いま、できること ~ 「待つ日々」の中で

 

    今日は金曜日、また週末を迎えます。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、一層の外出自粛が求められることになります。2月末から始まった異例の臨時休校は断続的に2か月に及んでいます。冬から葉桜の季節となりました。5月6日(水)までの緊急事態宣言期間の延長が検討されている旨、報道されています。学校再開の目途は未だ立たない状況です。

    私たちは今、長い「待つ日々」を過ごしています。あと何日という区切りがない「待つ時間」はとても長く感じられます。残りの時間がどれくらい減っているのか、終わりが近づいているのか誰にもわからず、ひたすら待つ日々です。携帯電話(スマートホン)やインターネットの普及によって、現代は「待たなくてよい」社会になったと言われます。情報やモノがあふれ、それらに簡単にアクセスできる環境に慣れ、「待つことができなくなった」社会と言えるかもしれません。そのような現代社会の住人の私たちにとって、現在の「待つ日々」は長く重く感じられます。

   しかし、外出が抑制されても、私たちの精神は自由のはずです。考えたり、想像したりできます。この瞬間も感染症治療の最前線にある医療従事者のことを思うと、心から敬意の念がわきあがってきます。ワクチンや治療薬の開発が進んでいることに人類の英知を思います。それでは、学校教育に携わる私たちには何ができるのか。自問自答の毎日ですが、できることを一つ一つ積み重ねていくしかないと言い聞かせています。

   校内の掃除用具を点検して回っている先生がいます。グラウンドの整備に取り組む先生がいます。実習棟の工作機械の点検に余念のない先生がいます。そして、多くの教職員が生徒の皆さんの学習支援のために教材を準備し、そのうち一部は学校ホームページ上に掲載されています。

    生徒の皆さんも、長期化する自宅での生活に精神的疲労、ストレスがたまっていることでしょう。けれども、皆さんの精神活動は活発であってほしいのです。教材に取り組む、様々なメディアのニュースで社会とつながる、読書やネット情報から将来の進路を考えるなど思考力を伸ばすことはできます。お互い、一日一日を丁寧に暮らしていきましょう。小さなことでも、今できることを積み重ねていく。きっとその先にあなたの未来はあります。待つことは希望に支えられます。

    校内を回り、生徒の皆さんと対話することが私の楽しみでした。その楽しみを奪われた今、校内を歩くと、これまで気に留めなかった花々に気付き、足をとめるようになりました。静かな学校での「待つ日々」ですが、毎日、小さな発見や喜びがあります。