校長挨拶

  昨年度に引き続き、松橋支援学校長として二年目を向かえました後迫 貴利子(うしろざこ きりこ)です。どうぞ、よろしくお願いします。

 本校は今年、学校創立59年目となりました。令和7年度には創立60周年を迎える歴史と伝統がある学校です。

 小学部、中学部、高等部を設置し、肢体不自由教育校として県内各地から本校の教育を必要とする児童生徒が集い、学んでいます。4月9日の入学式で新たに小学部1人、中学部3人、高等部4人、計8人の新入生を迎え、令和6年度は小学部9人、中学部13人、高等部12人、総勢34人になりました。また、校舎内に寄宿舎を設置しており、本年度11人(男子8人、女子3人)の子どもたちが月曜日から金曜日まで寄宿舎生活を送っています。

本校の校訓は「じょうぶで、明るく、粘り強く」です。このような子どもたちに育ってほしいと願いながら、肢体不自由教育校及び寄宿舎設置校として、魅力あふれる特色ある学校づくりを進め、子どもたちが毎日、笑顔で登校する学校を目指し、本校職員一丸となって子どもたちの指導・支援、日々の教育活動に取り組んでいます。

子どもたち一人一人の可能性を見出し、豊かな人生を送るために必要な力を育成するため、本年度も引き続き、保護者、地域の皆様方のご理解、ご支援をよろしくお願いします。

 

令和6年度(2024年度)熊本県立松橋支援学校グランドデザイン.pdf

                                     

 熊本県立松橋支援学校長 後迫 貴利子

  

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校長室(管理職)ブログ

年始挨拶

 新年あけましておめでとうございます。

 年明けから大きな災害や事故が相次ぎましたが、改めて命の大切さを実感し、日々の暮らしが平和に送られていることに感謝した正月でした。

 仕事始めの4日、晴れ渡る青空が広がり、少しひんやりする空気を感じながら出勤すると松橋支援学校校舎入口に門松が飾ってありました。本校の技師が材料を集めて冬休みに作成した手作りです。また、玄関を入ると干支の辰のデザインの置物が飾られています。これは小学部職員の手作りですが、巳年から作り始めて、今年で12支の干支が一周したと話をしていました。正月はさまざまなことがリセットされるときです。縁起物を飾って新しい気持ちになり、幸を迎え入れる大事な習わしだと思っています。子どもたちにも紹介して、温かく見守ろうとしている職員のそんな気持ちを感じてくれたら嬉しく思います。

 今年一年が子どもたちや保護者、職員にとって幸多き年になることを心から願っています。

 

きらり祭、児童生徒が輝くために

 先日、11月11日(土)、本校では、日頃の学習について発表する「きらり祭」を開催しました。一人一人の児童生徒が学んできたことや練習の成果を自信を持って生き生きと披露しました。その様子は、トップページに掲載していますので、この管理職ブログでは、児童生徒の力を生かす教員の工夫についてお知らせしたいと思います。
 1枚目の画像は、ある小学部児童のナレーション原稿です。言うべき台詞が思い出しやすいように、最初の文字に丸をつけており、また、言葉の意味がしっかり理解できるよう、イメージしやすいイラストをつけています。この原稿を使った児童は、本番でも自信をもって発表することができました。

  高等部では、今年度、取り組んできた「「働くことをテーマとした学習」について発表しました。その学習の一環として紙漉きに取り組みましたが、2枚目の画像 は、材料のパルプを混ぜるミキサーを動かすため、ある生徒が使った特別のスイッチです。このスイッチは市販品ではなく、教師が部品を買ってきて使用する生徒に合わせて作成したものです。多分、より使いやすいように何度も改良を加えていると思います。このようなスイッチを使うことで、身体を自由に動かすことが難しくてもいろんな活動に参加できるようになるのです。
 特別支援学校では児童生徒が持てる力を発揮できるよう一人一人に合わせた工夫をします。今回紹介したのは、その一部です。そんな私たちの頑張っていることを、保護者をはじめ、いろんな方に知っていただければ嬉しく思います。


教頭 後藤勇造

「同じ釜の飯」

 

 本校には寄宿舎があります。現在、男子6人、女子3人が在舎しています。高等部生が最も多く6人いますが、中学部生2人、小学部生1人の合計9人です。学校が終わると舎に戻り、まずは手洗い、うがい、健康チェックを済ませて、身の回りの片づけをします。次にそれぞれ入浴を済ませて、夕食を食べます。一緒に「いただきます」をしますが、食べるスピードが異なるので、最後の小学部生が食べ終わるころには高等部生は次の活動にそれぞれ進みます。コロナで感染拡大防止のため、会話もなくパーテーションで区切られた中での食事でしたが、5月、コロナ感染症が5類に移行してからは少しずつですが、食堂から笑い声が響き、楽しく会食できる様子が伝わってくるようになりました。

寄宿舎では、将来、自立した生活を送るために、洗濯や掃除の仕方を学びます。社会性を身につけるために寄宿舎行事の司会をしたり、みんなの前で人権に関する意見発表をしたりする取組も行っています。人に自分の気持ちや考えを伝えることはとても大事なことです。寄宿舎生活を通して、人との関わり方も学んでいるのです。

