建設工学科ブログ

2012年6月の記事一覧

銅山川の調査5 H24.6.14(木),20(水)

 建設工学科では、2年生で土粒子の密度試験を実施している。密度試験には、ピクノメーター、シャーレ、蒸留水、温度計、直視天秤、ガスコンロ、鍋といった機械器具を使用する。銅山川周辺で採取してきた岩石を細かく砕き、土粒子の密度を測定する要領で粒子の密度試験を行った。密度測定の結果は次のようになった。

銅山川1
ρ=3.510g/cm3(画像左)、ρ=2.823g/cm3(画像中)、ρ=4.195g/cm3(画像右)


 一般的な土に含まれる土粒子の密度はρs=2.65~2.70g/cm3であり、人吉球磨地域に多く見られるシラスでもρs=2.38g/cm3である。これらと比較しても銅山川周辺で採取してきた岩石を構成する粒子の密度は明らかに大きいことが分かる。

 そこで、岩石に含まれる成分を色などから鉄や銅であると推定し、化学の先生の協力を得て岩石に含まれる成分を調べた。その結果、すべての岩石に鉄が含まれていることが判明した。さらに、せん断破壊する岩石は石灰岩であることもわかった(塩酸につけると二酸化炭素を発生)。なお、今回密度試験を行わなかったが、緑青ではないかと推定していた岩石について調べてみたところ、鉄と銅の両方が含まれていることも分かった。このことからも、銅の採掘、精錬の過程で大量に発生したカス(鉄を含む)が銅山川の採掘坑周辺(溶鉱炉があった周辺)に多く取り残され堆積しているということがわかった。

 密度測定の様子
銅山川2

銅山川3

銅山川4

銅山川5

 化学分析の結果
銅山川6
 一番上の写真にある3つの石すべてを塩酸で処理し、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウムを加えたところ、青色に変化したので鉄(III)イオンが確認された。密度2.823g/cm3の白っぽい石に含まれる鉄は微量であり、塩酸処理の際、二酸化炭素が発生したことから石灰岩(密度2.5~2.7g/cm3)と考えられる。
 黄銅鉱(CuFeS2)を、コークス、石灰石、ケイ砂と共に溶鉱炉に入れて強熱すると次の反応が起こる。
  4CuFeS2 + 9O2 → 2Cu2S + 2Fe2O3 + 6SO2
  2Fe2O3 + C + 4SiO2 → 4FeSiO3 + CO2
  SiO2 + CaCO3 → CaSiO3 + CO2
 さらに、転炉内で次の反応が起こり、不純物を1%ほど含む粗銅ができる。
  2Cu2S + 3O2 → 2Cu2O + 2SO2
  2Cu2O → 4Cu + O2
 今回分析した密度の大きい石2種類は、鉄を多く含んでいることなどから、銅の製錬の際に生成する銅スラグ(密度3.6g/cm3以上)と考えられる。

第9回熊本県高校生ものづくりコンテスト

第9回熊本県高校生ものづくりコンテスト
建設系測量部門 金賞受賞(九州大会出場へ)

 平成24年6月17日(日)熊本県立玉名工業高等学校を会場に、第9回熊本県高校生ものづくりコンテストが開催されました。
 今年も環境調査サークルのメンバー5人で準備を進めてきました。選手は建設工学科3年生の白石佑樹君(人吉二中出身、計算担当)、同じく上原瞭君(人吉二中出身、計算・記録担当)、建設工学科2年生の橋口竜也君(人吉二中出身、測量担当)です。今年はとことん「精度を追求」し勝利することを目標としてきました。

 大会前日の午後には打ち合わせ会がありましたが、豪雨のために鉄道をはじめ高速道路や国道が通行止めとなり、本校チームが玉名に到着したのが午後6時となってしまい、打ち合わせに参加できなかったのはもちろん会場の下見すらできませんでした。疲れもピークに達し、チームは厳しい状況でした。
 大会は、外業(測量競技)と内業(計算書作成)のふたつの競技が行われ、各項目ごとに得点を重ね100点満点で勝敗を決定します。昨日の疲れが残ったままの3人でしたが、練習通りに競技に臨むことができました。そしていよいよ審査結果の発表です。年々、競技レベルが上がっているため、出場チームの差はほとんどなく、本年度の大会では98点の学校が3校ありました。同点の場合には、精度によって審査が行われます。我がチームの誤差は、なんとゼロ。残りの2校は1mmだったため、球磨工業高校建設工学科チームが金賞受賞となりました。

