校長室便り

2019年3月の記事一覧

不完全だからこそ

 「不完全だからこそ」 

 中庭のチューリップがきれいに花を咲かせています。柔らかな陽ざしの中、3月15日に平成30年度の卒業証書授与式を本校と希望ヶ丘病院教室で行いました。本校では幼稚部2名、小学部4名、中学部1名の計7名が、希望ヶ丘病院教室では中学部の3名が、多くの御来賓や保護者の皆様の御臨席の下、先生方や在校生の励ましと祝福を受けながら、それぞれ卒業証書を手にし、涙あり笑顔あり、爽やかな風のように旅立っていきました。在籍期間こそ長短ありましたが、大好きな保護者の皆様と医療・療育のスタッフや先生方に支えられ、日々の遊びや学習活動等を通して、また交流や職場体験等を通じて生活経験を増やし、それぞれ内に秘めた力を蘇らせながら、たくましく成長しましたね。松東でのこれまでの学びを土台に、新たなステージでも明るく素直でねばり強く、自分の成長を楽しみながら、豊かな人生を歩まれることを心から願っています。

 在校生は一様に、卒業生とのお別れで、心にぽっかり穴が開いたように感じているのではないでしょうか。卒業生はいつでもあなた方を応援してくれていますよ。心の支えにして、松東での新たな学びと療育センター等での生活に頑張りましょう。

 ところで、皆さんは定めた目標を達成するために日々努力していますか?私は、ずいぶん努力して頑張ったつもりでも、周囲から不十分なところを指摘されたりすると、がっかりして意気消沈してしまいます。なかなか理想の自分には近づけませんね。そこで、負け惜しみではありませんが、もともと「人は不完全だからこそ成長できるのだ」と思うことにしています。どんなに完全に近づけても決して完璧ではない。ですから、これでよいと満足せず、理想の自分をめざして努力を重ねましょう。成果が感じられなくても、今は飛躍のためのエネルギーを蓄積しているのだと考えるのです。心の持ちようで、ずいぶん楽になりますよ。

 努力してもうまくいかないことがあります。辛いときや淋しいときには、校歌にもあるように、「不知火の海を望」んだり「雁回の空を仰」いだりして、人間って何てちっぽけなんだろうと思ってほしい。そして、くよくよせずに「試練に耐えて」、「秘めし力」を「よみがえ」らせる“笑顔輝くあなた”であってください。

 結びに、保護者の皆様、こども総合療育センター、希望ヶ丘病院、こころの医療センターのスタッフの皆様、そして地域の皆様方には、この一年、本校の教育活動に御理解と御協力を賜り、誠にありがとうございました。お子様の健やかな成長を切に願い、お礼の言葉といたします。

 平成31年3月29日         熊本県立松橋東支援学校長 松田 満

 

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