2020年11月の記事一覧
熊本県教育広報誌「ばとん・ぱす」(vol.54)の発行について
県の「水俣病の教訓を伝える高等学校訪問事業」を活用した授業に取り組みました。
以下に示した3つの目的で、水俣から講師5名をお招きして、1年生の各クラスにおいて授業実践を10月22日(木)に取り組みました。
(1)「いじめ」を含む身の回りにある差別から社会的な問題へと視点を広げ、水俣病患者とその家族への差別の現実とその歴史的・社会的な背景を学ぶ。
(2)今回の授業をとおし、差別と闘ってきた人々の共通の思いやたくましさに気づかせ、差別や不合理をなくしていこうとする意欲につなげる。
(3)水俣病の教訓をもとにした環境学習への積極的な取組の促進を図る。
このような形での取組は、昨年度に引き続き2年目となります。今年度は、コロナ禍での実施となったため、感染防止の手立てを取りつつ教室のみでの授業となりました。クラスごとにテーマも違い、その学習内容を広用紙にまとめて天工祭で展示・発表することにしています。お越しの際には、是非御覧おき下さい。
〈授業内容〉
M1A 講 師:杉本肇さん
テーマ:「水俣病患者家族に生まれて」(語り部からの講話)
水俣病を患った家族の暮らしのこと、子供の時の経験のこと、漁師として生活している今のこと、などを話していただいた。
M1B 講 師:小泉初恵さん
テーマ:「水俣病は『しかたがなかった』のだろうか?」
NHK「その時、歴史が動いたわが会社に非あり~水俣病と向き合った医師の葛藤~」
(2007/05.06放映)の映像資料を使い、細川一医師を題材にしたワークショップを実施。
E1 講 師:谷洋一さん
テーマ:「水俣病事件の教訓とこれから~水俣から世界へ」
①自己紹介と水俣から見える景色、不知火海、日本、アジア、世界
②不知火海の特性とその汚染状況、天草地域への影響。今わかっていること。
③水俣病事件概説。水銀規制と水銀条約。
④新型コロナウイルスと熊本豪雨災害、水俣病事件に取り組んで見えてきたこと
C1 講 師:奥羽香織さん
テーマ:「水俣病から考えること」
質問シートを踏まえ、生徒の関心に応じてテーマ
を選び、そのことについて考える。
①「病」とは何か。 ②水俣病から考える「差別」。
③「水俣病」という呼称。 ④その他。
J1 講 師:吉永利夫さん
テーマ:「『水俣の箱』から考えよう」
①「水俣の箱」(講師制作)から、素材を選ぶ。
②誰に伝えるの? *水俣病の何が伝えられそう?
③「天草工業高校の箱」「情報技術科の箱」「◯◯の箱」を考えよう!
*「水俣の箱」の一品と伝えたいことを伝えるための「商品」化への実践。
専門高校オンライン発表会~くまもと物産フェア オンライン~
くまもと物産フェアオンラインの中で、専門高校のオンライン発表会が行われました。
本校も各科から1名が参加し、学校紹介を行いました。
その動画が下記アドレスで公開されていますので、是非ご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=NvvfRoAjT_k&feature=youtu.be
くまもと物産フェア オンラインについては、下記アドレスよりご覧ください。
令和2年度生徒会いじめ対策委員及び芸術倶楽部員の研修(報告)
生徒会いじめ対策委員会では、いじめのない安心・安全な学校づくり、そして差別のない社会を実現するための学習と取組を、話し合いながら生徒が主体となって行っています。そして、その一環として、いじめや差別のない学校づくりを担う人材の育成と人権意識の高揚を目的に毎年現地に赴いての学習会を実施しています。しかしながら、今年度は新型コロナウィルス感染症の拡大によって、当初計画していた菊池恵楓園(合志市)訪問を断念。それに替わる研修として、天草市民センターで開催中の菊池恵楓園入所者の絵画クラブ「金陽会」の作品展、「ふるさと、天草に帰る」を10月14日(水)に見学しました。
〈参加者〉 いじめ対策委員(1・2年生)21名
芸術倶楽部(1年生) 9名
本校職員(引率) 1名
合計 31名
同作品展は、ハンセン病の療養所である菊池恵楓園で昭和28年に発足した絵画クラブ「金陽会」の天草出身のメンバーの作品を中心に約90点の作品が展示されていました。作品の中には遠く離れたふるさとや家族を思って描いた作品も多く含まれており、ふるさとに帰ることなく園内で亡くなられたメンバーに代わって、絵だけでも里帰りしてもらいたいとの思いから、今回天草での開催となったそうです。
会場では、まず最初に展示会の主催者である一般社団法人「ヒューマンライツふくおか」理事の蔵座江美さんから、作品とその作品にまつわる話、展示会に込めた思い等をお聞きしました。蔵座さんは、「入所者の方が描かれた本物の絵を見て、作者の生き方や思いに触れることが入り口となって、さまざまな人権問題や差別の問題を考えていただくきっかけになってほしい。天草の高校生がたくさん来てくれて、本当にうれしい。」と話してくださいました。
どの作品も、素朴なタッチの中に、どこか優しさや温かさ、そして力強さを感じさせるものばかりで、生徒たちもその作品の奥にある作者の思いに少しずつでも近づいているようでした。