徒然雑記帖

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13kmと11kmで思い出した積分の悲しい計算

穏やかな日差しに恵まれた今日の長距離走大会、全校生徒544人のうち怪我や体調不良等で見学をした18人を除く526人が寒風を衝く力走で初冬の球磨路を駆け抜けました。途中で足をくじくなど2人がリタイヤしましたが、その他の生徒たちは全員が規定時間内(2時間)に走り抜くことができました。

懸命に走る姿は勿論、男女隔たることのないゴールでの声かけや拍手に何か温かいものを感じ、改めてクラスのまとまり、球磨工のまとまりみたいなものを実感できたいい大会だったと思います。

力強い走りでみんなを先導した男子1位の岩坂優志君【3C】(4326秒:299.3m/min)、女子1位の竹崎杏さん【2MA】(5144秒:212.6m/min)をはじめ、上位15人の皆さん方を表彰しました。誠におめでとうございます。

沿道周辺の皆様には、今年も大変御迷惑をおかけしましたが、終始温かいご声援をいただきありがとうございました。また、保護者の皆様には豚汁作り等で大変お世話になりました。

ところで、私は懸命に走る生徒たちを応援しながら、男子と女子が走る距離、13km11kmをそのまま繋げた1311という数字にも思いを巡らしていました。

1311もどちらも素数で、1311もぱっと見、素数です。でも各桁の和が6ですから3で割れます。割ってみました。1311=3437

えぇ! 437、またしても素数っぽい数字が登場しました。この数字に直面して、私はとても悲しかった記憶がまざまざと甦ってきました。


 それは・・・大学1年の時、必修科目の工業数学の試験のことです。積分
の計算問題がありました。確かインテグラル(∫)が2つ出てくる二重積分で、面積か何かを求める問題でした。ややっこしい分数と格闘の末、やっと答が出てきて、その計算結果、今でも覚えています。299/437

「分母も分子もパッと見素数、これは約分できないな・・・」と思って、何の疑いもなくそれを答えにしてしまいました。

ところが、試験後、友達とその問題について話をしていたら、それって約分ができると聞いたのです。


  皆さん方はどんな数で約分できると思いますか?


  分母も分子も何と23で割れるのです! 23で約分して、正解は13/19


  小中学校の頃から、分数は約分しないと0点と躾けられていましたし、高校の時も確率の問題で約分してないと
にする厳しい先生に習っていましたので、「あぁあ、あの問題は落としてしまった」と思い、「トホホ」と残念な気持ちで一杯になりました。

今はどうか知りませんが、当時大学では答案用紙の返却はなく、試験後に成績が優・良・可・不可で知らされるだけでした。結果的にはその工業数学、不可にはならず再履修はしなくてよかったのですが、大学の先生がどう採点されたのか、今更ながら思い出してしまったというわけです。

ちなみに、高校の数学でも確率や余弦定理でcosの値を求める問題で、答が分数になることが多いわけですが、約分していない時、どのように採点しているか興味津々で数学の某先生に聞いてみました。

「分数の計算問題ならだけど、確率の意味や余弦定理の計算の手順が合っているのなら○に近い△にはしている」ということでした。


  高校入試ではどうなんでしょう?こうした採点基準は公開できませんから、ここで触れるわけにはいきません。大学入試ではどうでしょう?高校の先生が約分無しをサービスで△にしたからといって、選抜試験を採点する大学の先生がそうしてくれる保証はありません。「落とす試験」では同点の点数が並んだとき、約分のような重箱の隅が減点の対象になりえるわけで、この記事を読んでくれている中学生を含む生徒の皆さん方は、やはり厳しく捉えていたほうがいいかもしれません。


  そういうことで、299/437みたいな一見とっつきにくい数をどう約分するかが問題です。2でも3でも5でも7でも割れません。111317・・・と順番に、分母も分子も割って行かなければなりません。時間がかかります。

