「授業は本当に難しい」 ~ 御船高校授業研究期間

 

  「授業は本当に難しい。何年経験を重ねても難しいものだ。」と、かつて同僚だった先生の言葉がよみがえります。県内でも指導的存在のベテランの先生でした。当時の私の拙い授業を参観され、その後の授業研究会で発された言葉であり、20年ほど前のことですが、今も記憶に残っています。

 御船高校では6月4日(火)から14日(金)にかけて「授業研究期間」と位置づけ、すべての授業を公開し職員がお互い自由に参観すること、そして各教科から代表1人が指導案を作成しての研究授業を実施することの二本立てで取り組みました。本校では昨年度から、「授業のユニバーサルデザイン化」(だれひとり取り残さない、わかりやすい授業)を目指しており、今年度はICT(Information Communication Technology 情報通信技術)の積極的・効果的活用を実践テーマに掲げています。

 今回、私が参観した書道、国語(現代文)、数学、音楽、公民(現代社会)の研究授業はいずれもパソコン、プロジェクター、スクリーンの3点セットをはじめ書画カメラ(書道の授業)などが活用され、それぞれの職員の工夫が見られました。期待通り、生徒の授業への興味、関心を引き、授業に臨む集中力も高まる傾向にあります。しかし、生徒自身がもっと主体的に学習活動を行っているか、また教師と生徒、さらには生徒間の対話が生まれているかについては授業で差が見られました。

 従来の高校の普通科目の授業は、どうしても教師の説明が長くなり、教師から生徒への一方通行の「教える」だけが主流でした。これを大きく変えていかなければならない時に来ています。知識や簡単に答えの出るものは今やAI(人工知能)が担う時代です。答えの出ないものに取り組んでいける論理的思考力や創造力、そして協働の姿勢などが求められているのです。疑問を持つ、自ら問いを立てることができるといった主体的な学習姿勢をいかに養っていくかが高校教育の大きな課題となっています。

 本校の教職員の格闘は続いています。「教えるは学ぶの半ば」という言葉があります。人に教えることは自分の力量不足やあいまいな点がはっきりするから、半分は自分の勉強になるのだという意味です。授業実践を重ね、お互い評価しあい、職員も研鑽を積んでいます。生徒同様、教師もまた学校で成長していくものなのです。