校長室からの風
変革が進む高校の授業スタイル ~ 一斉公開授業
御船高校では現在2週間の公開授業週間中です。その中でも、各教科の研究授業が11月4日(水)に集中しました。
2限目の1年A組(電子機械科)の「国語総合」では古典の『伊勢物語』の授業でした。主人公(男)からの和歌に対して、女の気持ちを想像し生徒たちが返歌を創り、発表するという内容でした。心情を想像し、和歌を創り、発表するという生徒の主体的な学習活動が展開されました。
3限目の2年B組(電子機械科)の「物理基礎」では、「仕事と力学的エネルギー」という単元を取り扱い、電子機械科の専門科目である「機械設計」の内容との共通点に気づかせる授業でした。普通科目の「物理基礎」の学習が工業系の専門科目の理解につながっていること、おし進めて考えれば、あらゆる学びは関連していることを生徒が実感する学習でした。
5限目の1年2・3組(普通科)の選択「書道」では、古典「曽全碑」を題材に隷書(れいしょ)の成立を学ぶものでした。隷書体で「有志」という文字を書くのですが、この指導にICT機器が効果的に使用されました。先生の書き方がカメラを通じてスクリーンで映されます。そしてその映像は、その後も再生が続き、生徒たちは時々顔をあげ、書き方の手本を確認できるのです。
6限目の1年1組(普通科)の「家庭基礎」は、契約の成立や契約上のトラブルを避ける方法を学習しました。高校生にとって身近な事例として、原付バイクの購入、あるいはタイヤ交換のケースなどを取り扱い、生徒に考えさせ、意見を発表するという学習活動でした。
チョーク&トークとかつては高校の普通教科の授業スタイルが揶揄(やゆ)されたことがあります。しかし、今は違います。近年のICT(情報通信機器)の学校への普及、活用によって、授業は大きく変わりつつあります。御船高校では、2年前から、「誰もが分かる」、授業のユニバーサルデザイン化を掲げ、授業改善に取り組んでいます。特にICTの積極的活用を心掛けています。
別の日に行われた2年A・B(電子機械科)の選択「地理A」では「生徒二人に1台のノート型パソコンを提供し、「デジタル地球儀」のGoogle Earth(グーグルアース)を使う授業でした。このソフトウエアは世界の衛星画像が立体的に利用できます。平面の地図帳と違い3次元の地理世界に生徒が触れます。
デジタル機器の効果的な使い方はまだ大きな課題です。数年後には高校でも生徒一人に1台のタブレットを使っての授業が始まると予想されます。変革期の高校の授業ですが、その目的は生徒を誰一人取り残さないことです。