【伝統建築専攻科】手斧(ちょうな)、槍鉋(やりがんな)、檜皮葺(ひわだぶき)
11月16日(水)伝統建築専攻科1年生、2年生を対象に特別授業を行いました。
午前は本校伝統建築専攻科の一期生であり、なら歴史芸術文化村主査として活躍されている松島靖典様をお招きし、手斧(ちょうな)、槍鉋(やりがんな)のレクチャーをしていただきました。
文化財の建物を修復する際、材木の表面をトレーシングペーパーで写し取り、鑿跡(のみあと)などから創建当時どのような道具が使用されたのかを見極めるそうです。時代によって使われている道具が違うのです。
斧などで割った木材を荒削りする手斧(ちょうな)。
鍬のような形状で先に鑿(のみ)のような刃物がついており、振り下ろして木材を削ります。
はじめは怖々使っていましたが、次第に上達していきました。
槍鉋(やりがんな)。古代の鉋(かんな)です。木材の目に合わせて、引いたり押したり、両方向に使います。現在見かける台鉋(だいがんな)は室町時代に登場します。
それまではこの槍鉋が主流でした。
午後は同じく伝統建築専攻科1期生で、(有)宮川屋根工業にて原皮師として活躍されている森山淳希氏をお招きし、檜皮葺(ひわだぶき)の作業を見学しました。
専攻科実習棟裏にある木の皮を採取します。
木登りします。普段登らない(?)から難しいですよね
ヘラを使って皮を剥きあげます。
結束し、尺を測って裁断。
湿らせておいた檜皮を丁寧に並べて固定します。この時、竹釘を使いますがなんと口に含んでおいて一本ずつ向きを揃えて出します。口から出した竹釘を右手で取り、屋根金槌で打ち込む。森山さんの作業はとてもリズミカルでスピーディー。
専攻科の生徒も挑戦作業の流れは理屈では分かっているけれどいざやってみると難しい
まず、口から竹釘の向きを揃えるのが時間がかかる
竹釘を口に含み、ようやく1本向きを揃えて出たようです。キリッとしていますね。
でもここから打ち込むのがまた大変
柿葺き(こけらぶき)の解説もしていただきました。製材はなんと現在でも手作業なのだそう。
理由を聞き、納得。古から伝わる屋根技術に感心しきりでした。
今回レクチャーをいただいた松島さんと森山さんの、技術者・職人として誇りを持って取り組まれている姿に生徒たちは感銘を受けました。
また、伝統建築専攻科の素晴らしい先輩の姿に未来の自分たちの姿を重ねたのではないでしょうか。