今日は、約分する「秘策」について以下に簡単に触れておきます。


  知っている人は「そんなの前から知っていたよ・・・」と言うかもしれません。実は、私も当時知ってはいたのですが、それを試そうとしなかったこと自体が、試験の時の独特な雰囲気に飲まれていたのかもしれないと今でも思っています。

まず分母と分子の差をとります。

 分母-分子とか、分子-分母とかではなく、大きい方から小さい方を引きます。

437299138

実は、この差(138)の約数の中に、元の数(437299)の公約数が隠れているのです。

138を素因数分解します。このとき出てきた差(138)は、必ず元の数(437299)より分解しやすい数字になっています。

1382×3×23

元の数(437299)は2でも3でも割れませんから、公約数は「23」だということがわかります。

 その理由について説明(証明)すると、ややっこしいので省略しますが、この「秘策」だけは覚えておいて損はしないと思っています。

【校長】


積分とは

放課後、校内を回っていたら、2年生のあるクラスの黒板が消し忘れてあり、数学の授業の跡が残っていました。増減表を作って3次関数のグラフを描く単元を学習していたようです。ここは微分の応用だから、「もうすぐ積分を習うな・・・」と思ったところでした。

微分とは一言で言うと、「接線の傾き」です。増減表で+とか-とか記入したと思いますが、それは接線の傾きが+か-ということだったですよね。では、積分とは一言で言うと何なのか?

積分とは「微分の逆」です。ただ、こう考えると、計算はできても積分の本質を押さえることは難しいと思っています。積分には、もう一つ「±つきの面積を求めること」という捉え方があります。

どちらにしろ、2年生の皆さんはもうすぐ学びます。授業を楽しみにしていてください。

居待月の下でのねことの出会い

昨夜、11時過ぎ、明日の朝食の食パンが切れていたことに気づき、近くのコンビニに歩いている途中、生け垣から「にゃぁ~ん!」と声をかけられました。

ふと見れば、ねこが私を見つめています。

私、いぬからはよく吠えられ、日頃から残念に思っている分、ねこから親しみのある瞳で見つめられと、戸惑いつつも嬉しくなります。これはもう一緒に記念写真を撮らなければと、スマホをゴソゴソととり出していたら、広場に駆け込んでいきました。慌てて「待って・・・」と後を追いましたが、見失ってしまいました。

生徒の皆さんは、いつ、どんな所でねこに会いますか。

私、昼間もよく見受けますが、彼らは夜行性ですから夜が多いはずだと思っています。でも、昼と夜のどちらが多いかと、これまで気にかけたことはありませんでした。こうしてヤボ用か何かで出歩いて呼び止められない限り、気付かないものかもしれませんし、そもそも夜は眠っていて夢の中です。

ねこは、公園や神社などでナイトミーティング(ねこの夜会*1)をすると聞いたことがあります。昨夜は右側が少し欠けた居待月でした。月明かりの下、一体どんなことが議題にあがっていたのでしょうか?


 話は変わりますが、月といえばとても思い出すことがあります。まずは以下の表を眺めてみてください。

並んでいる数字は、新聞にも載っている国立天文台暦計算室のサイトから引用した熊本今月前半出入り時刻*2です。(「の」が4つ続いたヘンな文になってすいません)

明後日、12月10日の月の出の時刻が--:--になっています!

昔(月に関心を持ち始めた30代前半の頃)、新聞の暦欄でこの記号に気付き、「これは一体何?月が出ないってどういうこと??」と理科の先生に焦りながら尋ねたことがあります。生徒の皆さん方は疑問に思いませんか?

