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2021年5月の記事一覧

キラキラ 世界が一つになる

5月21日(金)韓国土坪高校とのオンライン交流が始まりました。

 16時20分開始予定が 音声の不調で20分ずれて 16時40分スタートです。
 お互いに 与えられた時間をいっぱいに使って(少々オーバーもしていましたが)自己紹介です。
 名前の発音を韓国語で解説したり
 (例えば メ〈매일 매일 メイルメイル〉 グ〈구빤찌グーパンチ〉 =意味は毎日毎日 グーパンチ!!
  ずいぶんストレスが溜まっているのねと思ったら 横に可愛らしいアンパンマンのイラストが^^)
 メッセージボードを使ったり
 パワーポイントで韓国のはやりのファッションを披露したり
 グループダンスを披露したり と
 ちょっとした文化祭並みです。笑いが出て 拍手が沸き起こり あっという間の1時間半でした。

その後,韓国の土坪高校 朴仁淑校長先生からメールが届きました。

 「今回,長い歴史を持っている天草高校の伝統や勤勉な国民性を実感しました。
  天草高校の生徒たちが,自己紹介を,韓国語まで学んで発表してくれる姿に,心から拍手を送ります。

  本校には,授業で第二外国語に日本語を選択している生徒がいます。
  上手な生徒もいますし,これから学んでいく生徒もいます。
  今までは,表現力が良い生徒は 女学生に多かったのですが,
  今年は,男子生徒たちも何人も学びに参加して,
  ずいぶん,雰囲気が変わってきたように思います。
  先日の交流会に先立ち,5月19日(水),我が校では「日本の文化紹介祭」を開催しました。
  その時,男子生徒たちが展示場を設け,朝早くから熊本の「くまモン」の着ぐるみを着て,
  女子生徒たちはゆかたを着て,登校する生徒にプレゼントをあげたりして,
  一生懸命ミッションを実行している姿が目を引きました。

  世界市民を目指す皆さん。
  まだ十分に言葉は通じませんが,私たちは教育を通じて,文化を通じて世界が一つになる先鋒に立ちましょう。
  皆さん 愛してます。」

朴校長先生の「教育を通じて,文化を通じて世界が一つになる先鋒に立ちましょう」には,本当に勇気づけられます。

「世界が一つになる」― 少し前までは 夢の中のことばでした。
(今も 世界のいたるところで紛争が続いていますが 若者たちから様々なメッセージが発信され始めています。)

 ハートに熱いものを持っていても 皆の前では「尻込みする日本人」というイメージも強くありました。

しかし
子どもたちの生き生きとした姿を見ていると
あっさりと “一歩” を踏み越えてくれたような気がします。

「世界が一つになる」― 21世紀の子どもたちの手の届くところにあるのかもしれません。
この大いなる日に向けて 皆で手を携え 少しずつその輪を広げていきたいとおもいます。

ハート 認めてもらえるって 嬉しい!!

5月24日(月)
朝からの雨が小降りになってきたと思ったら,天草市の子育て支援課の課長から お電話をいただきました。

課長の優しい語り口の向こうから 電話のベルが響いています。
スタッフの方々が,子どもたちのケアや,家族の支援に奮闘されているのでしょう。

「先日の定時制の子どもの作文 感激しました。
 認めてもらえるって 嬉しいですよね。
 私たちだって嬉しいんですから,
 子どもたちはなおさらですよね。
 天草市にも様々な境遇を背負わされている子どもたちがいます。
 その一人ひとりを支えて その子を〈認めるということ〉が
 一番大事だと思って 改めて 課内のスタッフと声かけあったところです。」

ぬくもりの感じられる言葉一つひとつに 
私は 「ありがとうございます」の言葉しか返すことができず
受話器を握りしめたまま 何度も何度も深く頭をさげていました。


先日の作文を書いた定時制の子どもと 子育て支援課の方と どのようなやりとりがなされたのか
子どもから直接 話は聞けていません。
しかし二人のシルエットが浮かんでくるのです。
 ― 将来どうする? 学校(高校)には行っといたほうがいいかもね
 ― でも ずっと授業受けていないし 勉強についていけるか。。。
 ― だったら 定時制に行ってみない? ゆっくり自分のペースで勉強できるよ


定時制には 様々な子どもたちが集まってきます。
不登校を経験した子もいれば,いじめられたショックから学校に足が向かなくなった子,家計が厳しいため上級学校進学をあきらめ働くということを選択した子,複雑な家庭境遇のもとに育ち自分の居場所探しを続けている子 実に様々です。

