ブック・レビュー

2年生がおすすめ本の紹介をする「ブック・レビュー」を作成しました。
3名の力の入ったブックレビューをご紹介します。

『都会(まち)のトム&ソーヤ』①~⑬(はやみねかおる、講談社)
 
 この作品は、シリーズで2003年から刊行されている推理小説である。どんな状況下でも生還できるサバイバル精神を持ち、平凡で塾通いに追われる毎日を過ごす内藤内人と、大財閥の跡取りで学校創設以来の秀才との呼び声高い知的頭脳派の竜王創也の2人が、都会を舞台に究極のゲームを作るために冒険するストーリーである。2人の心境の変化や、成長していく姿を想像しやすい表現の工夫がしてあったり、堅苦しい書き方でなく、誰が読んでも読みやすい本である。また作中にでてくるサバイバル知識や、豆知識、雑学など思わず誰かに教えたくなるようなことも書かれており、この本からは知識と高揚感を得ることができる。読み終えた後、早く次巻を読みたいと思わせる作品である。

『日本のいちばん長い日』(半藤一利、文藝春秋) 
 この本は終戦直前の日本が舞台の作品で、当時の現場にいた人たちの証言を元に書かれているノンフィクション作品である。とにかく登場人物が多くて覚えるのに苦労する。しかし、それぞれが生き方、考え方が違うのでとても読み応えがある。内容を簡単に言うと、終戦反対派と終戦賛成派の戦いである、賛成派は閣僚、大臣。賛成派は陸海軍の中堅将校である。賛成派は「これ以上の戦争の続行は不可能。連合国に対して天皇制の維持を条件に降伏」。それに対し反対派は「本土決戦で敵を撃破し、自国に有利な条件で講和を結ぶ」というものであった。この本では、歴史でさらった習った日本の終戦を時系列ごとに多くの人物を登場させ、当時の様子が細かく表現されている、戦後70年、この機会に読んでみてはどうだろうか。

『夜は短し歩けよ乙女』(森見登美彦、角川書店) 
 この本は、2人の男女を中心にして進みます。2人は大学の先輩と後輩で、男性はずっと片思いをしています。最初は夜の町で幻のお酒を探しながら、次は古本市、次は文化祭というように、色々な場所ですれ違いながらも両思いになろうと追いかけ頑張る先輩と、それに気付かず振り回す後輩の関係が面白いです。また、文章の語り口が少しかたくて古い印象なのに、書いてある内容は重くなくて、真面目にふざけるという感じです。人が空を飛んだり、咳で竜巻を起こす老人がいたり、コタツが大学の中を走ったり、普通ではありえないようなことがこの本では現実に起こるようなリアルさがあります。この本で借金や恋愛など、色々な悩みを持った人たちの姿を見ていると、自分のその一人に」なって走り回っている気がしてきます。そして悩み事も全部面白さに変わり、考える暇がなくなります。読んでいくうちに実際に見ているような臨場感となつかしい雰囲気が味わえて、元気付けられる本だと思いました。