夜出てないはずの月が、お昼の12:29に沈むとはこれ如何に?*3

   年月日     月の出   月の入り   備考

2017/12/01   15:32    3:44    

2017/12/02   16:15    4:51   十三夜

2017/12/03   17:04    6:00   小望月

2017/12/04   17:59    7:10   満月(十五夜)

2017/12/05   18:59    8:17   十六夜

2017/12/06   20:03    9:20   立待月

2017/12/07   21:10    10:17   居待月(昨夜

2017/12/08   22:15    11:06   寝待月(臥待月)

2017/12/09   23:19    11:50   更待月

2017/12/10   --:--    12:29    

2017/12/11    0:20    13:04

2017/12/12    1:18    13:38   下弦の月(この頃)

2017/12/13    2:15    14:11

2017/12/14    3:12    14:44

2017/12/15    4:07     15:19   有明の月(この頃)

2017/12/16    5:01     15:56

2017/12/17    5:55     16:35

2017/12/18    6:48    17:18   新月

【校長】


*1 ねこの夜会について、ねこ研究家による次のような趣旨の学説を目にしたことがあります。

ねこの夜会では、お互いにある程度の距離を置き、丸くなって座りながら静かに進行します。時に他のねこに近寄られすぎて不安を感じた弱いねこが、低いうなり声で威嚇するなどの小競り合いはありますが、基本的にケンカに発展することはなく、集会が終わったら、また元の自分のテリトリーに帰ります。地域内のメンバーを確認するためだろうと思われます。


2 「備考」の欄は私が記入しました。十五夜から順番に積もっていますので、多分大丈夫だと思っていますが、間違っていたらごめんなさい。

なお、「この頃」というのは(確信はありませんが)、プラス・マイナス1日という意味です。

3  その時に理科の先生から受けた説明の概要です。(今回の表の数字に直しています)

その日に月の出がないというだけで、何ら不思議ではありません。

月は(地球からみると)約29.5日かけて地球の周りを一周しています。(実際の月の公転周期は約27.3日ですが、地球も月を連れて移動している関係で、地球から見て元の位置に戻ってくるまで約29.5日かかります)

その関係で月の出の時刻は一日ごとに約50分ずつ遅れます。おおざっぱには、約25時間ごとに月の出があると考えてもいいでしょう。9日の2319分に月が出たとすると、この時刻から25時間後は11日の0時19分(上の表では0時20分)となり、10日には月の出がないということになります。

前日の夜23時以降に月が出ている場合は当然、こういうことが起こるわけです。また、10日の12:29に沈む月は前日の23:19に出た月だということで、頭が相当堅くなっていることを実感した次第でした。


 

寒い朝でした

昨日から2年生のインターンシップが始まりました。

夕方、勤務を終えて部活のために学校に向かっている生徒数名とたまたま出会ったので、どうだったか聞いたところ、消防署様では集団規律訓練やAEDの操作実習などが、山下機構()様ではマイクロメータで製品を測定検査する実習があったと、充実感溢れる様子で報告してくれました。

事業所の皆様には、8日まで生徒の御指導で大変お世話になります。

ところで、昨夜、ニュースで「明日朝はこの冬一番の冷え込みになり、阿蘇や人吉地方では初雪も予想される」と報じていました。「そうなんだ!?」と思い、窓越しに外を見てみたら、雪こそ舞ってはいませんでしたが、十六夜の月が夜空を煌々と照らしていて、とてもいい感じでした。

今朝、官舎の台所の朝の温度は3.2℃。寒い一日のスタートです。通勤中に見た民家の屋根や道路脇の枯れ草は霜で真っ白でした。

それを写真に収めていたら、明治の大俳人・正岡子規が「初霜が降りたくらいで白菊が見えなくなるわけはない。嘘臭くてつまらない歌だ」と酷評した百人一首のあの歌が思い出されました。

心あてに 折らばや折らむ 初霜の

      おきまどはせる 白菊の花    

凡河内躬恒(おおしこうち の みつね)(29番)* 

 今朝も伝統建築部の生徒たちが白い息を吐きながら校舎の周りを走っていています。昔、顧問をしていた百人一首部の生徒たちは、練習メニューの一つとしてランニングをやっていましたが、文化系の部活でこういう鍛錬は珍しいといつも思っています。