そして、寄宿舎は家庭の役割もあることから、クリスマスや節分など季節の行事もみんなで楽しんでいます。先日はハロウィーンの取組で、寄宿舎生が仮装してまだ学校にいる職員に「TRICK or TREAT」とおばけに扮装した子どもたちが各職員室を回って、先生方を驚かせて楽しんでいました。

小学部から高等部まで幅広い年齢の子どもたちがいることで、年上の生徒が年下の児童の世話をしてくれたり、何か嫌なことやきついことがあって落ち込んでいる高等部生に無邪気な笑顔で笑いかけてくれたりすることで、言葉はなくても優しい気持ちになれることがよくあります。卒舎生と話す機会がありましたが、ある一定の期間ではあるものの親元を離れ、寄宿舎で生活してきたことをいい思い出として大事にしているとのことでした。もちろん、寂しいこともあったでしょうが、同じ釜の飯を食べる仲間がいて、一緒に寝食を共にしてくれる寄宿舎指導員の先生がいることで助けたり助けられたり、いろいろなことを考えたり、感じたりすることで、成長してこられたということだと思います。

これからも「松橋支援学校の寄宿舎生でよかった」と思える生活を送っていってほしいと思っています。

 

 

「日本一おいしい給食」

11時15分、廊下からガチャンガチャンと給食配膳台を運ぶ音が近づいてきます。校長は検食のため、子どもたちより少し早く給食を食べます。異物が混入していないか、味付けは問題ないか、完成して2時間以内に食べることにはなっていますが、不適切な温度管理などによって味や形態に変化はないか・・・、などについて確認をしています。

 今日の献立は「カレーマーボ豆腐とふわふわスープ」でした。松橋支援学校に赴任して初めて食べた献立に「びりん飯(三角町戸馳で作られる郷土料理)」「栗クリーム(パンにつける自家製クリーム)」があります。栄養教諭の松本先生は子どもたちのために日々情報を収集し献立づくりに励んでいます。本校は寄宿舎もあるため、朝ごはん、夕ごはんの提供もしています。ご家庭でも似たような献立が重ならないように気を配られていると思いますが、本校でもできるだけバリエーションを豊富にして、重なりを避ける努力をしています。

 給食は7人の調理員さんが交代で作っています。朝食担当の方は6時15分に出勤してご飯を炊くことから始められます。夕食担当の方は寄宿舎生全員が食事を終えて、食器の片づけをして翌朝の準備を済ませてから帰宅されます。夏の暑い日は調理室内は30度を越えることもあります。また、寒い時期は野菜を冷水で洗うときなど、手が悴んでしまうほど寒さが堪えると思われます。それでも、子どもたちのためにと調理員のみなさんはいつも笑顔で給食づくりをしてくださっているのです。

 10月27日(金)、本校では地震や津波を想定した豊川小学校との合同避難訓練を実施しました。全職員・全児童生徒で豊川小学校に避難するのですが、災害時は給食を作ることもできず、保護者が迎えに来られるまでの間、空腹を凌ぐ方法を考えておく必要があります。27日は全員、各家庭から事前に準備してもらっている備蓄用の非常食を食べました。かんぱんやおかゆ、レトルト食品を備蓄用に学校に置いていますが、それぞれが持ってきているものを工夫して食べていました。子どもたちの中には、何となく物足りないような表情の子どももいて、満腹感は味わえなかったようでしたが、非常時には仕方がないことです。でも、だからこそ、毎日、汁物がついている温かい本校の給食のありがたさを改めて感じたことでしょう。

 愛情たっぷりで安心して食べられる松橋支援学校の給食は日本一おいしい給食です。みんな、味わっていただきましょう。

「たいせつなわたし」

6月は「心のきずなを深める月間」として、各学部それぞれに道徳や特別活動の時間に取組を行いました。高等部では、道徳の時間「大切なわたし」で自分の名前の由来について、保護者の方のご協力をいただき事前に情報を収集して、授業を行いました。

 授業の当日は、担当の教員が保護者の思いが詰まったお手紙を代読し、本人に聞いてもらいました。名前の由来を聞き、改めて、保護者の気持ちを知った生徒の中には、感極まって涙を流す生徒もいて、温かい空気が教室中に広がりました。そのあと、生徒たちも保護者向けにお手紙を書き、普段は照れくさくて言いにくいこともこの取組によって、気持ちを素直に伝えることができたようです。

 自分の存在が人を幸せにすることができる・・・。親子のきずなは深いはずなのですが、自分に自信を無くしていたり、人に対して疑心暗鬼になったりしがちな思春期の子供たちです。気持ちを伝え合い、互いに相手を気遣う優しい時間を共有できたことで、どんなことがあっても、支えてくれる人がいるということを実感できたことでしょう。互いに大事な存在だと思っていても、思うだけでは伝わらないこともたくさんあります。時には、幼少期の思い出や将来の夢を語りあって、気持ちを伝え合ってみましょう。これからの人生にはうまくいかないことや失敗することもあります。そんなとき、乗り越えられる力の源がここにあるように私は思いました。

        令和5年7月3日 校長 後迫 貴利子