君が1,2と言ったらBさんが3,4,5というふうに交互に言っていく。③ゲーム開始。④勝った人同士、負けた人同士でまたやってみる。)。~活動~
これは、実は必勝法がある。グループで考えてごらん。わかった人は、手を挙げて。【省略】
さあ、2つのアイスブレイクを教えたけれど覚えておいて。きっと役に立つから。では本題。テーマは、『平和な未来づくりを託す君たちへ』~戦後80年平和を繋ぐ世代として~とした。
今年は、戦後80年という節目の年。1945年8月15日が終戦なので、2025年は第二次世界大戦終戦から80年経ったということ。私たちの祖父母世代は、戦争の悲惨さを経験し、命を懸けてこの国の平和を築いてくれた。私たちの祖父母世代は実際に戦って、親世代は戦後の混乱期を生き抜いて頑張って、頑張って日本を復興どころか、世界第2位の経済大国に押し上げた。今ではその順位も下がっているが…。でも順位などどうだっていい。ちなみに、日本では太平洋戦争で何人亡くなったか知っているか。この8月には新聞・ニュースで何回も流れたけれど。丸まった数字でもいいから、広島、長崎に原爆が落とされた日、終戦記念日と同様に覚えていてほしい。沖縄戦で20万人、広島原爆で14万人、長崎原爆で7万人、そして総戦死者は310万人である。こんなにもたくさんの尊い命が犠牲になって、親世代がとにかくしっかりと『平和』を築いてくれた。それを私たち世代は、守ってきた。無意識にも平和を維持する努力はしてきたつもり。私たちが子どもの頃は今よりもずっと平和教育がなされていたと思う。修学旅行は、長崎、広島が定番だったし、図書館には「はだしのゲン」が全巻並べられていたし、小学校の体育館で夜の映画鑑賞会は平和を扱ったものがあった。やはり、戦争体験者世代が世の中多くを占めていたからだと思う。今はどうかというと、かなり減っている。生の体験を伝えるのが難しくなっている。高校の国語の教科書にも以前は、太平洋戦争を扱って平和を考えさせる小説があったが、めっきり減った。私はそれでも国語を教えていた時は、必ず1つでも平和教育ができる題材を取り扱っている教科書を選んでいた。他の先生方は教えるのが難しくて敬遠していたけれども、これだけはさせてくれと自分の思いを説明してお願いしたことだった。好んで使っていたのは「沖縄の手記」という教材だった。
昨今、世界は再び不安定さを増している。ロシアによるウクライナ侵攻が終わらない、イスラエルによるガザ地区攻撃も終わらない、中国も台湾に侵攻するのではないかと言われている、国連の機能も働いていない状況、なぜなら戦争にならないように常任理事国が歯止めを効かせるために拒否権を持っているのに、その国が戦争をしている状況。唯一の超大国、アメリカでさえ紛争を止めることができない。でも諦めてはいけない。平和を受け継いだ私たちはもちろん、君たち世代も「平和を希求する力」を持ってほしいと心から思う。「平和を希求する力」とはどんなものか、自分たちで考えてほしい。でも参考になるのは、今年の広島の原爆の日の広島市長の挨拶、広島県知事の挨拶、総理大臣の挨拶、そして広島の小学生の挨拶、これらはいつも以上にすばらしかったと感じた。実際テレビで見たという人がいるかもしれないが、そうでない人はぜひ検索して一度読んでほしい。それと最後の特攻隊の生き残りの千玄室さん、今年の終戦記念日の前日に亡くなった方の言葉が参考になる。この方、千利休の子孫である。印象的な言葉、「after you(お先にどうぞ)」の譲り合い、相手への思いやりの気持ちが世界平和には大事だとずっと訴えてこられた。平和とはただ戦争がないことではない。互いを理解し、違いを認め、共に未来を築こうとする姿勢そのもの。その力は、君たちの言葉や行動、そして学校という小さな社会の中から育まれるはず。
で、ここまで話してきて、何が言いたいのかというと、今回君たちは文化祭のテーマや企画を考えると聞いている。「平和」に関わるものをどこかに入れ込んでほしいなという校長からの提案である。テーマと具体的プロジェクトは、君たちに任せる。とにかく私達(先生方、君達の保護者)の親世代(祖父母世代)が築いた平和を私達の世代(先生方、君達の保護者)が守ってきた、そしてこれからは、君たちの世代が繋ぐ番と思ってほしい。
ちょっと例をあげると、ピースメッセージプロジェクトみたいなものでもいい。生徒から「平和への願い」集めて発信、校内掲示、SNS・地域イベントで共有とか(札幌東陵高校2年生のプロジェクト紹介)。では、ちょっとだけグループで話し合ってみて。~活発な意見交換~
君たちにプロジェクトの始め方のコツを言うと、3つある。1完璧な企画より「最初の一歩」、2小さく始めて、仲間と育てる、3先生や地域の方も巻き込む。これを念頭に置いておいてプロジェクトを考えてみよう。
では、君たちの一歩が未来を変えると本気で思うから、がんばって。
以上、令和7年生徒会夏合宿の校長講話を終了する。ご清聴ありがとう。
【参考配付】
