「冬はつとめて」 ~ 3学期始業式校長訓話

 

 新年明けましておめでとうございます。こうして皆さんと一堂に会し、私たちの学校、御船高校の新しい年が始まります。

 今朝、正門から登校してきた生徒の皆さんは、門松に気付いたでしょうか?昨年暮れの12月27日(金)に渡部先生、小牧先生などの職員有志とハンドボール部の生徒たちによって正門前に立てられました。門松は、新しい年の神様が天から降りてこられる目標(「依代(よりしろ)」)となるものです。門松を飾る松、竹、葉牡丹、南天などにはそれぞれおめでたい意味が込められています。正月の伝統的慣習であり、門松が立っていると正月気分が出ますね。その門松も今日で片づけられます。松の内も終わりです。

 今年は令和2年西暦2020年です。東京2020オリンピック・パラリンピックイアーを迎えました。年の瀬にサプライズニュースが学校に届きました。車いすマラソンに取り組み活躍している2年3組の見﨑真未さんが、東京2020オリンピックの熊本県聖火ランナーに選ばれたのです。今年の5月6日に県内を走る聖火ランナーの一人となります。見﨑さんを通して、東京オリンピックと御船高校はつながりました。学校を挙げて応援したいと思います。

 さて、平安時代に書かれた随筆「枕草子」の冒頭、作者の清少納言はそれぞれの季節で最も趣のある時間帯について述べています。「春はあけぼの」、すなわち夜明けごろが良い、「夏は夜」、「秋は夕暮れ」と言っています。それでは、冬はいつ頃が良いと言っていますか?「冬はつとめて」、すなわち冬は早朝、朝早くが良いものだと述べています。雪が降っていたり、霜が降りていたりと寒い朝ほど良いと清少納言は言っています。清少納言が暮らした都、今の京都は山々に囲まれた盆地で、冬の寒さの厳しい所で知られます。熊本もこれから2ヶ月は寒さが続くことでしょう。しかし、千年前の都人も愛した冬の朝の寒くとも清々しい情景を感じる心の余裕を持ちたいと思います。今日から始まる3学期、「冬はつとめて」と口にして自分を励まし、登校してきてください。

 結びに、残り50日ほどで卒業していく3年生に伝えます。まだこれから進路実現に向けて試験に臨む人がいます。全国でおよそ56万人が受験する大学入試センター試験にも本校から12人が挑みます。3年生全員の進路が決まるまで私達も全力で支援します。そして、既に進路が決まっている皆さん、残された高校生活一日一日を惜しみながら、最後まで勉強してください。しっかりと助走をして、勢いをつけ、新しい世界に飛躍して欲しいと願い、3学期始業式の挨拶とします。