14日の長距離走大会まであと1週間。日頃の練習の成果が発揮されるよう祈っています。

                                      【校長】



               

  【解釈】今朝は特別肌寒い。空気が刺すように冷たく、吐く息が白く濁る。手のひらに息を吹きかけてこすり
  ながら縁側へ出てみると、庭の可憐な白菊の上に鈍くも白い初霜が降りている。

   寒いわけだ、初霜とは。初霜も白いので、白菊の花を折ろうと思っても、どれが白菊だか分からない。あて 
  ずっぽうに折るしかないだろうな、初霜でまぎらわしくなっているから。白菊の花が。   
      《引用:
http://www.ogurasansou.co.jp/site/hyakunin/029.html

総アクセス数 842248 → この数字の魅力

いよいよ明日から期末考査。生徒の皆さん、試験勉強のほうは順調ですか?

テスト勉強で目が疲れたら、上弦の月を眺めてみましょう。今日の熊本の月の出は13時9分、入りは24時43分(翌28日の0時43分)、月齢8.6です。

さて、昨日13時8分現在のHPの総アクセス数は
842248でした。この数字、ちょっと面白いと思いませんか?右から読んでも左から読んでも同じ数という意味で。このような数字を「回文数字」といい、趣味の数学の分野でしばしば研究の対象になっています。


  現在、総アクセス数は、日々80万台を刻んでいますが、80万代(800000899999)にある10万個の数字の中に、
842248のような回文数字は一体いくつあると思いますか?

一番小さな数は800008、次は810018、その次は811118、・・(途中略)・・、一番大きな数は899998です。


  8●▲▲●8というふうに記号で置き換えると考えやすいかもしれません。5桁目の●には0~9の10通りがあり、そのそれぞれについて4桁目の▲にも0~9の10通りがあります。3桁目の▲と2桁目の●は、それぞれ4桁目と5桁目と連動しますので考慮する必要はないので、10
10の丁度100個あることになります。

従って、回文数字に遭遇する確率は、100/100000 1/1000 になります。本校のHPは、現在1日当たり約1200件のアクセスをいただいていますので、1日に1回以上回文数字が出現していることになります。

そう考えると、回文数字もとりたてて珍しいことではないわけですが、私、どういうわけかこの842248という数字には妙に惹かれるものがあります。


  上3桁の842は、高校の頃日本史少年だった私は、今でも覚えている年号の一つです。平安時代には、藤原氏が摂関政治を盤石にする過程で権謀術数の限りを尽くした他氏排斥の政変(クーデター)が多く起こっています。(薬子の変、承和の変、応手門の変、安和の変)

この中で、842年に起こった承和の変では、伴健岑(とものこわみね)と橘逸勢(たちばなのはやなり)が失脚しました。本校では、「地歴」は地理Aを開講し日本史を学習してないので、知っている人は少ないかもしれませんが、この842という数字は、私達の頃のほぼ全ての小学生が「645年=大化の改新」と反応できるのと同じ位、高校日本史の選択者にとっては有名な年号のはずです。

下3桁の248は、IT関連で頻出する256(1byte8bitsで表現できるデータの数は256種類)ほどのインパクトはありませんが、2の累乗に数字が並び、末広がりですし、何となくホップ・ステップ・ジャンプのような勢いが感じられて、なかなかいい数字だと思っています。ちなみに、本校生の5人に2人が日々利用している「くまがわ鉄道」の営業距離数は24.8kmです。


  話は変わりますが、回文即ち「竹藪焼けた(たけやぶやけた)」のように、始めから読んだ場合と逆から読んだ場合とで、音節の出現する順番が変わらず、しかも言語として意味が通る文字列には、「トマト」や「新聞紙」などの他にどのようなものを御存知ですか。

私は、「タイヤキ焼いた」「留守に何する」「磨かぬ鏡」「カツラが落下」など昔聞いたことがあるのを幾つか思い出します。でも何といっても、中学校のとき南奈美さんという回文で名付けられた同級生がいたことは鮮烈な思い出です。

