2018年1月の記事一覧

三学期始業式校長訓話より

三学期始業式訓話 
校長 西澤頼孝

 みなさん、あけましておめでとうございます。

 今日は三学期の始業式です。冬休みはいかがでしたか。充実した毎日が過ごせましたか。私はお正月に行われる「箱根駅伝」が好きで、毎年楽しみにテレビを見ています。一本の襷が繋ぐ「仲間との絆」って、いいですよね。今年もいろんなドラマがあって感動しました。
 ところで、みなさん、車というのは一体いくつの部品から成り立っていると思いますか?  だいたい小さな車でも4千種類、3万個以上の部品でできていると言われています。

 たくさんの工場で多くの方が、この部品を製作しているわけですが、一つの部品がいいかげんでも大事故につながりますので、一つ一つの部品に心を込めて責任感を持って作られています。
 以前、熊本にある電機メーカーの工場でこんな話がありました。この工場は半導体という電気製品の部品を作っていたのですが、どうしても欠陥品の出る割合が他の工場より多い。従業員はまじめに一生懸命にやっているのだけども、やっぱり欠陥品が出てしまう。工場長をはじめ管理部門にある人は原因の究明に悩んでいました。ところが、この問題を解決したのは一人の若い女性従業員だったのです。ある朝、この女性が通勤の途中、工場の横にある踏み切りの前で電車が通り過ぎるのを待っていました。ゴーッと電車が通りすぎるとき、体にも大きな振動が伝わってきた。日頃から、自分たちの作る製品に欠陥が出るのはなぜだろうと考えていた彼女は、この電車の振動が工場に何らかの影響を与えて欠陥品を生み出しているのではないかと考え、それを上司に言ってみました。なるほどと考えた上司はさらに管理職に報告し、具体的な対策として線路と工場の間に深い池を掘り、振動が工場に伝わりにくいようにしました。するとどうでしょう。欠陥品ができる割合が激減したのです。

 この話からみなさんは何を思いますか。この女性従業員は、ただ自分に与えられた仕事をやるのではなくて、どうしたらこの工場が良くなるかを考えていたということです。世界に冠たる日本の電気製品はこうやって従業員一人ひとりが当事者意識を持って作っていたのです。この話は、当時、「日本の企業では入社間もない女性従業員までが職場の抱えている問題について日頃から真剣に考えている。この組織の一員としての帰属意識こそが日本企業の強さの秘訣である。」という話によく用いられました。

 この「帰属意識」って大切なんです。自分は御船高校の一員であるという意識。何年何組の一員であるという意識。それぞれの住む地域の一員であるという意識。・・・・・・・・二学期の終業式で、「人生とは自分の居場所をつくる旅のようなものだ」という話をしましたね。その「居場所」にしっかりと存在感を示すことが大切なんです。・・・・・これからみなさんは遅かれ早かれ社会に出て仕事をすることになります。自分がその職場を支えるという意識をもって勤めてほしいと思います。そうすれば自分自身のモチベーションも上がるし、同僚からも信頼され、充実した人生が送れるのではないでしょうか。

 今日から三学期が始まります。三学期には、一、二年生の修学旅行があります。三年生にとっては、いよいよ最後の学期、学年末考査を無事クリアして卒業するという大切な学期です。先生方のご指導をきちんと受けて、一日一日を大切に過ごしてほしいと思います。

 みなさんのこの一年が、充実した素晴らしいものになることを祈念して、以上をもって、三学期はじめの訓話を終わります。
(平成30年1月9日)