でも そんな子どもたちが,同じように
「定時制に来たら 息をするのがラクになった」と言います。
これまで様々なストレス(「・・・ねばならない」の世界)に虐げられていたのかと思うと胸塞がれる思いです。

定時制に来たからといって,それまでのキツさがなくなってしまうわけではありません。
しかし,定時制の先生方は,毎日「始まりの会」で
生徒たちの昨日の言動からの〈気づき〉を報告し合い,情報を共有して,
どのような支えができるか,どのような導きができるかを考えていきます。
〈少しでもあの子の心の重荷が軽くなれば〉〈少しでも自分の将来に向かう勇気が出れば〉
定時制の先生方が共通して抱いている思いです。

「先生(大人)との垣根が低くなった」という言葉もよく聞く言葉です。
子育て支援課の方々と接した際も 多分同じような言葉を漏らしていただろうなと考えます。
ある定時制の卒業生が仰いました。
「あなたたちは未来を背負って立つ〈貴重な宝〉=〈人財〉なんですよ」。
とても素敵な言葉だと思います。

いまは
子育て支援課の方々や,地域の方々,中学校の先生方に繋いでいただいた
この貴重な宝の子どもたち 一人ひとりの
人生の伴走者として
ゆっくりと歩き続けられたら と考えています。

ハート 私の心は 解きほぐされ 軽くなっていきました

 天草高校の定時制では,毎日,様々な子供たちが,夕方から学校に集まり,「夢」実現のために勉強を続けています。

 その中の一人に 次のような作文を書いてきた子がいます。
 

 私は中学校二年生の時に学校へ行けなくなりました。

 私が家にいると家族から登校を強く促されるようになりました。

 自分でも「学校へ行かなくてはならない」と思いながら,どうしても登校できません。担任の先生が家庭訪問をしてくださいますが,状況は変わりませんでした。

 しばらくして,天草市の子育て支援課の方が自宅へ訪れるようになりました。
 初めは,その方との会話が成り立つこともなく,気まずい空気が流れるだけでした。
 しかし,何度かお会いするうちに私の心は解きほぐされ軽くなっていきました。やがて,次の訪問が待ち遠しくなりました。

 私は職員の方の包容力のある人柄に触れ,私の心の奥底に潜む得体の知れない何かを取り除いてくれたコミュニケーションの力のおかげで,再び歩みを始めることができました。

 私はいま定時制高校に進学し学んでいます。在籍している生徒たちの中には,天草市の子育て支援課のお世話になったことがある生徒が少なくないことを知りました。

 私はいま,夕方からの授業が始まる前に,公務員試験の勉強をしています。自分自身の経験を,自分と同じような状況にある人たちへの支援に生かし,市の職員として地元の人たちと関わっていきたいと思うようになったからです。

 先生方は,私の決意を知って応援してくださいます。

 引き続き,定時制の仲間たちとより良い学校生活を続けていくために,そして,将来,自分の経験が同じような境遇にある地元の子どもたちに生かしていくために,毎日勉強を頑張っていきたいと思います。

 静かな語り口ながら,天草市子育て支援課の方との貴重な出会いへの感謝が,じんわりと伝わってきます。サン=テグジュペリ『星の王子さま』の,王子に語り掛けるキツネの言葉のようでもあります。

 天草市子育て支援課の方々の,急がない 丁寧な そして継続的な支援に 心から感謝しています。

 学校の勉強も,公務員の勉強も,友達づくりも,必死に頑張っている彼には,将来,是非天草市の職員として,地域の若者や,すべての人々を支える役割を担って活躍してほしいと思っています。
 そしてその「夢」実現のために,これからも全力で,応援していきたいと思います。

 

「おれの目から見ると、あんたはまだ、ほかの十万もの男の子とべつに変わりない男の子なのさ。だからおれは、あんたがいなくたっていいんだ。あんたもやっぱりおれがいなくたっていいんだ。
 だけど、あんたがおれを飼いならし仲良くなると、おれたちはもうお互いに離れられなくなるよ。あんたはおれにとって、この世でたったひとりの人になるし、おれはあんたにとって、かけがえのないものになるんだよ」(サン=テグジュペリ『星の王子さま』内藤濯訳より)

