日誌

鉛筆 見つめる目 見つけた笑顔 母の味

 高校総体、大会2日目。

 スタジアムは初日以上の熱気に包まれています。

 

 陸上競技場のスタートラインに横一列に並び、引き締まった空気のなか、静かに白線に手をつく。

 ふと見上げると、真っすぐに伸びるレーンの向こう、ゴールは100メートル先。

 

 その時、生徒たちの心の中には、一体どんな景色が見えているのでしょうか。

 

【張り詰めた静寂と、約10秒間のドラマ】

 「いつも通り、いつも通り……」と、これまでの苦しい練習を信じて自分に言い聞かせているのか。

 あるいは、「私はできる!」と、心の中で強くおまじないのように唱えているのか。

 まわりの歓声が消え去ったかのような静寂のなか、緊張を胸にゴールを見据えるその眼差しは鋭く、そして同時に、大舞台特有のほんの少しの「不安」を映し出しているようでもありました。

 しかし、その不安さえも力に変えるように、ピストルの音と共に力強く大地を蹴り出します。

 100メートル、時間にすれば、わずか約10秒。

 スタート前の息が詰まるような静寂、走っているときの風を切り裂くような疾走感、そしてゴール後に押し寄せる圧倒的な達成感や悔しさ。

 その一瞬一瞬に、生徒たちはこれまでにない濃密な感覚を体中ではっきりと受け止めていました。

 

【スタンドに見つけた、この上ないエネルギー】

 そんな極限のプレッシャーのなかでも、ふとした瞬間に張り詰めた糸が優しくほどける瞬間があります。

 レース直前、緊張のあまり、そっと胸に手を当てて深呼吸をする生徒。

 その視線が観客席へと向いた次の瞬間、スタンドの中に大好きなお母さんの姿を見つけました。

 さっきまでの鋭く不安げな表情から一転、パッと咲いたようなあどけない笑顔がこぼれます。

 「大丈夫、見てるよ」

 言葉は届かなくても、ただそこにいてくれるだけで、張り詰めていた心がすっと軽くなる。

 生徒にとって、これ以上ない最高のお守りであり、最高の応援がそこにはありました。

 

【何よりの回復、愛情たっぷりのお弁当】

 全ての力を出し切り、ゴールを駆け抜けたあとの楽しみは、やっぱりこれです。

 ご家族が作ってくれたお弁当のフタ、そこには「おつかれ」の文字が優しく添えられていました。

 走りきった身体と、戦い抜いた心に、これ以上のサプリメントはありません。

 一口食べるごとに、じんわりと元気が満ちていく。

 何よりの回復薬となったお弁当を胸に、生徒たちは再び明日へのエネルギーを蓄えていました。

 

【すべてが、私を創る糧になる】

 スタート前の極限の緊張、走っているときの躍動、ゴール後に込み上げるすべての感情。

 日常では決して味わえないこの強烈な体験と、そこで感じた特別な感覚の一つひとつが、高校総体という大きな舞台だからこそ得られる宝物です。

 ここで自分自身と向き合い、壁を乗り越えようとした経験は、これからの彼らの大きな「成長」へと間違いなくつながっていくはずです。

 明日もスタジアムでの挑戦は続きます。

 一瞬の景色にすべての想いを懸けて駆ける陸上競技部へ、明日も温かい声援をよろしくお願いいたします!