熊本県高等学校教育研究会地学部会
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水島
場所: 八代市 水島
ここでは,竜峰山帯南帯にあたる石灰岩と砂質頁岩を見ることができる。
球磨川の河口にある植柳漁港近くに,日本書紀にも出てくる八代市指定の名勝「水島」がある。
日本書紀に書かれ、万葉集にも水島を詠んだ歌があるし、枕草子にも「島は水島」とあり、古来、有名な島である。島には多くの碑文がある。
しかし、島の周囲を見てみたが、特に湧水を確認することはできなかった。この周囲は干拓も進み、状況が昔と変わったのかも知れない。
壬申に,海路より葦北の小嶋に泊まりて,進食す。
山部阿弭古が祖小左を召して,冷き水を進らしむ。
是の時に適りて,嶋の中に水無。所為知らす。
即ち仰ぎて天神地祇に祈みもうす。
忽に寒泉崖の傍より湧き出づ。乃ち酌みて献る。
故,其の嶋を号けて水嶋と曰ふ。
其の泉は猶今に水嶋の崖に在れり。
日本書紀 巻第七
景行天皇十八年夏四月
この島では竜峰山帯南帯にあたる石灰岩と砂質頁岩を見ることができる。
石灰岩の中にはウミユリの化石を見つけることができる。
水島の周囲に地層が出ているがこれらは比較的変成度が低く,石灰岩の中にウミユリの化石を多数見つけることができる。この化石から竜峰山帯の石灰岩の時代は二畳紀中期とわかった。
ウミユリ
海ユリと聞くと,なんとなく海に生えている植物のイメージが湧くが,その実体はちょうど長い茎の上にヒトデがのったような動物である。分類上では,棘皮動物門に属するものでウニ・ヒトデの仲間ということになる。
多くは根で海底にくっ着いて生活しており,根から伸びた茎の先に臓器が納まり,そこから5本またはそれ以上の腕が出ている。体は石灰質の小板でおおわれている。
オルドビス紀に出現して古生代に栄え,とくに石炭紀前期には約3,000種が知られている。
日本では石炭紀~二畳紀の石灰岩中に,多量の茎の化石が集まってウミユリ石灰岩を作っていることがある。
平凡社『地学事典』より