キラキラ 素敵なおくりもの

 5月12日(水)夜遅く 官舎の玄関の呼び鈴が鳴るので出てみると
 一人の女性が 暗い雨の中立っていました。

「突然 すみません 覚えていらっしゃいますか? 先日の自転車の・・・」
 と女性が話し始めると 後ろからぴょこんとお辞儀をして 笑顔の女の子が立っています。

「あーっ 愛ちゃん!」
 先日 官舎の前でゴムひもを自転車のギアに絡ませて途方に暮れていた女の子です。
 今日は いっぱいの笑顔です。

「先日は本当にお世話になりました。 何度かお伺いしたのですが いらっしゃらなかったので」
 というお母さんの言葉に続いて 女の子が

「ありがとうございました。自転車もちゃんと直りました。
 いまは 体育祭の練習に頑張っています!」

 と可愛らしい笑顔を見せてくれました。

 

 二人が帰った後
「これ どうぞ」と
 手渡してくれたものを見ると 女の子が一生懸命書いたメッセージです。

 笑顔通りの純な心が すーっとしみ込んできます。
 「このあとどのようにすればいいかまで教えてくださり」
 あの時の 不安だった気持ちが手に取るようにわかります。
 

 いつも思うのですが 私たちは 一人では何もできません。
 事実 この間も 私は 女の子の自転車のゴムひもを外すことはできませんでした。
 しかし 誰かの不安に寄り添うことは できるような気がします。
     周囲にSOSを出すことも できるような気がします。
 そして この先どうしたらよいのかを一緒に考えることも できるような気がします。

 あの時 おじさん三人組が 女の子の不安な心を少しでも支えることができたのならば
 本当にうれしい限りです。

 早速 今朝(5月13日)、朝礼が始まる前に、岩間先生たちに見せると
「うわーっ 素晴らしいですね!」
「ちょっと、聞いて 聞いて!」と周囲に先生方を集め メッセージの言葉を読んで聞かせています。


 またあの中学生の女の子から
 素敵な宝物をいただきました。
 今日も、素敵な木曜日の朝です!

 

追記

 おじさん三人組はあまりにうれしかったので 手書きで 愛ちゃんに手紙を書くことにしました。
 残念ながらその手紙は愛ちゃんのところに届けられて残っていないのですが
 手紙の内容が残っていたので 紹介します。

 

 先日は 朝から大変でしたね。
 このたびは お手紙付きのお礼までいただき ありがとうございました。
 お手紙を拝見したところ 自転車も無事修理が終わったようで
 新しい中学生活を楽しんでいることと思います。

 人との出会いには色んな出会いがあります。
 登校中の自転車のトラブルという形での今回の出会いは
 愛さんにとって 本意ではなかったことでしょう。
 ただ、あの日 愛さんがお礼を言って自転車に乗って去っていく姿を見た時
 私自身困っている人の役に少しでも立てたことを 嬉しく思いました。

 私は、優しさは リレーの「バトン」のようなものだと思っています。
 私もこれまで多くの人からその「バトン」を受けながら生きてきました。
 いや 今だってそうです。
 愛さんの これからの人生でも たくさんの人々と色んな出会いがあると思います。
 もし、その出会いが 何か困っている人との出会いであったならば、
 今度は 愛さんが その「バトン」をつないでくれたら嬉しく思います。

 最後になりましたが、愛さんの中学生活が充実したものになるよう 期待しています。
 頑張ってくださいね。

                        天草高校 岩間 智徳

 

 ご丁寧にお礼のメッセージをいただきありがとうございます。
 先日は 朝から 大変でしたね。
 その後 無事学校に着くことができ、自転車も修理できて元通りに乗れていると聞き、
 安心しました。

 私も 今まで生きてきた中で いろいろと困ったことがあったり
 どうすれば良いかわからないことになったりという場面をたくさん経験してきましたが
 その度に 周りの人に助けていただきました。

 愛さんも 今後 そのような場面に出会った時には
 困っている人に力を貸してあげられるようになっていただければ 嬉しく思います。

                        天草高校 内村 幸平

 

 先日は 雨の中 お母さんと わざわざあいさつに訪ねてきてくれてありがとうございました。
 しかも何度も訪ねてきて下さったとのこと 本当に申し訳ありませんでした。
 愛さんの笑顔を見ることができて本当に嬉しかったよ!