ちなみに、回文関係のサイトを検索すると「世の中ね、顔かお金かなのよ(よのなかねかおかおかねかなのよ)」など、よくこんなのを作れるなと感心するほど秀逸な力作が溢れていますし、回文で作った俳句を集めたサイト、ローマ字表記日本語の回文(東京の地名の「あかさか」は回文ではないが、akasakaのように、ローマ字表記にすると回文になる)を集めたサイトがあることなども知り、言葉遊びの奥深さを感じました。


  最後に・・・、英語では「Madam, I'm Adam」(マダム、私はアダムです)のような例が知られていますわけですが、人類は一体いつ頃からこういう知的言葉遊びをしていたんだろうと思って調べてみました。ウィキペディアによると・・・、

「西暦79年にヴェスヴィオ火山の噴火によって滅亡したヘルクラネウムの街の遺跡に「Sator Arepo Tenet Opera Rotas」(意味:農夫のアレポ氏は馬鋤きを曳いて仕事をする)というラテン語による回文が刻まれていることから、回文の起源は少なくとも西暦79年またはそれ以前まで遡ることができる」

とあり「そんなに昔から・・・!?」と、大変驚きました。

【校長】



   ※
参考(回文数に関する話題をいくつか紹介します)

「任意の数字について、この数字を逆に並べた数をもとの数に足す。この操作を繰り返すといずれは回文数に到達する」って聞いたことありますか?

例えば、私の名前のオノマトペである24という数字で試してみます。

24+42=66(一発でなりました!)

今日は1127日です。1127で試してみます。

1127+7211=8338(これも一発でなりました!)

今、校長室の湿度は59%です。59で試してみます。

59+95=154154+451=605605+506=1111(3回で到達しました)

皆さんも他の数で試してください。

ちなみに89は、24回の繰り返し計算で8813200023188という13桁の回文数に到達します!(私の手元の電卓は12桁までですから、最後は筆算で計算しました)

このように、2桁の数は全部なります。大阪経済大学の西山先生の論文によると、「3桁の数も次の13個(196, 295, 394, 493, 592, 689, 691,788, 790, 879, 887, 978, 986)を除いてこの操作で回文数に到達することが分かっている」とありました。

なぜこれら13個の数字がならないのか・・・、最初の数196にちなみ、「196問題」と名付けられ、コンピュータまで動員されて研究されているそうです。実は、この196、回文数になるのかならないのかもわかっていないんだそうで、それを証明することが数学界では「古くて新しい問題」とされているようです。

回文数に関しては1995年(平成7年)の算数オリンピックの次のような問題が出題されたことがあります

6桁の回文数で、95で割り切れ、割った答えも回文数となるものを求めよ。

計算は小学生程度ですみますが、かなりの論理的な思考力が必要かもしれません。興味のある方はやってみてください。

こんなこともありました!2年前の2015年(平成27年)は、西暦と和暦を2進法で表すと、どちらも回文数になるということで話題になりました。

2015(=11111011111)、27(=11011

では、その次と前はいつなんだろうと、当時考えてみたことがあります。

 西暦も和暦も両方ということなら、ありえない話になりますが、次は西暦2313年(平成325年)です。

2313(=100100001001)、325(=101000101

ちなみに、前は、江戸時代の西暦1787年(天明7年)です。

1787(=11011111011)、7(=111

回文数ではありませんが、12×42=24×21 こういう数式は、回文数式と言われています。142382×567765×283241 なども有名です。

また、101131のように回文数になっている素数は回文素数と呼ばれており、好事家が色々研究しているようです。


  (先ほど紹介した算数オリンピックの問題の答は527725で、実際に95で割ってみると5555となり、商も回文数になっています)

 

drive a nail とは?

