思いを込めて「書道パフォーマンス」 ~ 秋の全国交通安全運動

 熊本県警から依頼を受け、御船高校書道部は県警音楽隊の演奏に合わせ交通安全を呼び掛ける作品を「書道パフォーマンス」で創り上げました。9月17日(木)、場所は県警察学校体育館(熊本市)です。

 3年生4人、2年生5人の計9人が揃いの袴姿で臨み、縦4m、幅6mの大きな紙に力強い文字を表しました。そして、その様子が交通安全を呼び掛ける啓発動画に収録されたのです。引率した書道の職員によると、撮影は午後1時頃から始まり、終了したのは午後5時を回っていたとのことでした。映像制作のスタッフからの指示や注意を受けながら、書道パフォーマンスを3回繰り返したとのことでした。私は幾度も実演を見ているのでわかるのですが、高い集中力が求められ、心身ともに大きなエネルギーを要するパフォーマンスです。大筆を抱え、リズムに合わせて躍動し、気合の入った掛け声が飛び交います。練達の書道部員にとっても、相当な疲労だったと想像します。

 しかし、彼女たち9人はやり遂げたのです。関係者の方々へ最後の挨拶では、部長の村田さんが「今年度は新型コロナウイルスのため、書道パフォーマンスを披露する機会がありませんでした。このような場を与えていただき、感謝します」とお礼の気持ちを述べました。顧問の古閑教諭、緒方教諭にとっては胸に迫る部長の言葉だったそうです。

 御船高校書道部の「書道パフォーマンス」は近年注目され、様々なイベント等で披露する機会が増えてきました。昨年は、新元号「令和」に伴うテレビ番組出演をはじめ県高校総合文化祭開会式、秋の熊本城「お城まつり」など大きな舞台が相次ぎました。ところが今年度は新型コロナウイルス感染拡大に伴い、部活動も自粛を余儀なくされ、「書道パフォーマンス」も封印してきました。3年生にとっては全国総合文化祭(高知県)も縮小され参加できませんでした。そして、9月上旬の県高校「揮毫大会」を終え、3年生は引退の時期を迎えた最後に、県警からこのような特別の場を提供頂いたのです。心中、期するところがあったと思います。

 本番二日前、学校の中庭での最後の練習を私は見ました。短パン、ジャージ姿の生徒たちは、大きな紙の上で筆と一体となり気持ちをぶつけるような気迫が感じられました。足に墨が飛び散るのも気にせず、一心不乱の様子に圧倒されました。きっと本番では渾身の力を振り絞ってくれるだろうと私は確信しました。

 御船高校書道部の「書道パフォーマンス」が復活しました。今回は先輩たちのパフォーマンスを見守っていた1年生に対し、3年生は大きな贈り物をしていったと思います。