 私は 天草町高浜の出身です。
 中学に入学したばかりの時、小学校からの友人が苓北町の医師会病院に入院したので、
 バスを乗り継いでお見舞いに行ったことがあります。
 しかし 話に夢中になって、母と約束した午後四時過ぎのバスに乗り遅れてしまいました。
 バスの時刻表を見ると、次の最終バスが出るのは午後六時過ぎ。二時間ほどあります。
 当時はスマホもなく、親に連絡する手段もないので、『母が心配するだろうな』と思うと
 いつの間にか 海岸沿いの道を歩き始めていました。
 やがて 辺りを夕日が赤く染め、そして、日が落ち、足元も見えないくらいの闇がやってきました。
 怖くて歩を進めるのだけれど、行っても行っても灯り一つ見えてきません。波の音が静かに響いているだけです。
 やっと道のはるか遠くに灯りが見え始め、泣きながら必死に走ってたどり着いたのは、下田温泉の停留所でした。
 ベンチに座って泣き声を必死にこらえながら泣いていると
 『どうして もっと早く帰らなかった』と自分を責める声が響いてきます。
 しかしそれに答えることができないので また 涙を流すのです。
 あの時 あのバス停に人が居たら、たぶん、変な子供だと思われたかもしれませんが、
 抱き着いて泣いていたような気がします。

 しばらくすると 丸い灯りを灯したボンネットバスがやってきて、無事高浜まで帰ることができました。
 案の定 母にはこっぴどく叱られました。
 しかし、母のもとに帰ってくることができたというのがとても嬉しかったのを覚えています。

 だから、というわけではないのですが
 困っている人を見ると 自分ができる できない ということを飛び抜かして 声を掛けてしまうのです。
 誰かが横にいてくれるというだけで心が安らぐ 安心できるということを体験したから。

 ゴメンナサイ 余計な話を長々としてしまいました。
 愛さんの中学生活は これからがスタートです。
 たくさんの仲間に恵まれて 充実した楽しい三年間が送れることを願っています。
 お母さま方にもよろしくお伝えください。

         五月十四日          天草高校 馬場 純二

 

イベント いよいよ 明日は 第76回体育大会です!

 5月6日(木)抜けるような青空の下,体育大会の予行練習が始まりました。

 予行練習は,選手たちにとっては,大会当日の競技の流れを確認して,競技の手順等を確認するのが目的ですが,大会進行役の生徒会にとっては,大会当日の進行上の問題点を洗い出すのが大きな目的です。
 招集・準備・誘導のタイミング調整,選手名簿照合,出発・決勝の位置確認,放送のタイミング確認と,トランシーバーで各所を繋ぎながら,見事に進行表の隙間を埋め,放送原稿の書き直しを進めていきます。

「先生 この出発構成は,ラストの走者が3名になってしまいます。走る側からすると,とても走りづらい人数ですので,ラストから3チームを組み替えて,5・5・5で走らせたいと思いますが,どうですか?」
 招集担当の生徒会役員が,本部席の生徒会担当職員の所に協議に来ています。走る側の心情を汲み取って解決策を提案してくるところなど,さすが天高生です。

 最後の種目,団対抗リレーは,一番のクライマックスです。
「練習だと思うな! 本番のつもりで行くぞ!」
 団長から開始前に掛けられた一言が,みんなの心にも浸透しているようです。
 体育科主任の長田先生の判断で,全員のバトンリレーを確認させるため,本番どおりに走らせることにしました。団対抗リレーのアンカーは団旗を持って走ります。万が一にも事故があってはならないと,事故が起こる要素はないか洗い出しのためのリレーです。
「無理すんなよ。怪我せんごてな」アンカーに長田先生が優しく声かけると,いよいよスタートです。

 練習とはいえ,やはり全力疾走は,みんなの目と気持ちとを揺さぶります。
 大きな声を出せない分,両手を打ち鳴らして,全身を叩いて,全校生徒が必死に応援です。コーナーで,直線で,紅団,白団の選手が抜き返すたびに大きな拍手が起こります。バトンが落ちると,放送の声が一段と大きくなります。「頑張ってください!」
 見ているこちらも熱くなってきました。

 

 本当は,「体育大会に,是非,皆さんおいでください! 若者の真剣な勝負を目の当たりにして元気を得てください!」と言いたいところなのですが,コロナ感染拡大防止のため,保護者の入場は3年生一家族1名までに制限せざるを得ません。
 その他の学年保護者,地域の方々の観戦はご遠慮いただいております。本当に申し訳ございません。

 目に見えぬ誰かの思いを察し,直向きに仲間の力を信じて真剣に取り組む子どもたちは,この体育大会を自らの手で創り上げる経験を通して,胸に熱い焔を灯し,必ずや天草から世界を拓く若者に育っていくと信じております。

 当日の生徒たちの躍動する様子は,後日,HP等で発信していきます。
 今後とも天草高校の若者たちをご声援ください。よろしくお願いします。