 昨日、崇城大学で開催された平成29年度熊本県工業高等学校生徒研究発表大会で、本校機械科が発表した「世紀を越えて・・・~『一打入魂』和釘製作への“熱き”取り組み」が審査員特別賞(熊本大学工学部長賞)を受賞しました。

熱く”御指導いただいた石川先生に、発表した7人の生徒たちがよく応えた賜であると思いました。私も発表練習に5回も“熱く”お声をかけていただき、アドバイス求められるなど随分関わりましたので、受賞をとても嬉しく思っています。

正直、私が「和釘」の存在を知ったのは40歳を過ぎてからです。発表の中でも紹介されていましたが、法隆寺や薬師寺などの飛鳥時代の木造建築物が遥か1300年経った今でもきちんと立ち続けている秘密の一つに、和釘があるというのをテレビで見たのがきっかけでした。

また、本校機械科が鍛造の授業で製作した和釘を「くま川下り株式会社」に長年に渡って贈呈していることは新聞等で知っていましたが、和釘が洋釘に押されて絶滅の危機にあることや、頭部の形状が色々あることなどは、今回の研究成果に触れて初めて知りました。

地味な研究テーマであり、しかも多分、多くの高校生にとっても和釘はあまりなじみがないはずだと思われます。従って、どのように興味を引き出しながら、和釘の何たるかを伝えるか、そこに焦点を置いてプレゼンをするようにアドバイスをしたつもりです。


 学校からは堀事務長も午後1番からの発表に間に合うように大学に駆けつけられ、科主任の藤崎先生、担任の城本・大森両先生も含めて皆で固唾を飲みながら見守りました。

生徒たちは、大きな声で抑揚をしっかりつけながら堂々と発表できたので、全体の発表が終わった段階で「何か賞は取れるのでは・・・?」と予測していましが、見事に「熊本大学工学部長賞」を受賞しました。生徒の皆様、本当におめでとうございます。


 話は変わりますが、私は釘と聞けば鮮烈に思い出すことがあります。その様子をあえて英語で表現してみました。


   You can
drive a nail with a banana.
 

"drive a nail"とは、「釘を打つ」という慣用的な言い回しで、「バナナで釘が打てる」という意味になります。


 もう何のことかお分かりと思います。薔薇の花も砕けてしまうマイナス40℃の世界でもモービル社の自動車オイルはサラサラだということを強調するために、マイナス40℃の環境下で、バナナで釘を打っている様子のテレビCMが昔ありました。衝撃的なシーンで見覚えがある人もきっと多いはずです。

いらないことを書きましたが、とにかく関係の皆様、おめでとうございました。

【校長】


driveには動詞として「(乗り物を)運転する」とか「駆動する」といったよく知られた意味の他に、(釘などを)「叩き込む」という意味があります。普通には「打つ」はhitが思い付きますので、"hit a nail" でも良さそうな感じがしますが、工業校長会が実施している工業英語に関するリスニング英語検定でも"drive a nail"で作問されているようですので、"drive a nail"のほうが言い回し(コロケーション)として普通なのかもしれません。

ただ、辞書には、hitnailを使った慣用句として、"hit the nail on the head"というのが載っています。うまく釘の頭を打ったということで、「まさにその通り」や「(あなたの言ったことは)核心をついている」といった意味なんだそうです。確かに釘をきちんと打つには、それなりに精神を統一して釘の頭を狙ってハンマーを振り下ろさないと、曲がって入ってしまいます。これはアメリカ人が好んで使う熟語と聞いたことがありますので、覚えておくといいでしょう。


 ついでに・・・、弓道部の人は、「正鵠(せいこく)を射(い)る」(正鵠=弓の的の中央)という言葉を日頃から耳にしているはずです。そこから、「核心をつく」という文脈で使われます。"hit the nail on the head"と同じ意味だと思いますが、釘の頭をうまく打つより、「正鵠」を狙うほうがはるかに難しいというのが弓道をしている人の実感かもしれません。