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【SSH】水俣フィールドワーク②

8月2日(金)「SS国語探究Ⅰ」の授業の一環として、1年2組25名が水俣にフィールドワークに行きました。その報告の後半です。

【班別フィールドワーク】13:30~14:30 

午後は3つの班に分かれ、研修を行いました。

①「水俣病事件の科学的及び社会科学的検証」

講師:熊本県環境センター館長 篠原亮太さま

水俣病がチッソ工場の排水で汚染された魚介類を食べることで起きた、食物連鎖による重金属中毒であることはよく知られています。

篠原さんの講話では、メチル水銀生成反応やなぜ、人の身体に取り込まれたのかを、化学式等を用いて分かりやすく説明されました。

また、問題が拡大した背景に潜む、経済問題、貧困問題、都市と地方の格差問題、法の問題等、水俣病を考える上でのさまざまな視座を教えていただきました。

班別研修1

②「患者さんの暮らしと今も続く水俣病裁判」

講師:谷 由布さま 特別ゲスト:坂本しのぶさま

ヘルパーとして長年、患者さんたちの暮らしを支える谷さんと、胎児性水俣病患者である坂本さんのお話を伺いました。

生徒の感想より

「患者さんの何気ない生活が一瞬にして全く異なるものとなってしまったこと、症状や暮らしは患者さんによって違うこと、また、それぞれの方々の心情を知ることができて本当に良かったです」

「小・中学校の学習と比べて、水俣病の裏側まで学べました。今の水俣にもまだ課題は山積していて、水銀のことや裁判のことなど、大変だと思います。水俣に対する差別や、水俣病に対する差別也偏見をなくすためにも、まずはしっかり学んで、水俣・そして日本がより安心して暮らせるようにすべきだと思います。坂本しのぶさんが言われた“色々なことに対して自分も関係あると思って考える”ことをしていこうと思います」

 

 

③「水俣のお茶農家として」

講師:桜野園 松本 和也様

松本さんは水俣市で和紅茶を生産されています。ここで育てられているお茶は和紅茶の他、緑茶、ほうじ茶など現在6種類。1990年よりすベてのお茶を無農薬・無化学肥料で栽培しており、2005年からは肥料・農薬を一切使わない自然栽培にも取り組まれています。

 

【水俣病関連地フィールドワーク】14:30~15:30

最後に、吉永さんの案内の元、水俣病関連地を訪問しました。

①茂道

②坪谷(つぼたに・つぼだん)

1956年5月1日、一番最初の水俣病患者がこの小さな美しい岬から出ました。田中実子さんもその一人です。

現在、実子さんは24時間の介護を受けながら生活しています。

魚が豊富だった水俣の海も、現在は最盛期の10分の1くらいだそうです。原因の1つは護岸工事。自然に人が手を加えることで住めなくなった生物たちがいます。

生徒の感想より

「写真では白黒の風景しか見れないので、リアルの、色のついた鮮やかな実物とはとても同じ世界とは思えませんでした。それと同時に、白黒の写真の中で起こっていたことは、この現実の世界で起こっていたことだったんだと、当たり前のことを自覚させられました」

坪谷

 

③百間(ひゃっけん)排水口

水俣病の”爆心地”とも言われる場所です。流された水銀量は最大450トン程度といわれています。

このフィールドワークは9月はじめに報告会を行う予定です。

9月16日には水銀フリー講座、

また9月30日からは熊本学園大学水俣学研究センターの先生方をお招きして5回の連続講座を実施します。

一つの問題を1年間かけて深く掘り下げることで、問題の多面性に気づくとともに、課題を粘り強く考える力を身につけていきます。