「未来の授業」に挑む ~ 人型ロボットのプログラミング

 「How are you?」「わーっ!」

 人型ロボットのペッパー君が英語を話すと、児童の歓声が起こりました。ペッパー君の傍らに立つ御船高校電子機械科3年の二人の生徒も笑顔です。

 10月15日(火)の午後、御船町立御船小学校の3年生を対象とした英語の授業を参観しました。ソフトバンクグループ(株)が開発した人型ロボットのペッパー君を御船町教育委員会が無償で借り、そのペッパー君に搭載するプログラムを御船高校電子機械科の生徒が作り、実際に小学校の英語の授業で用いてみる事業に今年度取り組んでいます。企業、町教育委員会、県立学校、そして町立小学校が協力して、それぞれの持ち味を発揮して、「未来の授業」を創ろうというプロジェクトです。

 町教育委員会からお話しがあった時、チャレンジングなプロジェクトだとは思いましたが、高校生の学習活動が地域社会貢献につながれば、「自分たちが学んでいることは社会に役に立つ」という有用感を生徒たちが覚えるに違いないと考え協力することにしました。電子機械科の3年生には「課題研究」(2単位)という科目があります。グループを作って、それぞれテーマを設定し1年間かけて研究するものです。今年度、一つのグループ(6人)が、ペッパー君のプログラミングを研究テーマに選び、担当の緒方教諭が指導することになりました。小学校の授業で、ペッパー君が基本的な英語を話すことができるようなプログラムを組んでいったのです。

 来年度(2020年度)から、全国の小学校では、プログラミング教育と英語教育が本格的に導入されます。御船小学校では、先駆けて今年度から実施することになり、その促進のため町教育委員会がソフトバンクグループ(株)から人型ロボットのペッパー君の貸与を受けました。そして、ペッパー君に搭載するソフト開発で御船高校電子機械科の出番となった次第です。

 教室に人型ロボットがやってきて、日本語、英語を話して子どもたちの授業を手伝うと言えば、「未来の授業」のイメージですが、今回はそのレベルまではいきませんでした。生徒達が作ったプログラミングでは、児童との対話はできません。ロボットが人と対話できるようになるにはAI(人工知能)が必要になりますが、それはまだ手が届きません。従って、決められた言葉を話す、そして若干の手振り、身振りができる段階にとまっています。しかも、ロボットが話すタイミングは、傍らの生徒がロボットにタッチして知らせる仕組みです。

 御船高校電子機械科の課題研究グループの生徒にとっては幾つもの「課題」が残った授業でした。しかし、「未来」はすぐそこまできています。

 「未来の授業」を創るのは間違いなく君たちなのです。