球磨工ブログ

水俣病の教訓を伝える 

 

 水俣病の教訓を伝える高等学校訪問事業における講演会が、全学年・職員を対象に、本日6限目に実施されました。水俣病に関する正しい知識と理解を図り、偏見や差別を持たない心を育て、また環境問題について意欲的に関わろうとする態度や能力を育成することを目的としています。

 

 講演の前に、県環境生活部水俣病保健課保健企画班主事の古閑莉沙子様より、発病までの社会的背景や、熊本県民のみでも48,000人に健康被害が出ている現状。それは身体的被害だけではなく、偏見や差別など社会的な被害も大きなものであることなど概要の説明があり、起こる前に防ぐこと、起こった後に広がらないようにすることの重要性、また、正しい知識を持ち、人の命・健康・環境を守るために努力する力を身につけることの大切さについて話していただきました。

「水俣病の教訓を伝える」。講師は、相良村・緒方医院の緒方俊一郎先生です。ご多忙の中ありがとうございました。

 緒方先生の大学の後輩でもあられ、先日アフガニスタンの地で凶弾に倒れられた、ペシャワール会の中村哲先生の志であった『恕(思いやり)』についてのお話から始まりました。水俣病発生までの地理的・医学的見地からのお話や、医学生時代からのご自身と水俣病との関わりの歴史。相良村四浦にあるJNC(旧チッソ)第二発電所のこと。球磨地域でも水俣病と推測される患者を診察された経験など、遠隔地で起きた問題ではないことなどをお話しされました。水俣病が公式確認された昭和31年(1956年)から今に至るまで、認定された患者と今現在も未認定のまま健康被害に苦しんでおられる方が相当数いらっしゃることなどから見ても、水俣病という公害が、社会にもたらしたものは甚大であることを再認識する機会となりました。