校長室便り

2017年12月の記事一覧

幸福について

   幸福について                      松田 満
皆さんは、県民総幸福量(AKH:Aggregate Kumamoto Happinessの略称)についてご存じでしょうか?これは、蒲島県政の基本理念である「県民総幸福量の最大化」の考え方を県民と共有し、効果的な施策につなげることを目的として作成された指標です。内容は、幸福の要因を「夢を持っている」「誇りがある」「経済的な安定」「将来に不安がない」の4つに分類し、重要度や満足度を県民アンケートで測定して算出されます。直感的な幸福度を測るものですが、誰と比べるものでない、絶対的な指標であると思います。平成24年度から調査が行われており、今年度が5回目でした(昨年度は熊本地震のため未実施)。平成24年度から平成27年度までの結果は、68.7、68.4、68.1、68.2。平成29年度は68.9で、過去最高の数値となっています。地域別では、地震の被害が大きかった地域は県平均を下回っています。

■ところで、スケートの羽生選手やロアッソ熊本の選手等が、災害等で周囲が大変なときに、練習を再開していいのか(自分の幸福を優先していいのか)葛藤したと聞きました。このように、自らの幸福を追求することにうしろめたさを感じたり、自分の幸福よりも何か別のものや他の人のことを優先したりすることについて、哲学者の三木清は、「人生論ノート」の中で、次のように述べています。「幸福は徳に反するものではなく、むしろ幸福そのものが徳である。」「我々は我々の愛する者に対して、自分が幸福であることよりなお以上の善いことを為し得るであろうか。」「日常の小さな仕事から、喜んで自分を犠牲にするというに至るまで、あらゆる事柄において、幸福は力である。」三木は、幸福と徳は相反するものでも、どちらかを優先すべきものでもない。愛する人のために自己を犠牲にする行動をとったから幸福なのではなく、幸福だったから、そのような行動がとれたのだと言っているのです。練習を再開すること(で周囲に勇気を与えるの)も、練習を中断すること(で被災地の支援を行うの)も、どちらも行動の源は幸福なのです。要は、考え方によるということなのですね。

■さて、子どもたちは2学期も、様々な学校行事や近隣の幼稚園・小学校との交流及び共同学習、居住地校との交流、校外学習等に取り組んで、経験の幅を広げ、学習を深め、大いに楽しむことができました。これも、保護者の皆様は勿論、県こども総合療育センターの皆様や地域の皆様方の御理解と御支援があればこそと、心よりお礼申し上げます。子どもたちにつないでもらっている皆様との御縁に感謝しながら、皆様と共に幸福に満ちた素敵な年を迎えたいと思います。今年一年、ありがとうございました。

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