音楽のチカラ ~ 平成音楽大学ブラスオーケストラ演奏会
今年の熊本県の梅雨入りは記録的に遅く6月26日(水)でした。その後、断続的に雨が降り続き、今週は九州全域で大雨となり、7月3日(木)は豪雨災害の発生が予測されたため、臨時休校としました。前日から期末考査が始まっており、午前中で考査が終わる予定でしたが、生徒の登下校の安全最優先の観点から、当日朝の6時半に休校の判断をしました。結果的には、上益城郡及びその周辺の雨量は心配されたほどではありませんでしたが、「空振り」でも良かったと思っています。近年の気象災害の状況を見ると、経験や前例は通用しなくなっています。私も三十年以上、高校の教員として働いてきました。自分の経験から学ばなければなりません。しかし、それだけでは全く足りないことを痛感する毎日です。
さて、大雨で臨時休校となった7月3日(木)の夜、平成音楽大学「ブラスオーケストラ2019演奏会」が熊本県立劇場コンサートホールで開催されました。平成音楽大学は九州唯一の音楽大学で、御船町滝川の御船川左岸の高台にあります。創設者の出田憲二先生(故人)は御船高校の卒業生であり、かつて同窓会会長も務められました。平成16年、本校に音楽・美術・書道の芸術コースが設けられた背景に、同じ町の平成音楽大学の存在がありました。現在も、音楽コースの生徒たちは授業の一環として同学において専門の楽器、歌唱等の指導を受けています。音大の一流の先生方から直接指導を受けられることは、御船高校芸術コースの大きな魅力だと考えています。
平成音楽大学からの御案内をいただき、7月3日(木)夜の演奏会に本校の音楽教師と共に出席しました。雨天にもかかわらず、コンサートホール(収容1810席)の席の多くが埋まりました。よく知られたクラシック音楽からスタートし、1964年の東京オリンピックマーチ(作曲:古関裕而)、作曲家の小林亜星の数々のヒット曲と続きました。そして、ラデツキー行進曲(J.シュトラウス)、出田敬三学長が作曲され、広く県民に親しまれている「ユアハンド マイハート」、「おもいで宝箱」でクライマックスを迎えました。平成音楽大学ブラスオーケストラと陸上自衛隊西部方面音楽隊の共演、同学の女性合唱団「平成カンマーコール」、これに子ども学科の学生によるダンス等も加わり、圧巻でした。そして、このすべてをリードされるのが指揮者の出田敬三学長です。まさにマエストロの称号を贈りたい自在の指揮をされました。
「音楽のチカラ」。この言葉を出田学長はよく使われます。熊本地震の被害を受けた平成音楽大学はこの夏、ニューキャンパスとしてよみがえります。その祝祭のような演奏会の熱気に包まれ、鬱陶しい梅雨の季節であることを忘れることができました。「音楽のチカラ」です。