「同じ釜の飯」
本校には寄宿舎があります。現在、男子6人、女子3人が在舎しています。高等部生が最も多く6人いますが、中学部生2人、小学部生1人の合計9人です。学校が終わると舎に戻り、まずは手洗い、うがい、健康チェックを済ませて、身の回りの片づけをします。次にそれぞれ入浴を済ませて、夕食を食べます。一緒に「いただきます」をしますが、食べるスピードが異なるので、最後の小学部生が食べ終わるころには高等部生は次の活動にそれぞれ進みます。コロナで感染拡大防止のため、会話もなくパーテーションで区切られた中での食事でしたが、5月、コロナ感染症が5類に移行してからは少しずつですが、食堂から笑い声が響き、楽しく会食できる様子が伝わってくるようになりました。
寄宿舎では、将来、自立した生活を送るために、洗濯や掃除の仕方を学びます。社会性を身につけるために寄宿舎行事の司会をしたり、みんなの前で人権に関する意見発表をしたりする取組も行っています。人に自分の気持ちや考えを伝えることはとても大事なことです。寄宿舎生活を通して、人との関わり方も学んでいるのです。
そして、寄宿舎は家庭の役割もあることから、クリスマスや節分など季節の行事もみんなで楽しんでいます。先日はハロウィーンの取組で、寄宿舎生が仮装してまだ学校にいる職員に「TRICK or TREAT」とおばけに扮装した子どもたちが各職員室を回って、先生方を驚かせて楽しんでいました。
小学部から高等部まで幅広い年齢の子どもたちがいることで、年上の生徒が年下の児童の世話をしてくれたり、何か嫌なことやきついことがあって落ち込んでいる高等部生に無邪気な笑顔で笑いかけてくれたりすることで、言葉はなくても優しい気持ちになれることがよくあります。卒舎生と話す機会がありましたが、ある一定の期間ではあるものの親元を離れ、寄宿舎で生活してきたことをいい思い出として大事にしているとのことでした。もちろん、寂しいこともあったでしょうが、同じ釜の飯を食べる仲間がいて、一緒に寝食を共にしてくれる寄宿舎指導員の先生がいることで助けたり助けられたり、いろいろなことを考えたり、感じたりすることで、成長してこられたということだと思います。
これからも「松橋支援学校の寄宿舎生でよかった」と思える生活を送っていってほしいと思っています。