 7月15日(日)には、大分県の鶴崎工業高校で九州大会が開催されるため、熊本県の代表として出場してきます。もちろん九州大会でも「精度を追求」して勝利したいと考えています。応援よろしくお願いします。

ものづくりコンテスト1

ものづくりコンテスト2

ものづくりコンテスト3

ものづくりコンテスト4

銅山川の調査4 H24.6.7(木)

 今日は、銅山川周辺で見られる岩石の調査のために現地を訪れた。採掘坑の周辺から下流に向かって様々な岩石を割ってみてその様子を観察した。その結果、ほとんどの岩石が層をなした構造をしており、ハンマーでたたくと裂くように割れた。また、鉄分を含んでいるのか錆の臭いのする赤黒く硬い岩石、銅を含むのか割面で緑青のような色が見られる岩石、指でぽろぽろ崩すことができる赤茶色の岩石なども発見した。そこで、我々は、こうした岩石を本校に持ち帰り、細かく粉砕し分析の準備を行った。
 まもなく梅雨入りである。天候に恵まれた日は現地で調査を行うが、雨天時にはこうした土の分析を行い、内部に含まれるものが何か追求していきたいと思う。

生徒の感想 T.T(山江中出身)
 今日は、銅山川に特徴のある石を採取しに行きました。様々な石がありました。見た目より重い石は見たことも触ったこともなかったので、とても驚きました。学校に持ち帰って詳しく調べたいと思います。

銅山川1

銅山川2

銅山川3

銅山川4

銅山川5

銅山川6

銅山川7

銅山川8

銅山川の調査3 H24.5.31(木)

 今回は、銅山川を区域に分けて水生生物の有無を調査した。さらに、前回発見した採掘坑の周辺を詳細に調べた。
 銅山川の下流から第一砂防ダム、第二砂防ダム、第三砂防ダムが設置してあり、我々はこれを基準に概ね三つの区域に分けることにした。なお、前回発見した採掘坑は第二砂防ダム付近にある。
 第二砂防ダムより上流を調査したところ、タニシや川ムカデの幼虫、カワゲラ、ドグラ、沢ガニを発見し、極めて清流であることを示す水生生物を確認することができた。また、カエルやヤゴも確認できた。それに対し、第二砂防ダムから採掘坑を経て約50m下流にコンクリート製の堰が設けてあるが、そこから下流には水生生物を全く確認することはできず、唯一カエルを一匹発見しただけだった。川底には人吉球磨の川では見られない苔がびっしりと繁殖し、泡を放出している。長靴で歩くと、つるつるしていてとても歩きにくい。また、その周辺から下流にかけて川底には赤い石が多く転がっていた。
 我々が採掘坑近くの第二砂防ダムを調べているときに、砂防ダムの右岸に新たな採掘坑を発見することができた。さらに、その対岸には排水溝のような坑も発見した。おそらく第二砂防ダム周辺を採掘場としていたのだろう。その周辺には朽ち果ててはいるが、よく観察するとコンクリート製の護岸跡や用水路跡のようなものまで発見することができた。さらに、もう一カ所、採掘坑ではないかというものを発見したが、今後の調査で明らかにしていきたい。
 あちらこちらを調査するうちに、鉄分を含んでいると思われる石、軽石のように発泡したもろい石、掘り返したシラスが堆積したような土などを発見した。今後、こうしたものを学校に持ち帰り、比重等を測定し正体を突き止めたいと考えている。

生徒の感想 T.T(相良中出身)
 今日は、水生生物を調べましたが、第二砂防ダムより上流は,自分がよく知る川でした。しかし、それよりも下流では、川が苔で覆われていて、とても汚く感じました。これからさらに頑張って調査して、その原因を探していきたいと思いました。

銅山川1

銅山川2

銅山川3

銅山川4

銅山川5

銅山川6

銅山川7

銅山川8銅山川9