第1回「大学入学共通テスト」

 大学入学共通テスト(主催:独立行政法人「大学入試センター」)が1月16日(土)~17日(日)にかけて実施されました。全国でおよそ53万人、県内で約6600人が受験する大規模なもので、御船高校からは17人が挑みました。本校生の試験会場は熊本県立大学で、17人全員が受験する2日目の数学の時間帯に私も会場を訪ねました。初日は小春日和でしたが、2日目は冷たい風が吹いて気温が上がらず、会場は寒さと緊張感に包まれていました。

 例年と大きく様子が異なったのは、各高校の教職員の数がめっきり減少したことです。いつもの年なら、各高校の進路指導部や3年担任の職員が一団かたまりとなってそれぞれ待機している風景が今年は見られません。新型コロナウイルス感染対策で試験会場も「三密」回避が講じられており、高校側も職員数を自粛したのです。私も滞在時間を短めにし、受験生への励ましも控えめにしました。

 今回は、30年余り続いた「大学入試センター試験」に代わって、第1回「大学入学共通テスト」が実施された画期的な試験でした。私が高校の教職に就いて3年目に始まった「大学入試センター試験」は問題の質が年々向上し、マークシート形式でも暗記力だけでは解けないレベルの良問が多数を占めました。しかしながら、社会の急速な情報化やグローバル化に伴い、より一層の「思考力・判断力・表現力」を高校生、大学生に求める必要性が生まれました。このような背景から、国語と数学で記述式問題の導入、そして英語で「読む・聞く・話す・書く」の4技能を測る英検などの民間試験活用が決まったのですが、受験の公平性、客観性などの大きな議論となり、いずれも一昨年に見送られました。このことは記憶に新しいところと思います。

 こうして最初の「大学入学共通テスト」を迎えたわけですが、各教科の問題は身近な題材を積極的に取り入れ、文章や語彙なども増え、特色ある傾向が見られました。受験生には読解力が要求される難度の高い試験になったのではないでしょうか?大学入試の変化は高校教育に大きな影響を与えます。生徒一人ひとりの学力を十全に評価できるパーフェクトな入試はあり得ないのかもしれません。けれども、共通テストと各大学が実施する個別の二次試験との組み合わせで、その理想を目指してほしいと願っています。

 コロナ禍の異例の受験風景でしたが、今年も大学受験独特の雰囲気に身を浸すことができ、高校の教員としての原点に立ち返ったような気持ちになりました。教壇を離れて久しいのですが、自らの専門教科・科目の「大学入学共通テスト」をじっくり解き、分析してみたいと思います。受験生には申し訳ないのですが、少しワクワクした気分です。